[インデックス 10008] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のビルドシステムにおける重要なインフラストラクチャの改善を行った変更である。2011年10月17日に Anthony Martin によって実装され、src/cmd/Makefile
に欠落していた nuke
ターゲットを追加することで、ビルドシステムの完全性を向上させている。
コミット
- コミットハッシュ: 95b4f8284f31fbfe1408cab5bf3cf804e91565d9
- 作成者: Anthony Martin ality@pbrane.org
- 日付: 2011年10月17日 14:18:21 -0700
- コミットメッセージ: "build: add missing nuke target"
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/95b4f8284f31fbfe1408cab5bf3cf804e91565d9
元コミット内容
commit 95b4f8284f31fbfe1408cab5bf3cf804e91565d9
Author: Anthony Martin <ality@pbrane.org>
Date: Mon Oct 17 14:18:21 2011 -0700
build: add missing nuke target
R=golang-dev, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5266046
src/cmd/Makefile | 4 ++++
1 file changed, 4 insertions(+)
変更の背景
2011年は Go言語の開発初期段階における重要な時期であった。Go は 2009年11月に公開されたばかりで、2012年3月の Go 1.0 リリースに向けた準備段階にあった。この時期、Go のコンパイラとランタイムは C言語で実装されており、複雑なビルドシステムが必要だった。
Anthony Martin は Go プロジェクトの初期貢献者の一人であり、このコミットは Go の src/cmd/
ディレクトリにある Makefile において、他の場所では定義されているが src/cmd/Makefile
では欠落していた nuke
ターゲットを追加するものだった。
この変更は、Go のビルドシステムの一貫性を保つために不可欠であり、開発者が全てのディレクトリで同じビルドコマンドを使用できるようにするものだった。
前提知識の解説
Makefile と Make システム
Makefile は GNU Make などのビルドツールで使用される設定ファイルで、ソフトウェアのビルドプロセスを自動化するために使用される。各 "ターゲット" は特定のタスクを実行するためのルールを定義する。
ビルドターゲットの種類
典型的な Makefile には以下のようなターゲットが含まれる:
- build: ソースコードをコンパイルして実行可能ファイルを生成
- clean: 中間ファイル(オブジェクトファイルなど)を削除
- nuke: すべての生成ファイルを削除する、より徹底的なクリーンアップ
nuke ターゲットの意味
nuke
ターゲットは "clean" ターゲットよりも徹底的な削除を行う。clean
が中間ファイルのみを削除するのに対し、nuke
は:
- 全ての生成されたバイナリファイル
- 依存関係ファイル
- 一時ファイル
- キャッシュファイル
- その他すべてのビルド成果物
を削除する。
Go 言語の初期アーキテクチャ(2011年)
2011年の Go は現在とは大きく異なる構造を持っていた:
- コンパイラとランタイムが C言語で実装
- 複雑な Makefile ベースのビルドシステム
src/cmd/
ディレクトリにコマンドラインツールの実装- 各ディレクトリに独自の Makefile が存在
技術的詳細
変更の内容
このコミットは src/cmd/Makefile
に 4行を追加している。典型的な nuke
ターゲットの実装は以下のようなものだったと推測される:
.PHONY: nuke
nuke:
rm -rf $(CLEANFILES) $(OFILES) $(TARG)
rm -rf _obj/ _test/
ファイル構造への影響
変更は以下のファイルに影響を与えた:
- ファイル:
src/cmd/Makefile
- 変更: 4行の追加
- タイプ: 新しいビルドターゲットの追加
ビルドシステムの一貫性
この変更により、Go のビルドシステム全体で nuke
ターゲットが利用可能になった。これは以下の利点をもたらした:
- 一貫性: すべてのディレクトリで同じコマンドが使用可能
- 自動化: CI/CD パイプラインでの統一的なクリーンアップ
- 開発効率: 開発者が覚えるコマンドの統一
コアとなるコードの変更箇所
変更箇所は src/cmd/Makefile
の1ファイルのみで、4行の追加が行われた。この追加により、以下のような効果が期待された:
make nuke
コマンドの実行が可能になる- 他のディレクトリとの一貫性が保たれる
- ビルドシステムの完全性が向上する
コアとなるコードの解説
Makefile ターゲットの構造
追加された nuke
ターゲットは、典型的な Makefile ターゲットの構造に従っている:
target: dependencies
command1
command2
...
.PHONY 宣言の重要性
nuke
ターゲットは .PHONY
として宣言されることが一般的である。これは nuke
という名前のファイルが存在しても、常にターゲットが実行されることを保証する。
削除対象の選択
nuke
ターゲットは以下のような要素を削除する:
$(CLEANFILES)
: 明示的に定義されたクリーンアップ対象$(OFILES)
: オブジェクトファイル$(TARG)
: ターゲットファイル(実行可能ファイル)- その他の一時ディレクトリ