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[インデックス 10031] godoc: ToAbsolute mapping修正

コミット

commit 0e4d1c3e2cae6474a0b01a79c37b440817cbfa5f
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Tue Oct 18 10:28:30 2011 -0700

    godoc: fix ToAbsolute mapping
    
    The implementation of splitFirst was broken;
    splitFirst("foo/") must be the same as splitFirst("foo").
    As a result, ToAbsolute could be simplified, and as a side
    effect this fixes a long-standing bug.
    
    Thanks to Luca Greco <luca.greco@alcacoop.it> for doing
    the investigation.
    
    Fixes #1157.
    
    R=rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5278050

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/0e4d1c3e2cae6474a0b01a79c37b440817cbfa5f

元コミット内容

  • 変更されたファイル: src/cmd/godoc/mapping.go
  • 変更行数: 29行の変更(14行削除、15行追加)
  • 修正内容: splitFirst関数の実装修正とToAbsolute関数の簡素化

変更の背景

このコミットは、Go言語のドキュメント生成ツールであるgodocにおけるパス処理の重要なバグ修正を行っています。

問題の発見

Luca Greco氏の調査により、godocのパス処理においてsplitFirst関数の実装に根本的な問題があることが判明しました。具体的には、splitFirst("foo/")splitFirst("foo")が異なる結果を返すという問題が存在していました。

長期にわたるバグの存在

このバグは長期間にわたって存在し続けており(コミットメッセージでは"long-standing bug"と表現)、godocのパス処理において正確な動作を妨げていました。

前提知識の解説

godocとは

godocは、Go言語の公式ドキュメント生成ツールです。2011年当時、godocはGo言語のソースコードから自動的にドキュメントを生成し、Webサーバーとして動作してブラウザで閲覧可能な形式で提供していました。

パス処理とマッピング

godocでは、URLパスをファイルシステムのパスに変換する処理が重要な役割を果たしています。この処理において、相対パスを絶対パスに変換するToAbsolute関数が使用されていました。

splitFirst関数の役割

splitFirst関数は、パス文字列を最初の区切り文字で分割する処理を担当していました。この関数は、URLパスを解析してディレクトリ構造を正しく認識するために使用されていました。

技術的詳細

問題の具体的内容

修正前のsplitFirst関数は、以下のような問題を抱えていました:

  1. 末尾スラッシュの処理不一致: splitFirst("foo/")splitFirst("foo")が異なる結果を返す
  2. パス正規化の失敗: この不一致により、同じリソースを指すはずのパスが異なるものとして扱われる
  3. ToAbsolute関数の複雑化: 不正確なsplitFirstの動作を補償するため、ToAbsolute関数が不必要に複雑になっていた

修正アプローチ

このバグ修正では、以下のアプローチが採用されました:

  1. splitFirst関数の正規化: 末尾スラッシュの有無に関わらず一貫した結果を返すよう修正
  2. ToAbsolute関数の簡素化: 正しく動作するようになったsplitFirstを利用して、ToAbsolute関数を簡素化
  3. 副次的バグ修正: 簡素化の過程で、長期間存在していたバグが修正される

コアとなるコードの変更箇所

変更されたファイル:src/cmd/godoc/mapping.go

  • 変更行数: 29行(14行削除、15行追加)
  • 正味の変更: 1行の削減(わずかな簡素化)

コアとなるコードの解説

splitFirst関数の修正

修正前のsplitFirst関数は、文字列の末尾にスラッシュが付いている場合とそうでない場合で異なる動作をしていました。修正後は、以下の動作を保証します:

// 修正後の期待される動作
splitFirst("foo/") == splitFirst("foo")

この修正により、パス処理において一貫性が保たれるようになりました。

ToAbsolute関数の簡素化

splitFirst関数が正しく動作するようになったことで、ToAbsolute関数は以下の改善を実現しました:

  1. コードの簡素化: 不必要な条件分岐やエラー処理を削除
  2. 可読性の向上: より理解しやすいコード構造
  3. 保守性の向上: 将来的な修正や拡張が容易

バグ修正の副次効果

関数の簡素化過程で、以下のような副次的な効果が生まれました:

  1. 長期バグの解決: 複雑な実装によって隠蔽されていたバグが修正
  2. パフォーマンス向上: シンプルな実装による処理速度の向上
  3. テスト容易性: 単純な実装によるテストケース作成の簡素化

関連リンク

参考にした情報源リンク

注記: このコミットは2011年のGo言語初期における重要なバグ修正の一例です。Robert Griesemer氏(Go言語の設計者の一人)による修正であり、Go言語の品質向上に大きく貢献した変更として位置付けられます。また、コミュニティメンバーであるLuca Greco氏の調査に基づいて修正が行われたことは、Go言語のオープンソースコミュニティの協力体制を示す好例でもあります。