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[インデックス 1009] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の初期のコンパイラ(gc)における文字列エスケープ処理の改善に関するものです。具体的には、%Zフォーマット指定子を使用する際に、二重引用符(")が正しくエスケープされるように修正が加えられました。

コミット

  • コミットハッシュ: dc6bd11ce8010ffc32524f513c3f6afae4df907a
  • 作者: Russ Cox rsc@golang.org
  • コミット日時: 2008年10月30日 木曜日 15:35:56 -0700

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/dc6bd11ce8010ffc32524f513c3f6afae4df907a

元コミット内容

make %Z escape "

R=ken
OCL=18180
CL=18180

変更の背景

このコミットは、Go言語のコンパイラ(gc)が特定の文字列フォーマット(%Z)を処理する際に、二重引用符(")を適切にエスケープできていなかった問題を修正するために行われました。プログラミング言語において、文字列リテラル内に特殊文字(例えば、文字列の区切り文字である二重引用符自体)を含める場合、その文字が文字列の終わりと誤解されないように、バックスラッシュ(\)などのエスケープ文字を使って「エスケープ」する必要があります。

この修正以前は、%Zフォーマット指定子を使って出力される文字列に二重引用符が含まれていると、それが正しくエスケープされず、結果として生成されるコードやデータが構文エラーになったり、意図しない解釈をされたりする可能性がありました。このコミットは、この潜在的な問題を解消し、コンパイラがより堅牢な文字列処理を行うようにするためのものです。

前提知識の解説

Go言語のコンパイラ gc

Go言語の初期のコンパイラは、gc(Go Compiler)と呼ばれていました。これは、Go言語のソースコードを機械語に変換する主要なツールです。gcは、字句解析、構文解析、意味解析、中間コード生成、最適化、コード生成といったコンパイルの各段階を担当します。このコミットで変更されたsrc/cmd/gc/subr.cファイルは、gcコンパイラの内部で使われるサブルーチン(補助関数やユーティリティ関数)を定義しているC言語のソースファイルです。

文字列のエスケープ

プログラミング言語では、文字列リテラルを表現するために、通常、二重引用符(")や単一引用符(')で囲みます。しかし、文字列の内容自体にこれらの引用符を含めたい場合、そのまま記述すると文字列の区切りと解釈されてしまい、構文エラーになります。この問題を解決するために、「エスケープシーケンス」が用いられます。

エスケープシーケンスは、通常バックスラッシュ(\)の後に特定の文字を続けることで、その文字を特殊な意味ではなく、文字通りの意味で解釈させるためのものです。例えば、C言語やGo言語では、以下のようにエスケープします。

  • \": 二重引用符
  • \n: 改行
  • \t: タブ
  • \\: バックスラッシュ自体

このコミットでは、%Zという特定のフォーマット指定子に関連するエスケープ処理が問題となっていました。%Zは、おそらくコンパイラの内部で特定の種類の文字列(例えば、シンボル名やパスなど)を整形して出力するために使われるフォーマット指定子だったと考えられます。

subr.c ファイルの役割

src/cmd/gc/subr.cは、Goコンパイラgcのソースコードの一部であり、subrは「subroutines(サブルーチン)」の略です。このファイルには、コンパイラの様々な部分で共通して利用されるユーティリティ関数や補助関数が実装されています。文字列の整形やエスケープ処理も、このような共通機能の一部としてこのファイルに実装されていることが一般的です。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、gcコンパイラが文字列を整形して出力する際の内部的な処理に焦点を当てています。subr.c内の関連コードは、おそらくfmt(フォーマット)関数のようなものの一部であり、入力された文字を走査し、特定の文字(この場合は二重引用符)に遭遇した場合に、その文字をエスケープシーケンスに変換して出力バッファに書き込むロジックを含んでいます。

変更前のコードでは、改行文字(\n)に対しては\nを書き込むエスケープ処理が既に存在していました。しかし、二重引用符(")に対しては同様のエスケープ処理が欠けていたため、%Zフォーマットで出力される文字列に"が含まれると、そのまま出力されてしまい、結果として不正な文字列リテラルが生成される可能性がありました。

追加されたコードは、switch文のcaseとして'(二重引用符)を追加し、そのケースで\c(元の文字、この場合は")を順に書き込むことで、\"というエスケープシーケンスを生成するようにしています。これにより、%Zフォーマットで出力される文字列内の二重引用符が常に正しくエスケープされるようになり、コンパイラが生成するコードの堅牢性が向上しました。

この修正は、コンパイラが生成するアセンブリコードや中間表現、あるいはデバッグ情報など、文字列リテラルとして扱われる可能性のあるあらゆる出力に影響を与える可能性があります。特に、Go言語のソースコード内で文字列リテラルとして解釈されるべき部分が、コンパイラの内部処理によって生成される場合には、このエスケープ処理の正確性が非常に重要になります。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/cmd/gc/subr.cファイルに対して行われました。

--- a/src/cmd/gc/subr.c
+++ b/src/cmd/gc/subr.c
@@ -1360,6 +1360,10 @@ loop:
 		*p++ = '\\\\';
 		*p++ = 'n';
 		break;
+	case '\"':
+		*p++ = '\\\\';
+		*p++ = c;
+		break;
 	}
 	goto loop;

コアとなるコードの解説

上記のコードスニペットは、src/cmd/gc/subr.cファイル内の、おそらく文字列を整形して出力するループの一部を示しています。

  • loop:: これはC言語のラベルであり、goto loop;によってこの位置に戻ることができます。これは、文字を一つずつ処理していくループの開始点を示しています。
  • case '\\n':: 既存のコードで、改行文字(\n)に遭遇した場合の処理です。
    • *p++ = '\\\\';: 出力ポインタpが指す位置にバックスラッシュ(\)を書き込み、ポインタをインクリメントします。
    • *p++ = 'n';: 次にnを書き込み、ポインタをインクリメントします。
    • これにより、\nというエスケープシーケンスが生成されます。
  • case '\"':: このコミットで新しく追加された部分です。二重引用符(")に遭遇した場合の処理を定義しています。
    • *p++ = '\\\\';: 改行文字の場合と同様に、まずバックスラッシュ(\)を書き込みます。
    • *p++ = c;: 次に、変数c(これは現在処理している文字、つまり")を書き込みます。
    • これにより、\"というエスケープシーケンスが生成されます。
  • break;: 各caseの処理が完了した後、switch文を抜けます。
  • goto loop;: switch文を抜けた後、処理を次の文字に移すためにループの先頭に戻ります。

この変更により、コンパイラが文字列を処理する際に、二重引用符が適切にエスケープされるようになり、生成されるコードやデータがより正確で堅牢なものになります。これは、コンパイラの基本的な機能である「正しいコードの生成」を保証する上で重要な修正です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント (特に初期のコンパイラに関する情報): https://golang.org/doc/
  • C言語における文字列エスケープシーケンスに関する一般的な情報源。
  • Go言語のコンパイラ設計に関する議論やドキュメント(もし公開されていれば)。
  • GitHubのコミット履歴と関連するIssueやPull Request(もしあれば)。

[インデックス 1009] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の初期のコンパイラ(gc)における文字列エスケープ処理の改善に関するものです。具体的には、%Zフォーマット指定子を使用する際に、二重引用符(")が正しくエスケープされるように修正が加えられました。

コミット

  • コミットハッシュ: dc6bd11ce8010ffc32524f513c3f6afae4df907a
  • 作者: Russ Cox rsc@golang.org
  • コミット日時: 2008年10月30日 木曜日 15:35:56 -0700

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/dc6bd11ce8010ffc32524f513c3f6afae4df907a

元コミット内容

make %Z escape "

R=ken
OCL=18180
CL=18180

変更の背景

このコミットは、Go言語のコンパイラ(gc)が特定の文字列フォーマット(%Z)を処理する際に、二重引用符(")を適切にエスケープできていなかった問題を修正するために行われました。プログラミング言語において、文字列リテラル内に特殊文字(例えば、文字列の区切り文字である二重引用符自体)を含める場合、その文字が文字列の終わりと誤解されないように、バックスラッシュ(\)などのエスケープ文字を使って「エスケープ」する必要があります。

この修正以前は、%Zフォーマット指定子を使って出力される文字列に二重引用符が含まれていると、それが正しくエスケープされず、結果として生成されるコードやデータが構文エラーになったり、意図しない解釈をされたりする可能性がありました。このコミットは、この潜在的な問題を解消し、コンパイラがより堅牢な文字列処理を行うようにするためのものです。

前提知識の解説

Go言語のコンパイラ gc

Go言語の初期のコンパイラは、gc(Go Compiler)と呼ばれていました。これは、Go言語のソースコードを機械語に変換する主要なツールです。gcは、字句解析、構文解析、意味解析、中間コード生成、最適化、コード生成といったコンパイルの各段階を担当します。このコミットで変更されたsrc/cmd/gc/subr.cファイルは、gcコンパイラの内部で使われるサブルーチン(補助関数やユーティリティ関数)を定義しているC言語のソースファイルです。

歴史的背景: gcコンパイラは、元々Plan9 CコンパイラをベースにC言語で書かれていました。Go 1.4以降、gcコンパイラ自体がGo言語で書き直されました。このsubr.cファイルは、そのC言語ベースの実装の名残です。

文字列のエスケープ

プログラミング言語では、文字列リテラルを表現するために、通常、二重引用符(")や単一引用符(')で囲みます。しかし、文字列の内容自体にこれらの引用符を含めたい場合、そのまま記述すると文字列の区切りと解釈されてしまい、構文エラーになります。この問題を解決するために、「エスケープシーケンス」が用いられます。

エスケープシーケンスは、通常バックスラッシュ(\)の後に特定の文字を続けることで、その文字を特殊な意味ではなく、文字通りの意味で解釈させるためのものです。例えば、C言語やGo言語では、以下のようにエスケープします。

  • \": 二重引用符
  • \n: 改行
  • \t: タブ
  • \\: バックスラッシュ自体

このコミットでは、%Zという特定のフォーマット指定子に関連するエスケープ処理が問題となっていました。%Zは、おそらくコンパイラの内部で特定の種類の文字列(例えば、シンボル名やパスなど)を整形して出力するために使われるフォーマット指定子だったと考えられます。

subr.c ファイルの役割

src/cmd/gc/subr.cは、Goコンパイラgcのソースコードの一部であり、subrは「subroutines(サブルーチン)」の略です。このファイルには、コンパイラの様々な部分で共通して利用されるユーティリティ関数や補助関数が実装されています。文字列の整形やエスケープ処理も、このような共通機能の一部としてこのファイルに実装されていることが一般的です。

検索結果によると、subr.cはエラーハンドリングやレポート機能(flusherrors(), errorexit())、ハッシュ計算のためのヘルパー関数(genhash)など、多岐にわたる補助的な機能を含んでいます。過去には、エラーメッセージの改善やパッケージパスの記録など、様々な目的で修正が加えられてきました。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、gcコンパイラが文字列を整形して出力する際の内部的な処理に焦点を当てています。subr.c内の関連コードは、おそらくfmt(フォーマット)関数のようなものの一部であり、入力された文字を走査し、特定の文字(この場合は二重引用符)に遭遇した場合に、その文字をエスケープシーケンスに変換して出力バッファに書き込むロジックを含んでいます。

変更前のコードでは、改行文字(\n)に対しては\nを書き込むエスケープ処理が既に存在していました。しかし、二重引用符(")に対しては同様のエスケープ処理が欠けていたため、%Zフォーマットで出力される文字列に"が含まれると、そのまま出力されてしまい、結果として不正な文字列リテラルが生成される可能性がありました。

追加されたコードは、switch文のcaseとして'(二重引用符)を追加し、そのケースで\c(元の文字、この場合は")を順に書き込むことで、\"というエスケープシーケンスを生成するようにしています。これにより、%Zフォーマットで出力される文字列内の二重引用符が常に正しくエスケープされるようになり、コンパイラが生成するコードの堅牢性が向上しました。

この修正は、コンパイラが生成するアセンブリコードや中間表現、あるいはデバッグ情報など、文字列リテラルとして扱われる可能性のあるあらゆる出力に影響を与える可能性があります。特に、Go言語のソースコード内で文字列リテラルとして解釈されるべき部分が、コンパイラの内部処理によって生成される場合には、このエスケープ処理の正確性が非常に重要になります。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/cmd/gc/subr.cファイルに対して行われました。

--- a/src/cmd/gc/subr.c
+++ b/src/cmd/gc/subr.c
@@ -1360,6 +1360,10 @@ loop:
 		*p++ = '\\\\';
 		*p++ = 'n';
 		break;
+	case '\"':
+		*p++ = '\\\\';
+		*p++ = c;
+		break;
 	}
 	goto loop;

コアとなるコードの解説

上記のコードスニペットは、src/cmd/gc/subr.cファイル内の、おそらく文字列を整形して出力するループの一部を示しています。

  • loop:: これはC言語のラベルであり、goto loop;によってこの位置に戻ることができます。これは、文字を一つずつ処理していくループの開始点を示しています。
  • case '\\n':: 既存のコードで、改行文字(\n)に遭遇した場合の処理です。
    • *p++ = '\\\\';: 出力ポインタpが指す位置にバックスラッシュ(\)を書き込み、ポインタをインクリメントします。
    • *p++ = 'n';: 次にnを書き込み、ポインタをインクリメントします。
    • これにより、\nというエスケープシーケンスが生成されます。
  • case '\"':: このコミットで新しく追加された部分です。二重引用符(")に遭遇した場合の処理を定義しています。
    • *p++ = '\\\\';: 改行文字の場合と同様に、まずバックスラッシュ(\)を書き込みます。
    • *p++ = c;: 次に、変数c(これは現在処理している文字、つまり")を書き込みます。
    • これにより、\"というエスケープシーケンスが生成されます。
  • break;: 各caseの処理が完了した後、switch文を抜けます。
  • goto loop;: switch文を抜けた後、処理を次の文字に移すためにループの先頭に戻ります。

この変更により、コンパイラが文字列を処理する際に、二重引用符が適切にエスケープされるようになり、生成されるコードやデータがより正確で堅牢なものになります。これは、コンパイラの基本的な機能である「正しいコードの生成」を保証する上で重要な修正です。

関連リンク

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