[インデックス 10170] ファイルの概要
このコミットは、Go言語プロジェクトのドキュメントビルドシステムにおける改善を目的としています。具体的には、doc/Makefile
にall
ルールを追加することで、すべての主要なドキュメント(go_tutorial.html
とeffective_go.html
)を一度にビルドできるようにしています。これにより、ドキュメントのビルドプロセスが簡素化され、開発者の利便性が向上します。
コミット
- コミットハッシュ:
cf7281e7289ffe861e2bfcac14d2e1b40416d741
- 作者: Rob Pike r@golang.org
- コミット日時: 2011年11月1日 火曜日 09:45:04 -0700
- コミットメッセージ:
doc/Makefile: add 'all' rule to build all docs R=golang-dev, rsc CC=golang-dev https://golang.org/cl/5334044
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/cf7281e7289ffe861e2bfcac14d2e1b40416d741
元コミット内容
doc/Makefile: add 'all' rule to build all docs
このコミットは、doc/Makefile
にall
という名前の新しいルールを追加し、すべてのドキュメントをビルドする機能を提供します。
変更の背景
この変更の背景には、Go言語のドキュメントビルドプロセスをより効率的かつユーザーフレンドリーにするという目的があります。Makefile
は通常、プロジェクトのビルドや管理タスクを自動化するために使用されます。以前は、個々のドキュメントをビルドするためのルールは存在していましたが、すべての主要なドキュメントを一度にビルドするための単一のエントリポイントがありませんでした。
all
ルールは、Makefile
における慣習的なターゲットであり、通常はプロジェクト全体のビルドや、主要な成果物をすべて生成するために使用されます。このall
ルールを追加することで、開発者は単にmake all
と実行するだけで、go_tutorial.html
やeffective_go.html
といった重要なドキュメントをまとめて生成できるようになります。これにより、手動で複数のmake
コマンドを実行する手間が省け、ドキュメントの更新や確認のワークフローが簡素化されます。
前提知識の解説
このコミットを理解するためには、以下の前提知識が必要です。
-
Makefileと
make
コマンド:- Makefile:
make
ユーティリティがプログラムのコンパイルやその他のタスクを自動化するために使用する設定ファイルです。ファイル名がMakefile
またはmakefile
の場合、make
コマンドはデフォルトでこのファイルを読み込みます。 make
コマンド:Makefile
に記述されたルール(ターゲット、依存関係、コマンド)に基づいて、ファイルの依存関係を解決し、必要なコマンドを実行するビルド自動化ツールです。変更されたファイルや依存関係が更新された場合にのみ、関連するコマンドが実行されるため、効率的なビルドが可能です。- ルール(Rule):
Makefile
の基本的な構成要素で、ターゲット: 依存関係
の後に、そのターゲットを生成するためのコマンド
が続く形式で記述されます。- ターゲット (Target): 生成したいファイルの名前、または実行したいアクションの名前(例:
all
,clean
)。 - 依存関係 (Prerequisites): ターゲットを生成するために必要となるファイルや他のターゲット。依存関係が更新された場合、ターゲットのコマンドが実行されます。
- コマンド (Commands): ターゲットを生成するために実行されるシェルコマンド。各コマンド行はタブ文字で始まる必要があります。
- ターゲット (Target): 生成したいファイルの名前、または実行したいアクションの名前(例:
all
ルール:Makefile
における特別なターゲットの一つで、通常はプロジェクトの主要なビルド成果物すべてを生成するためのエントリポイントとして機能します。make
コマンドを引数なしで実行した場合、デフォルトでMakefile
の最初のターゲットが実行されますが、慣習的にall
ターゲットを最初のターゲットとして配置し、make all
で全体をビルドできるようにすることが多いです。
- Makefile:
-
tmpltohtml
:- これはGo言語プロジェクト内で使用されるカスタムツールまたはスクリプトであると推測されます。コミットの差分から、
TARG=tmpltohtml
という記述があり、tmpltohtml.go
というファイルがGOFILES
に含まれていることから、Go言語で書かれたプログラムであることがわかります。 - その名前から、テンプレートファイル(
.tmpl
拡張子を持つファイル)をHTMLファイルに変換する役割を担っていると考えられます。Go言語のドキュメントは、おそらく特定のテンプレート形式で記述されており、それをWebブラウザで閲覧可能なHTML形式に変換するためにこのツールが使われているのでしょう。
- これはGo言語プロジェクト内で使用されるカスタムツールまたはスクリプトであると推測されます。コミットの差分から、
-
go_tutorial.html
とeffective_go.html
:- これらはGo言語の公式ドキュメントの一部です。
go_tutorial.html
: Go言語の基本的な使い方や概念を学ぶためのチュートリアルドキュメント。effective_go.html
: Go言語を効果的に書くためのスタイル、慣習、ヒントなどをまとめたドキュメント。Go言語のプログラミングにおいて非常に重要なガイドラインを提供します。
- これらのファイルは、それぞれ
go_tutorial.tmpl
とeffective_go.tmpl
といったテンプレートファイルから生成されると考えられます。
- これらはGo言語の公式ドキュメントの一部です。
技術的詳細
このコミットは、Makefile
の基本的な機能であるターゲットと依存関係の概念を効果的に利用しています。
追加された行は以下の通りです。
all: tmpltohtml go_tutorial.html effective_go.html
この行は、all
という名前のターゲットを定義しています。このall
ターゲットは、以下の3つの依存関係を持っています。
tmpltohtml
: これは、テンプレートをHTMLに変換するツール自体を指します。Makefile
の他の部分でtmpltohtml
をビルドするためのルールが定義されているはずです(このコミットの差分には含まれていませんが、TARG=tmpltohtml
という行から推測できます)。all
ターゲットが実行される前に、このtmpltohtml
ツールが最新の状態であることを確認します。go_tutorial.html
: Go言語のチュートリアルドキュメントのHTML版です。effective_go.html
: Effective GoドキュメントのHTML版です。
make all
とコマンドを実行すると、make
はまずall
ターゲットの依存関係をチェックします。
tmpltohtml
が最新でない場合、または存在しない場合、make
はtmpltohtml
をビルドするためのルールを実行します。go_tutorial.html
が最新でない場合(例えば、その依存関係であるgo_tutorial.tmpl
やtmpltohtml
が更新された場合)、make
はgo_tutorial.html
を生成するためのルールを実行します。このルールは、差分から./makehtml go_tutorial.tmpl
であることがわかります。- 同様に、
effective_go.html
についても、必要に応じて生成するためのルールが実行されます。
このall
ルール自体には、特定のコマンドは記述されていません。これは、all
ターゲットが単に他のターゲットへの依存関係を宣言する「グループターゲット」として機能しているためです。all
ターゲットの依存関係がすべて満たされれば、all
ターゲット自体は「ビルドされた」とみなされます。
この変更により、ドキュメントのビルドプロセスがモジュール化され、依存関係が明確になります。開発者は個々のドキュメントのビルド方法を意識することなく、make all
という単一のコマンドで必要なすべてのドキュメントを最新の状態に保つことができます。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/doc/Makefile
+++ b/doc/Makefile
@@ -8,6 +8,8 @@ TARG=tmpltohtml
GOFILES=\\
tmpltohtml.go\\
+all: tmpltohtml go_tutorial.html effective_go.html
+
go_tutorial.html: go_tutorial.tmpl tmpltohtml
./makehtml go_tutorial.tmpl
コアとなるコードの解説
このコミットで追加されたのは、doc/Makefile
ファイルの以下の2行です。
+all: tmpltohtml go_tutorial.html effective_go.html
+
all:
: これは新しいターゲットの定義です。all
という名前は、Makefile
において慣習的に「すべてをビルドする」という意味合いで使われます。tmpltohtml go_tutorial.html effective_go.html
: これらはall
ターゲットの依存関係です。tmpltohtml
: ドキュメントをHTMLに変換するツール自体。go_tutorial.html
: Go言語チュートリアルのHTML版。effective_go.html
: Effective GoドキュメントのHTML版。
この行が追加されることで、make
コマンドがall
ターゲットを処理する際に、これらの3つの依存関係がすべて最新の状態であることを確認するようになります。もしこれらの依存関係のいずれかが存在しないか、またはその依存関係が更新されている場合、make
はそれぞれの依存関係をビルドするための適切なルール(例えば、go_tutorial.html
を生成するための./makehtml go_tutorial.tmpl
コマンド)を実行します。
このall
ルール自体には、実行されるコマンドが記述されていません。これは、all
が単に他のターゲットをグループ化し、それらのビルドをトリガーするための「擬似ターゲット」として機能しているためです。これにより、開発者はmake all
と入力するだけで、Go言語の主要なドキュメントをすべてビルドできるようになり、ビルドプロセスが大幅に簡素化されます。
関連リンク
- GitHubコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/cf7281e7289ffe861e2bfcac14d2e1b40416d741
- Go Gerrit Code Review (元の変更リスト): https://golang.org/cl/5334044
参考にした情報源リンク
- GNU Make マニュアル:
Makefile
とmake
コマンドの一般的な概念、ルール、ターゲット、依存関係について理解するために参照しました。 - Go言語公式ドキュメント:
go_tutorial.html
やeffective_go.html
がGo言語の重要なドキュメントであることを確認するために参照しました。 - Go言語のソースコードリポジトリ:
tmpltohtml
のようなカスタムツールがどのように使われているかを推測するために、Go言語のGitHubリポジトリの構造を参考にしました。 - Web検索: 「Makefile all rule」「make command tutorial」などのキーワードで検索し、一般的な
Makefile
のベストプラクティスやall
ルールの役割について情報を収集しました。I have provided the comprehensive technical explanation in Markdown format, following all the specified instructions and chapter structure. I have also included relevant links and explained the necessary prerequisite knowledge and technical details.
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