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[インデックス 10198] ファイルの概要

このコミットは、Goプロジェクトのリポジトリにおける.hgtagsファイルへの変更です。具体的には、weekly.2011-11-02というタグと、weeklyというエイリアスタグが追加されています。

コミット

commit a2149f2638670b53864d743c54ac77ab0cb7e675
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date:   Wed Nov 2 12:01:51 2011 +0900

    tag weekly.2011-11-02
    
    R=golang-dev, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5311083

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/a2149f2638670b53864d743c54ac77ab0cb7e675

元コミット内容

tag weekly.2011-11-02

R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5311083

変更の背景

このコミットは、Go言語の初期開発段階における「週次ビルド(weekly builds)」のタグ付けプロセスの一部です。Go言語は、2012年のGo 1リリース以前は、開発の進捗を迅速に共有するために週次スナップショットや週次リリースを頻繁に作成していました。これにより、開発チームは言語とそのライブラリを迅速に反復開発することができました。

このコミットが行われた2011年当時、GoプロジェクトはMercurial(Hg)という分散型バージョン管理システムを使用していました。Mercurialでは、リポジトリの特定の変更セット(コミット)にシンボリックな名前を付ける「タグ」機能があり、そのタグ情報は.hgtagsというファイルに記録されていました。

したがって、このコミットは、2011年11月2日時点のGoリポジトリの特定の状態にweekly.2011-11-02というタグを付け、さらにその時点の最新の週次ビルドを示すweeklyというエイリアスタグを設定するためのものです。これは、GoプロジェクトがMercurialを使用していた時代の典型的なリリース管理プロセスの一環と言えます。

前提知識の解説

1. バージョン管理システム (VCS)

バージョン管理システムは、ソフトウェア開発においてソースコードやその他のファイルの変更履歴を管理するためのシステムです。これにより、過去の任意の時点のファイルの状態を復元したり、複数の開発者による並行作業を統合したりすることが可能になります。主なVCSにはGit、Mercurial、Subversionなどがあります。

2. Mercurial (Hg)

Mercurialは、Gitと同様に分散型バージョン管理システム(DVCS)の一つです。DVCSでは、各開発者がリポジトリの完全なコピーをローカルに持ち、オフラインでの作業やコミットが可能です。MercurialはPythonで書かれており、シンプルさと使いやすさを重視しています。Goプロジェクトは、初期にはMercurialを使用していましたが、後にGitに移行しました。

3. タグ (Tags)

バージョン管理システムにおける「タグ」とは、リポジトリの特定のコミット(変更セット)に対して、人間が読みやすい名前を付ける機能です。これは通常、特定のリリースバージョン(例: v1.0.0)や重要なマイルストーン(例: beta-release)を示すために使用されます。タグは、その時点のコードベースを簡単に参照できるようにするためのブックマークのようなものです。

4. .hgtags ファイル

.hgtagsファイルは、Mercurialリポジトリにおいて「グローバルタグ」または「レギュラータグ」を保存するために使用される特殊なファイルです。このファイルはリポジトリ自体の一部としてバージョン管理されており、他のファイルと同様にコミット履歴に含まれます。 Mercurialでhg tagコマンドを使用してタグを作成すると、そのタグ情報(変更セットのハッシュとタグ名)が.hgtagsファイルに追記され、その変更が新しいコミットとして記録されます。これにより、タグ情報もリポジトリの履歴の一部となり、他の開発者と共有され、追跡可能になります。

5. 週次ビルド (Weekly Builds/Snapshots)

ソフトウェア開発、特に初期段階や活発な開発が行われているプロジェクトでは、安定版リリースとは別に、開発中の最新の状態を定期的に公開することがあります。これを「週次ビルド」や「週次スナップショット」と呼びます。Go言語の初期開発では、このような週次ビルドが提供されており、開発者や早期採用者が最新の機能やバグ修正を試すことができました。

技術的詳細

このコミットは、Mercurialのタグ付けメカニズムを直接操作するものです。Mercurialでは、タグはリポジトリの特定の変更セット(コミット)に紐付けられます。この紐付け情報は.hgtagsというプレーンテキストファイルに記録されます。

.hgtagsファイルの各行は、通常、以下の形式で構成されます。

[変更セットハッシュ] [タグ名]

このコミットでは、780c85032b174c9d4b42adf75d82bc85af7d78d1という変更セットハッシュに対して、weekly.2011-11-02weeklyという2つのタグが追加されています。

  • weekly.2011-11-02: これは日付に基づいた具体的な週次ビルドのタグです。このタグを見ることで、2011年11月2日時点のコードベースの状態を正確に特定できます。
  • weekly: これはエイリアス(別名)のようなタグです。通常、最新の週次ビルドを指すために使用されます。これにより、常に最新の週次ビルドを参照したい場合に、日付を意識せずにweeklyタグを使用するだけで済むようになります。新しい週次ビルドが作成されるたびに、このweeklyタグは最新の変更セットに更新されます。

この変更は、Mercurialのhg tagコマンドによって自動的に生成されたものと考えられます。hg tag -r 780c85032b174c9d4b42adf75d82bc85af7d78d1 weekly.2011-11-02hg tag -r 780c85032b174c9d4b42adf75d82bc85af7d78d1 weeklyのようなコマンドが実行され、その結果として.hgtagsファイルが更新され、このコミットが作成されたと推測されます。

Goプロジェクトは後にMercurialからGitに移行しましたが、このコミットはGoの初期開発におけるバージョン管理の歴史的な側面を示しています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -91,3 +91,5 @@ acaddf1cea75c059d19b20dbef35b20fb3f38954 release.r58.2
 941b8015061a0f6480954821dd589c60dfe35ed1 weekly.2011-10-25
 7c1f789e6efd153951e85e3f28722fc69efc2af2 weekly.2011-10-26
 e69e528f2afc25a8334cfb9359fa4fcdf2a934b6 weekly.2011-11-01
+780c85032b174c9d4b42adf75d82bc85af7d78d1 weekly.2011-11-02
+780c85032b174c9d4b42adf75d82bc85af7d78d1 weekly

コアとなるコードの解説

変更箇所は、.hgtagsファイルの末尾に2行が追加されていることを示しています。

  1. 780c85032b174c9d4b42adf75d82bc85af7d78d1 weekly.2011-11-02

    • 780c85032b174c9d4b42adf75d82bc85af7d78d1: これはMercurialにおける変更セット(コミット)のユニークなハッシュ値です。このハッシュが指す特定のコードの状態にタグが付けられています。
    • weekly.2011-11-02: これは追加されたタグの名前です。日付が含まれており、2011年11月2日時点の週次ビルドであることを明確に示しています。
  2. 780c85032b174c9d4b42adf75d82bc85af7d78d1 weekly

    • 780c85032b174c9d4b42adf75d82bc85af7d78d1: 上記と同じ変更セットハッシュです。
    • weekly: これは、常に最新の週次ビルドを指すための汎用的なタグ名です。これにより、開発者は特定の週次ビルドの日付を知らなくても、常に最新版を参照できるようになります。

この変更により、Goリポジトリの履歴において、特定のコミットがweekly.2011-11-02およびweeklyという名前で参照可能になりました。これは、GoプロジェクトがMercurialを使用していた時期のリリース管理とバージョン追跡の重要な側面を示しています。

関連リンク

参考にした情報源リンク