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[インデックス 10214] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリおよびツール群全体にわたるインポート文のソート順を統一することを目的としています。具体的には、Goのソースコードにおけるimport文の記述順序を整理し、可読性と一貫性を向上させるための変更です。

コミット

commit 965845a86d00e618cc03a739a52e986d6901d071
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Wed Nov 2 15:54:16 2011 -0400

    all: sort imports
    
    R=golang-dev, r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5319072

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/965845a86d00e618cc03a739a52e986d6901d071

元コミット内容

コミットメッセージは非常に簡潔で、「all: sort imports」(すべて: インポートをソートする)とだけ記されています。これは、Goプロジェクト全体でインポート文の順序を整理する作業であることを示唆しています。

変更の背景

Go言語では、コードの可読性と一貫性を非常に重視しています。その一環として、import文の記述順序も重要な要素となります。Goのツールチェーンにはgoimportsというツールが存在し、これはインポート文の追加、削除、そしてソートを自動的に行う機能を提供します。このコミットは、おそらくgoimportsのようなツールが導入される前、あるいはその初期段階において、手動またはスクリプトによって既存のコードベース全体のインポート順序を統一するための大規模なクリーンアップ作業の一環として行われたと考えられます。

インポートのソートは、以下のようなメリットをもたらします。

  • 可読性の向上: インポートがアルファベット順に並べられることで、どのパッケージが使用されているかを一目で把握しやすくなります。
  • 一貫性の確保: 複数の開発者が同じプロジェクトで作業する際に、インポート順序に関するスタイルガイドの遵守を容易にします。これにより、Gitの差分(diff)が不要な変更で汚染されるのを防ぎ、コードレビューを効率化します。
  • ツールの統合: goimportsのような自動フォーマットツールとの相性が良くなり、開発ワークフローがスムーズになります。

前提知識の解説

Go言語のパッケージとインポート

Go言語では、コードは「パッケージ」という単位で整理されます。パッケージは関連する機能の集合であり、他のパッケージからその機能を利用するためにはimport文を使ってインポートする必要があります。

Goのimport文には、主に以下の2種類があります。

  1. 標準ライブラリパッケージ: Go言語自体が提供する組み込みのパッケージ(例: fmt, net/http, osなど)。
  2. サードパーティパッケージ/ローカルパッケージ: 外部のライブラリや、プロジェクト内で定義された他のパッケージ。

Goにおけるインポートの慣習とgoimports

Goコミュニティでは、インポート文の記述に関して特定の慣習があります。一般的には、以下の順序でグループ化し、各グループ内ではアルファベット順にソートすることが推奨されています。

  1. 標準ライブラリパッケージ
  2. サードパーティパッケージ(通常は空行で区切る)
  3. ローカルパッケージ(通常は空行で区切る)

この慣習を自動的に適用し、さらに未使用のインポートを削除するツールがgoimportsです。goimportsは、Goのソースファイルを解析し、上記のルールに従ってインポート文を整理します。このコミットが行われた2011年時点では、goimportsが現在のように広く普及していたかは定かではありませんが、その思想の萌芽となるような、コードベース全体の一貫性を保つための取り組みであったと推測されます。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、Goのソースコード内の多数のファイルにおいて、importブロック内のパッケージの並び順が変更されている点に集約されます。具体的には、各ファイルのimport文がアルファベット順にソートされています。

例えば、以下のような変更が見られます。

変更前:

import (
	"errors"
	"go/ast"
	"go/parser"
	"go/token"
	"go/scanner"
	"gob"
	"index/suffixarray"
	"io"
)

変更後:

import (
	"errors"
	"go/ast"
	"go/parser"
	"go/scanner"
	"go/token"
	"gob"
	"index/suffixarray"
	"io"
)

この例では、go/scannergo/tokenの順序が入れ替わっています。これは、アルファベット順にソートされた結果です。

この変更は、個々のファイルの機能には影響を与えません。Goコンパイラはインポートの順序に依存しないため、プログラムの実行結果が変わることはありません。しかし、コードベース全体の一貫性を保ち、将来的なメンテナンスや共同作業を容易にする上で非常に重要な変更です。

この種の変更は、通常、以下のような方法で実行されます。

  1. 手動での修正: 非常に小規模なプロジェクトであれば手動で行うことも可能ですが、このコミットのように多数のファイルにわたる場合は非現実的です。
  2. スクリプトによる自動化: シェルスクリプトやGoプログラムなどを用いて、各ファイルのインポートブロックを解析し、ソートして書き換える処理を自動化します。
  3. 既存ツールの利用: goimportsのようなツールが存在すれば、それを利用して一括処理を行います。このコミットの時期を考えると、goimportsの初期バージョンか、それに類する内部ツールが使用された可能性が高いです。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットは、特定の機能を追加したりバグを修正したりするものではなく、既存のコードのフォーマットを統一するものです。そのため、「コアとなるコードの変更箇所」というよりは、「多数のファイルにおけるインポート文の並び順の変更」がその実体です。

変更されたファイルは以下の通りです(一部抜粋):

  • src/cmd/godoc/index.go
  • src/cmd/godoc/snippet.go
  • src/cmd/govet/govet.go
  • src/cmd/goyacc/goyacc.go
  • src/pkg/archive/zip/reader.go
  • src/pkg/container/heap/heap_test.go
  • src/pkg/crypto/ecdsa/ecdsa_test.go
  • ...など、合計45ファイル。

これらのファイルすべてにおいて、import (...) ブロック内のパッケージ名がアルファベット順に並べ替えられています。変更のパターンは一貫しており、インポートの追加や削除ではなく、純粋な順序の変更のみが行われています。

コアとなるコードの解説

このコミットには、特定の「コアとなるコード」という概念は当てはまりません。変更自体が、Go言語のソースコード全体にわたるインポート文のフォーマット統一という、コードベースの品質向上を目的としたものです。

各ファイルの変更は、以下のような形式で表現されます。

--- a/src/cmd/godoc/index.go
+++ b/src/cmd/godoc/index.go
@@ -43,8 +43,8 @@ import (
 	"errors"
 	"go/ast"
 	"go/parser"
-	"go/token"
 	"go/scanner"
+	"go/token"
 	"gob"
 	"index/suffixarray"
 	"io"

この差分は、src/cmd/godoc/index.goファイルにおいて、go/tokengo/scannerの行が入れ替わったことを示しています。これは、アルファベット順にソートされた結果、go/scannergo/tokenの前に来るべきであるためです。

このような変更が45のファイルで繰り返されており、Goプロジェクト全体でコードスタイルの一貫性を保つための地道ながらも重要な作業であったことが伺えます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • goimportsツールの機能に関する一般的な情報
  • Gitの差分表示の解釈に関する知識
  • Go言語におけるコードスタイルと慣習に関する一般的な知識