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[インデックス 10280] ファイルの概要

コミット

このコミットは、Go言語の標準ライブラリhtmlパッケージのドキュメントにおけるタイポ(誤字)を修正するものです。具体的には、doc.goファイル内のコメントで、StartTagと誤って記述されていた箇所をStartTagTokenに修正しています。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/46ee09eff19f85512637bc85014f78937c3b688a

元コミット内容

commit 46ee09eff19f85512637bc85014f78937c3b688a
Author: Nigel Tao <nigeltao@golang.org>
Date:   Tue Nov 8 10:09:17 2011 +1100

    html: fix typo in package docs.
    
    Fixes #2419.
    
    R=dsymonds, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5352046

変更の背景

このコミットは、Go言語のhtmlパッケージのドキュメント内に存在する軽微な誤字を修正するために行われました。コミットメッセージにあるFixes #2419から、この修正がIssue 2419に対応するものであることがわかります。

Go言語の標準ライブラリは、その品質と一貫性を非常に重視しており、ドキュメントも例外ではありません。たとえ小さなタイポであっても、それがユーザーの誤解を招いたり、コードの正確な挙動を伝える上で障害となったりする可能性があるため、このような修正は定期的に行われます。

この特定のケースでは、htmlパッケージが提供するHTMLパーサーのトークンタイプに関する説明で、正しいトークンタイプ名であるStartTagTokenが、誤ってStartTagと記述されていました。これは、ドキュメントの正確性を保ち、ユーザーがAPIを正しく理解・使用できるようにするための重要な修正です。

前提知識の解説

Go言語のhtmlパッケージ

Go言語の標準ライブラリには、HTMLを解析するためのhtmlパッケージが含まれています。このパッケージは、HTMLドキュメントをトークン(要素の開始タグ、終了タグ、テキスト、コメントなど)のストリームとして処理するための機能を提供します。

HTMLトークン

HTMLパーサーは、HTMLドキュメントを解析する際に、特定の意味を持つ小さな単位に分割します。これらを「トークン」と呼びます。htmlパッケージでは、以下のような主要なトークンタイプが定義されています。

  • StartTagToken: HTML要素の開始タグ(例: <p>, <div>)を表します。
  • EndTagToken: HTML要素の終了タグ(例: </p>, </div>)を表します。
  • TextToken: 要素間のテキストコンテンツを表します。
  • CommentToken: HTMLコメント(例: <!-- comment -->)を表します。
  • DoctypeToken: DOCTYPE宣言(例: <!DOCTYPE html>)を表します。

これらのトークンタイプは、html.TokenTypeという列挙型(またはそれに相当するもの)で定義されており、パーサーがHTMLドキュメントを読み進める際に、現在の位置がどの種類のトークンであるかを示します。

Next()メソッドとTagName()メソッド

htmlパッケージのパーサー(通常はhtml.NewTokenizerで作成されるTokenizer型)は、Next()メソッドを呼び出すことで次のトークンに進みます。Next()メソッドは、次のトークンタイプを返します。

また、開始タグや終了タグの場合、TagName()メソッドを呼び出すことで、そのタグの名前(例: a, p, div)を取得できます。

ドキュメンテーションの重要性

プログラミング言語やライブラリにおいて、ドキュメンテーションは非常に重要です。

  • APIの理解: 開発者がAPIの機能、引数、戻り値、使用例などを正確に理解するために不可欠です。
  • 誤用防止: 正確なドキュメントは、APIの誤った使用を防ぎ、バグの発生を抑制します。
  • 学習コストの削減: 初めてライブラリを使用する開発者にとって、質の高いドキュメントは学習コストを大幅に削減します。
  • メンテナンス性: 将来の変更や機能追加の際にも、既存のドキュメントが正確であれば、影響範囲の特定や新しいドキュメントの作成が容易になります。

このコミットは、まさにドキュメンテーションの正確性を保つことの重要性を示しています。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/html/doc.goファイル内のコメントを修正するものです。doc.goファイルは、Go言語のパッケージドキュメンテーションの慣習に従い、パッケージ全体の概要や使用例を記述するために使用されます。

修正された箇所は、HTMLパーサーのNext()メソッドとTagName()メソッドを使用してHTMLページからアンカーテキストを抽出する例のコードスニペット内です。

元のコードスニペットでは、トークンタイプをチェックするif文でtt == StartTagという条件が使われていました。しかし、htmlパッケージで定義されている正しいトークンタイプはStartTagTokenです。StartTagという識別子は存在せず、これは単なるタイポでした。

この修正により、ドキュメント内のコード例が、実際のAPI定義と一致するようになり、ユーザーがこの例をコピー&ペーストして使用する際に、コンパイルエラーや予期せぬ挙動に遭遇するリスクがなくなります。

Go言語のドキュメンテーションツール(go docコマンドなど)は、doc.goファイルや他のソースコード内のコメントから自動的にドキュメントを生成します。したがって、ソースコード内のコメントの正確性は、生成されるドキュメントの品質に直結します。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/html/doc.go
+++ b/src/pkg/html/doc.go
@@ -61,7 +61,7 @@ call to Next. For example, to extract an HTML page\'s anchor text:
 		case StartTagToken, EndTagToken:
 			tn, _ := z.TagName()
 			if len(tn) == 1 && tn[0] == 'a' {
-				if tt == StartTag {
+				if tt == StartTagToken {
 					depth++
 				} else {
 					depth--

コアとなるコードの解説

変更はsrc/pkg/html/doc.goファイルの64行目です。

元のコード:

				if tt == StartTag {

修正後のコード:

				if tt == StartTagToken {

この変更は、if文の条件式を修正しています。tthtml.TokenType型の変数であり、Next()メソッドが返すトークンタイプを保持しています。

元のコードでは、ttStartTagという値と等しいかどうかをチェックしようとしていました。しかし、htmlパッケージにはStartTagという定数は存在しません。正しい開始タグのトークンタイプを表す定数はStartTagTokenです。

この修正により、コード例はhtmlパッケージの実際のAPI定義と完全に一致するようになりました。これにより、ドキュメントの正確性が向上し、このコード例を参考に実装を行う開発者が正しいトークンタイプを使用できるようになります。

この修正は、機能的な変更ではなく、ドキュメンテーションの品質向上を目的としたものです。しかし、ドキュメントの誤りはユーザーの混乱や誤った実装につながる可能性があるため、このような修正は非常に重要です。

関連リンク

  • Go言語 Issue 2419: このコミットが修正したIssueのページ。通常、Go言語のIssueトラッカーはhttps://github.com/golang/go/issuesにあります。具体的なIssue 2419のリンクは、当時のGoプロジェクトのIssue管理システムに依存しますが、現在はGitHub Issuesに移行しています。
  • Gerrit Code Review (golang.org/cl/5352046): Goプロジェクトでは、かつてGerritというコードレビューシステムを使用していました。https://golang.org/cl/5352046はこのGerrit上の変更リスト(Change-List)へのリンクです。このリンクを辿ることで、このコミットがGerrit上でどのようにレビューされ、承認されたかの詳細な履歴を確認できます。

参考にした情報源リンク

  • Go言語のhtmlパッケージドキュメント: Go言語の公式ドキュメントは、各パッケージのAPIリファレンスを提供しています。このコミットの背景を理解するためには、htmlパッケージのドキュメントが最も直接的な情報源となります。
    • https://pkg.go.dev/golang.org/x/net/html (現在のhtmlパッケージはgolang.org/x/net/htmlにあります。当時の標準ライブラリのhtmlパッケージは、後にx/netリポジトリに移動しました。)
  • Go言語のドキュメンテーションに関する慣習: Go言語のソースコード内にドキュメントを記述する方法や、doc.goファイルの役割については、Goの公式ブログやドキュメントで解説されています。
  • Go言語のIssueトラッカー: Fixes #2419という記述から、Go言語のIssueトラッカーが参照されています。
  • Gerrit Code Review System: Goプロジェクトが使用していたGerritシステムに関する情報。