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コミット
コミットハッシュ: 120f3b7b9d08f05950fd57f25a48adbde877c099
作成者: David G. Andersen (dave.andersen@gmail.com)
日付: 2011年11月10日 木曜日 14:41:24 (UTC-5)
概要: math/big: SetBit()ドキュメントの誤字修正
変更規模: 1ファイル変更、1行追加、1行削除
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/120f3b7b9d08f05950fd57f25a48adbde877c099
元コミット内容
math/big: Correcting typo in SetBit() documentation
z is set to x+bit change, not z+bit change
R=golang-dev
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5374056
変更されたファイル:
src/pkg/math/big/int.go
変更内容:
-// SetBit sets the i'th bit of z to bit and returns z.
+// SetBit sets z to x, with x's i'th bit set to b (0 or 1).
変更の背景
このコミットは、Go言語の標準ライブラリmath/bigパッケージにおけるSetBitメソッドのドキュメントコメントの誤字修正です。2011年11月という早期の段階で、Goコミュニティが細部にまで気を配り、正確なドキュメントの維持に努めていた事例として注目されます。
修正された誤字は、メソッドの動作を正確に説明していない表現でした。元のドキュメントでは「i番目のビットをzに設定してzを返す」と曖昧な表現だったものが、「zをxに設定し、xのi番目のビットをb(0または1)に設定する」というより正確で理解しやすい表現に変更されました。
前提知識の解説
math/bigパッケージについて
math/bigパッケージは、Go言語の標準ライブラリの一部で、任意精度の整数演算、浮動小数点演算、有理数演算を提供します。通常のint型やfloat型では表現できない非常に大きな数値や、精度が重要な計算で使用されます。
SetBitメソッドの役割
SetBitメソッドは、大きな整数(*big.Int型)の特定のビット位置を設定するために使用されます。ビット演算は、暗号学、数値計算、アルゴリズム実装において重要な役割を果たします。
ドキュメントの重要性
Go言語では、良質なドキュメントが言語設計の重要な部分として位置づけられています。go docコマンドやgodocツールを通じて、コードのドキュメントコメントが自動的に生成されるため、正確で理解しやすいドキュメントの維持が重要です。
技術的詳細
SetBitメソッドの動作仕様
修正後のドキュメントによると、SetBitメソッドは以下の動作を行います:
-
入力パラメータ:
z: 結果を格納する*big.Intインスタンスx: 元となる*big.Intインスタンスi: 設定するビットの位置(0から始まる)b: 設定するビット値(0または1)
-
動作:
bが1の場合:z = x | (1 << i)(指定ビットを1に設定)bが0の場合:z = x &^ (1 << i)(指定ビットを0に設定)bが0でも1でもない場合: パニックを発生
-
戻り値: 変更された
zを返す
ビット演算の詳細
- OR演算 (
|): 指定位置のビットを1に設定 - AND NOT演算 (
&^): 指定位置のビットを0に設定 - 左シフト (
<<): 1をi回左シフトして、i番目のビットだけが1のマスクを作成
コアとなるコードの変更箇所
変更箇所はsrc/pkg/math/big/int.goファイルの685行目付近です:
// 変更前
// SetBit sets the i'th bit of z to bit and returns z.
// 変更後
// SetBit sets z to x, with x's i'th bit set to b (0 or 1).
実際のメソッドの実装部分(変更されていない部分):
// That is, if bit is 1 SetBit sets z = x | (1 << i);
// if bit is 0 it sets z = x &^ (1 << i). If bit is not 0 or 1,
// SetBit will panic.
コアとなるコードの解説
修正の必要性
元のドキュメントコメントには以下の問題がありました:
- 曖昧な表現: "sets the i'th bit of z to bit"という表現は、実際の動作を正確に表現していない
- パラメータの関係不明:
zとxの関係が不明確 - 動作の誤解:
zのビットを直接変更するように読めるが、実際はxをベースに新しい値をzに設定
修正後の改善点
- 明確な動作説明: "sets z to x, with x's i'th bit set to b"
- パラメータの役割明確化:
zは結果格納先、xは元データ、bは設定値 - 処理フローの明確化:
xをベースに特定ビットを変更してzに格納
実装パターンの典型性
このような"receiver pattern"は、Go言語のmath/bigパッケージ全体で一貫して使用されており、以下の利点があります:
- メモリ効率: 新しいインスタンスを作成せずに既存のインスタンスを再利用
- チェーン可能: メソッドチェーンが可能
- 一貫性: パッケージ全体で統一されたAPIパターン