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[インデックス 10383] ファイルの概要

コミット

コミットハッシュ: 39b255768265ef93496755c968647f68ddb6d985 作成者: Evan Shaw chickencha@gmail.com
日付: 2011年11月14日 11:16:06 -0800
コミットメッセージ: kate: add error and rune

このコミットは、Go言語のKateエディタ用シンタックスハイライト定義ファイルに、新しく追加された errorrune 型のサポートを追加したものです。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/39b255768265ef93496755c968647f68ddb6d985

元コミット内容

commit 39b255768265ef93496755c968647f68ddb6d985
Author: Evan Shaw <chickencha@gmail.com>
Date:   Mon Nov 14 11:16:06 2011 -0800

    kate: add error and rune
    
    R=golang-dev, gri
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5370078
---
 misc/kate/go.xml | 2 ++
 1 file changed, 2 insertions(+)

diff --git a/misc/kate/go.xml b/misc/kate/go.xml
index 14d88b26a7..1e00cfcbf5 100644
--- a/misc/kate/go.xml
+++ b/misc/kate/go.xml
@@ -47,6 +47,7 @@
       <item> byte </item>
       <item> complex64 </item>
       <item> complex128 </item>
+      <item> error </item>
       <item> float32 </item>
       <item> float64 </item>
       <item> int </item>
@@ -54,6 +55,7 @@
       <item> int16 </item>
       <item> int32 </item>
       <item> int64 </item>
+      <item> rune </item>
       <item> string </item>
       <item> uint </item>
       <item> uintptr </item>

変更の背景

このコミットが作成された2011年は、Go言語の初期バージョンが開発されており、Go 1.0リリース(2012年3月)に向けて言語仕様の標準化が進められていた時期です。

2011年当時、Go言語の開発チームは以下の重要な変更を準備していました:

  1. error型の標準化: それまでos.Errorとして定義されていたエラーハンドリングを、より中核的な built-in error インターフェースとして再設計
  2. rune型の導入: Unicode文字を明示的に表現するためのint32のエイリアスとしてrune型を導入

これらの新しい型がGo言語の仕様に追加されたことを受けて、開発ツールやエディタのシンタックスハイライトファイルも更新が必要となりました。

前提知識の解説

Kateエディタとは

KateはKDE(K Desktop Environment)プロジェクトの一部として開発されたクロスプラットフォーム対応の高機能テキストエディタです。シンタックスハイライト機能を持ち、多くのプログラミング言語をサポートしています。

Go言語のシンタックスハイライト

Go言語のシンタックスハイライトファイルは、XML形式で記述され、以下の要素を定義します:

  • keywords: 言語の予約語(if、for、func等)
  • types: 組み込み型(int、string、bool等)
  • constants: 定数(true、false、nil等)
  • comments: コメント記法
  • strings: 文字列リテラル

Go言語の開発プロセス(2011年当時)

2011年当時のGo言語の開発プロセスは以下の特徴を持っていました:

  • golang-dev メーリングリスト: 開発者間でのディスカッション
  • Gerrit: コードレビューシステム
  • CL(Change List): 変更提案の管理システム

技術的詳細

error型の技術的背景

Go 1以前では、エラーハンドリングは os.Error インターフェースを使用していました。しかし、以下の問題がありました:

  1. パッケージ配置の問題: エラーはOSレベルよりも基本的な概念であるのに、osパッケージに配置されていた
  2. 命名の問題: Stringメソッドが偶発的にerrorインターフェースを満たしてしまう可能性

Go 1では、これらの問題を解決するために built-in error インターフェースが導入されました:

type error interface {
    Error() string
}

rune型の技術的背景

rune型は、Unicode文字を表現するためのint32のエイリアスです:

type rune = int32

導入の理由:

  • Unicode対応: ASCII以外の文字を適切に扱うため
  • コードの明確性: 整数値がUnicodeコードポイントを表すことを明示
  • 型安全性: 文字とバイトの区別を明確化

XMLシンタックス定義の構造

Kateのシンタックスハイライトファイルは、XMLベースの定義ファイルで、以下の構造を持ちます:

<language name="Go" version="2" kateversion="5.0">
  <highlighting>
    <list name="types">
      <item>byte</item>
      <item>complex64</item>
      <item>complex128</item>
      <item>error</item>      <!-- 新規追加 -->
      <item>float32</item>
      <item>float64</item>
      <item>int</item>
      <item>int8</item>
      <item>int16</item>
      <item>int32</item>
      <item>int64</item>
      <item>rune</item>       <!-- 新規追加 -->
      <item>string</item>
      <item>uint</item>
      <item>uintptr</item>
    </list>
  </highlighting>
</language>

コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、misc/kate/go.xmlファイルの型定義リストに2つの項目が追加されました:

  1. 27行目: <item> error </item> の追加
  2. 30行目: <item> rune </item> の追加

変更箇所は極めてシンプルで、既存の型定義リストに新しい型を適切な位置(アルファベット順)に挿入しただけです。

コアとなるコードの解説

変更の詳細分析

追加された error 型:

<item> error </item>

この行は、Go言語の新しい組み込みerror型をKateエディタで認識できるようにします。これにより、Go言語のソースコードで error と記述した際に、他の組み込み型と同様にシンタックスハイライトが適用されます。

追加された rune 型:

<item> rune </item>

この行は、Unicode文字を表現するrune型をKateエディタで認識できるようにします。rune型は int32 のエイリアスですが、意味的に異なる概念として扱われるため、独立した型として定義されています。

配置の考慮

両方の型は、アルファベット順に適切な位置に配置されています:

  • errorcomplex128float32 の間
  • runeint64string の間

この配置により、型定義リストの可読性と保守性が保たれています。

影響範囲

このシンプルな変更により、以下の恩恵を受けることができます:

  1. 開発者体験の向上: Go言語の最新の型定義に対応したシンタックスハイライト
  2. コードの可読性向上: 新しい型が適切にハイライトされることで、コードの構造が理解しやすくなる
  3. 言語仕様との整合性: Go言語の進化に合わせたツールサポート

関連リンク

参考にした情報源リンク