[インデックス 10411] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリ内のnet
パッケージとsyscall
パッケージの一部のファイルに、不足していた著作権表示を追加するものです。具体的には、src/pkg/net/pipe.go
、src/pkg/syscall/zerrors_plan9_386.go
、およびsrc/pkg/syscall/ztypes_windows.go
の3つのファイルに、Go AuthorsによるBSDスタイルのライセンス条項への参照を含むコメントヘッダーが追加されました。これは、プロジェクト全体のライセンスの一貫性と法的遵守を確保するためのメンテナンス作業の一環です。
コミット
net, syscall: add missing copyright notices
R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5375099
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/471e43cf00ebafa5f9763a7093bb20a9ceea35ae
元コミット内容
このコミットは、Go言語のネットワーク関連パッケージ(net
)とシステムコール関連パッケージ(syscall
)内の特定のソースファイルに、不足していた著作権表示を追加することを目的としています。これにより、Goプロジェクトのコードベース全体でライセンス情報が統一され、法的要件が満たされるようになります。
変更の背景
オープンソースプロジェクトにおいて、著作権表示とライセンス情報の明記は極めて重要です。これは、ソフトウェアの利用、配布、改変に関する法的条件を明確にし、開発者と利用者の双方を保護するためです。Go言語プロジェクトはBSDスタイルのライセンスを採用しており、そのライセンス条項は通常、各ソースファイルの冒頭に記載されることが慣例となっています。
このコミットが行われた背景には、おそらく以下のいずれかの理由が考えられます。
- 初期開発時の見落とし: ファイルが最初に作成された際に、何らかの理由で著作権ヘッダーの追加が見落とされた。
- コードの移動またはリファクタリング: コードが別の場所から移動されたり、リファクタリングされたりする過程で、著作権ヘッダーが誤って削除されたか、新しいファイルに引き継がれなかった。
- ライセンス遵守の監査: 定期的なコードベースの監査やレビューの中で、これらのファイルに著作権表示が不足していることが発見された。
いずれのケースにせよ、この変更はGoプロジェクトの法的健全性と透明性を維持するための標準的な運用手順の一環として実施されました。
前提知識の解説
著作権表示 (Copyright Notice)
著作権表示は、作品の著作権が誰に帰属するかを示す法的な声明です。通常、「Copyright © [年] [著作権者名]. All rights reserved.」のような形式で記述されます。オープンソースソフトウェアにおいては、著作権表示に加えて、そのソフトウェアがどのようなライセンスの下で利用可能であるかを示すライセンス条項への参照が含まれることが一般的です。
BSDライセンス (Berkeley Software Distribution License)
BSDライセンスは、非常に寛容な(パーミッシブな)オープンソースライセンスの一つです。主な特徴は以下の通りです。
- 自由な利用、改変、配布: ソースコードおよびバイナリ形式での利用、改変、再配布が許可されます。
- 商用利用の許可: 商用製品に組み込むことも可能です。
- 著作権表示の保持: 再配布の際に、元の著作権表示とライセンス条項を保持することが義務付けられています。
- 無保証: ソフトウェアは現状有姿で提供され、いかなる保証もありません。
Go言語は、このBSDスタイルのライセンスを採用しており、そのライセンスファイル(通常はプロジェクトルートのLICENSE
ファイル)に詳細が記載されています。各ソースファイルに記載される著作権ヘッダーは、このLICENSE
ファイルへの参照を促す役割を果たします。
Go言語のnet
パッケージとsyscall
パッケージ
net
パッケージ: Go言語の標準ライブラリの一部であり、ネットワークI/O機能を提供します。TCP/IP、UDP、Unixドメインソケットなどのネットワークプロトコルを扱うためのインターフェースが含まれています。pipe.go
ファイルは、おそらく内部的なパイプ通信に関連する機能を提供していると考えられます。syscall
パッケージ: オペレーティングシステムが提供する低レベルのシステムコールへのインターフェースを提供します。これにより、GoプログラムからOS固有の機能(ファイル操作、プロセス管理、ネットワーク設定など)を直接呼び出すことが可能になります。zerrors_plan9_386.go
とztypes_windows.go
は、それぞれPlan 9 (386アーキテクチャ) およびWindowsオペレーティングシステムに特化したエラーコードやデータ型定義を含んでいると推測されます。これらのファイルは、Goが様々なプラットフォームをサポートするために必要となる、OS固有の定数や構造体を自動生成するプロセスの一部である可能性が高いです。
技術的詳細
このコミットの技術的な変更は非常にシンプルで、指定された3つのGoソースファイルの冒頭に、Go言語のコメント形式で著作権表示を追加することです。
追加された著作権表示の形式は以下の通りです。
// Copyright [年] The Go Authors. All rights reserved.
// Use of this source code is governed by a BSD-style
// license that can be found in the LICENSE file.
//
: Go言語における単一行コメントの開始を示します。Copyright [年] The Go Authors. All rights reserved.
: 著作権の所有者が「The Go Authors」であり、すべての権利が留保されていることを示します。[年]
は、そのファイルが最初に作成された、または大幅に貢献された年を示します。src/pkg/net/pipe.go
には2010
年が、src/pkg/syscall/zerrors_plan9_386.go
とsrc/pkg/syscall/ztypes_windows.go
には2011
年が指定されています。これは、それぞれのファイルがGoプロジェクトに導入された時期を反映していると考えられます。
Use of this source code is governed by a BSD-style
: このソースコードがBSDスタイルのライセンスによって管理されていることを明示します。license that can be found in the LICENSE file.
: 実際のライセンス条項は、プロジェクトのルートディレクトリにあるLICENSE
ファイルに記載されていることを示唆しています。これにより、コードを閲覧する開発者や利用者は、詳細なライセンス情報を容易に参照できます。
この変更は、コードの機能には一切影響を与えません。純粋にメタデータとしての情報追加であり、法的遵守とプロジェクトの標準化を目的としています。
コアとなるコードの変更箇所
以下の3つのファイルに著作権表示が追加されました。
-
src/pkg/net/pipe.go
--- a/src/pkg/net/pipe.go +++ b/src/pkg/net/pipe.go @@ -1,3 +1,7 @@ +// Copyright 2010 The Go Authors. All rights reserved. +// Use of this source code is governed by a BSD-style +// license that can be found in the LICENSE file. + package net import (
-
src/pkg/syscall/zerrors_plan9_386.go
--- a/src/pkg/syscall/zerrors_plan9_386.go +++ b/src/pkg/syscall/zerrors_plan9_386.go @@ -1,3 +1,7 @@ +// Copyright 2011 The Go Authors. All rights reserved. +// Use of this source code is governed by a BSD-style +// license that can be found in the LICENSE file. + package syscall // Constants
-
src/pkg/syscall/ztypes_windows.go
--- a/src/pkg/syscall/ztypes_windows.go +++ b/src/pkg/syscall/ztypes_windows.go @@ -1,3 +1,7 @@ +// Copyright 2011 The Go Authors. All rights reserved. +// Use of this source code is governed by a BSD-style +// license that can be found in the LICENSE file. + package syscall const (
コアとなるコードの解説
各ファイルの変更は、ファイルの先頭に4行のコメントを追加するものです。
src/pkg/net/pipe.go
には、2010
年の著作権表示が追加されました。これは、このファイルがGoプロジェクトに導入された、またはその内容が大きく形成されたのが2010年であることを示唆しています。src/pkg/syscall/zerrors_plan9_386.go
とsrc/pkg/syscall/ztypes_windows.go
には、2011
年の著作権表示が追加されました。同様に、これらのファイルが2011年にGoプロジェクトに組み込まれたか、その内容が確定したことを示しています。
これらのコメントは、Goコンパイラによって無視されるため、プログラムの実行には何の影響も与えません。しかし、ソースコードを閲覧する人間にとっては、そのコードの法的帰属と利用条件を理解するための重要な情報となります。特に、オープンソースプロジェクトでは、このようなライセンスヘッダーが、コードの再利用や派生プロジェクトの作成を検討する際に、法的リスクを評価するための第一歩となります。
関連リンク
- Go Code Review (Gerrit) の変更リスト: https://golang.org/cl/5375099
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ウェブサイト: https://golang.org/
- BSDライセンスに関する情報 (例: Wikipedia): https://ja.wikipedia.org/wiki/BSD%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B9
- オープンソースライセンスに関する一般的な情報 (例: Open Source Initiative): https://opensource.org/licenses/