[インデックス 10524] ファイルの概要
このドキュメントは、Go言語の標準ライブラリbytes
パッケージにおけるテスト出力の修正に関するコミット(インデックス10524)について、その詳細な技術解説を提供します。
コミット
- コミットハッシュ:
7600281bda2611d4a832a0b0bff6ef2e5dfb0abd
- 作者: Christopher Wedgwood cw@f00f.org
- コミット日時: Mon Nov 28 09:50:51 2011 -0800
- コミットメッセージ:
bytes: fix test output
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/7600281bda2611d4a832a0b0bff6ef2e5dfb0abd
元コミット内容
bytes: fix test output
R=rsc, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5441048
変更の背景
このコミットは、Go言語の標準ライブラリbytes
パッケージ内のテストファイルbytes_test.go
における、テスト失敗時の出力方法の修正を目的としています。具体的には、TestTrim
関数内で未定義のトリム関数が検出された際にエラーを報告する箇所で、t.Error
からt.Errorf
への変更が行われました。
t.Error
とt.Errorf
はどちらもテストの失敗を報告する関数ですが、t.Errorf
はfmt.Sprintf
と同様のフォーマット文字列と引数を受け取ることができ、より詳細で整形されたエラーメッセージを出力するのに適しています。元のコードでは、エラーメッセージに変数(name
)を埋め込むためにfmt.Sprintf
のような書式指定子(%s
)が使われていましたが、t.Error
はフォーマット文字列を直接解釈しないため、意図したメッセージが出力されませんでした。このコミットは、このテスト出力の不具合を修正し、より分かりやすいエラーメッセージが生成されるようにするためのものです。
前提知識の解説
Go言語のtesting
パッケージ
Go言語には、ユニットテストを記述するための標準パッケージtesting
が用意されています。このパッケージは、テスト関数、ベンチマーク関数、およびファジングテスト関数をサポートします。
- テスト関数:
func TestXxx(t *testing.T)
というシグネチャを持つ関数で、Xxx
は英大文字で始まる必要があります。t *testing.T
はテストの状態を管理し、テストの失敗を報告するためのメソッドを提供します。 *testing.T
のメソッド:t.Error(args ...interface{})
: テストを失敗としてマークし、引数をデフォルトのフォーマットでログに出力します。テストの実行は継続されます。t.Errorf(format string, args ...interface{})
: テストを失敗としてマークし、fmt.Sprintf
と同様のフォーマット文字列と引数を使用してログに出力します。テストの実行は継続されます。t.Fatal(args ...interface{})
:t.Error
と同様にログに出力しますが、現在のテスト関数を即座に停止します。t.Fatalf(format string, args ...interface{})
:t.Errorf
と同様にログに出力し、現在のテスト関数を即座に停止します。
フォーマット文字列
Go言語のfmt
パッケージ(およびtesting
パッケージのErrorf
/Fatalf
)では、C言語のprintf
関数に似たフォーマット文字列を使用します。
%s
: 文字列の値をフォーマットします。%d
: 10進数の整数値をフォーマットします。%v
: 値をデフォルトのフォーマットでフォーマットします。%T
: 値の型をフォーマットします。
技術的詳細
このコミットの技術的な核心は、Goのtesting
パッケージにおけるt.Error
とt.Errorf
の使い分けにあります。
元のコードでは、以下の行がありました。
t.Error("Undefined trim function %s", name)
ここで開発者が意図したのは、「Undefined trim function [関数名]」という形式のエラーメッセージを出力することでした。しかし、t.Error
は可変引数を受け取りますが、それらをfmt.Sprintf
のようにフォーマット文字列として解釈するわけではありません。t.Error
は単に与えられた引数をスペースで区切って出力するだけです。したがって、この行は以下のような出力になっていました。
Undefined trim function %s name_of_function
これは、%s
がリテラル文字列として扱われ、name
変数の値がその後に続くという、意図しない結果です。
一方、t.Errorf
は第一引数をフォーマット文字列として解釈し、それに続く引数をそのフォーマットに従って整形します。
t.Errorf("Undefined trim function %s", name)
この変更により、%s
はname
変数の値に置き換えられ、期待通りのエラーメッセージが出力されるようになります。
Undefined trim function actual_function_name
この修正は、テストの可読性とデバッグのしやすさを向上させる上で重要です。テストが失敗した際に、何が問題であったかを正確かつ分かりやすく伝えることは、開発プロセスにおいて非常に価値があります。
コアとなるコードの変更箇所
変更はsrc/pkg/bytes/bytes_test.go
ファイルの一箇所のみです。
--- a/src/pkg/bytes/bytes_test.go
+++ b/src/pkg/bytes/bytes_test.go
@@ -702,7 +702,7 @@ func TestTrim(t *testing.T) {
case "TrimRight":
f = TrimRight
default:
- t.Error("Undefined trim function %s", name)
+ t.Errorf("Undefined trim function %s", name)
}
actual := string(f([]byte(tc.in), tc.cutset))
if actual != tc.out {
コアとなるコードの解説
変更されたコードは、bytes
パッケージのTestTrim
関数内にあります。このテスト関数は、bytes.Trim
, bytes.TrimLeft
, bytes.TrimRight
といったトリム関数が正しく動作するかを検証するためのものです。
コードスニペットの該当部分は、switch
文のdefault
ケースに当たります。これは、テストケースで指定されたトリム関数の名前(name
変数)が、"Trim"
, "TrimLeft"
, "TrimRight"
のいずれでもなかった場合に実行されます。
元のコードでは、未定義の関数名が渡された場合にt.Error
を使用してエラーを報告していました。
t.Error("Undefined trim function %s", name)
この行は、前述の通り、%s
がリテラルとして扱われ、name
変数の値がその後に続くという、意図しない出力になっていました。
コミットによって、この行は以下のように変更されました。
t.Errorf("Undefined trim function %s", name)
この変更により、t.Errorf
がfmt.Sprintf
と同様にフォーマット文字列を解釈し、%s
がname
変数の実際の値に置き換えられるようになりました。これにより、テストが失敗した際に、どのトリム関数が未定義であったかを正確に伝える、整形されたエラーメッセージが出力されるようになります。
例えば、name
が"UnknownTrim"
であった場合、変更前はUndefined trim function %s UnknownTrim
と出力されていたものが、変更後はUndefined trim function UnknownTrim
と出力されるようになります。これは、テストのデバッグにおいて非常に有用な改善です。
関連リンク
- Go Gerrit Change-ID: https://golang.org/cl/5441048
参考にした情報源リンク
- Go言語
testing
パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/testing - Go言語
fmt
パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/fmt - Go言語のテストに関する公式ブログ記事やチュートリアル (一般的な情報源として)# [インデックス 10524] ファイルの概要
このドキュメントは、Go言語の標準ライブラリbytes
パッケージにおけるテスト出力の修正に関するコミット(インデックス10524)について、その詳細な技術解説を提供します。
コミット
- コミットハッシュ:
7600281bda2611d4a832a0b0bff6ef2e5dfb0abd
- 作者: Christopher Wedgwood cw@f00f.org
- コミット日時: Mon Nov 28 09:50:51 2011 -0800
- コミットメッセージ:
bytes: fix test output
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/7600281bda2611d4a832a0b0bff6ef2e5dfb0abd
元コミット内容
bytes: fix test output
R=rsc, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5441048
変更の背景
このコミットは、Go言語の標準ライブラリbytes
パッケージ内のテストファイルbytes_test.go
における、テスト失敗時の出力方法の修正を目的としています。具体的には、TestTrim
関数内で未定義のトリム関数が検出された際にエラーを報告する箇所で、t.Error
からt.Errorf
への変更が行われました。
t.Error
とt.Errorf
はどちらもテストの失敗を報告する関数ですが、t.Errorf
はfmt.Sprintf
と同様のフォーマット文字列と引数を受け取ることができ、より詳細で整形されたエラーメッセージを出力するのに適しています。元のコードでは、エラーメッセージに変数(name
)を埋め込むためにfmt.Sprintf
のような書式指定子(%s
)が使われていましたが、t.Error
はフォーマット文字列を直接解釈しないため、意図したメッセージが出力されませんでした。このコミットは、このテスト出力の不具合を修正し、より分かりやすいエラーメッセージが生成されるようにするためのものです。
前提知識の解説
Go言語のtesting
パッケージ
Go言語には、ユニットテストを記述するための標準パッケージtesting
が用意されています。このパッケージは、テスト関数、ベンチマーク関数、およびファジングテスト関数をサポートします。
- テスト関数:
func TestXxx(t *testing.T)
というシグネチャを持つ関数で、Xxx
は英大文字で始まる必要があります。t *testing.T
はテストの状態を管理し、テストの失敗を報告するためのメソッドを提供します。 *testing.T
のメソッド:t.Error(args ...interface{})
: テストを失敗としてマークし、引数をデフォルトのフォーマットでログに出力します。テストの実行は継続されます。t.Errorf(format string, args ...interface{})
: テストを失敗としてマークし、fmt.Sprintf
と同様のフォーマット文字列と引数を使用してログに出力します。テストの実行は継続されます。t.Fatal(args ...interface{})
:t.Error
と同様にログに出力しますが、現在のテスト関数を即座に停止します。t.Fatalf(format string, args ...interface{})
:t.Errorf
と同様にログに出力し、現在のテスト関数を即座に停止します。
フォーマット文字列
Go言語のfmt
パッケージ(およびtesting
パッケージのErrorf
/Fatalf
)では、C言語のprintf
関数に似たフォーマット文字列を使用します。
%s
: 文字列の値をフォーマットします。%d
: 10進数の整数値をフォーマットします。%v
: 値をデフォルトのフォーマットでフォーマットします。%T
: 値の型をフォーマットします。
技術的詳細
このコミットの技術的な核心は、Goのtesting
パッケージにおけるt.Error
とt.Errorf
の使い分けにあります。
元のコードでは、以下の行がありました。
t.Error("Undefined trim function %s", name)
ここで開発者が意図したのは、「Undefined trim function [関数名]」という形式のエラーメッセージを出力することでした。しかし、t.Error
は可変引数を受け取りますが、それらをfmt.Sprintf
のようにフォーマット文字列として解釈するわけではありません。t.Error
は単に与えられた引数をスペースで区切って出力するだけです。したがって、この行は以下のような出力になっていました。
Undefined trim function %s name_of_function
これは、%s
がリテラル文字列として扱われ、name
変数の値がその後に続くという、意図しない結果です。
一方、t.Errorf
は第一引数をフォーマット文字列として解釈し、それに続く引数をそのフォーマットに従って整形します。
t.Errorf("Undefined trim function %s", name)
この変更により、%s
はname
変数の値に置き換えられ、期待通りのエラーメッセージが出力されるようになります。
Undefined trim function actual_function_name
この修正は、テストの可読性とデバッグのしやすさを向上させる上で重要です。テストが失敗した際に、何が問題であったかを正確かつ分かりやすく伝えることは、開発プロセスにおいて非常に価値があります。
コアとなるコードの変更箇所
変更はsrc/pkg/bytes/bytes_test.go
ファイルの一箇所のみです。
--- a/src/pkg/bytes/bytes_test.go
+++ b/src/pkg/bytes/bytes_test.go
@@ -702,7 +702,7 @@ func TestTrim(t *testing.T) {
case "TrimRight":
f = TrimRight
default:
- t.Error("Undefined trim function %s", name)
+ t.Errorf("Undefined trim function %s", name)
}
actual := string(f([]byte(tc.in), tc.cutset))
if actual != tc.out {
コアとなるコードの解説
変更されたコードは、bytes
パッケージのTestTrim
関数内にあります。このテスト関数は、bytes.Trim
, bytes.TrimLeft
, bytes.TrimRight
といったトリム関数が正しく動作するかを検証するためのものです。
コードスニペットの該当部分は、switch
文のdefault
ケースに当たります。これは、テストケースで指定されたトリム関数の名前(name
変数)が、"Trim"
, "TrimLeft"
, "TrimRight"
のいずれでもなかった場合に実行されます。
元のコードでは、未定義の関数名が渡された場合にt.Error
を使用してエラーを報告していました。
t.Error("Undefined trim function %s", name)
この行は、前述の通り、%s
がリテラルとして扱われ、name
変数の値がその後に続くという、意図しない出力になっていました。
コミットによって、この行は以下のように変更されました。
t.Errorf("Undefined trim function %s", name)
この変更により、t.Errorf
がfmt.Sprintf
と同様にフォーマット文字列を解釈し、%s
がname
変数の実際の値に置き換えられるようになりました。これにより、テストが失敗した際に、どのトリム関数が未定義であったかを正確に伝える、整形されたエラーメッセージが出力されるようになります。
例えば、name
が"UnknownTrim"
であった場合、変更前はUndefined trim function %s UnknownTrim
と出力されていたものが、変更後はUndefined trim function UnknownTrim
と出力されるようになります。これは、テストのデバッグにおいて非常に有用な改善です。
関連リンク
- Go Gerrit Change-ID: https://golang.org/cl/5441048
参考にした情報源リンク
- Go言語
testing
パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/testing - Go言語
fmt
パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/fmt - Go言語のテストに関する公式ブログ記事やチュートリアル (一般的な情報源として)