[インデックス 10637] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の週次リリースノート(doc/devel/weekly.html
)における誤字を修正し、同時にMercurialのタグファイル(.hgtags
)から古いエントリを削除するものです。主な目的は、ドキュメントの正確性を向上させ、バージョン管理システムのメタデータを整理することにあります。
コミット
commit 8d1da1c66ad9e2d9bf6028e7dfff5d1f2151d494
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Wed Dec 7 13:33:59 2011 +1100
doc: fix weekly.2011-12-06 release notes typo
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5453072
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/8d1da1c66ad9e2d9bf6028e7dfff5d1f2151d494
元コミット内容
このコミットの元のメッセージは「doc: fix weekly.2011-12-06 release notes typo」であり、2011年12月6日付けの週次リリースノートのドキュメントにおける誤字を修正したことを示しています。また、Mercurialの変更セットリンク(https://golang.org/cl/5453072
)も含まれており、これはGoプロジェクトが当時Mercurialを使用していたことを示唆しています。
変更の背景
このコミットは主に2つの側面で変更を行っています。
- ドキュメントの誤字修正:
doc/devel/weekly.html
ファイル内のGo言語の型推論に関する説明に誤字がありました。具体的には、複合リテラルにおけるポインタの型推論の例で、&T{}
が&T{}
とHTMLエンティティとして誤って記述されていました。これはブラウザで表示された際に正しくレンダリングされないか、誤解を招く可能性がありました。ドキュメントの正確性と可読性を保つために修正が必要でした。 - .hgtagsファイルの整理:
.hgtags
ファイルはMercurialバージョン管理システムで使用されるタグ定義ファイルです。GoプロジェクトはかつてMercurialを使用していましたが、後にGitに移行しました。このファイルには、過去のリリースや重要なコミットに付けられたタグが記録されています。このコミットでは、おそらく不要になったか、Gitへの移行に伴い重複したMercurialタグのエントリを削除することで、リポジトリのメタデータをクリーンアップしています。
これらの変更は、Goプロジェクトのドキュメント品質の維持と、バージョン管理システムの健全性を保つための定期的なメンテナンスの一環として行われました。
前提知識の解説
Go言語の複合リテラルにおける型推論 (Type Elision in Go Composite Literals)
Go言語では、複合リテラル(struct
、array
、slice
、map
などの複合型を初期化するための構文)を使用する際に、型の記述を省略できる「型推論(Type Elision)」の機能があります。これは、コンパイラが文脈から型を推論できる場合に適用されます。
例えば、以下のようなPoint
構造体があるとします。
type Point struct {
X, Y int
}
通常、Point
型の変数を初期化するには以下のように記述します。
p := Point{X: 10, Y: 20}
しかし、もしPoint
型のフィールドを持つ別の構造体Circle
がある場合:
type Circle struct {
Center Point
Radius int
}
Circle
を初期化する際に、Center
フィールドのPoint
型は文脈から推論できるため、以下のように型を省略して記述できます。
c := Circle{
Center: {X: 5, Y: 5}, // ここでPointの型名を省略
Radius: 10,
}
このコミットで修正された箇所は、この型推論がポインタを含む複合リテラルにも拡張されたことを説明する部分でした。具体的には、[]&T{}
のようなスライスが[]*T{}
と書けるようになったという説明です。
Mercurialと.hgtagsファイル
Mercurial: Mercurialは、Gitと同様に分散型バージョン管理システム(DVCS)の一つです。Go言語プロジェクトは、初期にはMercurialを使用してソースコードを管理していました。Mercurialは、リポジトリの履歴を管理し、複数の開発者間でのコードの共有と統合を容易にします。
.hgtagsファイル: Mercurialでは、リポジトリ全体に適用されるグローバルなタグを管理するために.hgtags
というファイルを使用します。このファイルはリポジトリのルートディレクトリに配置され、バージョン管理の対象となります。.hgtags
ファイルには、特定のコミット(チェンジセット)ハッシュとそれに対応するタグ名が記述されます。これにより、開発者は特定のリリースバージョンや重要な時点に簡単にアクセスできるようになります。
Goプロジェクトは2014年後半にMercurialからGitへ移行しました。そのため、このコミットが行われた2011年時点ではMercurialが使用されており、.hgtags
ファイルも存在していました。Gitへの移行後、.hgtags
ファイルは不要となり、Goリポジトリから削除されました。このコミットは、その移行以前のMercurial運用中に、不要になったタグエントリを削除するメンテナンス作業の一環と考えられます。
技術的詳細
このコミットは、Go言語のソースコードリポジトリ内の2つのファイルを変更しています。
.hgtags
: このファイルはMercurialのタグ定義ファイルです。コミットでは、weekly.2011-12-06
とweekly
という2つのタグに関連するエントリが削除されています。これは、これらのタグがもはや必要ないか、または何らかの理由で重複していたためと考えられます。Mercurialのタグは、特定のコミットハッシュ(この場合は79599eec5285da7ea8be43e1243bcd106ba0760e
)に名前を関連付けます。doc/devel/weekly.html
: このファイルはGo言語の週次開発レポート(リリースノートのようなもの)のHTMLドキュメントです。変更は、Go言語の複合リテラルにおける型推論の拡張に関する説明部分にあります。- 元のコードでは、
var t = []&T{&T{}, &T{}}
というGoコードの例が、HTML内で&T{}
が&T{}
と誤ってHTMLエンティティとしてエスケープされていました。 - 修正では、この
&
が正しい&
に修正されています。 - 同様に、
var t = []&T{{}, {}}
という簡略化されたコードの例も、&
が&
に修正されています。
- 元のコードでは、
この修正により、ドキュメントがブラウザで正しく表示され、Goコードの例が正確に表現されるようになります。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -97,5 +97,3 @@ f4397ad6e87c7ce5feac9b01686f1ebd6cbaac4e weekly.2011-11-08
b4a91b6933748db1a7150c06a1b55ad506e52906 weekly.2011-11-18
80db2da6495a20ddff8305c236825811db8c8665 weekly.2011-12-01
0beb796b4ef8747af601ed5ea6766d5b1340086b weekly.2011-12-02
-79599eec5285da7ea8be43e1243bcd106ba0760e weekly.2011-12-06
-79599eec5285da7ea8be43e1243bcd106ba0760e weekly
diff --git a/doc/devel/weekly.html b/doc/devel/weekly.html
index 1847ab9151..783a182542 100644
--- a/doc/devel/weekly.html
+++ b/doc/devel/weekly.html
@@ -23,9 +23,9 @@ The language change is backwards-compatible.\n
Type elision in arrays, slices, or maps of composite literals has been
extended to include pointers to composite literals. Code like this
-\tvar t = []&T{&T{}, &T{}}\n
+\tvar t = []*T{&T{}, &T{}}\n
may now be written as
-\tvar t = []&T{{}, {}}\n
+\tvar t = []*T{{}, {}}\n
You can use gofmt -s to simplify such code.\n
The strconv package has been given a more idiomatic and efficient interface.\n
コアとなるコードの解説
.hgtags
ファイルの変更
--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -97,5 +97,3 @@ f4397ad6e87c7ce5feac9b01686f1ebd6cbaac4e weekly.2011-11-08
b4a91b6933748db1a7150c06a1b55ad506e52906 weekly.2011-11-18
80db2da6495a20ddff8305c236825811db8c8665 weekly.2011-12-01
0beb796b4ef8747af601ed5ea6766d5b1340086b weekly.2011-12-02
-79599eec5285da7ea8be43e1243bcd106ba0760e weekly.2011-12-06
-79599eec5285da7ea8be43e1243bcd106ba0760e weekly
この差分は、.hgtags
ファイルから2行が削除されたことを示しています。
-79599eec5285da7ea8be43e1243bcd106ba0760e weekly.2011-12-06
: コミットハッシュ79599eec5285da7ea8be43e1243bcd106ba0760e
に関連付けられたweekly.2011-12-06
というタグが削除されました。-79599eec5285da7ea8be43e1243bcd106ba0760e weekly
: 同じコミットハッシュに関連付けられたweekly
というタグも削除されました。
これは、Mercurialのタグ管理におけるクリーンアップ作業であり、これらのタグがもはや必要ないか、またはGitへの移行準備の一環として行われた可能性があります。
doc/devel/weekly.html
ファイルの変更
--- a/doc/devel/weekly.html
+++ b/doc/devel/weekly.html
@@ -23,9 +23,9 @@ The language change is backwards-compatible.\n
Type elision in arrays, slices, or maps of composite literals has been
extended to include pointers to composite literals. Code like this
-\tvar t = []&T{&T{}, &T{}}\n
+\tvar t = []*T{&T{}, &T{}}\n
may now be written as
-\tvar t = []&T{{}, {}}\n
+\tvar t = []*T{{}, {}}\n
You can use gofmt -s to simplify such code.\n
The strconv package has been given a more idiomatic and efficient interface.\n
この差分は、HTMLドキュメント内のGoコードの例における誤字修正を示しています。
- var t = []&T{&T{}, &T{}}\n
: 削除された行。元のHTMLでは、Goコードの&T{}
が誤って&T{}
とHTMLエンティティとして記述されていました。+ var t = []*T{&T{}, &T{}}\n
: 追加された行。[]&T
が[]*T
に修正され、さらに&T{}
が&T{}
と誤ってエスケープされていた部分が修正されています。これは、HTMLの文脈で&
を正しく表示するために&
とエスケープする必要があるためです。しかし、Goコードの例としては&T{}
が正しい表現であり、HTMLエンティティとしてエスケープされるべきではありませんでした。この修正は、Goコードの例を正しく表示するためのものです。- var t = []&T{{}, {}}\n
: 削除された行。同様に、簡略化されたGoコードの例でも&T
が誤って記述されていました。+ var t = []*T{{}, {}}\n
: 追加された行。[]&T
が[]*T
に修正され、簡略化されたGoコードの例が正しく表示されるように修正されています。
この修正により、Go言語の複合リテラルにおけるポインタの型推論に関する説明が、HTMLドキュメント上で正確に表示されるようになります。
関連リンク
- Go言語の複合リテラル: https://go.dev/tour/moretypes/6 (Go言語の公式チュートリアルにおける複合リテラルの説明)
- Mercurial: https://www.mercurial-scm.org/ (Mercurialの公式サイト)
参考にした情報源リンク
- Web search results for "Go language type elision composite literals"
- Web search results for ".hgtags golang"
- Go言語の公式ドキュメントおよびソースコード (コミット内容から推測)
- Mercurialのドキュメント (
.hgtags
ファイルの役割について)