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[インデックス 10678] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式仕様書である doc/go_spec.html ファイルに対する変更です。このファイルは、Go言語の構文、セマンティクス、組み込み関数、型システムなど、言語のあらゆる側面を詳細に記述したHTMLドキュメントです。開発者やコンパイラ実装者がGo言語の正確な挙動を理解するための主要な参照元となります。

コミット

このコミットは、Go言語の仕様書 doc/go_spec.html 内の2箇所の軽微なタイポ(誤字)を修正するものです。具体的には、complex 型の定数に関する例のコメントと、runtime.Errorerror インターフェースを満たすことに関する記述の改行位置が修正されています。これらはコードの動作に影響を与えるものではなく、ドキュメントの正確性と可読性を向上させるための変更です。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/9a358df947580c585f5596d89a2ab2be22fea018

元コミット内容

commit 9a358df947580c585f5596d89a2ab2be22fea018
Author: Charles L. Dorian <cldorian@gmail.com>
Date:   Thu Dec 8 22:27:14 2011 -0500

    spec: fix typo in example comment
    
    R=rsc, golang-dev
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5475046

変更の背景

この変更の背景は、Go言語の公式仕様書における誤字の修正です。仕様書は言語の「真実の源」であり、その内容は正確かつ明確である必要があります。たとえコメントや文章の軽微な誤りであっても、読者の誤解を招いたり、プロフェッショナルな印象を損ねたりする可能性があります。

このコミットは、以下の2つの具体的なタイポを修正しています。

  1. complex 定数の例におけるコメントの修正: complex(0, c) の例で、コメント内の変数名が と誤って記述されていたのを、正しい変数名 ic に修正しています。これは、コード例とその説明の一貫性を保つための修正です。
  2. runtime.Errorerror インターフェースに関する記述の改行修正: That type satisfies the predeclared interface type error. という文が、不自然な位置で改行されていたのを修正し、より自然な読みにしています。これは、HTMLドキュメントの整形に関する修正であり、視覚的な可読性を向上させます。

これらの修正は、Go言語の仕様書全体の品質と正確性を維持するための、継続的な改善活動の一環として行われました。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語に関する基本的な概念を理解していると役立ちます。

Go言語の仕様書 (Go Language Specification)

Go言語の仕様書は、Go言語の公式な定義です。Go言語のすべての機能、構文、セマンティクスが詳細に記述されており、Goコンパイラの実装やGoプログラムの挙動を理解するための最も権威ある情報源です。開発者は、言語の特定の挙動について疑問が生じた際に、この仕様書を参照します。

complex 型と複素数定数

Go言語には、複素数を扱うための組み込み型 complex64 (float32の虚数部と実数部) と complex128 (float64の虚数部と実数部) があります。 complex 組み込み関数は、実数部と虚数部から複素数を作成するために使用されます。例えば、complex(realPart, imagPart) のように使います。 「untyped complex constant」(型なし複素数定数)とは、Goの型推論システムにおいて、具体的な complex64complex128 の型がまだ割り当てられていない複素数リテラルや定数のことを指します。これにより、より柔軟な数値演算が可能になります。

panicrecover

Go言語には、プログラムの異常終了を扱うための panicrecover というメカニズムがあります。

  • panic: プログラムの実行を即座に停止させ、現在のゴルーチン(軽量スレッド)のスタックを巻き戻す(unwind)機能です。通常、回復不可能なエラーやプログラマの論理的な誤り(例: 配列の範囲外アクセス、nilポインタのデリファレンス)が発生した場合にGoランタイムによって自動的に発生するか、panic 関数を明示的に呼び出すことで発生させることができます。
  • recover: defer 関数内で呼び出されることで、panic から回復し、プログラムの実行を継続できるようにする組み込み関数です。これにより、パニックが発生してもプログラム全体がクラッシュするのを防ぎ、エラーハンドリングの機会を提供します。

error インターフェース

Go言語におけるエラーハンドリングの基本的な仕組みは、組み込みの error インターフェースに基づいています。 error インターフェースは非常にシンプルで、Error() string という単一のメソッドを持ちます。

type error interface {
    Error() string
}

関数がエラーを返す場合、通常は最後の戻り値として error 型の値を返します。呼び出し元は、返された errornil でないかどうかをチェックすることで、エラーが発生したかどうかを判断します。

runtime.Error

runtime.Error は、Goランタイムが内部的に発生させるパニック(例: ゼロ除算、nilポインタ参照、配列の範囲外アクセスなど)を表すために使用されるインターフェース型です。このインターフェースは、Goの組み込み error インターフェースを満たします。つまり、runtime.Error 型の値は error 型として扱うことができます。これにより、ランタイムパニックも一般的なエラーハンドリングのメカニズムに統合され、recover を使用して捕捉・処理することが可能になります。

技術的詳細

このコミットは、Go言語の仕様書 doc/go_spec.html 内の2つの異なるセクションにおけるテキストの修正です。

  1. 複素数定数の例のコメント修正:

    • 変更前: const ic = complex(0, c) // iΓ == 3.75i (untyped complex constant)
    • 変更後: const ic = complex(0, c) // ic == 3.75i (untyped complex constant)
    • この修正は、コメント内の という誤った識別子を、コードで宣言されている実際の定数名 ic に合わせるものです。これは、読者がコード例とコメントを照らし合わせる際に混乱を避けるための、単純なタイポ修正です。Γ (ガンマ) はギリシャ文字であり、Goの識別子としては通常使用されません。この修正により、ドキュメントの正確性が向上します。
  2. runtime.Errorerror インターフェースに関する記述の改行修正:

    • 変更前:
      That type satisfies the predeclared interface type 
      <a href="#Errors"><code>error</code></a>.
      
    • 変更後:
      That type satisfies the predeclared interface type
      <a href="#Errors"><code>error</code></a>.
      
    • この修正は、HTMLソースコードにおける改行位置の調整です。変更前は <a href="#Errors"><code>error</code></a>. の前に不自然な改行が入っており、これがブラウザでの表示に影響を与えたり、ソースコードの可読性を損ねたりする可能性がありました。変更後は、type の後に改行が入り、より自然な整形になっています。これは、HTMLのレンダリング結果に大きな影響を与えるものではありませんが、ソースコードのクリーンアップと、将来的なメンテナンス性を向上させるためのものです。

これらの変更は、Go言語のコンパイラやランタイムの動作に影響を与えるものではなく、純粋にドキュメンテーションの品質向上を目的としています。仕様書は言語の「真実の源」であるため、その正確性と可読性は非常に重要です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -3458,7 +3458,7 @@ an untyped complex constant.
 </p>
 
 <pre>
-const ic = complex(0, c)   // iΓ == 3.75i (untyped complex constant)
+const ic = complex(0, c)   // ic == 3.75i (untyped complex constant)
 const iΘ = complex(0, Θ)   // iΘ == 1.5i  (type complex128)
 </pre>
 
@@ -5200,7 +5200,7 @@ Execution errors such as attempting to index an array out
 of bounds trigger a <i>run-time panic</i> equivalent to a call of
 the built-in function <a href="#Handling_panics"><code>panic</code></a>
 with a value of the implementation-defined interface type <code>runtime.Error</code>.\n-That type satisfies the predeclared interface type \n+That type satisfies the predeclared interface type\n <a href="#Errors"><code>error</code></a>.\n The exact error values that\n represent distinct run-time error conditions are unspecified.\n```

## コアとなるコードの解説

上記のdiffは、`doc/go_spec.html` ファイルに対する2つの独立した修正を示しています。

1.  **最初の変更ブロック (`@@ -3458,7 +3458,7 @@`)**:
    *   これは、Go言語の仕様書における「複素数定数」のセクションの一部です。
    *   `-const ic = complex(0, c)   // iΓ == 3.75i (untyped complex constant)`: 削除された行。コメント内で `iΓ` と誤って記述されています。
    *   `+const ic = complex(0, c)   // ic == 3.75i (untyped complex constant)`: 追加された行。コメント内の `iΓ` が `ic` に修正されています。
    *   この修正により、コード例で宣言されている定数 `ic` と、その定数の値を示すコメント `ic == 3.75i` との間に一貫性がもたらされ、読者の混乱が解消されます。

2.  **2番目の変更ブロック (`@@ -5200,7 +5200,7 @@`)**:
    *   これは、Go言語の仕様書における「パニックの処理」のセクションの一部です。
    *   `-That type satisfies the predeclared interface type \n`: 削除された行。`type` の後に不必要な改行文字 `\n` が含まれています。
    *   `+That type satisfies the predeclared interface type\n`: 追加された行。`type` の後の改行が削除され、より自然な改行位置になっています。
    *   この修正は、HTMLソースコードの整形に関するもので、`runtime.Error` が `error` インターフェースを満たすという文の可読性を向上させます。視覚的な表示に大きな影響はないかもしれませんが、ソースコードのクリーンアップと、将来的なメンテナンス性を向上させるためのものです。

どちらの変更も、Go言語の仕様書という重要なドキュメントの正確性と品質を維持するための、細部にわたる注意を示しています。

## 関連リンク

*   Go言語の公式ウェブサイト: [https://golang.org/](https://golang.org/)
*   Go言語の仕様書: [https://golang.org/ref/spec](https://golang.org/ref/spec)
*   Go言語のコードレビューシステム (Gerrit): [https://golang.org/cl/5475046](https://golang.org/cl/5475046)

## 参考にした情報源リンク

*   Go Language Specification (current version): [https://golang.org/ref/spec](https://golang.org/ref/spec)
*   Go Blog - Errors are values: [https://go.dev/blog/error-handling-and-go](https://go.dev/blog/error-handling-and-go)
*   Go Blog - Defer, Panic, and Recover: [https://go.dev/blog/defer-panic-and-recover](https://go.dev/blog/defer-panic-and-recover)
*   Go Playground (for testing Go code examples): [https://go.dev/play/](https://go.dev/play/)