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[インデックス 10771] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式仕様書である doc/go_spec.html の記述を修正し、uintptr 型の基底型を持つ値が unsafe.Pointer に変換可能であるという事実を明確にしたものです。これは言語仕様の変更ではなく、既存の動作に関する記述の曖昧さを解消するためのドキュメント上の修正です。

コミット

  • コミットハッシュ: 599c18fa3f7be22478cf39e7cc5f710a7b6f65b7
  • 作者: Robert Griesemer gri@golang.org
  • コミット日時: 2011年12月13日 17:22:11 -0800

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/599c18fa3f7be22478cf39e7cc5f710a7b6f65b7

元コミット内容

spec: values of underlying type uintptr can be converted to unsafe.Pointer

Not a language change, just stating the facts.

Fixes #1793.

R=golang-dev, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5488071

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語の型システムにおける unsafe.Pointeruintptr の関係性、特にそれらの間の変換規則に関する仕様書の記述の明確化の必要性がありました。コミットメッセージにある Fixes #1793 は、GoのIssueトラッカーにおける特定の課題(Issue 1793)を解決したことを示唆しています。

Go言語では、メモリ操作の低レベルな制御を可能にするために unsafe パッケージが提供されています。その中でも unsafe.Pointer は、任意の型のポインタを保持できる特殊なポインタ型であり、Goの型安全性を一時的にバイパスする手段として利用されます。一方、uintptr は符号なし整数型であり、ポインタの値を整数として表現するために使用されます。

Issue #1793("spec: unsafe.Pointer conversion from uintptr")では、uintptr から unsafe.Pointer への変換がGoの仕様書に明示的に記述されていないという点が指摘されていました。実際には、Goコンパイラはこの変換を許可しており、多くのGoプログラムでこの変換が利用されていました。しかし、公式な仕様書に明記されていないため、この動作が将来的に変更される可能性や、異なるコンパイラ実装間での互換性の問題が生じる可能性が懸念されていました。

このコミットは、既存のGo言語の動作(uintptr 型の基底型を持つ値が unsafe.Pointer に変換可能であること)を仕様書に明記することで、この曖昧さを解消し、開発者が安心してこの変換を利用できるようにすることを目的としています。これは言語の動作そのものを変更するものではなく、あくまで「事実を述べる」という、ドキュメントの正確性を高めるための修正です。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の概念を理解しておく必要があります。

  1. 型 (Types): Go言語における値の種類を定義します。例えば、intstringstruct などがあります。
  2. 基底型 (Underlying Type): Go言語では、型定義によって新しい型を作成できます(例: type MyInt int)。この場合、MyInt の基底型は int です。基底型は、その型がどのような組み込み型に基づいているかを示します。型変換のルールにおいて、基底型は重要な役割を果たします。
  3. ポインタ (Pointers): メモリアドレスを指し示す変数です。Goでは *T の形式で表現され、T 型の値を指します。
  4. unsafe パッケージ: Go言語の標準ライブラリの一部で、型安全性をバイパスする操作を可能にする機能を提供します。このパッケージの利用は、Goのメモリ安全性の保証を損なう可能性があるため、慎重に行う必要があります。
  5. unsafe.Pointer: unsafe パッケージで定義されている特殊なポインタ型です。
    • 任意の型のポインタ (*T) を unsafe.Pointer に変換できます。
    • unsafe.Pointer を任意の型のポインタ (*T) に変換できます。
    • uintptrunsafe.Pointer に変換できます。
    • unsafe.Pointeruintptr に変換できます。 unsafe.Pointer は、Goのガベージコレクタに対して、それが指すメモリが参照されていることを通知します。これにより、ガベージコレクタがそのメモリを解放してしまうことを防ぎます。
  6. uintptr: 符号なし整数型であり、ポインタの値を整数として表現するために使用されます。uintptr はガベージコレクタによって追跡されないため、uintptr に変換されたポインタは、そのポインタが指すメモリがガベージコレクタによって解放される可能性があります。このため、uintptr を介したポインタ操作は非常に危険であり、細心の注意が必要です。
  7. 型変換 (Type Conversions): ある型の値を別の型の値に変換する操作です。Go言語では、明示的な型変換が必要な場合が多いです。

このコミットは、特に uintptr から unsafe.Pointer への変換が、Goの仕様上も正式に認められていることを明記するものです。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細を掘り下げると、Go言語のメモリ管理と型安全性に関する設計思想が関係しています。

Go言語は、C/C++のような低レベル言語が持つメモリ管理の複雑さや、それに伴うバグ(例: ダングリングポインタ、メモリリーク)を避けるために、ガベージコレクションと厳格な型システムを採用しています。しかし、特定の高度なユースケース(例: システムプログラミング、FFI (Foreign Function Interface) を介したCライブラリとの連携、カスタムアロケータの実装)では、低レベルなメモリ操作が必要となる場合があります。このために unsafe パッケージが提供されています。

unsafe.Pointer は、Goの型システムにおける「ワイルドカード」のような存在です。これは、任意の型のポインタと相互に変換可能であり、Goの型チェックをバイパスしてメモリを直接操作することを可能にします。しかし、unsafe.Pointer を使用する際には、Goのメモリモデルとガベージコレクションの動作を深く理解している必要があります。誤った使用は、プログラムのクラッシュ、データ破損、セキュリティ脆弱性につながる可能性があります。

uintptr は、ポインタの値を整数として扱うための型です。これは、ポインタの算術演算(例: 特定のオフセットにあるメモリにアクセスする)を行う際に便利です。しかし、uintptr はガベージコレクタによって追跡されないため、uintptr に変換されたポインタが指すメモリが、ガベージコレクションによって解放されてしまう可能性があります。これは、uintptr が単なる数値であり、それがメモリ上の有効なオブジェクトを指しているかどうかをガベージコレクタが判断できないためです。

このコミットが修正した仕様書の記述は、uintptr の基底型を持つ値が unsafe.Pointer に変換可能であるという「事実」を明記しています。これは、Goコンパイラが既にこの変換を許可しており、多くのGoプログラムでこの変換が利用されている現実を追認するものです。この変換は、例えば、uintptr を使って計算されたメモリアドレスを、unsafe.Pointer を介してGoの型付きポインタに戻し、そのメモリにアクセスするといったシナリオで利用されます。

重要なのは、この変換が許可されているからといって、それが常に安全であるとは限らないという点です。uintptr から unsafe.Pointer への変換は、ガベージコレクタの追跡から外れたメモリを操作する可能性を秘めており、非常に危険な操作です。開発者は、この変換を使用する際には、ガベージコレクションのタイミングやメモリのライフサイクルを正確に把握し、細心の注意を払う必要があります。この仕様の明確化は、開発者がこの危険な操作を行う際の「許可」を与えるものであり、その「安全性」を保証するものではありません。

コアとなるコードの変更箇所

変更は doc/go_spec.html ファイルの以下の部分です。

--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1,5 +1,5 @@
 <!-- title The Go Programming Language Specification -->
-<!-- subtitle Version of December 12, 2011 -->
+<!-- subtitle Version of December 13, 2011 -->
 
 <!--
 TODO
@@ -5260,7 +5260,7 @@ func Unreflect(typ runtime.Type, addr uintptr) interface{}\n </pre>\n \n <p>\n-Any pointer or value of type <code>uintptr</code> can be converted into\n+Any pointer or value of <a href=\"#Types\">underlying type</a> <code>uintptr</code> can be converted into\n a <code>Pointer</code> and vice versa.\n </p>\n <p>\n```

具体的には、以下の2箇所が変更されています。

1.  **日付の更新**:
    `-<!-- subtitle Version of December 12, 2011 -->`
    `+<!-- subtitle Version of December 13, 2011 -->`
    これは、仕様書のバージョン日付をコミット日に合わせて更新したものです。

2.  **`uintptr` から `unsafe.Pointer` への変換に関する記述の修正**:
    `-Any pointer or value of type <code>uintptr</code> can be converted into`
    `+Any pointer or value of <a href=\"#Types\">underlying type</a> <code>uintptr</code> can be converted into`
    この行が、今回のコミットの核心となる変更です。

## コアとなるコードの解説

このコミットの主要な変更は、Go言語の仕様書 `doc/go_spec.html` 内の `unsafe.Pointer` への変換に関する記述をより正確にした点です。

変更前の記述は「`uintptr` 型の任意のポインタまたは値は `Pointer` に変換できる」となっていました。しかし、Go言語の型システムでは、ユーザー定義型が組み込み型(この場合は `uintptr`)を基底型として持つ場合があります。例えば、`type MyUintptr uintptr` のように定義された `MyUintptr` 型は、その基底型が `uintptr` です。

変更後の記述では、「`uintptr` の**基底型**を持つ任意のポインタまたは値は `Pointer` に変換できる」と修正されました。これにより、`uintptr` そのものだけでなく、`uintptr` を基底型とするカスタム型(例: `MyUintptr`)の値も `unsafe.Pointer` に変換可能であることが明確に示されました。

この修正は、Go言語のコンパイラが既にそのような変換を許可していたという「事実」を仕様書に反映させたものです。つまり、これはGo言語の動作を変更するものではなく、既存の動作に関する仕様書の記述をより包括的かつ正確にするためのドキュメンテーションの改善です。

この変更により、開発者は `uintptr` を基底型とするカスタム型に対しても `unsafe.Pointer` への変換が公式にサポートされていることを確認できるようになり、より安心して低レベルなメモリ操作を伴うコードを記述できるようになります。ただし、前述の通り、`unsafe.Pointer` の使用には常に注意が必要です。

## 関連リンク

*   **Go Change-Id**: `https://golang.org/cl/5488071` (Goのコードレビューシステムにおけるこの変更のID)
*   **Go Issue #1793**: `https://github.com/golang/go/issues/1793` (このコミットが修正したGoのIssue)

## 参考にした情報源リンク

*   Go Programming Language Specification: [https://go.dev/ref/spec](https://go.dev/ref/spec)
*   Go `unsafe` package documentation: [https://pkg.go.dev/unsafe](https://pkg.go.dev/unsafe)
*   Go `uintptr` documentation: [https://pkg.go.dev/builtin#uintptr](https://pkg.go.dev/builtin#uintptr)
*   GitHub Go repository: [https://github.com/golang/go](https://github.com/golang/go)
*   Issue 1793: spec: unsafe.Pointer conversion from uintptr: [https://github.com/golang/go/issues/1793](https://github.com/golang/go/issues/1793)```markdown
# [インデックス 10771] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式仕様書である `doc/go_spec.html` の記述を修正し、`uintptr` 型の基底型を持つ値が `unsafe.Pointer` に変換可能であるという事実を明確にしたものです。これは言語仕様の変更ではなく、既存の動作に関する記述の曖昧さを解消するためのドキュメント上の修正です。

## コミット

- **コミットハッシュ**: `599c18fa3f7be22478cf39e7cc5f710a7b6f65b7`
- **作者**: Robert Griesemer <gri@golang.org>
- **コミット日時**: 2011年12月13日 17:22:11 -0800

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/599c18fa3f7be22478cf39e7cc5f710a7b6f65b7](https://github.com/golang/go/commit/599c18fa3f7be22478cf39e7cc5f710a7b6f65b7)

## 元コミット内容

spec: values of underlying type uintptr can be converted to unsafe.Pointer

Not a language change, just stating the facts.

Fixes #1793.

R=golang-dev, r CC=golang-dev https://golang.org/cl/5488071


## 変更の背景

このコミットの背景には、Go言語の型システムにおける `unsafe.Pointer` と `uintptr` の関係性、特にそれらの間の変換規則に関する仕様書の記述の明確化の必要性がありました。コミットメッセージにある `Fixes #1793` は、GoのIssueトラッカーにおける特定の課題(Issue 1793)を解決したことを示唆しています。

Go言語では、メモリ操作の低レベルな制御を可能にするために `unsafe` パッケージが提供されています。その中でも `unsafe.Pointer` は、任意の型のポインタを保持できる特殊なポインタ型であり、Goの型安全性を一時的にバイパスする手段として利用されます。一方、`uintptr` は符号なし整数型であり、ポインタの値を整数として表現するために使用されます。

Issue #1793("spec: unsafe.Pointer conversion from uintptr")では、`uintptr` から `unsafe.Pointer` への変換がGoの仕様書に明示的に記述されていないという点が指摘されていました。実際には、Goコンパイラはこの変換を許可しており、多くのGoプログラムでこの変換が利用されていました。しかし、公式な仕様書に明記されていないため、この動作が将来的に変更される可能性や、異なるコンパイラ実装間での互換性の問題が生じる可能性が懸念されていました。

このコミットは、既存のGo言語の動作(`uintptr` 型の基底型を持つ値が `unsafe.Pointer` に変換可能であること)を仕様書に明記することで、この曖昧さを解消し、開発者が安心してこの変換を利用できるようにすることを目的としています。これは言語の動作そのものを変更するものではなく、あくまで「事実を述べる」という、ドキュメントの正確性を高めるための修正です。

## 前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の概念を理解しておく必要があります。

1.  **型 (Types)**: Go言語における値の種類を定義します。例えば、`int`、`string`、`struct` などがあります。
2.  **基底型 (Underlying Type)**: Go言語では、型定義によって新しい型を作成できます(例: `type MyInt int`)。この場合、`MyInt` の基底型は `int` です。基底型は、その型がどのような組み込み型に基づいているかを示します。型変換のルールにおいて、基底型は重要な役割を果たします。
3.  **ポインタ (Pointers)**: メモリアドレスを指し示す変数です。Goでは `*T` の形式で表現され、`T` 型の値を指します。
4.  **`unsafe` パッケージ**: Go言語の標準ライブラリの一部で、型安全性をバイパスする操作を可能にする機能を提供します。このパッケージの利用は、Goのメモリ安全性の保証を損なう可能性があるため、慎重に行う必要があります。
5.  **`unsafe.Pointer`**: `unsafe` パッケージで定義されている特殊なポインタ型です。
    *   任意の型のポインタ (`*T`) を `unsafe.Pointer` に変換できます。
    *   `unsafe.Pointer` を任意の型のポインタ (`*T`) に変換できます。
    *   `uintptr` を `unsafe.Pointer` に変換できます。
    *   `unsafe.Pointer` を `uintptr` に変換できます。
    `unsafe.Pointer` は、Goのガベージコレクタに対して、それが指すメモリが参照されていることを通知します。これにより、ガベージコレクタがそのメモリを解放してしまうことを防ぎます。
6.  **`uintptr`**: 符号なし整数型であり、ポインタの値を整数として表現するために使用されます。`uintptr` はガベージコレクタによって追跡されないため、`uintptr` に変換されたポインタは、そのポインタが指すメモリがガベージコレクタによって解放される可能性があります。このため、`uintptr` を介したポインタ操作は非常に危険であり、細心の注意が必要です。
7.  **型変換 (Type Conversions)**: ある型の値を別の型の値に変換する操作です。Go言語では、明示的な型変換が必要な場合が多いです。

このコミットは、特に `uintptr` から `unsafe.Pointer` への変換が、Goの仕様上も正式に認められていることを明記するものです。

## 技術的詳細

このコミットの技術的な詳細を掘り下げると、Go言語のメモリ管理と型安全性に関する設計思想が関係しています。

Go言語は、C/C++のような低レベル言語が持つメモリ管理の複雑さや、それに伴うバグ(例: ダングリングポインタ、メモリリーク)を避けるために、ガベージコレクションと厳格な型システムを採用しています。しかし、特定の高度なユースケース(例: システムプログラミング、FFI (Foreign Function Interface) を介したCライブラリとの連携、カスタムアロケータの実装)では、低レベルなメモリ操作が必要となる場合があります。このために `unsafe` パッケージが提供されています。

`unsafe.Pointer` は、Goの型システムにおける「ワイルドカード」のような存在です。これは、任意の型のポインタと相互に変換可能であり、Goの型チェックをバイパスしてメモリを直接操作することを可能にします。しかし、`unsafe.Pointer` を使用する際には、Goのメモリモデルとガベージコレクションの動作を深く理解している必要があります。誤った使用は、プログラムのクラッシュ、データ破損、セキュリティ脆弱性につながる可能性があります。

`uintptr` は、ポインタの値を整数として扱うための型です。これは、ポインタの算術演算(例: 特定のオフセットにあるメモリにアクセスする)を行う際に便利です。しかし、`uintptr` はガベージコレクタによって追跡されないため、`uintptr` に変換されたポインタが指すメモリが、ガベージコレクションによって解放されてしまう可能性があります。これは、`uintptr` が単なる数値であり、それがメモリ上の有効なオブジェクトを指しているかどうかをガベージコレクタが判断できないためです。

このコミットが修正した仕様書の記述は、`uintptr` の基底型を持つ値が `unsafe.Pointer` に変換可能であるという「事実」を明記しています。これは、Goコンパイラが既にこの変換を許可しており、多くのGoプログラムでこの変換が利用されている現実を追認するものです。この変換は、例えば、`uintptr` を使って計算されたメモリアドレスを、`unsafe.Pointer` を介してGoの型付きポインタに戻し、そのメモリにアクセスするといったシナリオで利用されます。

重要なのは、この変換が許可されているからといって、それが常に安全であるとは限らないという点です。`uintptr` から `unsafe.Pointer` への変換は、ガベージコレクタの追跡から外れたメモリを操作する可能性を秘めており、非常に危険な操作です。開発者は、この変換を使用する際には、ガベージコレクションのタイミングやメモリのライフサイクルを正確に把握し、細心の注意を払う必要があります。この仕様の明確化は、開発者がこの危険な操作を行う際の「許可」を与えるものであり、その「安全性」を保証するものではありません。

## コアとなるコードの変更箇所

変更は `doc/go_spec.html` ファイルの以下の部分です。

```diff
--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1,5 +1,5 @@
 <!-- title The Go Programming Language Specification -->
-<!-- subtitle Version of December 12, 2011 -->
+<!-- subtitle Version of December 13, 2011 -->
 
 <!--
 TODO
@@ -5260,7 +5260,7 @@ func Unreflect(typ runtime.Type, addr uintptr) interface{}\n </pre>\n \n <p>\n-Any pointer or value of type <code>uintptr</code> can be converted into\n+Any pointer or value of <a href=\"#Types\">underlying type</a> <code>uintptr</code> can be converted into\n a <code>Pointer</code> and vice versa.\n </p>\n <p>\n```

具体的には、以下の2箇所が変更されています。

1.  **日付の更新**:
    `-<!-- subtitle Version of December 12, 2011 -->`
    `+<!-- subtitle Version of December 13, 2011 -->`
    これは、仕様書のバージョン日付をコミット日に合わせて更新したものです。

2.  **`uintptr` から `unsafe.Pointer` への変換に関する記述の修正**:
    `-Any pointer or value of type <code>uintptr</code> can be converted into`
    `+Any pointer or value of <a href=\"#Types\">underlying type</a> <code>uintptr</code> can be converted into`
    この行が、今回のコミットの核心となる変更です。

## コアとなるコードの解説

このコミットの主要な変更は、Go言語の仕様書 `doc/go_spec.html` 内の `unsafe.Pointer` への変換に関する記述をより正確にした点です。

変更前の記述は「`uintptr` 型の任意のポインタまたは値は `Pointer` に変換できる」となっていました。しかし、Go言語の型システムでは、ユーザー定義型が組み込み型(この場合は `uintptr`)を基底型として持つ場合があります。例えば、`type MyUintptr uintptr` のように定義された `MyUintptr` 型は、その基底型が `uintptr` です。

変更後の記述では、「`uintptr` の**基底型**を持つ任意のポインタまたは値は `Pointer` に変換できる」と修正されました。これにより、`uintptr` そのものだけでなく、`uintptr` を基底型とするカスタム型(例: `MyUintptr`)の値も `unsafe.Pointer` に変換可能であることが明確に示されました。

この修正は、Go言語のコンパイラが既にそのような変換を許可していたという「事実」を仕様書に反映させたものです。つまり、これはGo言語の動作を変更するものではなく、既存の動作に関する仕様書の記述をより包括的かつ正確にするためのドキュメンテーションの改善です。

この変更により、開発者は `uintptr` を基底型とするカスタム型に対しても `unsafe.Pointer` への変換が公式にサポートされていることを確認できるようになり、より安心して低レベルなメモリ操作を伴うコードを記述できるようになります。ただし、前述の通り、`unsafe.Pointer` の使用には常に注意が必要です。

## 関連リンク

*   **Go Change-Id**: `https://golang.org/cl/5488071` (Goのコードレビューシステムにおけるこの変更のID)
*   **Go Issue #1793**: `https://github.com/golang/go/issues/1793` (このコミットが修正したGoのIssue)

## 参考にした情報源リンク

*   Go Programming Language Specification: [https://go.dev/ref/spec](https://go.dev/ref/spec)
*   Go `unsafe` package documentation: [https://pkg.go.dev/unsafe](https://pkg.go.dev/unsafe)
*   Go `uintptr` documentation: [https://pkg.go.dev/builtin#uintptr](https://pkg.go.dev/builtin#uintptr)
*   GitHub Go repository: [https://github.com/golang/go](https://github.com/golang/go)
*   Issue 1793: spec: unsafe.Pointer conversion from uintptr: [https://github.com/golang/go/issues/1793](https://github.com/golang/go/issues/1793)