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コミット
コミットハッシュ: 7c94dc04a794119dd9488fb491a56faa4507bf7e
作者: Andrew Gerrand adg@golang.org
日付: 2011年12月20日 11:30:48 +1100
コミットメッセージ: dashboard: display correct package build state
詳細: 退屈な空白文字の調整を含む
レビュー: R=golang-dev, dsymonds
CC: golang-dev
コードレビューURL: https://golang.org/cl/5492067
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/7c94dc04a794119dd9488fb491a56faa4507bf7e
元コミット内容
このコミットは、Goのビルドダッシュボードの misc/dashboard/app/build/ui.html
ファイルを変更しています。主な変更点は:
- ビルド状態の正確な表示: 以前は常に「failed」と表示されていた箇所を、実際のビルド状態(OK/失敗)に応じて適切に表示するよう修正
- スタイルの統一: タブからスペースへの変更による、インデントの統一化
- 視覚的改善: 失敗状態を赤色で表示するCSSスタイルの追加
変更の背景
2011年のGoプロジェクトでは、継続的インテグレーション(CI)とビルドシステムの整備が重要な課題でした。特に、複数のプラットフォームとアーキテクチャをサポートするGoにとって、ビルドの状態を正確に把握し、開発者に適切な情報を提供することは不可欠でした。
当時のビルドダッシュボードは、開発者がGoの各パッケージのビルド状態を監視するための重要なツールでした。しかし、このコミット以前は、ビルドが成功した場合でも「failed」と表示される問題があり、開発者が正確な状態を把握できない状況が発生していました。
前提知識の解説
Goのビルドダッシュボードシステム
Goのビルドダッシュボードは、以下の要素で構成されています:
- ビルドコーディネーター: 各種プラットフォームでのビルドを管理
- ビルダー: 実際のビルドを実行する各プラットフォーム固有のワーカー
- ダッシュボードUI: ビルド結果を視覚的に表示するWebインターフェース
HTMLテンプレートシステム
Goの html/template
パッケージは、2011年に導入されたテンプレートエンジンです。このパッケージは:
- 安全性: XSS攻撃を防ぐためのコンテキスト認識エスケープ機能
- 型安全性: コンパイル時の型チェック
- 効率性: 高速なテンプレート実行
テンプレート構文
{{if .OK}}
ok
{{else}}
<a href="/log/{{.LogHash}}" class="fail">failed</a>
{{end}}
この構文は、Go独自のテンプレート言語で、条件分岐やループなどの制御構造を提供します。
技術的詳細
1. 条件分岐の実装
コミットの核心は、ビルド状態を正確に表示するための条件分岐の実装です:
変更前:
<a href="/log/{{.LogHash}}">failed</a>
変更後:
{{if .OK}}
ok
{{else}}
<a href="/log/{{.LogHash}}" class="fail">failed</a>
{{end}}
2. CSSスタイリングの追加
失敗状態を視覚的に強調するためのCSSクラスが追加されました:
.fail {
color: #C00;
}
このスタイルは、失敗状態のリンクを赤色(#C00)で表示し、ユーザーの注意を引きます。
3. インデントの統一化
コードの可読性向上のため、タブからスペースへの変更が行われました:
/* 変更前 */
h1 {
background: #eee;
}
/* 変更後 */
h1 {
background: #eee;
}
コアとなるコードの変更箇所
1. HTMLテンプレートの条件分岐(lines 66-70)
{{if .OK}}
ok
{{else}}
<a href="/log/{{.LogHash}}" class="fail">failed</a>
{{end}}
2. CSSスタイルの追加(lines 55-57)
.fail {
color: #C00;
}
3. インデントの統一化(複数箇所)
- line 24:
margin: 0;
のインデント修正 - line 29:
background: #eee;
のインデント修正 - line 38:
font-family: monospace;
のインデント修正 - line 46:
font-family: monospace;
のインデント修正
コアとなるコードの解説
テンプレート変数の利用
{{$h := $state.Commit.Hash}}
<a href="{{repoURL $h $state.Commit.PackagePath}}">{{shortHash $h}}</a>
この部分では、Goのテンプレート機能を使用して:
$h
変数にコミットハッシュを代入repoURL
関数を使用してリポジトリURLを生成shortHash
関数を使用してハッシュを短縮表示
状態管理の実装
{{if .OK}}
ok
{{else}}
<a href="/log/{{.LogHash}}" class="fail">failed</a>
{{end}}
この条件分岐により:
.OK
がtrue
の場合: 単純に「ok」を表示.OK
がfalse
の場合: 「failed」リンクを表示し、ログへのアクセスを提供
CSSによる視覚的フィードバック
.fail {
color: #C00;
}
この赤色(#C00)は、Web標準で一般的に使用されるエラー色で、ユーザーに即座に問題を認識させます。
関連リンク
参考にした情報源リンク
- Go Build Dashboard
- Go html/template パッケージドキュメント
- Go Release History
- Go: A Documentary
- Andrew Gerrand GitHub
このコミットは、一見小さな変更に見えますが、開発者の生産性向上とシステムの信頼性向上に大きく貢献する重要な修正でした。正確なビルド状態の表示により、開発者は迅速に問題を特定し、適切な対応を取ることができるようになりました。