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コミット

commit b49625663e35fd214aa13481f1dbcd54f9ba0dc8
Author: Ian Lance Taylor <iant@golang.org>
Date:   Mon Dec 19 20:57:59 2011 -0800

    syscall: remove unnecessary semicolon from mksyscall.pl
    
    R=golang-dev, r, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5495098

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b49625663e35fd214aa13481f1dbcd54f9ba0dc8

元コミット内容

このコミットは、Go標準ライブラリのsyscallパッケージ内にあるmksyscall.plPerlスクリプトから不要なセミコロンを削除するマイナーな修正です。

変更ファイル: src/pkg/syscall/mksyscall.pl 変更規模: 1行変更（1挿入、1削除）

具体的な変更内容：

232行目において、$text .= "\t\terr = e1;\n";から$text .= "\t\terr = e1\n";へ変更
セミコロンを削除し、Goの自動セミコロン挿入ルールに準拠

変更の背景

この修正は、Go 1.0リリース（2012年3月）に向けた品質向上作業の一環として行われました。2011年12月は、Go 1.0リリースに向けた最終準備期間であり、コードの一貫性とスタイルの統一が重要視されていました。

Ian Lance Taylorによるこの修正は、以下の背景から実施されました：

Goの構文規則との整合性: 生成されるGoコードがGoの自動セミコロン挿入ルールに準拠するべきである
コード品質の向上: 不要なセミコロンの削除により、より慣用的なGoコードを生成
一貫性の確保: 他のコード生成ツールとの統一性を保つため

前提知識の解説

1. mksyscall.plの役割

mksyscall.plは、Go標準ライブラリのsyscallパッケージで使用されるPerlスクリプトです。このツールは以下の機能を提供します：

システムコールの関数プロトタイプを読み込み
対応するGoコードを自動生成
プラットフォーム固有のシステムコール実装を作成

2. Goの自動セミコロン挿入ルール

Go言語では、C言語と同様に文法上はセミコロンが必要ですが、レキサー（字句解析器）が自動的にセミコロンを挿入します。

挿入ルール：

行の最後のトークンが識別子、基本リテラル、または特定のトークン（break, continue, fallthrough, return, ++, --, ), ], }）の場合、自動的にセミコロンが挿入される
明示的なセミコロンは不要であり、むしろ避けるべきとされる

3. syscallパッケージの重要性

syscallパッケージは、Go言語における低レベルのオペレーティングシステムプリミティブへのインターフェースを提供します。このパッケージは：

ファイルI/O操作
プロセス管理
ネットワーク操作
メモリ管理
その他のシステムレベル操作

を可能にする重要な基盤コンポーネントです。

技術的詳細

変更の技術的分析

修正された箇所は、エラーハンドリングコードの生成部分です：

# 修正前
$text .= "\t\terr = e1;\n";

# 修正後  
$text .= "\t\terr = e1\n";

この変更により、生成されるGoコードは以下のようになります：

// 修正前（不要なセミコロンあり）
if e1 != 0 {
    err = e1;  // 不要なセミコロン
}

// 修正後（Goの慣用的なスタイル）
if e1 != 0 {
    err = e1   // セミコロンなし
}

コード生成の仕組み

mksyscall.plは以下の処理フローで動作します：

入力解析: //sysまたは//sysnbで始まるコメントを含むGoファイルを読み込み
プロトタイプ抽出: 関数プロトタイプを解析し、パラメータとリターン値を特定
コード生成: 対応するシステムコール実装を生成
エラーハンドリング: システムコールのエラー処理コードを追加

do_errnoフラグの処理

修正箇所は$do_errnoフラグが設定されている場合の処理です：

} elsif ($do_errno) {
    $text .= "\tif e1 != 0 {\n";
    $text .= "\t\terr = e1\n";    # セミコロンを削除
    $text .= "\t}\n";
}

このコードは、システムコールが失敗した場合（e1 != 0）にエラーを設定する処理を生成します。

コアとなるコードの変更箇所

ファイル: src/pkg/syscall/mksyscall.pl
行番号: 232
変更内容: セミコロンの削除

# 変更前（22行目）
$text .= "\t\terr = e1;\n";

# 変更後（23行目）  
$text .= "\t\terr = e1\n";

この変更は、mksyscall.plスクリプトの232行目付近で発生しており、エラーハンドリングコードの生成部分に適用されています。

コアとなるコードの解説

変更箇所の詳細分析

修正された部分は、Perlスクリプトの以下の制御構造内にあります：

while(<>) {
    # ... 他の処理 ...
    
    if ($do_errno) {
        $text .= "\tif e1 != 0 {\n";
        $text .= "\t\terr = e1\n";    # ここが修正箇所
        $text .= "\t}\n";
    }
    
    # ... 他の処理 ...
}

生成されるコードへの影響

この修正により、以下のようなより慣用的なGoコードが生成されるようになりました：

システムコール関数の例：

func Syscall(trap, a1, a2, a3 uintptr) (r1, r2 uintptr, err Errno) {
    // ... システムコール実行 ...
    
    if e1 != 0 {
        err = e1    // セミコロンなし（修正後）
    }
    return
}

パフォーマンスとメンテナンス性への影響

この修正は：

パフォーマンス: 実行時パフォーマンスに影響なし
メンテナンス性: コードの一貫性向上により、保守性が向上
可読性: Goの慣用的なスタイルに合致することで、可読性が向上

comemo