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[インデックス 10907] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のビルドシステムの一部であるmisc/dashboard/builder/main.goファイルに対する変更です。このファイルは、Goプロジェクトの継続的インテグレーション(CI)およびビルドプロセスを管理する「ビルダー」アプリケーションのメインエントリポイントとして機能します。具体的には、ビルド結果やコミット情報を中央のダッシュボードサービスにアップロードするための設定を含んでいます。

コミット

builder: use go-build.appspot.com instead of godashboard by default

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/8720105776d9c1f2f7ff8bde070b70853afecb6d

元コミット内容

commit 8720105776d9c1f2f7ff8bde070b70853afecb6d
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date:   Wed Dec 21 08:28:54 2011 +1100

    builder: use go-build.appspot.com instead of godashboard by default
    
    R=golang-dev, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5489097
---
 misc/dashboard/builder/main.go | 2 +--
 1 file changed, 1 insertion(+), 1 deletion(-)

diff --git a/misc/dashboard/builder/main.go b/misc/dashboard/builder/main.go
index 85bbe9686e..6e571ad35c 100644
--- a/misc/dashboard/builder/main.go
+++ b/misc/dashboard/builder/main.go
@@ -52,7 +52,7 @@ type Builder struct {
 var (
  	buildroot     = flag.String(\"buildroot\", path.Join(os.TempDir(), \"gobuilder\"), \"Directory under which to build\")
  	commitFlag    = flag.Bool(\"commit\", false, \"upload information about new commits\")
-\tdashboard     = flag.String(\"dashboard\", \"godashboard.appspot.com\", \"Go Dashboard Host\")
+\tdashboard     = flag.String(\"dashboard\", \"go-build.appspot.com\", \"Go Dashboard Host\")
  	buildRelease  = flag.Bool(\"release\", false, \"Build and upload binary release archives\")
  	buildRevision = flag.String(\"rev\", \"\", \"Build specified revision and exit\")
  	buildCmd      = flag.String(\"cmd\", \"./all.bash\", \"Build command (specify absolute or relative to go/src/)\")

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語プロジェクトのビルドおよび継続的インテグレーション(CI)システムの進化があります。以前はgodashboard.appspot.comというサービスがGoパッケージのリスト表示やビルドステータスの表示など、コミュニティ向けのダッシュボードとして機能していました。しかし、Goプロジェクト自体の開発とテストを支えるための、より堅牢で公式なCIインフラストラクチャが必要とされていました。

go-build.appspot.comは、Go言語とその公式ツールの開発およびテストのための、Googleが管理する継続的インテグレーションおよびビルドインフラストラクチャの一部を指します。このシステムは主にgolang.org/x/buildプロジェクトの下で開発されており、ビルドのオーケストレーション、ワーカーマシンでのビルド実行、パフォーマンスデータの収集と分析など、GoプロジェクトのCI/CDパイプラインの中核を担っています。

このコミットは、Goプロジェクトのビルダーが、古いgodashboard.appspot.comではなく、より新しい、Go言語自体の開発をサポートするgo-build.appspot.comをデフォルトのダッシュボードホストとして使用するように移行する一環です。これにより、ビルダーはGoプロジェクトの公式なCIシステムと連携し、より正確で最新のビルド情報を提供できるようになります。

前提知識の解説

Go言語のflagパッケージ

Go言語の標準ライブラリには、コマンドライン引数を解析するためのflagパッケージが含まれています。このパッケージを使用すると、プログラムの起動時にユーザーが指定できるオプション(フラグ)を簡単に定義できます。

  • flag.String(name, defaultValue, usage): 文字列型のフラグを定義します。
    • name: フラグの名前(例: --dashboard)。
    • defaultValue: フラグが指定されなかった場合のデフォルト値。
    • usage: フラグの簡単な説明。

このコミットでは、dashboardという名前の文字列フラグが定義されており、そのデフォルト値が変更されています。

godashboard.appspot.com

godashboard.appspot.comは、かつてGo言語のパッケージやプロジェクトのビルドステータスを表示するためのコミュニティ向けダッシュボードでした。これは、Goパッケージの発見を助けたり、プロジェクトのビルド状況を概観したりする目的で利用されていました。しかし、時間の経過とともに、より専門的でGo言語自体の開発に特化したビルドインフラストラクチャが必要となり、その役割は縮小していきました。

go-build.appspot.com (およびGoビルドシステム)

go-build.appspot.comは、Go言語プロジェクトの公式な継続的インテグレーション(CI)およびビルドインフラストラクチャの一部を指します。これは、Go言語のソースコードが変更されるたびに自動的にビルド、テスト、ベンチマークを実行し、その結果を開発チームにフィードバックするためのシステムです。このシステムは、golang.org/x/buildリポジトリで管理されており、以下のようなコンポーネントで構成されています。

  • Coordinator: ビルドタスクの調整、ビルドの実行、マシンの割り当て、ビルドログとステータスの維持を行います。
  • Buildlet: ワーカーマシン上で動作するHTTPサーバーで、Coordinatorからの指示を受けて実際のビルドを実行します。
  • Performance Data Servers: ベンチマーク結果を保存し、その分析を提供します。

このシステムは、Go言語の安定性とパフォーマンスを保証するために不可欠な役割を担っています。

技術的詳細

このコミットによる技術的な変更は、Goビルダーアプリケーションがデフォルトで接続するダッシュボードサービスのURLを変更することに集約されます。

misc/dashboard/builder/main.goファイル内のdashboardという名前のコマンドラインフラグのデフォルト値が、"godashboard.appspot.com"から"go-build.appspot.com"に変更されました。

これは、ビルダーが起動時に明示的に--dashboardフラグで別のURLが指定されない限り、自動的に新しい公式ビルドシステムのエンドポイントに接続することを意味します。この変更により、Goプロジェクトのビルドプロセスは、より最新かつ正確なビルド情報を提供する新しいインフラストラクチャと連携するようになります。

この変更は、GoプロジェクトのCIパイプラインの信頼性と効率性を向上させるための重要なステップです。古いダッシュボードサービスが提供していた機能は、新しいビルドシステムによってより統合された形で提供されるようになり、開発者はGo言語の変更がビルドやテストに与える影響をより迅速に把握できるようになります。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/misc/dashboard/builder/main.go
+++ b/misc/dashboard/builder/main.go
@@ -52,7 +52,7 @@ type Builder struct {
 var (
  	buildroot     = flag.String(\"buildroot\", path.Join(os.TempDir(), \"gobuilder\"), \"Directory under which to build\")
  	commitFlag    = flag.Bool(\"commit\", false, \"upload information about new commits\")
-\tdashboard     = flag.String(\"dashboard\", \"godashboard.appspot.com\", \"Go Dashboard Host\")
+\tdashboard     = flag.String(\"dashboard\", \"go-build.appspot.com\", \"Go Dashboard Host\")
  	buildRelease  = flag.Bool(\"release\", false, \"Build and upload binary release archives\")
  	buildRevision = flag.String(\"rev\", \"\", \"Build specified revision and exit\")
  	buildCmd      = flag.String(\"cmd\", \"./all.bash\", \"Build command (specify absolute or relative to go/src/)\")

コアとなるコードの解説

変更された行は以下の通りです。

-	dashboard     = flag.String("dashboard", "godashboard.appspot.com", "Go Dashboard Host")
+	dashboard     = flag.String("dashboard", "go-build.appspot.com", "Go Dashboard Host")

このコードスニペットは、Go言語のflagパッケージを使用して、コマンドライン引数として--dashboardというフラグを定義しています。

  • dashboard: これは、定義されるフラグに対応する変数名です。この変数は、フラグの値(文字列)を保持します。
  • flag.String(...): これは、文字列型のフラグを定義するための関数呼び出しです。
    • 最初の引数"dashboard"は、コマンドラインで指定する際のフラグの名前です(例: go run main.go --dashboard=somehost.com)。
    • 2番目の引数は、このフラグがコマンドラインで指定されなかった場合のデフォルト値です。このコミットでは、このデフォルト値が"godashboard.appspot.com"から"go-build.appspot.com"に変更されています。
    • 3番目の引数"Go Dashboard Host"は、このフラグの用途を説明するヘルプメッセージです。

この変更により、main.goで定義されているビルダーアプリケーションが、デフォルトでgo-build.appspot.comに接続してビルド情報をアップロードするようになります。これにより、Goプロジェクトのビルドシステムが、より新しい公式のインフラストラクチャと連携するよう設定が更新されました。

関連リンク

参考にした情報源リンク