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[インデックス 10940] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のコマンドラインツールである cmd/go におけるビルドの問題を修正するものです。具体的には、以前のコミット(CL 5489100)で誤って混入したコードの一部が原因で発生していたビルドエラーを解消するために、関連するコードブロックをコメントアウトしています。

コミット

このコミットは、Goコマンド (cmd/go) のビルドプロセスにおける不具合を修正することを目的としています。以前の変更セット (CL 5489100) の一部が意図せず混入し、ビルドエラーを引き起こしていたため、その原因となっていたコードをコメントアウトすることで問題を解決しています。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/0fcb24b91c6e4b3786da6e6b4592a252e54f561b

元コミット内容

commit 0fcb24b91c6e4b3786da6e6b4592a252e54f561b
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Wed Dec 21 08:05:04 2011 -0500

    cmd/go: fix build (piece of 5489100 leaked in to last checkin)
    
    TBR=golang-dev
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5489102

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のビルドシステムにおける継続的な開発と、それに伴う偶発的な回帰(regression)があります。コミットメッセージにある「piece of 5489100 leaked in to last checkin」という記述から、以前の変更セット(Change List, CL)である 5489100 の一部が、意図しない形で直前のコミットに含まれてしまい、それが cmd/go のビルドプロセスに悪影響を与えていたことが読み取れます。

Go言語の cmd/go ツールは、Goプログラムのコンパイル、テスト、インストールなど、多岐にわたる操作を管理する中心的な役割を担っています。そのため、このツールのビルドが失敗することは、Go開発全体に大きな影響を与えます。

具体的には、build.DefaultContext.CgoEnabled のチェックと runtime/cgo パッケージの扱いに関するコードが問題を引き起こしていました。CgoはGoプログラムからC言語のコードを呼び出すためのメカニズムであり、その有効/無効はビルド環境や設定に依存します。このコミットは、Cgoが有効でない場合に runtime/cgo を特別に扱うロジックが、何らかの理由でビルドを妨げていたため、一時的にそのロジックを無効化することでビルドを正常に戻すことを目的としています。これは、問題の根本原因を特定し、より恒久的な解決策を導入するまでの暫定的な修正である可能性が高いです。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の概念とツールに関する知識が必要です。

  • cmd/go: Go言語の公式コマンドラインツールであり、Go開発者が日常的に使用する主要なインターフェースです。go buildgo rungo testgo get など、Goプログラムのビルド、実行、テスト、依存関係の管理など、あらゆる操作を行います。このツール自体もGo言語で書かれており、Goのソースコードリポジトリの src/cmd/go ディレクトリに存在します。

  • Cgo: Cgoは、GoプログラムがC言語のコードを呼び出したり、C言語のコードからGoの関数を呼び出したりするためのGoの機能です。これにより、既存のCライブラリをGoプロジェクトで利用したり、パフォーマンスが重要な部分をCで記述したりすることが可能になります。Cgoを使用するには、Cコンパイラ(通常はGCCやClang)がシステムにインストールされている必要があります。

  • build.DefaultContext: go/build パッケージは、Goのビルドプロセスに関する情報を提供します。build.DefaultContext は、現在のシステム環境におけるデフォルトのビルドコンテキストを表します。これには、Goのバージョン、OS、アーキテクチャ、Cgoが有効かどうか (CgoEnabled フィールド) などの情報が含まれます。

  • build.DefaultContext.CgoEnabled: このブール値のフィールドは、現在のビルドコンテキストでCgoが有効になっているかどうかを示します。true の場合、Cgoが利用可能であり、GoプログラムはCコードと連携できます。false の場合、Cgoは無効であり、Cgoを使用するパッケージはビルドできません。

  • runtime/cgo パッケージ: Goの標準ライブラリの一部であり、Cgoの内部実装に関連するパッケージです。このパッケージは、GoとCの間の呼び出し規約やメモリ管理など、Cgoが機能するために必要な低レベルのメカニズムを提供します。通常、開発者がこのパッケージを直接インポートして使用することは稀で、Cgoを使用する際にGoツールチェーンによって自動的に扱われます。

  • パッケージのウォーク(Package Walk): cmd/go ツールがGoのソースコードを処理する際、依存関係ツリーを辿って必要なパッケージを特定し、ビルド順序を決定するプロセスを指します。このプロセス中に、特定のパッケージ(例: builtinruntime/cgo)が特別に扱われることがあります。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、cmd/go がパッケージを探索する allPackages 関数内で、runtime/cgo パッケージの扱いに関するロジックを一時的に無効化した点にあります。

元のコードでは、build.DefaultContext.CgoEnabledfalse(つまりCgoが無効)の場合に、runtime/cgo パッケージを have マップに追加していました。この have マップは、既に処理済み、または特別に無視すべきパッケージを追跡するために使用されます。通常、Cgoが無効な環境では runtime/cgo はビルドできないため、これを「無視する」リストに入れることで、ビルドエラーを回避しようとしていたと考えられます。

しかし、このコミットのメッセージが示唆するように、このロジックが何らかの形で「リーク」し、ビルドプロセスに悪影響を与えていました。考えられるシナリオとしては、以下の点が挙げられます。

  1. 不完全な統合: build.DefaultContext.CgoEnabled のチェックと runtime/cgo の無視ロジックが、cmd/go の他の部分と完全に同期していなかった可能性があります。例えば、このロジックが導入された直前のコミットで、他の関連する変更がまだマージされていなかった、あるいは考慮されていなかった、といった状況です。
  2. ビルド環境の差異: 特定のビルド環境やGoのコンフィギュレーションにおいて、CgoEnabledfalse の場合の runtime/cgo の扱いが、予期せぬ副作用を引き起こした可能性があります。例えば、runtime/cgo が存在しない、あるいは特定の条件下で異なる振る舞いをする、といったケースです。
  3. ウォークロジックの競合: allPackages 関数内のパッケージウォークロジックと、runtime/cgohave マップに追加するロジックが競合し、無限ループや誤った依存関係の解決を引き起こした可能性も考えられます。

このコミットでは、問題の根本原因を深く掘り下げるのではなく、問題を引き起こしていると特定されたコードブロックをコメントアウトするという、迅速かつ安全な手段が取られています。これは、ビルドの安定性を最優先し、後でより詳細な調査と恒久的な修正を行うための一般的なアプローチです。コメントアウトされたコードは、将来的に再評価され、より堅牢な形で再導入されるか、あるいは別の解決策が採用される可能性があります。

コアとなるコードの変更箇所

変更は src/cmd/go/main.go ファイルの allPackages 関数内で行われています。

--- a/src/cmd/go/main.go
+++ b/src/cmd/go/main.go
@@ -242,9 +242,11 @@ func allPackages(what string) []string {
  	have := map[string]bool{
  		"builtin": true, // ignore pseudo-package that exists only for documentation
  	}
-	if !build.DefaultContext.CgoEnabled {
-		have["runtime/cgo"] = true // ignore during walk
-	}
+	/*
+		if !build.DefaultContext.CgoEnabled {
+			have["runtime/cgo"] = true // ignore during walk
+		}
+	*/
  	var pkgs []string
  
  	// Commands

コアとなるコードの解説

変更されたコードブロックは、allPackages 関数内で、Goのパッケージを探索する際に特定のパッケージを無視するためのロジックの一部でした。

元のコード:

	if !build.DefaultContext.CgoEnabled {
		have["runtime/cgo"] = true // ignore during walk
	}

このコードは、「もしCgoが現在のビルドコンテキストで無効になっているならば、runtime/cgo パッケージを have マップに追加し、パッケージウォーク中にそれを無視する」という意図を持っていました。have マップは、既に処理された、または特別に扱われるべきパッケージを記録するために使用されます。runtime/cgo はCgoが有効な場合にのみ意味を持つため、Cgoが無効な環境ではビルドエラーを避けるために無視するのが適切と考えられていました。

変更後のコード:

	/*
		if !build.DefaultContext.CgoEnabled {
			have["runtime/cgo"] = true // ignore during walk
		}
	*/

このコミットでは、上記のコードブロック全体がCスタイルのコメント /* ... */ で囲まれ、無効化されています。これにより、build.DefaultContext.CgoEnabled の状態に関わらず、runtime/cgo パッケージを have マップに追加して無視するロジックが実行されなくなります。

この変更の直接的な効果は、cmd/go のパッケージ探索ロジックから、Cgoが無効な場合の runtime/cgo の特別な扱いが一時的に削除されることです。コミットメッセージが示すように、このロジックが以前のコミットで「リーク」し、ビルドを壊していたため、これを無効化することでビルドが正常に戻ったと考えられます。これは、問題の根本原因を特定し、より洗練された解決策を導入するまでの、迅速な応急処置と言えます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

# [インデックス 10940] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のコマンドラインツールである `cmd/go` におけるビルドの問題を修正するものです。具体的には、以前のコミット(CL 5489100)で誤って混入したコードの一部が原因で発生していたビルドエラーを解消するために、関連するコードブロックをコメントアウトしています。

## コミット

このコミットは、Goコマンド (`cmd/go`) のビルドプロセスにおける不具合を修正することを目的としています。以前の変更セット (CL 5489100) の一部が意図せず混入し、ビルドエラーを引き起こしていたため、その原因となっていたコードをコメントアウトすることで問題を解決しています。

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/0fcb24b91c6e4b3786da6e6b4592a252e54f561b](https://github.com/golang/go/commit/0fcb24b91c6e4b3786da6e6b4592a252e54f561b)

## 元コミット内容

commit 0fcb24b91c6e4b3786da6e6b4592a252e54f561b Author: Russ Cox rsc@golang.org Date: Wed Dec 21 08:05:04 2011 -0500

cmd/go: fix build (piece of 5489100 leaked in to last checkin)

TBR=golang-dev
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5489102

## 変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のビルドシステムにおける継続的な開発と、それに伴う偶発的な回帰(regression)があります。コミットメッセージにある「piece of 5489100 leaked in to last checkin」という記述から、以前の変更セット(Change List, CL)である `5489100` の一部が、意図しない形で直前のコミットに含まれてしまい、それが `cmd/go` のビルドプロセスに悪影響を与えていたことが読み取れます。

Go言語の `cmd/go` ツールは、Goプログラムのコンパイル、テスト、インストールなど、多岐にわたる操作を管理する中心的な役割を担っています。そのため、このツールのビルドが失敗することは、Go開発全体に大きな影響を与えます。

具体的には、`build.DefaultContext.CgoEnabled` のチェックと `runtime/cgo` パッケージの扱いに関するコードが問題を引き起こしていました。CgoはGoプログラムからC言語のコードを呼び出すためのメカニズムであり、その有効/無効はビルド環境や設定に依存します。このコミットは、Cgoが有効でない場合に `runtime/cgo` を特別に扱うロジックが、何らかの理由でビルドを妨げていたため、一時的にそのロジックを無効化することでビルドを正常に戻すことを目的としています。これは、問題の根本原因を特定し、より恒久的な解決策を導入するまでの暫定的な修正である可能性が高いです。

## 前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の概念とツールに関する知識が必要です。

*   **`cmd/go`**:
    Go言語の公式コマンドラインツールであり、Go開発者が日常的に使用する主要なインターフェースです。`go build`、`go run`、`go test`、`go get` など、Goプログラムのビルド、実行、テスト、依存関係の管理など、あらゆる操作を行います。このツール自体もGo言語で書かれており、Goのソースコードリポジトリの `src/cmd/go` ディレクトリに存在します。

*   **Cgo**:
    Cgoは、GoプログラムがC言語のコードを呼び出したり、C言語のコードからGoの関数を呼び出したりするためのGoの機能です。これにより、既存のCライブラリをGoプロジェクトで利用したり、パフォーマンスが重要な部分をCで記述したりすることが可能になります。Cgoを使用するには、Cコンパイラ(通常はGCCやClang)がシステムにインストールされている必要があります。

*   **`build.DefaultContext`**:
    `go/build` パッケージは、Goのビルドプロセスに関する情報を提供します。`build.DefaultContext` は、現在のシステム環境におけるデフォルトのビルドコンテキストを表します。これには、Goのバージョン、OS、アーキテクチャ、Cgoが有効かどうか (`CgoEnabled` フィールド) などの情報が含まれます。

*   **`build.DefaultContext.CgoEnabled`**:
    このブール値のフィールドは、現在のビルドコンテキストでCgoが有効になっているかどうかを示します。`true` の場合、Cgoが利用可能であり、GoプログラムはCコードと連携できます。`false` の場合、Cgoは無効であり、Cgoを使用するパッケージはビルドできません。

*   **`runtime/cgo` パッケージ**:
    Goの標準ライブラリの一部であり、Cgoの内部実装に関連するパッケージです。このパッケージは、GoとCの間の呼び出し規約やメモリ管理など、Cgoが機能するために必要な低レベルのメカニズムを提供します。通常、開発者がこのパッケージを直接インポートして使用することは稀で、Cgoを使用する際にGoツールチェーンによって自動的に扱われます。

*   **パッケージのウォーク(Package Walk)**:
    `cmd/go` ツールがGoのソースコードを処理する際、依存関係ツリーを辿って必要なパッケージを特定し、ビルド順序を決定するプロセスを指します。このプロセス中に、特定のパッケージ(例: `builtin` や `runtime/cgo`)が特別に扱われることがあります。

## 技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、`cmd/go` がパッケージを探索する `allPackages` 関数内で、`runtime/cgo` パッケージの扱いに関するロジックを一時的に無効化した点にあります。

元のコードでは、`build.DefaultContext.CgoEnabled` が `false`(つまりCgoが無効)の場合に、`runtime/cgo` パッケージを `have` マップに追加していました。この `have` マップは、既に処理済み、または特別に無視すべきパッケージを追跡するために使用されます。通常、Cgoが無効な環境では `runtime/cgo` はビルドできないため、これを「無視する」リストに入れることで、ビルドエラーを回避しようとしていたと考えられます。

しかし、このコミットのメッセージが示唆するように、このロジックが何らかの形で「リーク」し、ビルドプロセスに悪影響を与えていました。考えられるシナリオとしては、以下の点が挙げられます。

1.  **不完全な統合**: `build.DefaultContext.CgoEnabled` のチェックと `runtime/cgo` の無視ロジックが、`cmd/go` の他の部分と完全に同期していなかった可能性があります。例えば、このロジックが導入された直前のコミットで、他の関連する変更がまだマージされていなかった、あるいは考慮されていなかった、といった状況です。
2.  **ビルド環境の差異**: 特定のビルド環境やGoのコンフィギュレーションにおいて、`CgoEnabled` が `false` の場合の `runtime/cgo` の扱いが、予期せぬ副作用を引き起こした可能性があります。例えば、`runtime/cgo` が存在しない、あるいは特定の条件下で異なる振る舞いをする、といったケースです。
3.  **ウォークロジックの競合**: `allPackages` 関数内のパッケージウォークロジックと、`runtime/cgo` を `have` マップに追加するロジックが競合し、無限ループや誤った依存関係の解決を引き起こした可能性も考えられます。

このコミットでは、問題の根本原因を深く掘り下げるのではなく、問題を引き起こしていると特定されたコードブロックをコメントアウトするという、迅速かつ安全な手段が取られています。これは、ビルドの安定性を最優先し、後でより詳細な調査と恒久的な修正を行うための一般的なアプローチです。コメントアウトされたコードは、将来的に再評価され、より堅牢な形で再導入されるか、あるいは別の解決策が採用される可能性があります。

## コアとなるコードの変更箇所

変更は `src/cmd/go/main.go` ファイルの `allPackages` 関数内で行われています。

```diff
--- a/src/cmd/go/main.go
+++ b/src/cmd/go/main.go
@@ -242,9 +242,11 @@ func allPackages(what string) []string {
  	have := map[string]bool{
  		"builtin": true, // ignore pseudo-package that exists only for documentation
  	}
-	if !build.DefaultContext.CgoEnabled {
-		have["runtime/cgo"] = true // ignore during walk
-	}
+	/*
+		if !build.DefaultContext.CgoEnabled {
+			have["runtime/cgo"] = true // ignore during walk
+		}
+	*/
  	var pkgs []string
  
  	// Commands

コアとなるコードの解説

変更されたコードブロックは、allPackages 関数内で、Goのパッケージを探索する際に特定のパッケージを無視するためのロジックの一部でした。

元のコード:

	if !build.DefaultContext.CgoEnabled {
		have["runtime/cgo"] = true // ignore during walk
	}

このコードは、「もしCgoが現在のビルドコンテキストで無効になっているならば、runtime/cgo パッケージを have マップに追加し、パッケージウォーク中にそれを無視する」という意図を持っていました。have マップは、既に処理された、または特別に扱われるべきパッケージを記録するために使用されます。runtime/cgo はCgoが有効な場合にのみ意味を持つため、Cgoが無効な環境ではビルドエラーを避けるために無視するのが適切と考えられていました。

変更後のコード:

	/*
		if !build.DefaultContext.CgoEnabled {
			have["runtime/cgo"] = true // ignore during walk
		}
	*/

このコミットでは、上記のコードブロック全体がCスタイルのコメント /* ... */ で囲まれ、無効化されています。これにより、build.DefaultContext.CgoEnabled の状態に関わらず、runtime/cgo パッケージを have マップに追加して無視するロジックが実行されなくなります。

この変更の直接的な効果は、cmd/go のパッケージ探索ロジックから、Cgoが無効な場合の runtime/cgo の特別な扱いが一時的に削除されることです。コミットメッセージが示すように、このロジックが以前のコミットで「リーク」し、ビルドを壊していたため、これを無効化することでビルドが正常に戻ったと考えられます。これは、問題の根本原因を特定し、より洗練された解決策を導入するまでの、迅速な応急処置と言えます。

関連リンク

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