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[インデックス 10948] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリpath/filepathパッケージ内のRel関数のドキュメンテーションを更新するものです。具体的には、Rel関数が常に相対パスを返すという重要な挙動を明確にするための説明が追加されています。これにより、ユーザーがRel関数の戻り値について誤解する可能性を減らし、より正確な理解を促すことを目的としています。

コミット

commit 18f7c0a3f6f39af5cd2db484dbf0817fbfb526d5
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Wed Dec 21 11:46:42 2011 -0800

    path/filepath.Rel: document that the returned path is always relative
    
    Fixes #2593.
    
    R=rsc, alex.brainman, n13m3y3r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5500052

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/18f7c0a3f6f39af5cd2db484dbf0817fbfb526d5

元コミット内容

path/filepath.Rel: document that the returned path is always relative

Fixes #2593.

R=rsc, alex.brainman, n13m3y3r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5500052

変更の背景

path/filepath.Rel関数は、あるパスから別のパスへの相対パスを計算するために使用されます。この関数は、ファイルシステムの操作や、相対的なリソースの参照など、様々な場面で利用されます。しかし、その戻り値が常に相対パスであるという点が、ドキュメンテーション上で十分に強調されていなかった可能性があります。

コミットメッセージにあるFixes #2593は、この変更が特定の課題(おそらくGoプロジェクトの当時のIssueトラッカーで報告されたもの)を解決することを示しています。この課題は、filepath.Relの挙動、特に「常に相対パスを返す」という特性に関するユーザーの混乱や誤解に関連していたと推測されます。例えば、basepathtargpathが全く異なるディレクトリ構造にある場合でも、Rel関数はエラーを返すか、あるいは何らかの絶対パスを返すのではないかと誤解される可能性があったかもしれません。

このコミットは、ドキュメンテーションに明確な記述を追加することで、このような誤解を解消し、開発者がfilepath.Rel関数をより正確かつ自信を持って使用できるようにすることを目的としています。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下の概念に関する基本的な知識が必要です。

  • Go言語: この変更はGo言語の標準ライブラリの一部です。Go言語の基本的な構文やパッケージ構造を理解していると、変更の文脈を把握しやすくなります。
  • ファイルパスの概念:
    • 絶対パス: ファイルシステムのルートディレクトリ(例: /C:\)から始まる完全なパス。
    • 相対パス: 現在の作業ディレクトリや指定された基準パスからの相対的な位置を示すパス。例えば、../foo/bar.txtは、現在のディレクトリの親ディレクトリにあるfooディレクトリ内のbar.txtを指します。
  • path/filepathパッケージ: Go言語の標準ライブラリの一部で、オペレーティングシステムに依存しないパス操作(パスの結合、クリーンアップ、相対パスの計算など)を提供します。
  • filepath.Rel関数: このコミットの主題となる関数です。Rel(basepath, targpath string) (string, error)というシグネチャを持ち、basepathからtargpathへの相対パスを計算します。
    • 例: filepath.Rel("/a/b", "/a/b/c/d")c/d を返します。
    • 例: filepath.Rel("/a/b/c", "/a/b").. を返します。
    • 例: filepath.Rel("/a/b/c", "/x/y") のような、共通の要素を持たないパス間の相対パス計算も可能です。この場合、../../x/y のようなパスが返されることがあります。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、filepath.Rel関数のドキュメンテーションに、その挙動に関する重要な補足説明を追加した点に集約されます。

filepath.Rel関数の既存のドキュメンテーションは、Join(basepath, Rel(basepath, targpath))targpathと等価になるという、その数学的な特性を説明していました。これは関数の目的を正確に示していますが、戻り値の「形式」については明示的ではありませんでした。

追加された行は以下の通りです。 // On success, the returned path will always be relative to basepath, // even if basepath and targpath share no elements.

この2行は、Rel関数が成功した場合、その戻り値が常にbasepathに対する相対パスであることを明確にしています。さらに重要なのは、「basepathtargpathが共通の要素を共有しない場合でも」という条件を明記している点です。これは、例えば/home/user/projectAから/var/logへの相対パスを計算するようなケースでも、結果が../../../var/logのように相対パスとして表現されることを保証します。

この変更は、関数の内部ロジックを変更するものではなく、あくまでドキュメンテーションの改善です。しかし、これにより、開発者がRel関数の出力形式について抱く可能性のある疑問や誤解を事前に解消し、コードの堅牢性を高める上で非常に重要な役割を果たします。特に、Rel関数の戻り値を別のパス操作関数に渡す場合など、その形式が相対パスであることを前提とした処理を行う際に、この明確なドキュメンテーションは大きな助けとなります。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/path/filepath/path.goファイルにあります。

--- a/src/pkg/path/filepath/path.go
+++ b/src/pkg/path/filepath/path.go
@@ -262,6 +262,8 @@ func Abs(path string) (string, error) {
 // Rel returns a relative path that is lexically equivalent to targpath when
 // joined to basepath with an intervening separator. That is,
 // Join(basepath, Rel(basepath, targpath)) is equivalent to targpath itself.
+// On success, the returned path will always be relative to basepath,
+// even if basepath and targpath share no elements.
 // An error is returned if targpath can't be made relative to basepath or if
 // knowing the current working directory would be necessary to compute it.
 func Rel(basepath, targpath string) (string, error) {

具体的には、Rel関数のドキュメンテーションコメントに2行が追加されています。

コアとなるコードの解説

追加された2行のコメントは、filepath.Rel関数の既存のドキュメンテーションに、その戻り値の性質に関する重要な補足情報を提供します。

  • // On success, the returned path will always be relative to basepath,
    • これは、Rel関数がエラーを返さずに成功した場合、その結果として得られるパス文字列が、常にbasepathからの相対的な位置を示すものであることを明言しています。絶対パスが返されることはありません。
  • // even if basepath and targpath share no elements.
    • この部分は、basepathtargpathがファイルシステム上で全く異なるブランチにある場合(例えば、/foo/bar/baz/quxのように、共通の親ディレクトリを持たない場合)でも、戻り値が相対パスとして表現されることを強調しています。このような場合、結果は../../baz/quxのような形式になることが予想されます。

これらのコメントは、Rel関数の挙動に関する潜在的な曖昧さを解消し、開発者がこの関数をより正確に理解し、適切に使用できるようにするためのものです。これは、APIの使いやすさと堅牢性を向上させる上で、コードの変更自体と同じくらい重要です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語 path/filepath パッケージの公式ドキュメンテーション
  • Go言語のコミット履歴
  • Web検索: "golang filepath.Rel documentation", "golang issue 2593"