[インデックス 10968] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリ os
パッケージ内のコメントを更新し、exec
パッケージの参照を os/exec
に修正するものです。これは、exec
パッケージが os
パッケージのサブパッケージとして再配置されたことに伴う、ドキュメントの一貫性を保つための変更です。
コミット
- コミットハッシュ:
a626adce1e3ed2d87f35cf1ac9251c71b6add29c
- Author: Brad Fitzpatrick bradfitz@golang.org
- Date: Thu Dec 22 07:25:43 2011 -0800
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/a626adce1e3ed2d87f35cf1ac9251c71b6add29c
元コミット内容
os: update package location of exec to os/exec in comments
R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5503065
変更の背景
Go言語の標準ライブラリでは、時間の経過とともにパッケージの整理や再編成が行われることがあります。このコミットが行われた2011年当時、exec
パッケージは独立したトップレベルのパッケージから os
パッケージのサブパッケージである os/exec
へと移動されました。
このようなパッケージの移動は、ライブラリの構造をより論理的かつ整理されたものにするために行われます。exec
パッケージがプロセス実行に関連する機能を提供するため、os
(オペレーティングシステム) パッケージの下に配置されるのは自然な流れです。
この変更の背景には、コードベース全体で新しいパッケージパスへの参照を更新し、ドキュメントやコメントが実際のパッケージ構造と一致するようにするという目的があります。これにより、開発者がコードを読んだり、ドキュメントを参照したりする際に、誤解や混乱が生じるのを防ぎます。
前提知識の解説
Go言語のパッケージシステム
Go言語は、コードのモジュール化と再利用を促進するためにパッケージシステムを採用しています。
- パッケージ: 関連するGoのソースファイル (
.go
ファイル) の集まりです。各Goファイルはpackage <name>
宣言を持ち、同じディレクトリ内のファイルは通常同じパッケージに属します。 - インポートパス: パッケージは、そのソースコードが配置されているディレクトリ構造に基づいてインポートパスを持ちます。例えば、
fmt
パッケージはimport "fmt"
でインポートされ、net/http
パッケージはimport "net/http"
でインポートされます。 - 標準ライブラリ: Goには豊富な標準ライブラリが付属しており、これらはGoのインストールディレクトリ内の
src
ディレクトリに配置されています。os
やos/exec
もその一部です。
os
パッケージと os/exec
パッケージ
os
パッケージ: オペレーティングシステム機能へのプラットフォーム非依存なインターフェースを提供します。ファイル操作、プロセス管理、環境変数へのアクセスなどが含まれます。os/exec
パッケージ: 外部コマンドの実行に関連する機能を提供します。os
パッケージが提供する低レベルなプロセス開始機能 (os.StartProcess
) の上に構築された、より高レベルなインターフェースを提供します。例えば、コマンドの実行、標準入出力のリダイレクト、コマンドの終了ステータスの取得などが可能です。
このコミットの時点では、exec
パッケージが os
パッケージのサブディレクトリに移動し、そのインポートパスが exec
から os/exec
に変更されたことを意味します。
技術的詳細
このコミットは、src/pkg/os/exec_posix.go
ファイル内のコメントを修正するものです。具体的には、os.StartProcess
関数と os.Exec
関数の説明コメント内で、exec
パッケージへの参照を os/exec
パッケージへの参照に更新しています。
Go言語のコードベースでは、コメントも重要なドキュメントの一部と見なされます。特に、他のパッケージへの参照を含むコメントは、そのパッケージの利用方法や関連性を示す上で非常に重要です。パッケージの再配置が行われた場合、コード内の参照だけでなく、コメント内の参照も更新することで、コードの可読性と正確性を維持します。
この変更は機能的な変更ではなく、純粋にドキュメンテーションの修正です。しかし、このような修正は、将来のGo開発者がコードを理解し、正しく利用するために不可欠です。古いパッケージ名がコメントに残っていると、開発者は存在しないパッケージを探したり、誤った情報を基にコードを書いたりする可能性があります。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/pkg/os/exec_posix.go
+++ b/src/pkg/os/exec_posix.go
@@ -24,7 +24,7 @@ func (sig UnixSignal) String() string {
// StartProcess starts a new process with the program, arguments and attributes
// specified by name, argv and attr.
//
-// StartProcess is a low-level interface. The exec package provides
+// StartProcess is a low-level interface. The os/exec package provides
// higher-level interfaces.
func StartProcess(name string, argv []string, attr *ProcAttr) (p *Process, err error) {
sysattr := &syscall.ProcAttr{
@@ -56,7 +56,7 @@ func (p *Process) Kill() error {
// If successful, Exec never returns. If it fails, it returns an error.
//
// To run a child process, see StartProcess (for a low-level interface)
-// or the exec package (for higher-level interfaces).\n+// or the os/exec package (for higher-level interfaces).
+// or the os/exec package (for higher-level interfaces).
func Exec(name string, argv []string, envv []string) error {
if envv == nil {
envv = Environ()
コアとなるコードの解説
上記の差分は、src/pkg/os/exec_posix.go
ファイル内の2つのコメント行に対する変更を示しています。
-
StartProcess
関数のコメント変更:- 変更前:
// StartProcess is a low-level interface. The exec package provides
- 変更後:
// StartProcess is a low-level interface. The os/exec package provides
- この変更は、
StartProcess
が低レベルなインターフェースであり、より高レベルなインターフェースはexec
パッケージではなくos/exec
パッケージによって提供されることを明確にしています。
- 変更前:
-
Exec
関数のコメント変更:- 変更前:
// or the exec package (for higher-level interfaces).
- 変更後:
// or the os/exec package (for higher-level interfaces).
- 同様に、
Exec
関数が失敗した場合の代替として、子プロセスを実行するための高レベルなインターフェースがexec
パッケージではなくos/exec
パッケージにあることを示しています。
- 変更前:
これらの変更は、Go言語のパッケージ構造の進化に合わせて、コード内のドキュメンテーションを最新の状態に保つためのものです。これにより、開発者は常に正確な情報に基づいてGoの標準ライブラリを利用できるようになります。
関連リンク
特になし。
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメント (Goのパッケージシステムと標準ライブラリの構造に関する一般的な知識)
- Go言語のソースコード (このコミットの変更内容を直接参照)