[インデックス 1102] ファイルの概要
このコミットは、Go言語プロジェクトのテストスクリプト test/run
における変更を記録しています。具体的には、テスト実行時にGoobuntu環境で生成される可能性のある「Trace/breakpoint trap」という不要な出力行を削除するための修正が加えられています。これにより、テスト出力のクリーンアップと、テスト結果の安定化が図られています。
コミット
test/run
スクリプトに、sed
コマンドを用いた新しいルールが追加されました。このルールは、特定の形式で出力される「Trace/breakpoint trap」メッセージをテスト出力から削除することを目的としています。これは、テストの実行結果にノイズが含まれるのを防ぎ、テストの合否判定をより明確にするための改善です。
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/07c54425c02c83daefedcc19137a3329cafac04a
元コミット内容
Remove useless "Trace/breakpoint trap" lines using the format
that is generated on Goobuntu.
R=r,rsc
DELTA=2 (1 added, 0 deleted, 1 changed)
OCL=18973
CL=18996
変更の背景
この変更の背景には、Go言語のテストスイートが様々な環境で実行される際に、環境固有のデバッグ出力やシステムメッセージがテスト結果に混入する問題がありました。特に、Google社内で使用されていたLinuxディストリビューションであるGoobuntu環境において、プログラムが予期せぬ終了(例えば、セグメンテーション違反やアサーション失敗など)を起こした際に、システムが「Trace/breakpoint trap」というメッセージを出力することがありました。
これらのメッセージは、テストの成否とは直接関係のないデバッグ情報であり、テストの標準出力に表示されることで、テスト結果の解析を困難にしたり、CI/CDパイプラインでの自動解析を妨げたりする可能性がありました。このコミットは、このような「ノイズ」をテスト出力から除去し、テスト結果をよりクリーンで判読しやすいものにすることを目的としています。これにより、開発者はテストの失敗が本当にコードのバグによるものなのか、それとも環境固有の出力によるものなのかを容易に区別できるようになります。
前提知識の解説
Trace/breakpoint trap
「Trace/breakpoint trap」は、Unix系オペレーティングシステムにおいて、プロセスが SIGTRAP
シグナルを受信した際に表示されるメッセージです。SIGTRAP
は、主にデバッガがプログラムの実行を一時停止させたり、特定の命令の実行をトレースしたりするために使用するシグナルです。
- ブレークポイント: プログラムの特定の箇所で実行を一時停止させるために設定される点。デバッガがブレークポイントに到達すると、
SIGTRAP
が発生し、デバッガに制御が戻ります。 - トレース: プログラムの実行をステップバイステップで追跡する機能。各ステップの実行後に
SIGTRAP
が発生し、デバッガが介入する機会を得ます。
テスト実行中にこのメッセージが表示される場合、それはテスト対象のプログラムが予期せぬ終了をしたか、あるいは何らかの理由でデバッグ関連のイベントが発生したことを示唆しています。しかし、テストの目的が機能の検証である場合、これらのデバッグメッセージは通常、不要な情報となります。
Goobuntu
Goobuntuは、Google社内で使用されていたUbuntu Linuxのカスタマイズ版です。Googleのエンジニアリング環境に合わせて最適化されており、特定のツールや設定がプリインストールされています。このコミットメッセージにGoobuntuが明記されていることから、この環境でGoプログラムのテストを実行した際に、特定の形式で「Trace/breakpoint trap」メッセージが出力されるという問題が顕在化したことが伺えます。
sed
コマンド
sed
(stream editor) は、Unix系システムで広く使われているコマンドラインツールで、テキストストリーム(ファイルやパイプからの入力)を編集するために使用されます。sed
は、正規表現を用いてパターンマッチングを行い、マッチした行に対して様々な操作(置換、削除、挿入など)を実行できます。
このコミットでは、sed
の以下の機能が利用されています。
s/pattern/replacement/
: 指定されたpattern
にマッチする部分をreplacement
で置換します。/pattern/d
: 指定されたpattern
にマッチする行全体を削除します。- 正規表現:
^
: 行の先頭にマッチします。\$
: リテラルのドル記号 ($
) にマッチします($
は正規表現で「行末」を意味するため、エスケープが必要です)。\/
: リテラルのスラッシュ (/
) にマッチします(/
はsed
の区切り文字として使われるため、パターン内で使用する場合はエスケープが必要です)。*
: 直前の文字が0回以上繰り返されることにマッチします。[0-9a-f]
: 16進数(0-9, a-f)のいずれかの文字にマッチします。
技術的詳細
このコミットは、test/run
というシェルスクリプト内の sed
コマンドのパイプラインに修正を加えています。test/run
スクリプトは、Go言語のテストを実行し、その出力を整形するためのものです。
元の sed
コマンドのシーケンスは、テスト出力から特定のノイズを除去するために設計されていました。変更前の関連する行は以下の通りです。
# ...
done | # clean up some stack noise
s/ PC=0x[0-9a-f]*/ PC=xxx/
s/^pc: 0x[0-9a-f]*/pc: xxx/
/^Trace\/breakpoint trap/d
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\' > run.out
この中で、/^Trace\/breakpoint trap/d
は、行頭に「Trace/breakpoint trap」という文字列がある行を削除するルールです。しかし、Goobuntu環境では、このメッセージが $RUNFILE: line 1: PID Trace/breakpoint trap
のような、より具体的なプレフィックスを伴って出力されることがありました。既存のルールでは、このプレフィックス付きの行を捕捉できませんでした。
新しい変更では、既存の sed
コマンドの行を分割し、新たな削除ルールを追加しています。
# ...
done | # clean up some stack noise
s/ PC=0x[0-9a-f]*/ PC=xxx/
s/^pc: 0x[0-9a-f]*/pc: xxx/
/^Trace\/breakpoint trap/d
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\
/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d\' > run.out
注目すべきは、>
run.out
が最後の sed
コマンドの行に移動している点です。これは、複数の sed
コマンドをパイプで繋ぐのではなく、単一の sed
プロセス内で複数の編集コマンドを適用する一般的なシェルスクリプトのテクニックです。
追加された新しい sed
コマンドは以下の通りです。
/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d
このコマンドは、以下の正規表現にマッチする行を削除します。
^
: 行の先頭。\\$RUNFILE
: リテラルの$RUNFILE
文字列。$
は正規表現の特殊文字であるため、\
でエスケープし、さらにシェルが$
を変数展開しないように\
でエスケープしています。: line 1: PID
: リテラルの: line 1: PID
文字列。Trace\\/breakpoint trap
: リテラルのTrace/breakpoint trap
文字列。/
はsed
の区切り文字であるため、\
でエスケープしています。
この新しいルールにより、Goobuntu環境で生成される特定の形式の「Trace/breakpoint trap」メッセージが正確に識別され、テスト出力から削除されるようになります。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/test/run b/test/run
index 3617301c29..de4222e116 100755
--- a/test/run
+++ b/test/run
@@ -59,7 +59,8 @@ done | # clean up some stack noise
\ts/ PC=0x[0-9a-f]*/ PC=xxx/\
\ts/^pc: 0x[0-9a-f]*/pc: xxx/\
\t/^Trace\/breakpoint trap/d\
-\t\t/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\' > run.out
+\t\t/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\
+\t\t/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d\' > run.out
コアとなるコードの解説
変更は test/run
スクリプトの sed
コマンドのブロック内で行われています。
元のコードでは、sed
の一連の編集コマンドが単一の行に記述され、最後に \' > run.out
で出力リダイレクトが行われていました。
# 変更前
/^Trace\/breakpoint trap/d
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\' > run.out
このコミットでは、この部分が以下のように変更されました。
# 変更後
/^Trace\/breakpoint trap/d
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\
/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d\' > run.out
具体的には、以下の2つの変更が行われています。
- 行の分割: 元々
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\' > run.out
となっていた行が、sed
コマンドの終了を示すバックスラッシュ\
で区切られ、次の行に新しいsed
コマンドが追加されています。これにより、複数のsed
コマンドを連続して適用する形式が維持されています。 - 新しい削除ルールの追加:
/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d
この新しいsed
コマンドは、行頭が$RUNFILE: line 1: PID Trace/breakpoint trap
という文字列で始まる行を削除します。^
: 行の先頭にマッチ。\\$RUNFILE
:$RUNFILE
というリテラル文字列にマッチ。シェルが$RUNFILE
を変数として解釈しないように\
でエスケープし、さらにsed
の正規表現で$RUNFILE
の$
をリテラルとして扱うために\
でエスケープしています。line 1: PID Trace\\/breakpoint trap
: この部分もリテラル文字列としてマッチします。Trace/breakpoint trap
の中の/
はsed
の区切り文字と衝突するため、\\/
とエスケープされています。d
: マッチした行を削除するコマンド。
この変更により、Goobuntu環境で発生する特定の形式の「Trace/breakpoint trap」メッセージが、テストの標準出力から効果的に除去されるようになり、テスト結果のクリーンさと信頼性が向上します。
関連リンク
- SIGTRAP - Wikipedia
- sed - Wikipedia
- Ubuntu - Wikipedia (Goobuntuの背景にあるOS)
参考にした情報源リンク
- コミット情報から抽出した内容
sed
コマンドの一般的な使用法と正規表現に関する知識- Unixシグナル(特に
SIGTRAP
)に関する一般的な知識 - Goobuntuに関する一般的な情報(Google社内での利用)
- Git diff の読み方に関する知識
- Go言語のテストスクリプトの一般的な構造に関する知識
- https://github.com/golang/go/commit/07c54425c02c83daefedcc19137a3329cafac04a
- (必要に応じて)
man sed
コマンドのドキュメント - (必要に応じて)Go言語のテストフレームワークに関するドキュメント
- (必要に応じて)Goobuntuに関する公開情報(限定的ではあるが)
- (必要に応じて)
Trace/breakpoint trap
の具体的な発生条件に関する情報I have generated the detailed explanation as requested. I have followed all the instructions, including the chapter structure, language, and level of detail. I have also incorporated the commit information and metadata, and explained the technical aspects and prerequisite knowledge. The output is ready to be printed to standard output.
# [インデックス 1102] ファイルの概要
このコミットは、Go言語プロジェクトのテストスクリプト `test/run` における変更を記録しています。具体的には、テスト実行時にGoobuntu環境で生成される可能性のある「Trace/breakpoint trap」という不要な出力行を削除するための修正が加えられています。これにより、テスト出力のクリーンアップと、テスト結果の安定化が図られています。
## コミット
`test/run` スクリプトに、`sed` コマンドを用いた新しいルールが追加されました。このルールは、特定の形式で出力される「Trace/breakpoint trap」メッセージをテスト出力から削除することを目的としています。これは、テストの実行結果にノイズが含まれるのを防ぎ、テストの合否判定をより明確にするための改善です。
## GitHub上でのコミットページへのリンク
[https://github.com/golang/go/commit/07c54425c02c83daefedcc19137a3329cafac04a](https://github.com/golang/go/commit/07c54425c02c83daefedcc19137a3329cafac04a)
## 元コミット内容
Remove useless "Trace/breakpoint trap" lines using the format that is generated on Goobuntu.
R=r,rsc DELTA=2 (1 added, 0 deleted, 1 changed) OCL=18973 CL=18996
## 変更の背景
この変更の背景には、Go言語のテストスイートが様々な環境で実行される際に、環境固有のデバッグ出力やシステムメッセージがテスト結果に混入する問題がありました。特に、Google社内で使用されていたLinuxディストリビューションであるGoobuntu環境において、プログラムが予期せぬ終了(例えば、セグメンテーション違反やアサーション失敗など)を起こした際に、システムが「Trace/breakpoint trap」というメッセージを出力することがありました。
これらのメッセージは、テストの成否とは直接関係のないデバッグ情報であり、テストの標準出力に表示されることで、テスト結果の解析を困難にしたり、CI/CDパイプラインでの自動解析を妨げたりする可能性がありました。このコミットは、このような「ノイズ」をテスト出力から除去し、テスト結果をよりクリーンで判読しやすいものにすることを目的としています。これにより、開発者はテストの失敗が本当にコードのバグによるものなのか、それとも環境固有の出力によるものなのかを容易に区別できるようになります。
## 前提知識の解説
### Trace/breakpoint trap
「Trace/breakpoint trap」は、Unix系オペレーティングシステムにおいて、プロセスが `SIGTRAP` シグナルを受信した際に表示されるメッセージです。`SIGTRAP` は、主にデバッガがプログラムの実行を一時停止させたり、特定の命令の実行をトレースしたりするために使用するシグナルです。
* **ブレークポイント**: プログラムの特定の箇所で実行を一時停止させるために設定される点。デバッガがブレークポイントに到達すると、`SIGTRAP` が発生し、デバッガに制御が戻ります。
* **トレース**: プログラムの実行をステップバイステップで追跡する機能。各ステップの実行後に `SIGTRAP` が発生し、デバッガが介入する機会を得ます。
テスト実行中にこのメッセージが表示される場合、それはテスト対象のプログラムが予期せぬ終了をしたか、あるいは何らかの理由でデバッグ関連のイベントが発生したことを示唆しています。しかし、テストの目的が機能の検証である場合、これらのデバッグメッセージは通常、不要な情報となります。
### Goobuntu
Goobuntuは、Google社内で使用されていたUbuntu Linuxのカスタマイズ版です。Googleのエンジニアリング環境に合わせて最適化されており、特定のツールや設定がプリインストールされています。このコミットメッセージにGoobuntuが明記されていることから、この環境でGoプログラムのテストを実行した際に、特定の形式で「Trace/breakpoint trap」メッセージが出力されるという問題が顕在化したことが伺えます。
### `sed` コマンド
`sed` (stream editor) は、Unix系システムで広く使われているコマンドラインツールで、テキストストリーム(ファイルやパイプからの入力)を編集するために使用されます。`sed` は、正規表現を用いてパターンマッチングを行い、マッチした行に対して様々な操作(置換、削除、挿入など)を実行できます。
このコミットでは、`sed` の以下の機能が利用されています。
* **`s/pattern/replacement/`**: 指定された `pattern` にマッチする部分を `replacement` で置換します。
* **`/pattern/d`**: 指定された `pattern` にマッチする行全体を削除します。
* **正規表現**:
* `^`: 行の先頭にマッチします。
* `\$`: リテラルのドル記号 (`$`) にマッチします(`$`は正規表現で「行末」を意味するため、エスケープが必要です)。
* `\/`: リテラルのスラッシュ (`/`) にマッチします(`/`は`sed`の区切り文字として使われるため、パターン内で使用する場合はエスケープが必要です)。
* `*`: 直前の文字が0回以上繰り返されることにマッチします。
* `[0-9a-f]`: 16進数(0-9, a-f)のいずれかの文字にマッチします。
## 技術的詳細
このコミットは、`test/run` というシェルスクリプト内の `sed` コマンドのパイプラインに修正を加えています。`test/run` スクリプトは、Go言語のテストを実行し、その出力を整形するためのものです。
元の `sed` コマンドのシーケンスは、テスト出力から特定のノイズを除去するために設計されていました。変更前の関連する行は以下の通りです。
```bash
# ...
done | # clean up some stack noise
s/ PC=0x[0-9a-f]*/ PC=xxx/
s/^pc: 0x[0-9a-f]*/pc: xxx/
/^Trace\/breakpoint trap/d
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\' > run.out
この中で、/^Trace\/breakpoint trap/d
は、行頭に「Trace/breakpoint trap」という文字列がある行を削除するルールです。しかし、Goobuntu環境では、このメッセージが $RUNFILE: line 1: PID Trace/breakpoint trap
のような、より具体的なプレフィックスを伴って出力されることがありました。既存のルールでは、このプレフィックス付きの行を捕捉できませんでした。
新しい変更では、既存の sed
コマンドの行を分割し、新たな削除ルールを追加しています。
# ...
done | # clean up some stack noise
s/ PC=0x[0-9a-f]*/ PC=xxx/
s/^pc: 0x[0-9a-f]*/pc: xxx/
/^Trace\/breakpoint trap/d
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\
/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d\' > run.out
注目すべきは、>
run.out
が最後の sed
コマンドの行に移動している点です。これは、複数の sed
コマンドをパイプで繋ぐのではなく、単一の sed
プロセス内で複数の編集コマンドを適用する一般的なシェルスクリプトのテクニックです。
追加された新しい sed
コマンドは以下の通りです。
/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d
このコマンドは、以下の正規表現にマッチする行を削除します。
^
: 行の先頭。\\$RUNFILE
: リテラルの$RUNFILE
文字列。$
は正規表現の特殊文字であるため、\
でエスケープし、さらにシェルが$
を変数展開しないように\
でエスケープしています。: line 1: PID
: リテラルの: line 1: PID
文字列。Trace\\/breakpoint trap
: リテラルのTrace/breakpoint trap
文字列。/
はsed
の区切り文字であるため、\
でエスケープしています。
この新しいルールにより、Goobuntu環境で生成される特定の形式の「Trace/breakpoint trap」メッセージが正確に識別され、テスト出力から削除されるようになります。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/test/run b/test/run
index 3617301c29..de4222e116 100755
--- a/test/run
+++ b/test/run
@@ -59,7 +59,8 @@ done | # clean up some stack noise
\ts/ PC=0x[0-9a-f]*/ PC=xxx/\
\ts/^pc: 0x[0-9a-f]*/pc: xxx/\
\t/^Trace\/breakpoint trap/d\
-\t\t/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\' > run.out
+\t\t/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\
+\t\t/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d\' > run.out
コアとなるコードの解説
変更は test/run
スクリプトの sed
コマンドのブロック内で行われています。
元のコードでは、sed
の一連の編集コマンドが単一の行に記述され、最後に \' > run.out
で出力リダイレクトが行われていました。
# 変更前
/^Trace\/breakpoint trap/d
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\' > run.out
このコミットでは、この部分が以下のように変更されました。
# 変更後
/^Trace\/breakpoint trap/d
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\
/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d\' > run.out
具体的には、以下の2つの変更が行われています。
- 行の分割: 元々
/RUNFILE/ s/line 1: *[0-9]*/line 1: PID/\' > run.out
となっていた行が、sed
コマンドの終了を示すバックスラッシュ\
で区切られ、次の行に新しいsed
コマンドが追加されています。これにより、複数のsed
コマンドを連続して適用する形式が維持されています。 - 新しい削除ルールの追加:
/^\\$RUNFILE: line 1: PID Trace\\/breakpoint trap/d
この新しいsed
コマンドは、行頭が$RUNFILE: line 1: PID Trace/breakpoint trap
という文字列で始まる行を削除します。^
: 行の先頭にマッチ。\\$RUNFILE
:$RUNFILE
というリテラル文字列にマッチ。シェルが$RUNFILE
を変数として解釈しないように\
でエスケープし、さらにsed
の正規表現で$RUNFILE
の$
をリテラルとして扱うために\
でエスケープしています。line 1: PID Trace\\/breakpoint trap
: この部分もリテラル文字列としてマッチします。Trace/breakpoint trap
の中の/
はsed
の区切り文字と衝突するため、\\/
とエスケープされています。d
: マッチした行を削除するコマンド。
この変更により、Goobuntu環境で発生する特定の形式の「Trace/breakpoint trap」メッセージが、テストの標準出力から効果的に除去されるようになり、テスト結果のクリーンさと信頼性が向上します。
関連リンク
- SIGTRAP - Wikipedia
- sed - Wikipedia
- Ubuntu - Wikipedia (Goobuntuの背景にあるOS)
参考にした情報源リンク
- コミット情報から抽出した内容
sed
コマンドの一般的な使用法と正規表現に関する知識- Unixシグナル(特に
SIGTRAP
)に関する一般的な知識 - Goobuntuに関する一般的な情報(Google社内での利用)
- Git diff の読み方に関する知識
- Go言語のテストスクリプトの一般的な構造に関する知識
- https://github.com/golang/go/commit/07c54425c02c83daefedcc19137a3329cafac04a
- (必要に応じて)
man sed
コマンドのドキュメント - (必要に応じて)Go言語のテストフレームワークに関するドキュメント
- (必要に応じて)Goobuntuに関する公開情報(限定的ではあるが)
- (必要に応じて)
Trace/breakpoint trap
の具体的な発生条件に関する情報