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[インデックス 11023] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のunsafeパッケージ内のコメントを更新し、非推奨となったreflect.MakeZero関数への参照を、現在の推奨されるreflect.Newまたはreflect.Zero関数に修正するものです。これにより、unsafe.New関数の利用者が、reflectパッケージの最新かつ適切なAPIを使用するように誘導されます。

コミット

unsafe: refer to correct reflect functions

Fixes #2641.

R=golang-dev, dsymonds
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5509043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/9d92676f63c3de78eeaab302bc5868308e6af5ad

元コミット内容

commit 9d92676f63c3de78eeaab302bc5868308e6af5ad
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date:   Wed Jan 4 17:14:56 2012 +1100

    unsafe: refer to correct reflect functions
    
    Fixes #2641.
    
    R=golang-dev, dsymonds
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5509043
---
 src/pkg/unsafe/unsafe.go | 2 +-\n 1 file changed, 1 insertion(+), 1 deletion(-)\n

変更の背景

Go言語のreflectパッケージでは、型のゼロ値を生成するためのAPIが進化してきました。元々reflect.MakeZeroという関数が存在しましたが、これは後に非推奨となり、その機能はreflect.Zeroに置き換えられました。また、新しいゼロ値を割り当ててそのポインタを返す場合にはreflect.Newが使用されます。

このコミットが行われる前、src/pkg/unsafe/unsafe.goファイル内のunsafe.New関数のコメントには、reflect.MakeZeroを使用するように推奨する記述が残っていました。これは古い情報であり、開発者が非推奨のAPIを使用する原因となる可能性がありました。

この不整合は、GoのIssue #2641として報告されました。このコミットは、そのIssueを解決するために、unsafe.New関数のコメントを更新し、現在の推奨されるreflect.Newまたはreflect.Zero関数を参照するように修正したものです。これにより、ドキュメントが最新のAPIと一致し、開発者が正しい関数を使用するように導かれます。

前提知識の解説

Go言語のunsafeパッケージ

unsafeパッケージは、Go言語の型安全性を意図的にバイパスする機能を提供します。これには、任意の型へのポインタをunsafe.Pointer型に変換したり、その逆を行ったりする機能が含まれます。また、ポインタ演算(ポインタのアドレスを直接操作する)も可能です。通常、Go言語は厳格な型システムを持ち、メモリの直接操作を制限することで安全性を確保していますが、unsafeパッケージは、特定の高性能な処理や、システムレベルのプログラミングにおいて、この制限を解除する必要がある場合に使用されます。しかし、誤用するとメモリ破壊や未定義の動作を引き起こす可能性があるため、非常に注意して使用する必要があります。

Go言語のreflectパッケージ

reflectパッケージは、Goプログラムが実行時に自身の構造を検査し、操作するための機能を提供します。これにより、プログラムは変数の型、値、構造体のフィールドなどを動的に調べたり、変更したりすることができます。 reflectパッケージの主要な型にはreflect.Type(型の情報を表す)とreflect.Value(値の情報を表す)があります。

reflect.New(typ reflect.Type) reflect.Value

この関数は、Goの組み込み関数new(T)に似ています。指定されたreflect.Typeの新しいゼロ値をメモリ上に割り当て、その値へのポインタを表すreflect.Valueを返します。返されるreflect.Valueは常にポインタ型(Ptr)であり、そのElem()メソッドを呼び出すことで、割り当てられたゼロ値自体(アドレス指定可能で変更可能)にアクセスできます。これは、新しいインスタンスを動的に作成し、その内容を操作したい場合に特に有用です。

reflect.Zero(typ reflect.Type) reflect.Value

この関数は、指定されたreflect.Typeのゼロ値を表すreflect.Valueを返します。例えば、int型であれば0string型であれば空文字列""、構造体であれば全てのフィールドがそれぞれのゼロ値に初期化された構造体のreflect.Valueを返します。reflect.Newとは異なり、reflect.Zeroが返すreflect.Valueはアドレス指定可能ではなく、直接変更することはできません。これは、単に型のゼロ値の表現が必要な場合や、比較のために使用されます。

reflect.MakeZero

reflect.MakeZeroは、かつてreflect.Zeroと同じ目的で使用されていた関数ですが、現在は非推奨(deprecated)となっています。このコミットは、この非推奨となった関数への参照を、現在の推奨されるreflect.Newまたはreflect.Zeroに置き換えるものです。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は、src/pkg/unsafe/unsafe.goファイル内の単一のコメント行の修正に限定されています。

具体的には、unsafe.New関数のドキュメンテーションコメントにおいて、以前は「reflect.MakeZeroを直接呼び出す代わりにreflect.MakeZeroを使用すべき」という誤った(または古い)推奨がされていました。このコミットは、この部分を「reflect.Newまたはreflect.Zeroを直接呼び出す代わりにunsafe.Newを使用すべき」という形に修正しています。

これは、コードの動作自体には影響を与えません。unsafe.New関数の内部実装や、Goプログラムの実行時の挙動が変わるわけではありません。しかし、この変更は、unsafe.New関数を使用する開発者に対して、reflectパッケージのAPIに関する正確で最新の情報を提供することを目的としています。これにより、開発者は非推奨の関数ではなく、Goの現在のイディオムに沿ったreflect.Newreflect.Zeroを使用するよう促されます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/unsafe/unsafe.go
+++ b/src/pkg/unsafe/unsafe.go
@@ -52,7 +52,7 @@ func Unreflect(typ interface{}, addr Pointer) (ret interface{})\n
 // New allocates and returns a pointer to memory for a new value of the given type.
 // The typ is assumed to hold a pointer to a runtime type.
 // Callers should use reflect.MakeZero instead of invoking unsafe.New directly.
-// Callers should use reflect.New or reflect.Zero instead of invoking unsafe.New directly.
+// Callers should use reflect.New or reflect.Zero instead of invoking unsafe.New directly.
 func New(typ interface{}) Pointer

 // NewArray allocates and returns a pointer to an array of n elements of the given type.

コアとなるコードの解説

上記の差分が示すように、変更はsrc/pkg/unsafe/unsafe.goファイルの54行目にあるコメントにあります。

  • 変更前 (-で始まる行):

    // Callers should use reflect.MakeZero instead of invoking unsafe.New directly.
    

    この行は、unsafe.Newを直接呼び出す代わりにreflect.MakeZeroを使用することを推奨していました。しかし、前述の通りreflect.MakeZeroは非推奨の関数です。

  • 変更後 (+で始まる行):

    // Callers should use reflect.New or reflect.Zero instead of invoking unsafe.New directly.
    

    この行は、推奨される関数をreflect.Newまたはreflect.Zeroに更新しています。これは、reflectパッケージの現在のAPIと一致しており、開発者が新しいゼロ値を割り当てる(reflect.New)か、単にゼロ値を取得する(reflect.Zero)か、目的に応じて適切な関数を選択するように促します。

この変更は、コードの機能には影響を与えず、純粋にドキュメンテーションの正確性を向上させるものです。これにより、unsafe.Newの利用者が、Goのreflectパッケージの最新かつ正しい使用方法を理解しやすくなります。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語 reflect.MakeZero vs reflect.New vs reflect.Zero に関するWeb検索結果
  • Go言語 Issue 2641 に関するWeb検索結果