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[インデックス 11136] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるnet/httpパッケージ内のRequest.Writeメソッドにおけるバッファのフラッシュ処理に関するエラーハンドリングの改善を目的としています。具体的には、bufio.WriterFlushメソッドが返すエラーが適切に処理されていなかった問題を修正し、ネットワーク通信の信頼性を向上させています。

コミット

commit 7a7d3453917c92bdd27d2b0e3fbb7d027597dcfb
Author: Brad Fitzpatrick <bradfitz@golang.org>
Date:   Thu Jan 12 13:15:40 2012 -0800

    net/http: don't ignore Request.Write's Flush error

    Pointed out by nekotaroh in issue 2645

    R=golang-dev, gri
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5539045

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/7a7d3453917c92bdd27d2b0e3fbb7d027597dcfb

元コミット内容

net/http: don't ignore Request.Write's Flush error

Pointed out by nekotaroh in issue 2645

R=golang-dev, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5539045

変更の背景

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるnet/httpパッケージにおいて、HTTPリクエストの書き込み処理中に発生する可能性のある重要なエラーが無視されていた問題を修正するために行われました。具体的には、Request.Writeメソッド内で使用されているbufio.WriterFlushメソッドがエラーを返した場合、そのエラーが呼び出し元に伝播されずに握りつぶされてしまうというバグが存在していました。

この問題は、nekotaroh氏によってGoのIssueトラッカー(Issue 2645)で指摘されました。Flush操作は、バッファリングされたデータを実際に基となるio.Writer(この場合はネットワーク接続)に書き出す役割を担っています。この書き出し処理中にネットワークの問題(例: 接続切断、タイムアウト)が発生した場合、Flushはエラーを返します。しかし、既存の実装ではこのエラーが無視されていたため、アプリケーションはデータが正常に送信されたと誤認し、結果としてデータの不整合やデッドロック、あるいはクライアント側での予期せぬ動作を引き起こす可能性がありました。

この変更は、HTTP通信の信頼性と堅牢性を向上させる上で非常に重要であり、潜在的なデータ損失やプロトコル違反を防ぐことを目的としています。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語およびネットワークプログラミングに関する基本的な概念を理解しておく必要があります。

  • net/httpパッケージ: Go言語の標準ライブラリで、HTTPクライアントおよびサーバーの実装を提供します。Webアプリケーション開発において中心的な役割を担います。
  • io.Writerインターフェース: データを書き込むための基本的なインターフェースです。Write([]byte) (n int, err error)メソッドを持ち、バイトスライスを書き込み、書き込んだバイト数とエラーを返します。
  • bufio.Writer: io.Writerをラップし、内部バッファリングを行うことで、小さな書き込み操作を効率化する型です。データをすぐに基となるio.Writerに書き出すのではなく、一時的にメモリに保持し、バッファが満たされるか、明示的にFlushが呼び出されるか、またはCloseされるまで書き出しを遅延させます。
  • Flush()メソッド: bufio.Writerのメソッドで、内部バッファに蓄積されたすべてのデータを強制的に基となるio.Writerに書き出します。この操作中にエラーが発生する可能性があり、その場合はエラーを返します。
  • エラーハンドリング: Go言語では、関数がエラーを返す場合、そのエラーを適切にチェックし、処理することが推奨されます。エラーを無視することは、プログラムの予期せぬ動作やバグにつながる可能性があります。
  • HTTPリクエストの送信: HTTPクライアントがサーバーにリクエストを送信する際、リクエストヘッダやボディなどのデータはネットワークを通じて送信されます。この送信プロセスには、データのバッファリングとフラッシュが含まれることが一般的です。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、net/httpパッケージ内のRequest構造体のwriteメソッドにおけるbufio.Writer.Flush()の戻り値の扱いを変更した点にあります。

変更前のコードでは、Request.writeメソッドの最後にbw.Flush()が呼び出されていましたが、その戻り値であるエラーはチェックされずに破棄されていました。その後、無条件にnilが返されていました。

// 変更前
if err != nil {
    return err
}
bw.Flush() // ここでエラーが無視される
return nil

この実装では、bw.Flush()がネットワークエラー(例: 接続が切断された、書き込みタイムアウトが発生した)を返した場合でも、Request.writeメソッドは常にnil(エラーなし)を返していました。これは、リクエストの送信が実際には失敗しているにもかかわらず、呼び出し元には成功したかのように見えてしまうという深刻な問題を引き起こします。

変更後のコードでは、bw.Flush()の戻り値が直接Request.writeメソッドの戻り値として使用されるように修正されました。

// 変更後
if err != nil {
    return err
}
return bw.Flush() // Flushのエラーが適切に返される

この修正により、Flush操作中に発生したエラーが適切に呼び出し元に伝播されるようになります。これにより、net/httpクライアントを使用するアプリケーションは、リクエストの送信が実際に成功したかどうかを正確に判断し、必要に応じてエラーハンドリングやリトライロジックを実装できるようになります。

これは、Goの「エラーを明示的に扱う」という設計哲学に沿った修正であり、堅牢なネットワークアプリケーションを構築する上で不可欠な変更です。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/net/http/request.goファイル内のfunc (req *Request) write(...) errorメソッドにあります。

--- a/src/pkg/net/http/request.go
+++ b/src/pkg/net/http/request.go
@@ -368,8 +368,8 @@ func (req *Request) write(w io.Writer, usingProxy bool, extraHeaders Header) err
 	if err != nil {
 		return err
 	}
-	bw.Flush()
-	return nil
+
+	return bw.Flush()
 }

コアとなるコードの解説

変更されたのは、Request構造体のwriteメソッドの末尾部分です。

  • 変更前:

    	if err != nil {
    		return err
    	}
    	bw.Flush() // ここでバッファをフラッシュするが、戻り値のエラーは破棄される
    	return nil  // 無条件にnilを返す
    

    このコードでは、bw.Flush()が呼び出された後、その結果(エラーの有無)に関わらず、常にnilが返されていました。これは、Flush操作でエラーが発生しても、そのエラーが呼び出し元に通知されないことを意味します。

  • 変更後:

    	if err != nil {
    		return err
    	}
    	return bw.Flush() // bw.Flush()の戻り値(エラーまたはnil)を直接返す
    

    この修正により、bw.Flush()が返すエラーが、そのままRequest.writeメソッドの戻り値として返されるようになりました。これにより、Flush操作中に発生したネットワークエラーなどが、メソッドの呼び出し元に正確に伝達されるようになり、適切なエラー処理が可能になります。

この変更は非常に小さく見えますが、ネットワーク通信の信頼性という観点からは非常に重要な修正です。エラーを無視しないことで、アプリケーションはより堅牢になり、予期せぬネットワークの問題に対して適切に対応できるようになります。

関連リンク

  • Go Issue 2645: https://github.com/golang/go/issues/2645
    • このコミットの背景となった、net/httpRequest.WriteにおけるFlushエラー無視の問題を指摘したIssue。
  • Go Change-ID (Gerrit): https://golang.org/cl/5539045
    • このコミットに対応するGerrit上のコードレビューページ。当時のGoプロジェクトのコードレビュープロセスで使用されていたシステム。

参考にした情報源リンク

  • Go Issue 2645: https://github.com/golang/go/issues/2645 (Web検索で確認)
  • Go言語の公式ドキュメント (net/http, bufioパッケージ): Go言語の標準ライブラリの動作に関する一般的な知識。
  • Gitコミット情報 (./commit_data/11136.txt): コミットメッセージ、作者、日付、変更ファイル、diff情報。
  • GitHub上のコミットページ: `https://github.com/golang/go/commit/7a7d3453917c92bdd27d2b0e3fbb7d027597dcfb````markdown

[インデックス 11136] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるnet/httpパッケージ内のRequest.Writeメソッドにおけるバッファのフラッシュ処理に関するエラーハンドリングの改善を目的としています。具体的には、bufio.WriterFlushメソッドが返すエラーが適切に処理されていなかった問題を修正し、ネットワーク通信の信頼性を向上させています。

コミット

commit 7a7d3453917c92bdd27d2b0e3fbb7d027597dcfb
Author: Brad Fitzpatrick <bradfitz@golang.org>
Date:   Thu Jan 12 13:15:40 2012 -0800

    net/http: don't ignore Request.Write's Flush error

    Pointed out by nekotaroh in issue 2645

    R=golang-dev, gri
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5539045

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/7a7d3453917c92bdd27d2b0e3fbb7d027597dcfb

元コミット内容

net/http: don't ignore Request.Write's Flush error

Pointed out by nekotaroh in issue 2645

R=golang-dev, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5539045

変更の背景

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるnet/httpパッケージにおいて、HTTPリクエストの書き込み処理中に発生する可能性のある重要なエラーが無視されていた問題を修正するために行われました。具体的には、Request.Writeメソッド内で使用されているbufio.WriterFlushメソッドがエラーを返した場合、そのエラーが呼び出し元に伝播されずに握りつぶされてしまうというバグが存在していました。

この問題は、nekotaroh氏によってGoのIssueトラッカー(Issue 2645)で指摘されました。Flush操作は、バッファリングされたデータを実際に基となるio.Writer(この場合はネットワーク接続)に書き出す役割を担っています。この書き出し処理中にネットワークの問題(例: 接続切断、タイムアウト)が発生した場合、Flushはエラーを返します。しかし、既存の実装ではこのエラーが無視されていたため、アプリケーションはデータが正常に送信されたと誤認し、結果としてデータの不整合やデッドロック、あるいはクライアント側での予期せぬ動作を引き起こす可能性がありました。

この変更は、HTTP通信の信頼性と堅牢性を向上させる上で非常に重要であり、潜在的なデータ損失やプロトコル違反を防ぐことを目的としています。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語およびネットワークプログラミングに関する基本的な概念を理解しておく必要があります。

  • net/httpパッケージ: Go言語の標準ライブラリで、HTTPクライアントおよびサーバーの実装を提供します。Webアプリケーション開発において中心的な役割を担います。
  • io.Writerインターフェース: データを書き込むための基本的なインターフェースです。Write([]byte) (n int, err error)メソッドを持ち、バイトスライスを書き込み、書き込んだバイト数とエラーを返します。
  • bufio.Writer: io.Writerをラップし、内部バッファリングを行うことで、小さな書き込み操作を効率化する型です。データをすぐに基となるio.Writerに書き出すのではなく、一時的にメモリに保持し、バッファが満たされるか、明示的にFlushが呼び出されるか、またはCloseされるまで書き出しを遅延させます。
  • Flush()メソッド: bufio.Writerのメソッドで、内部バッファに蓄積されたすべてのデータを強制的に基となるio.Writerに書き出します。この操作中にエラーが発生する可能性があり、その場合はエラーを返します。
  • エラーハンドリング: Go言語では、関数がエラーを返す場合、そのエラーを適切にチェックし、処理することが推奨されます。エラーを無視することは、プログラムの予期せぬ動作やバグにつながる可能性があります。
  • HTTPリクエストの送信: HTTPクライアントがサーバーにリクエストを送信する際、リクエストヘッダやボディなどのデータはネットワークを通じて送信されます。この送信プロセスには、データのバッファリングとフラッシュが含まれることが一般的です。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、net/httpパッケージ内のRequest構造体のwriteメソッドにおけるbufio.Writer.Flush()の戻り値の扱いを変更した点にあります。

変更前のコードでは、Request.writeメソッドの最後にbw.Flush()が呼び出されていましたが、その戻り値であるエラーはチェックされずに破棄されていました。その後、無条件にnilが返されていました。

// 変更前
if err != nil {
    return err
}
bw.Flush() // ここでエラーが無視される
return nil

この実装では、bw.Flush()がネットワークエラー(例: 接続が切断された、書き込みタイムアウトが発生した)を返した場合でも、Request.writeメソッドは常にnil(エラーなし)を返していました。これは、リクエストの送信が実際には失敗しているにもかかわらず、呼び出し元には成功したかのように見えてしまうという深刻な問題を引き起こします。

変更後のコードでは、bw.Flush()の戻り値が直接Request.writeメソッドの戻り値として使用されるように修正されました。

// 変更後
if err != nil {
    return err
}
return bw.Flush() // Flushのエラーが適切に返される

この修正により、Flush操作中に発生したエラーが適切に呼び出し元に伝播されるようになります。これにより、net/httpクライアントを使用するアプリケーションは、リクエストの送信が実際に成功したかどうかを正確に判断し、必要に応じてエラーハンドリングやリトライロジックを実装できるようになります。

これは、Goの「エラーを明示的に扱う」という設計哲学に沿った修正であり、堅牢なネットワークアプリケーションを構築する上で不可欠な変更です。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/net/http/request.goファイル内のfunc (req *Request) write(...) errorメソッドにあります。

--- a/src/pkg/net/http/request.go
+++ b/src/pkg/net/http/request.go
@@ -368,8 +368,8 @@ func (req *Request) write(w io.Writer, usingProxy bool, extraHeaders Header) err
 	if err != nil {
 		return err
 	}
-	bw.Flush()
-	return nil
+
+	return bw.Flush()
 }

コアとなるコードの解説

変更されたのは、Request構造体のwriteメソッドの末尾部分です。

  • 変更前:

    	if err != nil {
    		return err
    	}
    	bw.Flush() // ここでバッファをフラッシュするが、戻り値のエラーは破棄される
    	return nil  // 無条件にnilを返す
    

    このコードでは、bw.Flush()が呼び出された後、その結果(エラーの有無)に関わらず、常にnilが返されていました。これは、Flush操作でエラーが発生しても、そのエラーが呼び出し元に通知されないことを意味します。

  • 変更後:

    	if err != nil {
    		return err
    	}
    	return bw.Flush() // bw.Flush()の戻り値(エラーまたはnil)を直接返す
    

    この修正により、bw.Flush()が返すエラーが、そのままRequest.writeメソッドの戻り値として返されるようになりました。これにより、Flush操作中に発生したネットワークエラーなどが、メソッドの呼び出し元に正確に伝達されるようになり、適切なエラー処理が可能になります。

この変更は非常に小さく見えますが、ネットワーク通信の信頼性という観点からは非常に重要な修正です。エラーを無視しないことで、アプリケーションはより堅牢になり、予期せぬネットワークの問題に対して適切に対応できるようになります。

関連リンク

  • Go Issue 2645: https://github.com/golang/go/issues/2645
    • このコミットの背景となった、net/httpRequest.WriteにおけるFlushエラー無視の問題を指摘したIssue。
  • Go Change-ID (Gerrit): https://golang.org/cl/5539045
    • このコミットに対応するGerrit上のコードレビューページ。当時のGoプロジェクトのコードレビュープロセスで使用されていたシステム。

参考にした情報源リンク

  • Go Issue 2645: https://github.com/golang/go/issues/2645 (Web検索で確認)
  • Go言語の公式ドキュメント (net/http, bufioパッケージ): Go言語の標準ライブラリの動作に関する一般的な知識。
  • Gitコミット情報 (./commit_data/11136.txt): コミットメッセージ、作者、日付、変更ファイル、diff情報。
  • GitHub上のコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/7a7d3453917c92bdd27d2b0e3fbb7d027597dcfb