[インデックス 11150] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のドキュメンテーションツールであるgodoc
における表示の不具合を修正するものです。具体的には、godoc
のテキストモード(URLに?m=text
を付加してアクセスした場合)で、パッケージ名が正しく表示されない問題を解決しています。変更は、godoc
が使用するHTMLテンプレートとテキストテンプレート内の変数名を修正することで行われています。
コミット
commit 45ca908f890776459b46110dc44a4a99fc2160fb
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date: Thu Jan 12 17:54:17 2012 -0800
godoc: fix missing name change
Fixes godoc text mode (i.e., URL?m=text).
R=golang-dev, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5545043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/45ca908f890776459b46110dc44a4a99fc2160fb
元コミット内容
godoc: fix missing name change
Fixes godoc text mode (i.e., URL?m=text).
R=golang-dev, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5545043
変更の背景
このコミットの背景には、godoc
ツールがパッケージのドキュメンテーションを生成する際に、内部で使用するテンプレートの変数名が変更されたにもかかわらず、一部のテンプレートファイルでその変更が反映されていなかったという問題があります。特に、godoc
のテキスト表示モード(?m=text
パラメータでアクセスされる形式)において、パッケージ名が正しく表示されないというバグが発生していました。この修正は、その表示の不整合を解消し、godoc
が意図通りに機能するようにすることを目的としています。
前提知識の解説
godoc
:godoc
はGo言語に標準で付属するドキュメンテーションツールです。Goのソースコードからコメントを解析し、HTML形式やプレーンテキスト形式でドキュメンテーションを生成・表示します。ローカルで実行することも、pkg.go.dev
のようなオンラインサービスで利用することもできます。開発者はgodoc
を使って、パッケージ、関数、型、変数などのドキュメントを簡単に参照できます。- Goテンプレート: Go言語には、HTMLやテキストなどの出力を生成するための強力なテンプレートエンジンが組み込まれています。テンプレートは、
{{.FieldName}}
のようなプレースホルダーを使用して、データ構造のフィールドにアクセスします。godoc
もこのテンプレートエンジンを利用して、ドキュメンテーションの表示形式を定義しています。 PackageName
とName
: Goのテンプレートコンテキストにおいて、パッケージに関する情報を提供する構造体が存在します。この構造体には、パッケージのインポートパス、コメント、そしてパッケージ名などのフィールドが含まれます。以前はパッケージ名にアクセスするためにPackageName
というフィールドが使われていた可能性がありますが、何らかの変更によりName
というフィールドに統一された、あるいはそのように変更される途中にあったと考えられます。このコミットは、その変更が完全に反映されていなかった箇所を修正するものです。
技術的詳細
この問題は、godoc
がパッケージ情報をテンプレートに渡す際に、パッケージ名を指すフィールド名が変更されたことによって引き起こされました。具体的には、テンプレート内でパッケージ名を参照するために{{.PackageName}}
というプレースホルダーが使用されていましたが、内部的なデータ構造の変更により、正しいフィールド名が{{.Name}}
になったと考えられます。
godoc
は、HTML形式のドキュメンテーションを生成するためにlib/godoc/package.html
を、プレーンテキスト形式のドキュメンテーションを生成するためにlib/godoc/package.txt
を使用します。このコミットでは、これら両方のテンプレートファイルにおいて、{{.PackageName}}
と記述されていた箇所を{{.Name}}
に修正することで、正しいパッケージ名が取得・表示されるようにしています。
この修正により、特にgodoc
のテキストモード(URL?m=text
)でアクセスした場合に、パッケージ名が正しく表示されるようになり、ドキュメンテーションの正確性が向上しました。
コアとなるコードの変更箇所
このコミットでは、以下の2つのファイルが変更されています。
lib/godoc/package.html
--- a/lib/godoc/package.html
+++ b/lib/godoc/package.html
@@ -44,7 +44,7 @@
{{end}}\n {{with .PDoc}}\n <h2 id=\"Overview\">Overview</h2>\n-\t<!-- PackageName is printed as title by the top-level template -->\n+\t<!-- The package\'s Name is printed as title by the top-level template -->\n \t{{if $.IsPkg}}\n \t\t<p><code>import \"{{html .ImportPath}}\"</code></p>\n \t{{end}}\
lib/godoc/package.txt
--- a/lib/godoc/package.txt
+++ b/lib/godoc/package.txt
@@ -4,7 +4,7 @@
\n */}}{{with .PDoc}}{{if $.IsPkg}}PACKAGE\n \n-package {{.PackageName}}\n+package {{.Name}}\n import \"{{.ImportPath}}\"\n \n {{else}}COMMAND DOCUMENTATION\n```
## コアとなるコードの解説
変更の核心は、Goテンプレート内でパッケージ名を参照する際のプレースホルダーの修正です。
* **`lib/godoc/package.html`**:
HTMLテンプレート内のコメント行で、`PackageName`がトップレベルテンプレートによってタイトルとして出力されるという記述がありました。このコメント自体も、新しいフィールド名である`Name`に合わせて修正されています。これはコードの動作には直接影響しませんが、ドキュメンテーションの一貫性を保つための変更です。
* **`lib/godoc/package.txt`**:
テキストテンプレート内で、実際にパッケージ名を出力する`package {{.PackageName}}`という行が、`package {{.Name}}`に修正されています。これにより、`godoc`がテキストモードでドキュメンテーションを生成する際に、正しいパッケージ名が挿入されるようになります。
この変更は、`godoc`の内部的なデータ構造の変更(おそらく`PackageName`フィールドが`Name`フィールドにリネームされたか、`Name`がより汎用的なフィールドとして導入された)に追従するためのものであり、ドキュメンテーションの正確な表示を保証するために不可欠でした。
## 関連リンク
* Go CL (Change List): [https://golang.org/cl/5545043](https://golang.org/cl/5545043)
## 参考にした情報源リンク
* 特になし (コミットメッセージと差分から直接情報を抽出しました)