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[インデックス 11248] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるnetパッケージ内のnet.goファイルにおけるコメントの修正に関するものです。具体的には、ConnインターフェースのReadおよびWriteメソッドに関する説明文中のタイムアウト設定に関するAPI参照を、古い名称から新しい名称へと更新しています。

コミット

commit 2356e438274814a3dabc56541dbd5788a3c1750c
Author: Mikio Hara <mikioh.mikioh@gmail.com>
Date:   Thu Jan 19 12:23:30 2012 +0900

    net: fix comments

    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5557059

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/2356e438274814a3dabc56541dbd5788a3c1750c

元コミット内容

このコミットの元々の内容は、netパッケージのnet.goファイルにおけるコメントの修正です。

変更前:

  • // after a fixed time limit; see SetTimeout and SetReadTimeout.
  • // after a fixed time limit; see SetTimeout and SetWriteTimeout.

変更後:

  • // after a fixed time limit; see SetDeadline and SetReadDeadline.
  • // after a fixed time limit; see SetDeadline and SetWriteDeadline.

これは、ConnインターフェースのReadおよびWriteメソッドのドキュメンテーションコメントにおいて、タイムアウトを設定するための推奨される関数名がSetTimeoutからSetDeadlineへ、そしてSetReadTimeout/SetWriteTimeoutからSetReadDeadline/SetWriteDeadlineへと変更されたことを反映しています。

変更の背景

この変更は、Go言語のnetパッケージにおけるAPIの進化と、それに対応するドキュメンテーションの正確性を保つために行われました。初期のGo言語のネットワークAPIでは、接続全体のタイムアウトを設定するためにSetTimeout、読み込みタイムアウトのためにSetReadTimeout、書き込みタイムアウトのためにSetWriteTimeoutといった関数が提供されていました。

しかし、これらの関数は後にSetDeadlineSetReadDeadlineSetWriteDeadlineという名称に変更されました。この変更の背景には、タイムアウトという概念が「操作が完了するまでの最大時間」を指すのに対し、「デッドライン(期限)」という概念は「操作が完了しなければならない絶対時刻」を指すという、より正確な意味合いを反映させる意図があったと考えられます。ネットワーク操作においては、特定の時刻までに操作を完了させるという「デッドライン」の考え方がより適切であると判断されたため、API名が変更されました。

このコミットは、APIの名称変更後も古い関数名がコメントに残っていたため、それを新しい正確な名称に修正し、開発者が最新かつ正しいAPIドキュメントを参照できるようにするために行われました。

前提知識の解説

Go言語のnetパッケージ

Go言語のnetパッケージは、ネットワークI/O機能を提供する標準ライブラリです。TCP/IP、UDP、Unixドメインソケットなどのネットワークプロトコルを扱うための基本的なインターフェースと実装が含まれています。クライアントとサーバーアプリケーションの構築に不可欠な機能を提供し、ソケットの作成、接続の確立、データの送受信、接続のクローズなど、低レベルなネットワーク操作を抽象化して提供します。

net.Connインターフェース

net.Connは、ネットワーク接続を表すためのGo言語のインターフェースです。このインターフェースは、ネットワーク接続を介したデータの読み書き、接続のクローズ、およびタイムアウト(デッドライン)の設定といった基本的な操作を定義しています。

主要なメソッドは以下の通りです。

  • Read(b []byte) (n int, err error): 接続からデータを読み込みます。
  • Write(b []byte) (n int, err error): 接続にデータを書き込みます。
  • Close() error: 接続を閉じます。
  • LocalAddr() Addr: ローカルネットワークアドレスを返します。
  • RemoteAddr() Addr: リモートネットワークアドレスを返します。
  • SetDeadline(t time.Time) error: 接続の読み書き操作のデッドラインを設定します。指定された時刻を過ぎると、それ以降の読み書き操作はタイムアウトエラーを返します。
  • SetReadDeadline(t time.Time) error: 接続の読み込み操作のデッドラインを設定します。
  • SetWriteDeadline(t time.Time) error: 接続の書き込み操作のデッドラインを設定します。

ネットワークタイムアウトとデッドライン

ネットワーク通信では、相手からの応答がいつまでも来ない、あるいはデータの送信が完了しないといった状況が発生する可能性があります。このような状況でプログラムが無限に待機するのを防ぐために、「タイムアウト」の仕組みが導入されます。

  • タイムアウト (Timeout): ある操作が開始されてから、指定された期間内に完了しなかった場合にエラーを発生させる仕組みです。例えば、「5秒以内に読み込みが完了しなければエラー」といった設定です。
  • デッドライン (Deadline): ある操作が、指定された絶対時刻までに完了しなければエラーを発生させる仕組みです。例えば、「2025年7月10日12時00分00秒までに読み込みが完了しなければエラー」といった設定です。

Go言語のnetパッケージでは、SetDeadline系の関数が提供されており、これは操作の「デッドライン」を設定します。内部的には、このデッドラインが経過すると、それ以降のネットワークI/O操作はnet.Errorインターフェースを満たすエラー(Timeout() == trueとなるエラー)を返します。これにより、アプリケーションはネットワークの応答遅延や接続の問題に対して適切に対応し、リソースの無駄な消費を防ぐことができます。

技術的詳細

このコミットは、Go言語のnetパッケージにおけるConnインターフェースのドキュメンテーションコメントを修正するものです。Goのドキュメンテーションは、ソースコード内のコメントから自動生成されるため、コメントの正確性は非常に重要です。

具体的には、src/pkg/net/net.goファイル内のConnインターフェースの定義部分に存在するReadメソッドとWriteメソッドのコメントが対象です。

元のコメントでは、タイムアウト設定に関する関数としてSetTimeoutSetReadTimeoutSetWriteTimeoutが参照されていました。しかし、GoのネットワークAPIは、より正確なセマンティクスを反映するために、これらの関数名をSetDeadlineSetReadDeadlineSetWriteDeadlineに変更しました。

この変更は、単なるコメントの修正ですが、Go言語のAPI設計思想とドキュメンテーションの重要性を示しています。APIの名称は、その機能と振る舞いを正確に反映すべきであり、ドキュメンテーションもそれに追随して常に最新かつ正確な情報を提供する必要があります。これにより、開発者は混乱することなく、正しいAPIを効果的に利用できます。

SetDeadline系の関数は、time.Time型の引数を取り、特定の絶対時刻をデッドラインとして設定します。これは、相対的な期間(例: 5秒後)ではなく、絶対的な時刻(例: 2025年7月10日12時00分00秒)でタイムアウトを管理するアプローチです。これにより、複数のネットワーク操作が連鎖する場合でも、一貫したタイムアウト管理が可能になります。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/net/net.goファイルにあります。

--- a/src/pkg/net/net.go
+++ b/src/pkg/net/net.go
@@ -24,12 +24,12 @@ type Addr interface {
 type Conn interface {
 	// Read reads data from the connection.
 	// Read can be made to time out and return a net.Error with Timeout() == true
-	// after a fixed time limit; see SetTimeout and SetReadTimeout.
+	// after a fixed time limit; see SetDeadline and SetReadDeadline.
 	Read(b []byte) (n int, err error)
 
 	// Write writes data to the connection.
 	// Write can be made to time out and return a net.Error with Timeout() == true
-	// after a fixed time limit; see SetTimeout and SetWriteTimeout.
+	// after a fixed time limit; see SetDeadline and SetWriteDeadline.
 	Write(b []byte) (n int, err error)
 
 	// Close closes the connection.

コアとなるコードの解説

この変更は、net.goファイル内のConnインターフェースの定義部分にあります。

  • Readメソッドのコメント修正:

    • 変更前: // after a fixed time limit; see SetTimeout and SetReadTimeout.
    • 変更後: // after a fixed time limit; see SetDeadline and SetReadDeadline.
    • これは、Read操作のタイムアウト設定に関する説明で、参照すべき関数がSetTimeoutSetReadTimeoutからSetDeadlineSetReadDeadlineに変更されたことを示しています。
  • Writeメソッドのコメント修正:

    • 変更前: // after a fixed time limit; see SetTimeout and SetWriteTimeout.
    • 変更後: // after a fixed time limit; see SetDeadline and SetWriteDeadline.
    • 同様に、Write操作のタイムアウト設定に関する説明で、参照すべき関数がSetTimeoutSetWriteTimeoutからSetDeadlineSetWriteDeadlineに変更されたことを示しています。

これらの変更は、コードの動作には一切影響を与えません。純粋にドキュメンテーションの正確性を向上させるための修正であり、Go言語のAPIが進化する中で、古いAPI名がコメントに残っていたものを最新のAPI名に更新したものです。これにより、開発者がGoのドキュメントを参照した際に、正しいタイムアウト設定方法を迷うことなく理解できるようになります。

関連リンク

  • Go言語のnetパッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/net
  • Go言語のConnインターフェースのドキュメント: https://pkg.go.dev/net#Conn
  • Go言語のSetDeadlineに関する議論や変更履歴(Goの公式リポジトリやメーリングリストのアーカイブを検索すると見つかる可能性があります)

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメンテーション (pkg.go.dev)
  • Go言語のGitHubリポジトリ (golang/go)
  • Go言語のコミット履歴と関連するコードレビュー (golang.org/cl/5557059)
  • Go言語のネットワークプログラミングに関する一般的な情報源とチュートリアル
  • Go言語のAPI設計に関するブログ記事やディスカッション(SetTimeoutからSetDeadlineへの変更理由など)
    • (具体的なリンクはコミット当時の情報に依存するため、一般的な検索で得られる情報源を指します)