[インデックス 11358] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリgo/build
パッケージ内のdir.go
ファイルにおけるコメントのタイポ(誤字)を修正するものです。具体的には、ビルド制約の評価ロジックを説明するコメント内の「ots」という誤字を「its」に修正しています。これは機能的な変更ではなく、ドキュメントの正確性と可読性を向上させるための修正です。
コミット
commit fce2416b135b47119ceb9171aa5ddc3326346206
Author: Brad Fitzpatrick <bradfitz@golang.org>
Date: Tue Jan 24 11:24:55 2012 -0800
go/build: typo
R=golang-dev, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5575049
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/fce2416b135b47119ceb9171aa5ddc3326346206
元コミット内容
このコミットの目的は、go/build
パッケージ内のタイポを修正することです。
変更の背景
この変更は、Go言語のビルドシステムがどのようにビルド制約(build constraints、またはbuild tags)を評価するかを説明するコメント内の誤字を修正するために行われました。go/build
パッケージは、Goのソースファイルを解析し、パッケージの依存関係を解決し、ビルド制約を処理する役割を担っています。このパッケージ内のコメントは、開発者がGoのビルドプロセスの内部動作を理解する上で重要なドキュメントとなります。
誤字は「each option evaluates as the AND of ots comma-separated terms;」という部分で発生しており、正しくは「each option evaluates as the AND of its comma-separated terms;」であるべきでした。このような小さなタイポであっても、技術ドキュメントにおいては読者の理解を妨げたり、混乱を招いたりする可能性があるため、修正は重要です。この修正は、コードベースの品質とドキュメントの正確性を維持するための継続的な取り組みの一環です。
前提知識の解説
Go言語のgo/build
パッケージ
go/build
パッケージは、Go言語の標準ライブラリの一部であり、Goのソースコードを解析し、パッケージのビルドに必要な情報を収集するための機能を提供します。これには、ソースファイルの発見、パッケージの依存関係の解決、そして特に重要なのが**ビルド制約(build constraints)**の処理が含まれます。
Goのツールチェイン(go build
, go run
, go test
など)は、このgo/build
パッケージを利用して、どのファイルが現在のビルド環境でコンパイルされるべきかを決定します。例えば、特定のオペレーティングシステムやアーキテクチャに特化したコードを条件付きで含めるために使用されます。
ビルド制約(Build Constraints / Build Tags)
ビルド制約は、Goのソースファイルに記述される特別なコメント行で、そのファイルが特定のビルド条件を満たす場合にのみコンパイルされるように指定します。これらは通常、ファイルの先頭に//go:build
ディレクティブ(Go 1.17以降)または// +build
ディレクティブ(Go 1.16以前)として記述されます。
ビルド制約の構文は以下のルールに従います:
- 行の開始:
//go:build
または// +build
で始まります。 - オプションのOR結合: スペースで区切られた複数のオプションは、論理ORとして評価されます。つまり、いずれか一つのオプションが真であれば、そのファイルはコンパイル対象となります。
例:
//go:build linux darwin
(LinuxまたはmacOSの場合にコンパイル) - 項目のAND結合: 各オプションは、カンマで区切られた複数の項目(term)から構成され、これらは論理ANDとして評価されます。つまり、そのオプションが真となるためには、すべての項目が真である必要があります。
例:
//go:build linux,amd64
(LinuxかつAMD64アーキテクチャの場合にコンパイル) - 否定: 各項目は、
!
を前置することで否定することができます。 例://go:build !windows
(Windowsではない場合にコンパイル)
このコミットで修正されたコメントは、まさにこの「オプションがカンマ区切りの項目のANDとして評価される」というルールを説明している部分でした。
技術的詳細
このコミットは、src/pkg/go/build/dir.go
ファイル内のScanDir
関数の近くにあるコメントを修正しています。ScanDir
関数は、指定されたディレクトリをスキャンし、Goパッケージに関する情報を収集する役割を担っています。この関数は、Goのビルドシステムがソースファイルをどのように発見し、処理するかの中核をなす部分です。
修正されたコメントは、Goのビルド制約の評価ロジックを説明するもので、特に以下の行に注目します。
// A build constraint is evaluated as the OR of space-separated options;
// each option evaluates as the AND of ots comma-separated terms;
// and each term is an alphanumeric word or, preceded by !, its negation.
ここで、「each option evaluates as the AND of ots comma-separated terms;」という部分が問題でした。英語の文法的に「ots」は誤りであり、正しくは所有格の「its」であるべきです。このタイポは、文の意味を完全に変えるわけではありませんが、読者にとっては不自然であり、プロフェッショナルなドキュメントとしては不適切です。
この修正は、コードの動作には一切影響を与えません。純粋にドキュメンテーションの品質向上を目的としたものです。しかし、このような小さな修正が積み重なることで、Go言語の公式ドキュメント全体の信頼性と可読性が高まります。特に、ビルド制約のようなGoのビルドシステムの中核をなす概念の説明においては、正確な記述が不可欠です。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/src/pkg/go/build/dir.go b/src/pkg/go/build/dir.go
index 66005455df..d49846f7d4 100644
--- a/src/pkg/go/build/dir.go
+++ b/src/pkg/go/build/dir.go
@@ -171,7 +171,7 @@ func ScanDir(dir string) (info *DirInfo, err error) {
// only by blank lines and other line comments.
//
// A build constraint is evaluated as the OR of space-separated options;
-// each option evaluates as the AND of ots comma-separated terms;
+// each option evaluates as the AND of its comma-separated terms;
// and each term is an alphanumeric word or, preceded by !, its negation.
// That is, the build constraint:
//
コアとなるコードの解説
変更された行は、src/pkg/go/build/dir.go
ファイルの174行目です。
- 変更前:
// each option evaluates as the AND of ots comma-separated terms;
- 変更後:
// each option evaluates as the AND of its comma-separated terms;
この変更は、ots
という誤字をits
という正しい単語に修正しています。これにより、ビルド制約の評価ロジックに関するコメントが文法的に正しくなり、読者にとってより明確で理解しやすくなりました。
このコメントは、Goのビルド制約の評価規則を説明しています。具体的には、ビルド制約がスペースで区切られたオプションの論理ORとして評価され、さらに各オプションがカンマで区切られた項目の論理ANDとして評価されることを述べています。この修正は、この重要な説明の正確性を高めるものです。
関連リンク
- Go言語の公式ドキュメント: https://go.dev/
go/build
パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/go/build- ビルド制約(Build Constraints)に関するGoの公式ブログ記事(Go 1.17以降の
//go:build
ディレクティブについて):https://go.dev/blog/go1.17-build-constraints
参考にした情報源リンク
- Go言語のソースコードリポジトリ: https://github.com/golang/go
- Go言語のビルド制約に関する一般的な情報源(Stack Overflow, Go言語のチュートリアルなど)
- 英語の文法に関する一般的な知識