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[インデックス 11481] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のドキュメンテーションツールであるgodocにおいて、「その他のパッケージ (other packages)」のリストがソートされていなかった問題を修正するものです。これにより、godocが生成するドキュメントページにおけるパッケージリストの表示が一貫性のある、読みやすいものになります。

コミット

commit 590f948b64f1a9421a243ab185785ed6dfc9d5e4
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Mon Jan 30 14:31:51 2012 -0800

    godoc: sort list of "other packages"
    
    Fixes #2786.
    
    R=r, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5581050

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/590f948b64f1a9421a243ab185785ed6dfc9d5e4

元コミット内容

godoc: sort list of "other packages" Fixes #2786.

このコミットは、godocツールが生成するドキュメントページにおいて、「その他のパッケージ」として表示されるリストがソートされていなかった問題を解決します。これにより、パッケージの表示順序がアルファベット順になり、ユーザーにとってより見つけやすく、整理された表示が提供されます。

変更の背景

godocはGo言語のソースコードからドキュメンテーションを自動生成するツールであり、開発者がGoのパッケージや関数、型などを理解する上で非常に重要な役割を果たします。このツールは、Goのソースコード内のコメントや構造を解析し、HTML形式などで表示可能なドキュメントを生成します。

このコミットが修正する問題は、godocが特定のコンテキストで表示する「その他のパッケージ」のリストが、特定の順序でソートされていなかったことにあります。ソートされていないリストは、特に多数のパッケージが存在する場合に、ユーザーが目的のパッケージを見つけるのを困難にし、ユーザーエクスペリエンスを低下させます。例えば、同じディレクトリ内の関連パッケージや、インポートされているが直接は参照されていないパッケージなどが「その他のパッケージ」として表示されることがありますが、その表示順序が不定であると、毎回異なる順序で表示されたり、論理的な並びになっていなかったりするため、視認性や検索性が損なわれます。

この問題は、GoのIssueトラッカーで#2786として報告されていたようです。コミットメッセージにFixes #2786とあることから、このコミットがその報告された問題を解決するために行われたことがわかります。

前提知識の解説

godocとは

godocは、Go言語に標準で付属するドキュメンテーションツールです。Goのソースコードに記述されたコメント(特にエクスポートされた識別子に対するコメント)を解析し、自動的にHTML形式のドキュメントを生成します。これにより、開発者はコードとドキュメントを密接に連携させることができ、常に最新のドキュメントを維持しやすくなります。godocは、ローカルでHTTPサーバーとして実行することもでき、ブラウザを通じてGoの標準ライブラリやローカルのプロジェクトのドキュメントを閲覧できます。

Go言語のパッケージシステム

Go言語は、コードを整理し再利用するための「パッケージ」という概念を持っています。各Goファイルは必ずpackage宣言を持ち、関連する機能は同じパッケージにまとめられます。パッケージはディレクトリ構造に対応しており、import文を使って他のパッケージの機能を利用できます。godocは、これらのパッケージ間の関係性や、各パッケージ内の要素(関数、型、変数など)を解析し、それらのドキュメントを生成します。

ソートアルゴリズムの重要性

コンピュータサイエンスにおいて、ソート(並べ替え)は非常に基本的な操作です。データを特定の順序(例:アルファベット順、数値順)に並べ替えることで、データの検索、比較、表示が効率的かつ直感的になります。特にユーザーインターフェースにおいてリストを表示する場合、ソートされていることはユーザーエクスペリエンスを向上させる上で不可欠です。Go言語の標準ライブラリには、sortパッケージが提供されており、様々なデータ型をソートするための関数やインターフェースが含まれています。

技術的詳細

godocは、Goのソースコードを解析し、パッケージ情報やその関連性を内部的に構築します。このコミットが修正する箇所は、godocがHTMLページを生成する際に、特定のコンテキストで表示するパッケージのリスト(plistという変数に格納されている文字列のスライス)が、ソートされずにそのまま出力されていた点です。

具体的には、src/cmd/godoc/godoc.goファイルのgetPageInfo関数内で、関連するパッケージのリストが収集された後、そのリストがHTMLテンプレートに渡される前にソート処理が欠落していました。このため、リストの要素が追加された順序や、ファイルシステムのスキャン順序など、不定な要素に依存して表示順序が決まってしまっていました。

Go言語のsortパッケージは、スライスをソートするための機能を提供します。特に、文字列のスライスをアルファベット順にソートするには、sort.Strings()関数を使用するのが最も簡単で一般的な方法です。この関数は、[]string型のスライスを受け取り、その場で(in-placeで)ソートします。

このコミットでは、まさにこのsort.Strings()関数を、パッケージ名の文字列スライスに対して適用することで、表示順序をアルファベット順に固定し、一貫性のあるユーザーインターフェースを提供しています。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/cmd/godoc/godoc.goファイルの一箇所のみです。

--- a/src/cmd/godoc/godoc.go
+++ b/src/cmd/godoc/godoc.go
@@ -1065,6 +1065,7 @@ func (h *httpHandler) getPageInfo(abspath, relpath, pkgname string, mode PageInf
 		        }
 		}
 		plist = plist[0:i]
+		sort.Strings(plist)
 	}
 
 	// get examples from *_test.go files

コアとなるコードの解説

変更が加えられたのは、func (h *httpHandler) getPageInfo(...) 関数内です。この関数は、godocが個々のパッケージのドキュメントページを生成する際に、そのページに表示する情報を収集する役割を担っています。

変更前のコードでは、plistという変数に「その他のパッケージ」のリストが格納されていましたが、このリストはソートされていませんでした。

追加された一行 sort.Strings(plist) は、Goの標準ライブラリであるsortパッケージのStrings関数を呼び出しています。この関数は、引数として渡された文字列のスライス(この場合はplist)を、辞書順(アルファベット順)にソートします。

この一行が追加されたことにより、godocが生成するHTMLページにおいて、「その他のパッケージ」のリストが常にアルファベット順で表示されるようになり、ユーザーは目的のパッケージをより簡単に見つけられるようになりました。これは、ユーザーエクスペリエンスの小さな改善ですが、ドキュメンテーションの利用頻度を考えると、全体的な利便性に大きく貢献します。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • コミットデータ: ./commit_data/11481.txt
  • Go言語のsortパッケージに関する公式ドキュメント (一般的な情報源として)
  • godocツールの一般的な動作に関する知識
  • Go言語のパッケージシステムに関する一般的な知識
  • Web検索: "golang godoc issue 2786" (直接的なIssueは見つからなかったものの、関連情報の確認のために実施)