[インデックス 11553] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の様々なパッケージに存在する複数のタイポ(誤字)を修正するものです。これらのタイポは半自動的に検出されたものであり、コードベース全体の可読性と正確性を向上させることを目的としています。
コミット
commit f3f5239d1e3e1acb299ef8a6a907df12713b9626
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date: Wed Feb 1 16:19:36 2012 -0800
all packages: fix various typos
Detected semi-automatically. There are probably more.
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5620046
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/f3f5239d1e3e1acb299ef8a6a907df12713b9626
元コミット内容
all packages: fix various typos
Detected semi-automatically. There are probably more.
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5620046
変更の背景
このコミットの背景には、コードベースの品質と保守性を継続的に向上させるという一般的な目標があります。タイポは、たとえそれがコメントや変数名の中であっても、コードの意図を不明瞭にし、将来的な誤解やバグの原因となる可能性があります。特に、Goのような大規模なオープンソースプロジェクトでは、多くの開発者がコードを読み書きするため、一貫性と正確性が非常に重要です。
このコミットメッセージには「半自動的に検出された」と明記されており、これは静的解析ツールやスペルチェッカーが使用された可能性を示唆しています。このようなツールを活用することで、手動では見落としがちな細かな誤りも効率的に特定し、修正することができます。
前提知識の解説
タイポ(Typo)とは
タイポとは、タイプミスによって生じる誤字のことです。プログラミングにおいては、変数名、関数名、コメント、文字列リテラルなど、コードのあらゆる場所に発生する可能性があります。
なぜタイポを修正するのか
タイポの修正は、一見すると些細な変更に見えますが、コードベースの健全性を保つ上で重要です。
- 可読性の向上: 正しいスペルの単語は、コードを読む人が内容を正確に理解するのに役立ちます。誤ったスペルは混乱を招き、コードの意図を誤解させる可能性があります。
- 保守性の向上: タイポが原因で、関連するコードの検索が困難になったり、新しい機能を追加する際に既存の命名規則を誤って解釈したりするリスクを減らします。
- プロフェッショナリズム: 正確なコードは、プロジェクト全体の品質に対するコミットメントを示します。特にオープンソースプロジェクトでは、コードの品質がコミュニティの信頼に直結します。
- ツールの恩恵: 静的解析ツールやIDEの補完機能は、正確な命名に基づいてより効果的に機能します。タイポがあると、これらのツールの恩恵を十分に受けられないことがあります。
半自動検出
「半自動的に検出された」という記述は、スペルチェッカーやリンターのようなツールがタイポの候補を特定し、その後人間がそれらをレビューして修正したことを意味します。これにより、手動での検出よりもはるかに効率的に、かつ網羅的にタイポを修正することが可能になります。
技術的詳細
このコミットで行われている技術的な変更は、主に文字列リテラル、コメント、および識別子内のスペルミスを修正することです。Go言語のコンパイラやランタイムの動作に直接的な影響を与えるものではなく、コードのセマンティクス(意味)を変更するものでもありません。変更は純粋にコードの表面的な正確性と可読性を向上させるためのものです。
具体的には、以下のような種類のタイポが修正されています。
- コメント内のタイポ: コードの動作を説明するコメント内のスペルミス。例:
beacuse
->because
- 識別子内のタイポ: 変数名やフィールド名などの識別子内のスペルミス。例:
identifer
->identifier
- ドキュメント内のタイポ:
doc.go
ファイルなどのドキュメントコメント内のスペルミス。例:gramatically
->grammatically
これらの修正は、Go言語の標準ライブラリやツールチェインの様々な部分にわたって行われており、プロジェクト全体の品質に対する細やかな配慮が伺えます。
コアとなるコードの変更箇所
このコミットでは、複数のファイルにわたってタイポが修正されています。以下に、その中からいくつかの代表的な変更箇所を抜粋して示します。
src/cmd/api/goapi.go
--- a/src/cmd/api/goapi.go
+++ b/src/cmd/api/goapi.go
@@ -119,7 +119,7 @@ type Walker struct {
lastConstType string
curPackageName string
curPackage *ast.Package
- prevConstType map[string]string // identifer -> "ideal-int"
+ prevConstType map[string]string // identifier -> "ideal-int"
packageState map[string]loadState
interfaces map[pkgSymbol]*ast.InterfaceType
selectorFullPkg map[string]string // "http" => "net/http", updated by imports
src/cmd/fix/fix.go
--- a/src/cmd/fix/fix.go
+++ b/src/cmd/fix/fix.go
@@ -704,7 +704,7 @@ func rewriteImport(f *ast.File, oldPath, newPath string) (rewrote bool) {
for _, imp := range f.Imports {
if importPath(imp) == oldPath {
rewrote = true
- // record old End, beacuse the default is to compute
+ // record old End, because the default is to compute
// it using the length of imp.Path.Value.
imp.EndPos = imp.End()
imp.Path.Value = strconv.Quote(newPath)
src/pkg/crypto/elliptic/p224.go
--- a/src/pkg/crypto/elliptic/p224.go
+++ b/src/pkg/crypto/elliptic/p224.go
@@ -225,7 +225,7 @@ func p224ReduceLarge(out *p224FieldElement, in *p224LargeFieldElement) {
in[i] += p224ZeroModP63[i]
}
- // Elimintate the coefficients at 2**224 and greater.
+ // Eliminate the coefficients at 2**224 and greater.
for i := 14; i >= 8; i-- {
in[i-8] -= in[i]
in[i-5] += (in[i] & 0xffff) << 12
@@ -288,7 +288,7 @@ func p224Reduce(a *p224FieldElement) {
a[0] += mask & (1 << 28)
}
-// p224Invert calcuates *out = in**-1 by computing in**(2**224 - 2**96 - 1),
+// p224Invert calculates *out = in**-1 by computing in**(2**224 - 2**96 - 1),
// i.e. Fermat's little theorem.
func p224Invert(out, in *p224FieldElement) {
var f1, f2, f3, f4 p224FieldElement
src/pkg/html/template/js.go
--- a/src/pkg/html/template/js.go
+++ b/src/pkg/html/template/js.go
@@ -154,7 +154,7 @@ func jsValEscaper(args ...interface{}) string {
a = fmt.Sprint(args...)
}
// TODO: detect cycles before calling Marshal which loops infinitely on
- // cyclic data. This may be an unnacceptable DoS risk.
+ // cyclic data. This may be an unacceptable DoS risk.
b, err := json.Marshal(a)
if err != nil {
コアとなるコードの解説
上記の変更箇所は、それぞれ異なるファイルと文脈で発生したタイポを修正しています。
-
src/cmd/api/goapi.go
:prevConstType map[string]string // identifer -> "ideal-int"
identifer
がidentifier
に修正されています。これは変数名やコメント内のスペルミスであり、コードの可読性を向上させます。
-
src/cmd/fix/fix.go
:// record old End, beacuse the default is to compute
beacuse
がbecause
に修正されています。これはコメント内のスペルミスであり、コードの意図をより明確に伝えます。
-
src/pkg/crypto/elliptic/p224.go
:// Elimintate the coefficients at 2**224 and greater.
Elimintate
がEliminate
に修正されています。// p224Invert calcuates *out = in**-1 by computing in**(2**224 - 2**96 - 1),
calcuates
がcalculates
に修正されています。- これらは暗号関連のコード内のコメントであり、正確な用語を使用することで、コードの理解を助けます。
-
src/pkg/html/template/js.go
:// cyclic data. This may be an unnacceptable DoS risk.
unnacceptable
がunacceptable
に修正されています。- これはHTMLテンプレートのJavaScriptエスケープ処理に関するコメントであり、潜在的なセキュリティリスクについての記述の正確性を高めます。
これらの修正は、Go言語のコードベース全体にわたる品質管理の一環として行われたものであり、個々の変更は小さいながらも、全体としてコードの正確性と保守性を高めることに貢献しています。
関連リンク
- Go Code Review (Gerrit) Change-Id:
https://golang.org/cl/5620046
参考にした情報源リンク
- 特になし (コミットメッセージとdiffから直接情報を抽出)