[インデックス 11626] ファイルの概要
このコミットは、Goプロジェクトのバージョン管理システムであるMercurialの設定ファイル.hgignore
にVERSION.cache
というエントリを追加するものです。これにより、VERSION.cache
という名前のファイルがMercurialのリポジトリに誤ってコミットされるのを防ぎます。
コミット
- コミットハッシュ:
8f0602fb077f44b310567330fa5cc463a9b91ac7
- 作者: Gustavo Niemeyer gustavo@niemeyer.net
- コミット日時: Sun Feb 5 00:36:20 2012 -0200
- コミットメッセージ:
.hgignore: add VERSION.cache R=golang-dev, r CC=golang-dev https://golang.org/cl/5627051
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/8f0602fb077f44b310567330fa5cc463a9b91ac7
元コミット内容
.hgignore: add VERSION.cache
変更の背景
このコミットは、Goプロジェクトのビルドプロセスまたは開発ワークフローにおいて、一時的に生成される可能性のあるVERSION.cache
というファイルをバージョン管理システムから除外するために行われました。
Goプロジェクトは、初期にはMercurialを主要なバージョン管理システムとして使用していました(後にGitに移行)。Mercurialでは、Gitの.gitignore
に相当する.hgignore
ファイルを使用して、リポジトリに含めるべきではないファイルやディレクトリを指定します。
VERSION.cache
のようなファイルは、ビルドツールやスクリプトが一時的に生成するキャッシュファイルや中間成果物である可能性が高いです。これらのファイルは、各開発者のローカル環境で異なる内容を持つ可能性があり、また、リポジトリの履歴を不必要に肥大化させるため、バージョン管理の対象から外すのが一般的です。この変更は、クリーンなリポジトリ状態を維持し、開発者間の整合性を保つためのメンテナンス作業の一環として行われました。
前提知識の解説
バージョン管理システム (VCS)
バージョン管理システム(VCS)は、ソフトウェア開発においてソースコードやその他のファイルの変更履歴を管理するためのシステムです。これにより、複数の開発者が同時に作業を進めたり、過去のバージョンに簡単に戻したり、変更内容を追跡したりすることが可能になります。
- Mercurial (Hg): Gitと同様に分散型バージョン管理システムの一つです。Goプロジェクトは初期にMercurialを使用していましたが、後にGitに移行しました。Mercurialは、シンプルさと使いやすさを特徴としています。
- .hgignore: Mercurialにおいて、リポジトリに含めるべきではないファイルやディレクトリのパターンを記述する設定ファイルです。Gitの
.gitignore
と機能的に同等です。ビルド生成物、一時ファイル、IDEの設定ファイルなど、プロジェクトのソースコードではないが開発中に生成されるファイルを無視するために使用されます。
キャッシュファイルとビルドプロセス
ソフトウェアプロジェクトでは、ビルド時間を短縮したり、特定の処理を高速化したりするために、様々なキャッシュファイルが生成されます。
- キャッシュファイル: 頻繁にアクセスされるデータや計算結果を一時的に保存しておくファイルです。これにより、同じ処理を再度実行する際に、計算をやり直す代わりにキャッシュされた結果を再利用できます。
- ビルドプロセス: ソースコードを実行可能なプログラムやライブラリに変換する一連の工程です。この過程で、コンパイル済みファイル、中間オブジェクトファイル、テスト結果、ログファイルなど、様々な一時ファイルや成果物が生成されることがあります。
VERSION.cache
: この特定のファイル名から推測されるのは、プロジェクトのバージョン情報に関連するキャッシュファイルである可能性です。例えば、ビルド時に現在のバージョン番号を決定し、その結果をキャッシュして、後続のビルドやスクリプトで再利用するために生成されることがあります。Goの標準的なキャッシュメカニズム(モジュールキャッシュやビルドキャッシュ)とは異なり、このファイルは当時のGoプロジェクトの特定のビルドスクリプトやツールによって生成されていた可能性があります。
技術的詳細
このコミットの技術的な変更は非常にシンプルで、.hgignore
ファイルに新しい行を追加するだけです。
.hgignore
ファイルは、Mercurialがリポジトリの変更を追跡する際に無視するファイルやディレクトリのパターンを定義します。このファイルは通常、プロジェクトのルートディレクトリに配置されます。
追加された行はVERSION.cache
です。これは、Mercurialに対して、プロジェクトディレクトリ内またはそのサブディレクトリ内にVERSION.cache
という名前のファイルが存在しても、それをバージョン管理の対象から除外し、変更として検出しないように指示します。
この変更により、開発者がGoプロジェクトをビルドしたり、特定のスクリプトを実行したりした際にVERSION.cache
ファイルが生成されても、そのファイルが誤ってコミットされたり、hg status
コマンドの出力に「未追跡ファイル」として表示されたりすることがなくなります。これは、開発ワークフローをスムーズにし、不要なファイルのコミットを防ぐ上で重要な設定です。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/.hgignore
+++ b/.hgignore
@@ -64,6 +64,7 @@ test/times.out
test/garbage/*.out
goinstall.log
last-change
+VERSION.cache
syntax:regexp
^bin/
コアとなるコードの解説
上記のdiffは、.hgignore
ファイルに対する変更を示しています。
--- a/.hgignore
と+++ b/.hgignore
は、それぞれ変更前のファイルと変更後のファイルを示します。@@ -64,6 +64,7 @@
は、変更がファイルの64行目から始まり、変更前は6行、変更後は7行になることを示しています。+VERSION.cache
の行が追加されています。この行の先頭にある+
記号は、この行がファイルに追加されたことを意味します。
この変更により、MercurialはVERSION.cache
という名前のファイルを無視するようになります。これは、ビルドプロセス中に生成される一時的なキャッシュファイルであり、バージョン管理システムに含めるべきではないため、適切に無視リストに追加されたものです。
関連リンク
- Go Code Review (CL) 5627051: https://golang.org/cl/5627051 このコミットは、Goプロジェクトのコードレビューシステム(Gerrit)における変更リスト(Change List, CL)5627051として提出され、レビューを経て承認されたものです。
参考にした情報源リンク
- stackoverflow.com - What is the purpose of the Go build cache?
- go.dev - Command go clean
- keboola.com - GoLang Caching
- stackoverflow.com - Where is the Go module cache located?
- google.com - Go build cache
- Mercurial Documentation - hgignore (一般的なMercurialの
.hgignore
に関する情報) - Git Documentation - gitignore (比較のためのGitの
.gitignore
に関する情報)