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[インデックス 11672] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリである encoding/xml パッケージ内の Decoder.Skip メソッドのドキュメンテーションを修正するものです。具体的には、src/pkg/encoding/xml/read.go ファイル内のコメントが更新され、Skip メソッドの動作がより正確かつ詳細に記述されています。

コミット

commit 749f228cbd413da4f9ae0ea28c5271f3a45c3c1f
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Tue Feb 7 16:15:35 2012 +1100

    encoding/xml: fix documentation for Decoder.Skip
    
    Fixes #2850.
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5645043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/749f228cbd413da4f9ae0ea28c5271f3a45c3c1f

元コミット内容

encoding/xml: fix documentation for Decoder.Skip

このコミットの目的は、encoding/xml パッケージの Decoder.Skip メソッドに関するドキュメンテーションを修正することです。コミットメッセージには Fixes #2850. と記載されていますが、このIssue番号は現在のGitHubリポジトリでは直接関連する情報を見つけることができませんでした。しかし、変更内容から、Skip メソッドの挙動に関する説明が不正確であったか、あるいは不十分であったために、そのドキュメンテーションを改善する必要があったと推測されます。

変更の背景

encoding/xml パッケージは、GoプログラムでXMLデータをエンコードおよびデコードするための機能を提供します。Decoder.Skip メソッドは、XMLストリームを解析する際に、特定の要素とその子孫をスキップするために使用されます。

元のドキュメンテーションは、Skip メソッドの動作について簡潔に説明していましたが、その動作の重要な側面、特にネストされた構造をスキップする能力や、エラー処理に関する詳細が不足していました。開発者がこのメソッドを正しく理解し、意図した通りに使用するためには、より正確で包括的な説明が必要でした。

この変更の背景には、おそらく以下のいずれかの理由が考えられます。

  1. 誤解の解消: 既存のドキュメンテーションが、Skip メソッドの実際の動作について誤解を招く可能性があった。
  2. 機能の明確化: Skip メソッドが持つネストされた構造をスキップする能力が、ドキュメンテーションで十分に強調されていなかった。
  3. エラー処理の明示: メソッドがエラーを返す条件について、より明確な説明が求められた。

これらの理由により、Decoder.Skip のドキュメンテーションを修正し、その機能と挙動をより正確に反映させることが決定されました。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下の前提知識が必要です。

  • XML (Extensible Markup Language): 構造化されたデータを表現するためのマークアップ言語。要素、属性、テキストなどの概念を持ちます。
  • Go言語の encoding/xml パッケージ: Go言語でXMLデータを扱うための標準ライブラリ。XMLパーサー(Decoder)とXMLジェネレーター(Encoder)を提供します。
  • xml.Decoder: XMLストリームからトークンを読み取るための構造体。XMLドキュメントをイベント駆動型で解析します。
  • XMLトークン: XMLドキュメントを解析する際に Decoder が生成するイベントの単位。例えば、StartElement(開始タグ)、EndElement(終了タグ)、CharData(文字データ)、Comment(コメント)などがあります。
  • Decoder.Token() メソッド: Decoder から次のXMLトークンを読み取るメソッド。
  • Decoder.Skip() メソッド: Decoder の重要なメソッドの一つで、現在のXML要素とそのすべての子孫要素をスキップするために使用されます。これは、XMLドキュメントの一部を読み飛ばして、関心のある次の要素に直接移動したい場合に便利です。

技術的詳細

encoding/xml パッケージの Decoder は、XMLドキュメントをストリームとして読み込み、Token() メソッドを呼び出すことで、StartElementEndElementCharData などのXMLトークンを順次取得します。

Decoder.Skip() メソッドは、既に読み込まれた開始要素(StartElement)に対応する終了要素(EndElement)が見つかるまで、トークンを読み飛ばすように設計されています。このメソッドの重要な特性は、スキップ中に別の開始要素に遭遇した場合、そのネストされた構造全体も再帰的にスキップする点です。これにより、複雑なXML構造の中から特定のセクションを効率的に読み飛ばすことが可能になります。

元のドキュメンテーションは、Skip メソッドが「既に開始要素を読み込んでいる。終了要素が見つかるまでトークンを読み込む。Token が、見つけた開始要素と終了要素が一致することを確認する」と説明していました。これは部分的には正しいですが、以下の重要な点が欠けていました。

  1. 再帰的なスキップ: Skip がネストされた開始要素に遭遇した場合に再帰的に動作し、そのネストされた構造全体をスキップする能力。
  2. 戻り値のセマンティクス: Skip が成功した場合(対応する終了要素が見つかった場合)は nil を返し、問題が発生した場合(例えば、予期しないEOFや不正なXML構造)はエラーを返すこと。

これらの詳細が欠けていると、開発者は Skip メソッドの挙動を完全に理解できず、誤った使い方をしたり、予期しない動作に遭遇したりする可能性がありました。

コアとなるコードの変更箇所

変更は src/pkg/encoding/xml/read.go ファイルの Decoder.Skip メソッドのドキュメンテーションコメントにあります。

--- a/src/pkg/encoding/xml/read.go
+++ b/src/pkg/encoding/xml/read.go
@@ -542,10 +542,12 @@ Loop:
 	panic("unreachable")
 }
 
-// Have already read a start element.
-// Read tokens until we find the end element.
-// Token is taking care of making sure the
-// end element matches the start element we saw.
+// Skip reads tokens until it has consumed the end element
+// matching the most recent start element already consumed.
+// It recurs if it encounters a start element, so it can be used to
+// skip nested structures.
+// It returns nil if it finds an end element matching the start
+// element; otherwise it returns an error describing the problem.
 func (d *Decoder) Skip() error {
 	for {
 	\ttok, err := d.Token()

コアとなるコードの解説

変更されたドキュメンテーションコメントは、Decoder.Skip メソッドの動作をより正確かつ詳細に説明しています。

変更前:

// Have already read a start element.
// Read tokens until we find the end element.
// Token is taking care of making sure the
// end element matches the start element we saw.

この元のコメントは、Skip メソッドが開始要素を読み込んだ後に、対応する終了要素が見つかるまでトークンを読み進めることを示唆しています。また、Token メソッドが開始要素と終了要素の一致を確認する役割を担っていると述べています。これは基本的な動作を捉えていますが、不完全です。

変更後:

// Skip reads tokens until it has consumed the end element
// matching the most recent start element already consumed.
// It recurs if it encounters a start element, so it can be used to
// skip nested structures.
// It returns nil if it finds an end element matching the start
// element; otherwise it returns an error describing the problem.

新しいコメントは、以下の重要な情報を追加しています。

  1. 「最も最近消費された開始要素に一致する終了要素を消費するまでトークンを読み込む」: これは、Skip が常に直前の開始要素に対応する終了要素を探すことを明確にしています。
  2. 「開始要素に遭遇した場合、再帰的に動作するため、ネストされた構造をスキップするために使用できる」: これは Skip メソッドの最も重要な機能の一つである、ネストされたXML構造を効率的にスキップする能力を明示しています。これにより、開発者は複雑なXMLドキュメントの一部を簡単に無視できることを理解できます。
  3. 「開始要素に一致する終了要素が見つかった場合は nil を返し、それ以外の場合は問題を示すエラーを返す」: これは、メソッドの戻り値のセマンティクスを明確にしています。成功と失敗の条件が明確に定義されることで、開発者は Skip メソッドの呼び出し元で適切なエラーハンドリングを実装できます。

この修正により、Decoder.Skip メソッドのドキュメンテーションは、その機能、挙動、およびエラー処理に関する完全かつ正確な情報を提供するようになりました。

関連リンク

  • Go言語の encoding/xml パッケージのドキュメンテーション: https://pkg.go.dev/encoding/xml (コミット当時のバージョンとは異なる可能性がありますが、現在のドキュメンテーションを参照できます)
  • Go言語の公式ウェブサイト: https://go.dev/

参考にした情報源リンク