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[インデックス 11731] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるnet/httpパッケージ内のドキュメントファイルsrc/pkg/net/http/doc.goに対する変更です。doc.goファイルは、Goのパッケージにおいて、そのパッケージ全体の概要や使用例、重要な概念などを記述するために慣習的に用いられるファイルです。このファイルに記述された内容は、godocツールによって自動的に解析され、HTML形式のドキュメントとして生成されます。

コミット

commit 3484d5462d27660fb6e85f290e7dd24fcafa99b9
Author: Brad Fitzpatrick <bradfitz@golang.org>
Date:   Thu Feb 9 14:10:36 2012 +1100

    net/http: remove an errant space

    Made the godoc overview section oddly indented
    compared to the other code blocks.

    R=golang-dev, mikioh.mikioh, dsymonds, r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5645060

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/3484d5462d27660fb6e85f290e7dd24fcafa99b9

元コミット内容

net/http: 誤ったスペースを削除

godocの概要セクションが、他のコードブロックと比較して奇妙なインデントになっていたため。

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のドキュメンテーションツールであるgodocの挙動と、ソースコード内のコメントやコードブロックの整形に関するGoコミュニティの慣習があります。

godocは、Goのソースコードから自動的にドキュメントを生成する強力なツールです。特に、コメントブロック内でインデントされたテキストは、コード例として認識され、整形されたコードブロックとしてHTMLドキュメントにレンダリングされます。この機能は、パッケージの使用方法を示すコード例をドキュメントに含める際に非常に便利です。

しかし、この自動整形はインデントに非常に敏感です。元のsrc/pkg/net/http/doc.goファイルでは、http.PostFormの使用例を示すコードブロックの行頭に、意図しない余分なスペースが存在していました。この「誤ったスペース」が原因で、godocがこのコードブロックを正しく認識せず、他のコードブロックと比べてインデントがずれたり、期待通りに整形されなかったりする問題が発生していました。

このコミットは、この視覚的な不整合を解消し、godocによって生成されるドキュメントの品質と一貫性を向上させることを目的としています。Go言語では、gofmtなどのツールによってコードの整形が厳密に管理されており、ドキュメントの整形も同様に重要視されています。

前提知識の解説

  • Go言語のnet/httpパッケージ: Go言語の標準ライブラリの一部であり、HTTPクライアントとサーバーの機能を提供します。ウェブアプリケーションの構築やHTTPリクエストの送信に不可欠なパッケージです。
  • godocツール: Go言語のソースコードからドキュメントを生成するための公式ツールです。Goのソースファイル内のコメントや関数シグネチャ、構造体定義などを解析し、HTML形式のドキュメントとして出力します。特に、コメントブロック内でタブまたはスペースでインデントされたテキストをコード例として認識し、整形して表示する機能があります。
  • doc.goファイル: Goのパッケージにおいて、そのパッケージ全体の概要や使用方法、重要な概念などを記述するために慣習的に使用されるファイル名です。このファイルに記述されたパッケージコメントは、godocによってパッケージのトップレベルのドキュメントとして表示されます。
  • url.Values: net/urlパッケージで定義されている型で、URLのクエリパラメータやHTTPフォームのデータをキーと値のペア(map[string][]string)として扱うために使用されます。http.PostForm関数などでフォームデータを送信する際に利用されます。
  • Go言語におけるインデントとgofmt: Go言語では、コードの整形に関して非常に厳格なルールがあり、公式ツールであるgofmtによって自動的に整形されます。これにより、Goコードベース全体で一貫したスタイルが保たれます。godocもこの整形ルールに準拠しており、特にコード例のインデントはドキュメントの表示に直接影響します。

技術的詳細

この変更は、godocがソースコード内のコメントブロックをどのように解釈し、ドキュメントとしてレンダリングするかに深く関連しています。

godocは、Goのソースファイル内のトップレベルの宣言(パッケージ、関数、型、変数など)の直前にあるコメントをその宣言のドキュメントとして扱います。特に、パッケージのドキュメントはdoc.goファイルに記述されることが一般的です。

godocがコード例を認識するメカニズムは、コメントブロック内の行が、そのコメントブロックの開始行のインデントレベルよりも深くインデントされている場合に、その行をコードとして解釈するというものです。通常、これはタブ文字(\t)または複数のスペースによって行われます。

元のコードでは、http.PostFormの呼び出し部分が以下のように記述されていました。

resp, err := http.PostForm("http://example.com/form",
 \t\turl.Values{"key": {"Value"}, "id": {"123"}})

ここで、\t\tはタブ文字を表していますが、その前に余分なスペースが一つ存在していました。この余分なスペースが、godocが期待するインデントパターンを崩し、結果として生成されるHTMLドキュメントにおいて、このコードブロックが他のコードブロックと比べて不自然なインデントで表示される原因となっていました。

このコミットでは、この余分なスペースを削除することで、行頭のインデントが純粋なタブ文字のみとなり、godocがこのコードブロックを正しくコード例として認識し、適切なインデントでレンダリングできるようになります。これは、Goのドキュメンテーションシステムが、わずかなホワイトスペースの変更にも敏感に反応することを示す良い例です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/net/http/doc.go
+++ b/src/pkg/net/http/doc.go
@@ -12,7 +12,7 @@ Get, Head, Post, and PostForm make HTTP requests:
 	resp, err := http.Post("http://example.com/upload", "image/jpeg", &buf)
 	...
 	resp, err := http.PostForm("http://example.com/form",
- \t\turl.Values{"key": {"Value"}, "id": {"123"}})
+\t\turl.Values{"key": {"Value"}, "id": {"123"}})

 The client must close the response body when finished with it:

コアとなるコードの解説

変更された行は、src/pkg/net/http/doc.goファイルの13行目です。

元のコード:

- \t\turl.Values{"key": {"Value"}, "id": {"123"}})

変更後のコード:

+\t\turl.Values{"key": {"Value"}, "id": {"123"}})

この変更は非常に微細で、行頭の\(バックスラッシュ)とtの間にあった一つのスペースが削除されただけです。

具体的には、元の行は[スペース][タブ][タブ]url.Values...というインデント構造を持っていました。godocは、コメント内のコードブロックを整形する際に、行頭のインデントを解析します。この余分なスペースが存在したことで、godocがこの行を他のコードブロックと同じように適切に整形できず、結果としてドキュメントの表示がずれていました。

このスペースを削除することで、行頭のインデントは純粋に[タブ][タブ]url.Values...となり、godocが期待するコードブロックのインデントパターンに合致するようになりました。これにより、godocによって生成されるHTMLドキュメント上でのhttp.PostFormのコード例の表示が、他のコード例と一貫した正しいインデントでレンダリングされるようになりました。

この変更は、Go言語のツールチェーン、特にgodocがホワイトスペースの扱いにどれほど厳密であるか、そしてそれが最終的なドキュメントの品質にどのように影響するかを示す典型的な例です。

関連リンク

参考にした情報源リンク