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[インデックス 11776] ファイルの概要

このコミットは、Go言語プロジェクトのビルドスクリプトである src/all.bat に変更を加えています。具体的には、Windows環境でのビルドプロセスが終了する際に、その成否を示すエラーコードを gobuilder と呼ばれるビルドシステムに適切に報告するための修正です。これにより、ビルドの自動化システムがビルド結果を正確に把握できるようになります。

コミット

all.bat: report error code back to the gobuilder

not sure that it will work, but.

R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5649051

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/62b328ed1914f9650675af52156254454b4fc4e5

元コミット内容

commit 62b328ed1914f9650675af52156254454b4fc4e5
Author: Alex Brainman <alex.brainman@gmail.com>
Date:   Fri Feb 10 16:29:50 2012 +1100

    all.bat: report error code back to the gobuilder
    
    not sure that it will work, but.
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5649051
---
 src/all.bat | 1 +
 1 file changed, 1 insertion(+)

diff --git a/src/all.bat b/src/all.bat
index 93e07b578a..feaf4e65df 100644
--- a/src/all.bat
+++ b/src/all.bat
@@ -16,3 +16,4 @@ if %GOBUILDFAIL%==1 goto end
 ..\bin\tool\dist banner
 
 :end
+exit %GOBUILDFAIL%

変更の背景

この変更の背景には、Go言語の継続的インテグレーション(CI)システム、特にWindows環境でのビルドプロセスの信頼性向上が挙げられます。gobuilder はGoプロジェクトの公式ビルドファームであり、様々なプラットフォームでGoのコードをビルドし、テストを実行する役割を担っています。

従来の all.bat スクリプトは、ビルドが失敗した場合にその状態を適切に gobuilder に通知できていなかった可能性があります。Windowsのバッチスクリプトでは、プログラムの終了コード(exit code)がその成否を示す重要な指標となります。gobuilder のような自動化システムは、この終了コードを読み取ってビルドの成功・失敗を判断します。

コミットメッセージにある「not sure that it will work, but.」という記述は、この変更が試行的なものであり、Windowsバッチスクリプトと gobuilder の連携における特定の課題を解決しようとしていることを示唆しています。ビルドスクリプトがエラーコードを返さない場合、外部システムからは常に成功したように見えてしまい、実際のビルド失敗が見過ごされるリスクがあります。このコミットは、この情報伝達のギャップを埋めることを目的としています。

前提知識の解説

1. バッチスクリプト (.bat ファイル)

Windowsオペレーティングシステムでコマンドを実行するためのスクリプトファイルです。.bat 拡張子を持ち、コマンドプロンプト(cmd.exe)によって解釈・実行されます。Goプロジェクトでは、Windows環境でのビルドやテストの自動化に利用されていました。

2. 終了コード (Exit Code / Errorlevel)

プログラムやコマンドが実行を終了する際に返す数値です。通常、0 は成功を示し、0 以外の値はエラーや特定の状態を示します。Windowsのバッチスクリプトでは、%ERRORLEVEL% という環境変数で直前のコマンドの終了コードを参照できます。また、exit コマンドを使ってスクリプト自体の終了コードを設定できます。

3. gobuilder

Go言語プロジェクトの公式ビルドファーム(Build Farm)を指します。これは、Goのソースコードがコミットされるたびに、様々なオペレーティングシステム(Linux, macOS, Windowsなど)やアーキテクチャ(x86, ARMなど)上で自動的にビルド、テスト、ベンチマークを実行する分散システムです。gobuilder は、各ビルドジョブの終了コードを監視し、その結果を開発者にフィードバックすることで、Go言語の安定性と品質を保証する上で不可欠な役割を担っています。

4. GOBUILDFAIL 環境変数

このコミットの文脈では、all.bat スクリプト内でGoのビルドプロセスが成功したか失敗したかを追跡するために使用されるカスタム環境変数であると推測されます。スクリプトの実行中にビルドエラーが発生した場合に、この変数が特定の(非ゼロの)値に設定されるようにロジックが組まれていると考えられます。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、Windowsバッチスクリプトにおける終了コードの伝達メカニズムにあります。

src/all.bat はGoプロジェクトのビルドプロセスをオーケストレーションするスクリプトです。スクリプトの内部では、Goのコンパイルやテスト実行など、複数のステップが順次実行されます。これらのステップのいずれかでエラーが発生した場合、スクリプトは GOBUILDFAIL という環境変数に 1 などの非ゼロの値を設定することで、ビルドが失敗したことを内部的に記録していると推測されます。

コミット前のスクリプトでは、ビルドの最終段階で goto end というコマンドによってスクリプトの末尾にジャンプし、そこで実行が終了していました。しかし、単にスクリプトが終了するだけでは、そのスクリプトを呼び出した親プロセス(この場合は gobuilder のエージェント)に対して、ビルドの成否を示す終了コードが明示的に伝達されない可能性があります。Windowsバッチスクリプトでは、exit コマンドを使用しない場合、最後に実行されたコマンドの終了コードがスクリプト全体の終了コードとなるか、あるいは終了コードが不定になることがあります。

追加された exit %GOBUILDFAIL% コマンドは、この問題を解決します。

  • exit コマンドは、バッチスクリプトの実行を終了させます。
  • %GOBUILDFAIL% は、GOBUILDFAIL 環境変数の現在の値に展開されます。

したがって、exit %GOBUILDFAIL% は、GOBUILDFAIL 変数に格納されている値を、all.bat スクリプト自体の終了コードとして設定し、その値を gobuilder に報告します。

  • もし GOBUILDFAIL0 であれば、スクリプトは成功終了(終了コード 0)として gobuilder に報告されます。
  • もし GOBUILDFAIL1 であれば、スクリプトは失敗終了(終了コード 1)として gobuilder に報告されます。

これにより、gobuilderall.bat の実行結果を正確に判断し、ビルドファームのダッシュボードに適切なステータス(成功/失敗)を表示できるようになります。これは、継続的インテグレーションシステムにおいて、ビルドの健全性を正確に監視するために非常に重要な機能です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/all.bat
+++ b/src/all.bat
@@ -16,3 +16,4 @@ if %GOBUILDFAIL%==1 goto end
 ..\bin\tool\dist banner
 
 :end
+exit %GOBUILDFAIL%

この変更は、src/all.bat ファイルの末尾、:end ラベルの直前に1行を追加するものです。

コアとなるコードの解説

追加された行は exit %GOBUILDFAIL% です。

  • exit: これはWindowsバッチスクリプトの組み込みコマンドで、現在のバッチスクリプトの実行を終了させます。
  • %GOBUILDFAIL%: これは環境変数の参照です。バッチスクリプトの実行中に、Goのビルドやテストの成否に応じて GOBUILDFAIL という環境変数が設定されていると想定されます。例えば、ビルドが成功した場合は 0、失敗した場合は 1 が設定されるといった具合です。

この1行が追加されることで、all.bat スクリプトは、その内部で追跡していたビルドの成否を示す GOBUILDFAIL の値を、スクリプト自体の終了コードとして明示的に設定して終了するようになります。

これにより、all.bat を呼び出した外部のプロセス(この場合は gobuilder のエージェント)は、この終了コードを読み取ることで、Goのビルドが成功したのか、それとも失敗したのかを正確に判断できるようになります。これは、自動化されたビルドシステムがビルド結果を信頼性高く報告するために不可欠なメカニズムです。

関連リンク

参考にした情報源リンク