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[インデックス 11839] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリstrconvパッケージ内のatof_test.goファイルに対する変更です。具体的には、TestRoundTripというテスト関数において、特定の環境(darwin/386、すなわちmacOS上の32ビットIntelアーキテクチャ)でのテスト実行をスキップする条件が追加されています。これは、既存のバグ(Issue 2917)がこの環境で発生し、テストが失敗するための一時的な対応です。

コミット

commit b440a650330f288ce1f230673440ec4b356751fe
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Mon Feb 13 00:19:18 2012 -0500

    strconv: disable issue 2917 test
    
    It did in fact break on the darwin/386 builder.
    Will investigate later; reopened issue 2917.
    
    R=golang-dev
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5654070

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b440a650330f288ce1f230673440ec4b356751fe

元コミット内容

このコミットの元の内容は以下の通りです。

  • コミットメッセージ: strconv: disable issue 2917 test
  • 詳細: It did in fact break on the darwin/386 builder. Will investigate later; reopened issue 2917.
  • レビュー情報: R=golang-dev, CC=golang-dev
  • Gerrit Change-ID: https://golang.org/cl/5654070

このメッセージから、strconvパッケージのテストがdarwin/386環境のビルダで失敗したため、関連するテストを一時的に無効化したことがわかります。また、この問題はIssue 2917として再オープンされ、後で調査される予定であることが示唆されています。

変更の背景

この変更の背景には、Go言語の継続的インテグレーション(CI)システムにおけるテストの失敗があります。strconvパッケージは文字列と数値の変換を扱う重要なパッケージであり、その正確性は非常に重要です。atof_test.go内のTestRoundTripは、浮動小数点数を文字列に変換し、再度数値に戻す「ラウンドトリップ」の正確性を検証するテストです。

コミットメッセージにある「It did in fact break on the darwin/386 builder.」という記述から、GoプロジェクトのCIシステムの一部であるdarwin/386環境のビルダ(自動テスト実行環境)で、このTestRoundTripが予期せぬ失敗を起こしたことがわかります。

ソフトウェア開発において、CIシステムでのテスト失敗は通常、バグの存在を示唆します。しかし、すぐに修正できない場合や、特定の環境でのみ発生する問題の場合、CIパイプラインをブロックしないように、一時的にそのテストをスキップまたは無効化することがあります。このコミットはまさにその一時的な対応であり、根本的な原因の調査と修正は後回しにされています(「Will investigate later; reopened issue 2917」)。

Issue 2917は、strconv.ParseFloatが特定の入力に対して誤った結果を返す、またはパースに失敗するというバグに関連していると考えられます。特にdarwin/386環境でのみ問題が発生するということは、浮動小数点演算の精度、コンパイラの最適化、または特定のアーキテクチャにおける数値表現の差異などが影響している可能性があります。

前提知識の解説

Go言語のstrconvパッケージ

strconvパッケージは、Go言語の標準ライブラリの一部であり、基本的なデータ型(ブール値、整数、浮動小数点数)と文字列との間の変換機能を提供します。

  • ParseFloat(s string, bitSize int) (float64, error): 文字列sを浮動小数点数にパースします。bitSizeは結果の浮動小数点数のビット幅(32または64)を指定します。
  • FormatFloat(f float64, fmt byte, prec, bitSize int) string: 浮動小数点数fを文字列にフォーマットします。fmtはフォーマットの種類('f', 'e', 'g'など)、precは精度、bitSizeは浮動小数点数のビット幅を指定します。

浮動小数点数の表現と精度

コンピュータにおける浮動小数点数は、IEEE 754標準に基づいて表現されます。これは、数値を仮数部と指数部に分けて表現する方法です。しかし、多くの実数を正確に表現することはできず、丸め誤差が発生することがあります。特に、10進数の有限小数であっても、2進数では無限小数になる場合があり、これが精度問題を引き起こすことがあります。

ラウンドトリップテスト

ラウンドトリップテストとは、あるデータをある形式から別の形式に変換し、その後元の形式に戻したときに、元のデータと完全に一致するかどうかを検証するテスト手法です。このコミットで言及されているTestRoundTripは、浮動小数点数 -> 文字列 -> 浮動小数点数という変換パスで、元の浮動小数点数が正確に復元されるかを検証しています。

darwin/386環境

  • darwin: AppleのmacOSオペレーティングシステムを指します。
  • 386: Intel 80386プロセッサアーキテクチャ、すなわち32ビットのIntel x86アーキテクチャを指します。

この組み合わせは、古いmacOSシステムや、macOS上で32ビットアプリケーションをビルド・実行する環境を意味します。現代のmacOSは64ビットアーキテクチャ(amd64またはarm64)が主流ですが、当時は32ビット環境もまだサポートされていました。特定のアーキテクチャやOSの組み合わせでテストが失敗する場合、それはコンパイラのバグ、OSの特定のライブラリの挙動、またはアーキテクチャ固有の浮動小数点演算の実装の違いなどが原因である可能性があります。

Go言語のテストフレームワーク

Go言語には、標準でテストフレームワークが組み込まれています。

  • testingパッケージ: テストコードを記述するための基本的な機能を提供します。
  • t.Logf(...): テスト中にログメッセージを出力するために使用されます。
  • t.Skip(...) または t.Skipf(...): テストをスキップするために使用されます。このコミットではt.Logfreturnを組み合わせて実質的にスキップしています。

Issue Tracking System (Go Bug Tracker)

Goプロジェクトは、バグ報告や機能要望を管理するためにIssue Tracking System(バグトラッカー)を使用しています。コミットメッセージで参照されている「issue 2917」は、このシステムに登録された特定のバグを指します。バグトラッカーは、問題の追跡、議論、解決プロセスを透明化するために不可欠です。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は、Go言語のテストコードに条件付きのスキップロジックを追加することにあります。

  1. runtimeパッケージのインポート: src/pkg/strconv/atof_test.goの冒頭に"runtime"パッケージがインポートされています。runtimeパッケージは、Goプログラムが実行されている環境(OS、アーキテクチャなど)に関する情報を提供する機能を含んでいます。

  2. 環境チェックとテストスキップ: TestRoundTrip関数の冒頭に以下のコードが追加されました。

    if runtime.GOOS == "darwin" && runtime.GOARCH == "386" {
        t.Logf("skipping round-trip test on darwin/386 - known failure, issue 2917")
        return
    }
    
    • runtime.GOOS: 現在のオペレーティングシステムの名前(例: "linux", "windows", "darwin")を返します。
    • runtime.GOARCH: 現在のプロセッサアーキテクチャの名前(例: "amd64", "386", "arm")を返します。

    このif文は、現在の実行環境がmacOS (darwin) かつ32ビットIntelアーキテクチャ (386) であるかどうかをチェックします。もしこの条件が真であれば、以下の処理が行われます。

    • t.Logf(...): テストログに「skipping round-trip test on darwin/386 - known failure, issue 2917」というメッセージを出力します。これにより、テストがスキップされた理由と、関連するバグトラッカーのIssue番号が明確になります。
    • return: TestRoundTrip関数の残りの部分の実行を停止し、テストを終了します。これにより、darwin/386環境ではこのテストが失敗することなく、CIパイプラインが継続できるようになります。

このアプローチは、特定の環境でのみ発生する既知のバグがある場合に、CIの健全性を維持しつつ、バグの根本原因調査を後回しにするための一般的なプラクティスです。ただし、これはあくまで一時的な回避策であり、最終的にはIssue 2917の根本的な解決が必要です。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/strconv/atof_test.goファイルに集中しています。

--- a/src/pkg/strconv/atof_test.go
+++ b/src/pkg/strconv/atof_test.go
@@ -8,6 +8,7 @@ import (
  	"math"
  	"math/rand"
  	"reflect"
+	"runtime"
  	. "strconv"
  	"strings"
  	"testing"
@@ -237,6 +238,10 @@ var roundTripCases = []struct {
  }\n 
  func TestRoundTrip(t *testing.T) {
+\tif runtime.GOOS == "darwin" && runtime.GOARCH == "386" {
+\t\tt.Logf("skipping round-trip test on darwin/386 - known failure, issue 2917")
+\t\treturn
+\t}\n \tfor _, tt := range roundTripCases {\n \t\told := SetOptimize(false)\n \t\ts := FormatFloat(tt.f, 'g', -1, 64)\n```

具体的には以下の2点が変更されています。

1.  **`import`文の追加**: `runtime`パッケージがインポートリストに追加されました。
2.  **`TestRoundTrip`関数内の条件分岐**: `runtime.GOOS`と`runtime.GOARCH`をチェックし、`darwin/386`環境であればテストをスキップするロジックが追加されました。

## コアとなるコードの解説

追加されたコードは、Go言語のクロスプラットフォーム対応とテスト戦略の側面を示しています。

```go
import (
	// ... 既存のインポート
	"runtime" // 新しく追加されたインポート
)

// ...

func TestRoundTrip(t *testing.T) {
	// 特定の環境でのみテストをスキップする条件分岐
	if runtime.GOOS == "darwin" && runtime.GOARCH == "386" {
		// テストログにスキップ理由を出力
		t.Logf("skipping round-trip test on darwin/386 - known failure, issue 2917")
		// 関数を終了し、テストをスキップ
		return
	}
	// 通常のテストロジック
	for _, tt := range roundTripCases {
		// ...
	}
}
  • import "runtime": runtimeパッケージは、Goプログラムが実行されているランタイム環境に関する情報を提供します。これには、オペレーティングシステム(GOOS)やアーキテクチャ(GOARCH)などの情報が含まれます。これにより、コードは実行環境に応じて異なる動作をすることができます。
  • if runtime.GOOS == "darwin" && runtime.GOARCH == "386": これは、Go言語のビルドタグやコンパイル時定数を使用せずに、実行時にOSとアーキテクチャを動的にチェックする一般的なパターンです。これにより、特定の環境でのみ問題が発生するバグに対して、柔軟な対応が可能になります。
  • t.Logf(...): testing.T型のLogfメソッドは、テストの実行中に情報を出力するために使用されます。これは、テストがスキップされた理由をCIログやテストレポートに記録するために重要です。デバッグや問題の追跡に役立ちます。
  • return: returnステートメントは、現在の関数(この場合はTestRoundTrip)の実行を即座に終了させます。これにより、ifブロックの条件が満たされた場合、テストの残りの部分が実行されなくなり、事実上テストがスキップされます。

このコードは、Go言語のテストが、異なるプラットフォームやアーキテクチャでの互換性を確保するために、どのように環境固有の挙動を考慮しているかを示す良い例です。また、CIシステムでテストが失敗し続けることを防ぎつつ、バグの存在を認識し、後で対処するためのマーカーとしても機能します。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式GitHubリポジトリ: https://github.com/golang/go
  • Go言語のIssue Tracker (Issue 2917): https://github.com/golang/go/issues/2917 (このIssueは非常に古いため、リンク切れや内容の変更がある可能性がありますが、当時の参照先として記載します。)
  • Gerrit Change 5654070: https://golang.org/cl/5654070 (このリンクも古いGerritインスタンスのものであるため、現在のGoのGerritとは異なる可能性があります。)
  • 一般的なソフトウェア開発におけるCI/CDの概念
  • 浮動小数点数の精度に関する一般的な知識
  • Go言語のクロスコンパイルと環境変数GOOS, GOARCHに関する知識

[インデックス 11839] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリstrconvパッケージ内のatof_test.goファイルに対する変更です。具体的には、TestRoundTripというテスト関数において、特定の環境(darwin/386、すなわちmacOS上の32ビットIntelアーキテクチャ)でのテスト実行をスキップする条件が追加されています。これは、既存のバグ(Issue 2917)がこの環境で発生し、テストが失敗するための一時的な対応です。

コミット

commit b440a650330f288ce1f230673440ec4b356751fe
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Mon Feb 13 00:19:18 2012 -0500

    strconv: disable issue 2917 test
    
    It did in fact break on the darwin/386 builder.
    Will investigate later; reopened issue 2917.
    
    R=golang-dev
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5654070

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b440a650330f288ce1f230673440ec4b356751fe

元コミット内容

このコミットの元の内容は以下の通りです。

  • コミットメッセージ: strconv: disable issue 2917 test
  • 詳細: It did in fact break on the darwin/386 builder. Will investigate later; reopened issue 2917.
  • レビュー情報: R=golang-dev, CC=golang-dev
  • Gerrit Change-ID: https://golang.org/cl/5654070

このメッセージから、strconvパッケージのテストがdarwin/386環境のビルダで失敗したため、関連するテストを一時的に無効化したことがわかります。また、この問題はIssue 2917として再オープンされ、後で調査される予定であることが示唆されています。

変更の背景

この変更の背景には、Go言語の継続的インテグレーション(CI)システムにおけるテストの失敗があります。strconvパッケージは文字列と数値の変換を扱う重要なパッケージであり、その正確性は非常に重要です。atof_test.go内のTestRoundTripは、浮動小数点数を文字列に変換し、再度数値に戻す「ラウンドトリップ」の正確性を検証するテストです。

コミットメッセージにある「It did in fact break on the darwin/386 builder.」という記述から、GoプロジェクトのCIシステムの一部であるdarwin/386環境のビルダ(自動テスト実行環境)で、このTestRoundTripが予期せぬ失敗を起こしたことがわかります。

ソフトウェア開発において、CIシステムでのテスト失敗は通常、バグの存在を示唆します。しかし、すぐに修正できない場合や、特定の環境でのみ発生する問題の場合、CIパイプラインをブロックしないように、一時的にそのテストをスキップまたは無効化することがあります。このコミットはまさにその一時的な対応であり、根本的な原因の調査と修正は後回しにされています(「Will investigate later; reopened issue 2917」)。

Issue 2917は、strconv.ParseFloatが特定の入力に対して誤った結果を返す、またはパースに失敗するというバグに関連していると考えられます。特にdarwin/386環境でのみ問題が発生するということは、浮動小数点演算の精度、コンパイラの最適化、または特定のアーキテクチャにおける数値表現の差異などが影響している可能性があります。

前提知識の解説

Go言語のstrconvパッケージ

strconvパッケージは、Go言語の標準ライブラリの一部であり、基本的なデータ型(ブール値、整数、浮動小数点数)と文字列との間の変換機能を提供します。

  • ParseFloat(s string, bitSize int) (float64, error): 文字列sを浮動小数点数にパースします。bitSizeは結果の浮動小数点数のビット幅(32または64)を指定します。
  • FormatFloat(f float64, fmt byte, prec, bitSize int) string: 浮動小数点数fを文字列にフォーマットします。fmtはフォーマットの種類('f', 'e', 'g'など)、precは精度、bitSizeは浮動小数点数のビット幅を指定します。

浮動小数点数の表現と精度

コンピュータにおける浮動小数点数は、IEEE 754標準に基づいて表現されます。これは、数値を仮数部と指数部に分けて表現する方法です。しかし、多くの実数を正確に表現することはできず、丸め誤差が発生することがあります。特に、10進数の有限小数であっても、2進数では無限小数になる場合があり、これが精度問題を引き起こすことがあります。

ラウンドトリップテスト

ラウンドトリップテストとは、あるデータをある形式から別の形式に変換し、その後元の形式に戻したときに、元のデータと完全に一致するかどうかを検証するテスト手法です。このコミットで言及されているTestRoundTripは、浮動小数点数 -> 文字列 -> 浮動小数点数という変換パスで、元の浮動小数点数が正確に復元されるかを検証しています。

darwin/386環境

  • darwin: AppleのmacOSオペレーティングシステムを指します。
  • 386: Intel 80386プロセッサアーキテクチャ、すなわち32ビットのIntel x86アーキテクチャを指します。

この組み合わせは、古いmacOSシステムや、macOS上で32ビットアプリケーションをビルド・実行する環境を意味します。現代のmacOSは64ビットアーキテクチャ(amd64またはarm64)が主流ですが、当時は32ビット環境もまだサポートされていました。特定のアーキテクチャやOSの組み合わせでテストが失敗する場合、それはコンパイラのバグ、OSの特定のライブラリの挙動、またはアーキテクチャ固有の浮動小数点演算の実装の違いなどが影響している可能性があります。

Go言語のテストフレームワーク

Go言語には、標準でテストフレームワークが組み込まれています。

  • testingパッケージ: テストコードを記述するための基本的な機能を提供します。
  • t.Logf(...): テスト中にログメッセージを出力するために使用されます。
  • t.Skip(...) または t.Skipf(...): テストをスキップするために使用されます。このコミットではt.Logfreturnを組み合わせて実質的にスキップしています。

Issue Tracking System (Go Bug Tracker)

Goプロジェクトは、バグ報告や機能要望を管理するためにIssue Tracking System(バグトラッカー)を使用しています。コミットメッセージで参照されている「issue 2917」は、このシステムに登録された特定のバグを指します。バグトラッカーは、問題の追跡、議論、解決プロセスを透明化するために不可欠です。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は、Go言語のテストコードに条件付きのスキップロジックを追加することにあります。

  1. runtimeパッケージのインポート: src/pkg/strconv/atof_test.goの冒頭に"runtime"パッケージがインポートされています。runtimeパッケージは、Goプログラムが実行されている環境(OS、アーキテクチャなど)に関する情報を提供する機能を含んでいます。

  2. 環境チェックとテストスキップ: TestRoundTrip関数の冒頭に以下のコードが追加されました。

    if runtime.GOOS == "darwin" && runtime.GOARCH == "386" {
        t.Logf("skipping round-trip test on darwin/386 - known failure, issue 2917")
        return
    }
    
    • runtime.GOOS: 現在のオペレーティングシステムの名前(例: "linux", "windows", "darwin")を返します。
    • runtime.GOARCH: 現在のプロセッサアーキテクチャの名前(例: "amd64", "386", "arm")を返します。

    このif文は、現在の実行環境がmacOS (darwin) かつ32ビットIntelアーキテクチャ (386) であるかどうかをチェックします。もしこの条件が真であれば、以下の処理が行われます。

    • t.Logf(...): テストログに「skipping round-trip test on darwin/386 - known failure, issue 2917」というメッセージを出力します。これにより、テストがスキップされた理由と、関連するバグトラッカーのIssue番号が明確になります。
    • return: TestRoundTrip関数の残りの部分の実行を停止し、テストを終了します。これにより、darwin/386環境ではこのテストが失敗することなく、CIパイプラインが継続できるようになります。

このアプローチは、特定の環境でのみ発生する既知のバグがある場合に、CIの健全性を維持しつつ、バグの根本原因調査を後回しにするための一般的なプラクティスです。ただし、これはあくまで一時的な回避策であり、最終的にはIssue 2917の根本的な解決が必要です。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/strconv/atof_test.goファイルに集中しています。

--- a/src/pkg/strconv/atof_test.go
+++ b/src/pkg/strconv/atof_test.go
@@ -8,6 +8,7 @@ import (
  	"math"
  	"math/rand"
  	"reflect"
+	"runtime"
  	. "strconv"
  	"strings"
  	"testing"
@@ -237,6 +238,10 @@ var roundTripCases = []struct {
  }\n 
  func TestRoundTrip(t *testing.T) {
+\tif runtime.GOOS == "darwin" && runtime.GOARCH == "386" {
+\t\tt.Logf("skipping round-trip test on darwin/386 - known failure, issue 2917")
+\t\treturn
+\t}\n \tfor _, tt := range roundTripCases {\n \t\told := SetOptimize(false)\n \t\ts := FormatFloat(tt.f, 'g', -1, 64)\n```

具体的には以下の2点が変更されています。

1.  **`import`文の追加**: `runtime`パッケージがインポートリストに追加されました。
2.  **`TestRoundTrip`関数内の条件分岐**: `runtime.GOOS`と`runtime.GOARCH`をチェックし、`darwin/386`環境であればテストをスキップするロジックが追加されました。

## コアとなるコードの解説

追加されたコードは、Go言語のクロスプラットフォーム対応とテスト戦略の側面を示しています。

```go
import (
	// ... 既存のインポート
	"runtime" // 新しく追加されたインポート
)

// ...

func TestRoundTrip(t *testing.T) {
	// 特定の環境でのみテストをスキップする条件分岐
	if runtime.GOOS == "darwin" && runtime.GOARCH == "386" {
		// テストログにスキップ理由を出力
		t.Logf("skipping round-trip test on darwin/386 - known failure, issue 2917")
		// 関数を終了し、テストをスキップ
		return
	}
	// 通常のテストロジック
	for _, tt := range roundTripCases {
		// ...
	}
}
  • import "runtime": runtimeパッケージは、Goプログラムが実行されているランタイム環境に関する情報を提供します。これには、オペレーティングシステム(GOOS)やアーキテクチャ(GOARCH)などの情報が含まれます。これにより、コードは実行環境に応じて異なる動作をすることができます。
  • if runtime.GOOS == "darwin" && runtime.GOARCH == "386": これは、Go言語のビルドタグやコンパイル時定数を使用せずに、実行時にOSとアーキテクチャを動的にチェックする一般的なパターンです。これにより、特定の環境でのみ問題が発生するバグに対して、柔軟な対応が可能になります。
  • t.Logf(...): testing.T型のLogfメソッドは、テストの実行中に情報を出力するために使用されます。これは、テストがスキップされた理由をCIログやテストレポートに記録するために重要です。デバッグや問題の追跡に役立ちます。
  • return: returnステートメントは、現在の関数(この場合はTestRoundTrip)の実行を即座に終了させます。これにより、ifブロックの条件が満たされた場合、テストの残りの部分が実行されなくなり、事実上テストがスキップされます。

このコードは、Go言語のテストが、異なるプラットフォームやアーキテクチャでの互換性を確保するために、どのように環境固有の挙動を考慮しているかを示す良い例です。また、CIシステムでテストが失敗し続けることを防ぎつつ、バグの存在を認識し、後で対処するためのマーカーとしても機能します。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式GitHubリポジトリ: https://github.com/golang/go
  • Go言語のIssue Tracker (Issue 2917): このコミットが作成された2012年当時のIssue 2917は、現在のGoのIssue Trackerでは直接見つけるのが難しい可能性があります。Web検索では、異なるプロジェクトや文脈で「Issue 2917」が使われている例が複数見つかりました。当時のGoのIssue 2917は、strconv.ParseFloatの特定の環境での問題に関連していたと考えられます。
  • Gerrit Change 5654070: https://golang.org/cl/5654070 (このリンクも古いGerritインスタンスのものであるため、現在のGoのGerritとは異なる可能性があります。)
  • 一般的なソフトウェア開発におけるCI/CDの概念
  • 浮動小数点数の精度に関する一般的な知識
  • Go言語のクロスコンパイルと環境変数GOOS, GOARCHに関する知識