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[インデックス 11852] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の実験的なUnicode正規化パッケージ exp/norm 内の maketables.go ファイルにおけるタイプミスを修正するものです。具体的には、ログ出力関数 logger.Fatallogger.Fatalf に変更されています。これは、フォーマット文字列と引数を受け取る Fatalf の方が、エラーメッセージの出力により適しているためです。

コミット

  • コミットハッシュ: c11361e2536fad07bbeb78e19d4283a07fbc02da
  • Author: Shenghou Ma minux.ma@gmail.com
  • Date: Mon Feb 13 11:50:06 2012 -0800

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/c11361e2536fad07bbeb78e19d4283a07fbc02da

元コミット内容

exp/norm: fix typo

R=golang-dev, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5649086

変更の背景

この変更は、src/pkg/exp/norm/maketables.go ファイル内のログ出力関数における単純なタイプミスを修正するために行われました。元のコードでは logger.Fatal が使用されていましたが、これは引数としてフォーマット文字列と可変個の引数を受け取る logger.Fatalf の誤りでした。Fatalffmt.Sprintf と同様のフォーマット機能を提供し、エラーメッセージをより詳細に記述できるため、この文脈では Fatalf が適切です。この修正は、コードの正確性を向上させ、将来的なデバッグの際に役立つより適切なエラーメッセージを保証します。

前提知識の解説

Go言語の log パッケージ

Go言語の標準ライブラリには、基本的なロギング機能を提供する log パッケージが含まれています。このパッケージは、プログラムの実行中に情報を出力するためのシンプルなインターフェースを提供します。

  • log.Fatal: この関数は、引数を標準エラー出力にフォーマットして出力し、その後に os.Exit(1) を呼び出してプログラムを終了させます。これは、回復不可能なエラーが発生した場合にプログラムを即座に停止させるために使用されます。
  • log.Fatalf: log.Fatal と同様に、引数を標準エラー出力にフォーマットして出力し、os.Exit(1) を呼び出してプログラムを終了させます。しかし、Fatalffmt.Printf と同じようにフォーマット文字列と可変個の引数を受け取ることができます。これにより、より詳細で動的なエラーメッセージを作成することが可能です。

exp/norm パッケージ

exp/norm は、Go言語の実験的なUnicode正規化パッケージです。Unicode正規化は、異なるバイト列で表現されうる同じ意味を持つ文字列(例えば、アクセント付き文字が単一のコードポイントで表現される場合と、基本文字と結合文字の組み合わせで表現される場合)を、一貫した形式に変換するプロセスです。これにより、文字列の比較や検索が正しく行われるようになります。

このパッケージは、Unicode標準で定義されている正規化形式(NFC, NFD, NFKC, NFKD)を実装するためのテーブルを生成する役割を担っています。maketables.go ファイルは、これらの正規化テーブルを構築するためのロジックを含んでいます。

Combining Character Class (CCC)

Unicodeでは、文字は「結合文字クラス (Combining Character Class, CCC)」というプロパティを持っています。これは、文字が他の文字と結合して表示される際の順序を決定するために使用されます。例えば、アクセント記号などの結合文字は、基本文字の後に表示されるべきであり、CCCはそのような結合動作を制御します。

maketables.go 内のコードは、Unicode正規化テーブルを生成する過程で、文字のCCCプロパティを検証しています。特に、分解された文字の先頭のCCCがゼロでないことを期待するロジックがあり、もしゼロであればそれは予期せぬ状態であり、プログラムを終了させるべきエラーと判断されます。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、Go言語の log パッケージにおける FatalFatalf の使い分けに集約されます。

元のコードでは、以下のように logger.Fatal が使用されていました。

logger.Fatal("Expected leading CCC to be non-zero; ccc is %d", c.ccc)

しかし、logger.Fatalfmt.Print と同様に、引数をそのまま出力する関数です。そのため、上記のようにフォーマット文字列と可変個の引数を渡しても、それらはフォーマットされずにそのまま出力されてしまいます。例えば、"Expected leading CCC to be non-zero; ccc is %d"c.ccc が別々の引数として扱われ、期待通りのメッセージにはなりません。

一方、logger.Fatalffmt.Printf と同様に、最初の引数をフォーマット文字列として解釈し、それに続く引数をそのフォーマット文字列に適用して出力します。したがって、以下のように logger.Fatalf を使用することで、c.ccc の値が %d のプレースホルダーに適切に挿入され、意図したエラーメッセージが生成されます。

logger.Fatalf("Expected leading CCC to be non-zero; ccc is %d", c.ccc)

この修正により、プログラムが異常終了する際に、より正確で情報量の多いエラーメッセージがログに出力されるようになります。これは、デバッグや問題の特定において非常に重要です。特に、maketables.go のようなテーブル生成ロジックでは、データの一貫性や期待されるプロパティの検証が重要であり、検証に失敗した際には明確なエラーメッセージが求められます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/exp/norm/maketables.go
+++ b/src/pkg/exp/norm/maketables.go
@@ -675,7 +675,7 @@ func printCharInfoTables() int {
 			if c.ccc != ccc(d[0]) {
 				// We assume the lead ccc of a decomposition !=0 in this case.
 				if ccc(d[0]) == 0 {
-					logger.Fatal("Expected leading CCC to be non-zero; ccc is %d", c.ccc)
+					logger.Fatalf("Expected leading CCC to be non-zero; ccc is %d", c.ccc)
 				}
 			} else if v := makeEntry(&f)<<8 | uint16(c.ccc); v != 0 {

コアとなるコードの解説

変更された行は src/pkg/exp/norm/maketables.go の677行目です。

元のコード:

logger.Fatal("Expected leading CCC to be non-zero; ccc is %d", c.ccc)

修正後のコード:

logger.Fatalf("Expected leading CCC to be non-zero; ccc is %d", c.ccc)

このコードブロックは、Unicode正規化テーブルを生成する際に、文字の分解(decomposition)に関する特定の条件をチェックしています。具体的には、ある文字 c の結合文字クラス (c.ccc) が、その文字が分解された結果の最初のコードポイント d[0] の結合文字クラス (ccc(d[0])) と異なる場合に、さらに条件をチェックしています。

コメント // We assume the lead ccc of a decomposition !=0 in this case. が示すように、分解された文字の先頭のCCCがゼロでないことを前提としています。もし ccc(d[0]) がゼロであった場合、それは予期せぬ状態であり、プログラムを終了させるべきエラーと判断されます。

このエラーメッセージ Expected leading CCC to be non-zero; ccc is %d は、c.ccc の値を埋め込んで、どのCCCが問題を引き起こしたのかを明確に伝えることを意図しています。logger.Fatal から logger.Fatalf への変更は、この意図されたフォーマットが正しく機能するようにするためのものです。これにより、エラー発生時にデバッグに必要な情報が正確にログに出力されるようになります。

関連リンク

参考にした情報源リンク