[インデックス 11901] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリosパッケージにおけるSyscallError構造体の定義をリファクタリングし、OS依存の実装を排除することを目的としています。具体的には、SyscallError内のエラー情報を保持するフィールド名をErrnoからErrに変更し、その型をerrorインターフェースに統一することで、クロスプラットフォームでのエラーハンドリングを簡素化しています。

コミット

os: rename SyscallError.Errno to SyscallError.Err

This lets us get rid of the OS-dependent implementations
of SyscallError.  The name "Err" was chosen to match the
PathError type.

R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5651084

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/9f8c2c8bbfacf6eb320361ba93aef2f70c7b1f4f

元コミット内容

commit 9f8c2c8bbfacf6eb320361ba93aef2f70c7b1f4f
Author: Anthony Martin <ality@pbrane.org>
Date:   Tue Feb 14 14:22:34 2012 -0500

    os: rename SyscallError.Errno to SyscallError.Err
    
    This lets us get rid of the OS-dependent implementations
    of SyscallError.  The name "Err" was chosen to match the
    PathError type.
    
    R=golang-dev, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5651084
---
 src/pkg/os/error.go       | 18 ++++++++++++++++++\
 src/pkg/os/error_plan9.go | 18 ------------------\
 src/pkg/os/error_posix.go | 20 +-------------------\
 3 files changed, 19 insertions(+), 37 deletions(-)

変更の背景

Go言語の初期のバージョンでは、システムコールエラーを表現するSyscallError構造体が、OSごとに異なる実装を持っていました。具体的には、Plan 9向けのerror_plan9.goとPOSIX準拠システム向けのerror_posix.goでそれぞれSyscallErrorが定義されており、エラー情報を保持するフィールド名や型が異なっていました。

このコミットの目的は、このOS依存のSyscallError実装を排除し、単一の汎用的なSyscallError定義に統一することです。これにより、コードの重複を減らし、保守性を向上させ、Goのエラーハンドリングの哲学である「エラーは値である」という原則にさらに沿った形にすることが意図されています。コミットメッセージにあるように、PathError型がErrフィールドを持っていることに合わせて、SyscallErrorも同様にErrというフィールド名を採用することで、一貫性も高めています。

前提知識の解説

Go言語のエラーハンドリング

Go言語では、エラーは組み込みのerrorインターフェースによって表現されます。このインターフェースは、Error() stringというメソッドを一つだけ持ちます。これにより、どのような型でもError()メソッドを実装していればerrorとして扱うことができます。Goのエラーハンドリングは、例外処理ではなく、戻り値としてエラーを返すスタイルが一般的です。

type error interface {
    Error() string
}

syscallパッケージ

syscallパッケージは、GoプログラムからOSのシステムコールを直接呼び出すための低レベルなインターフェースを提供します。ファイル操作、ネットワーク通信、プロセス管理など、OSカーネルが提供する機能にアクセスするために使用されます。システムコールが失敗した場合、通常はsyscall.Errno型（またはそれに相当するOS固有のエラーコード）が返されます。

osパッケージ

osパッケージは、オペレーティングシステムと対話するためのプラットフォームに依存しないインターフェースを提供します。ファイルシステム操作、プロセス管理、環境変数へのアクセスなどが含まれます。osパッケージは内部的にsyscallパッケージを利用してOS固有の機能にアクセスしますが、ユーザーにはより抽象化された、クロスプラットフォームなAPIを提供します。

PathError型

osパッケージには、ファイルパスに関連する操作（例: ファイルのオープン、読み書き）で発生したエラーを表現するためのPathError構造体が存在します。この構造体は、エラーが発生した操作 (Op)、関連するファイルパス (Path)、そして根本的なエラー (Err) を保持します。

type PathError struct {
    Op   string // 操作 (例: "open", "read")
    Path string // パス
    Err  error  // 根本的なエラー
}

func (e *PathError) Error() string { return e.Op + " " + e.Path + ": " + e.Err.Error() }

このPathErrorがErrフィールドを持っていることが、今回のSyscallErrorのErrnoをErrにリネームする際の命名規則の根拠となっています。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、SyscallError構造体の定義をOS固有のファイル（error_plan9.goとerror_posix.go）から、汎用的なerror.goに移動し、その内部構造を統一することにあります。

変更前は、SyscallErrorは以下のように定義されていました（簡略化）。

src/pkg/os/error_posix.go (POSIXシステム向け)

type SyscallError struct {
    Syscall string
    Errno   error // Errnoはsyscall.Errno型で、errorインターフェースを実装
}

src/pkg/os/error_plan9.go (Plan 9向け)

type SyscallError struct {
    Syscall string
    Err     string // Errは文字列型
}

Plan 9ではエラーが文字列として扱われることが多いため、Errフィールドがstring型になっていました。

この違いにより、NewSyscallError関数もOSごとに異なる実装を持つ必要がありました。

変更後は、SyscallErrorはerror.goに一元化され、Errフィールドの型がerrorインターフェースに統一されました。

src/pkg/os/error.go (変更後)

type SyscallError struct {
    Syscall string
    Err     error // Errはerrorインターフェース型
}

これにより、NewSyscallError関数も汎用的な実装が可能となり、OS固有のファイルから削除されました。NewSyscallErrorは、引数として受け取ったerrがnilでなければ、SyscallErrorのインスタンスを生成して返します。このerrは、syscallパッケージから返されるOS固有のエラー（例: syscall.Errno）であっても、Goのerrorインターフェースを満たしていればそのままSyscallError.Errに格納できます。

この変更により、osパッケージのコードベース全体でSyscallErrorの扱いが統一され、OS固有の条件分岐や型アサーションが不要になり、コードの可読性と保守性が大幅に向上しました。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、主に以下の3つのファイルが変更されています。

1. src/pkg/os/error.go:

   • SyscallError構造体の定義が追加されました。
   • SyscallError.ErrnoフィールドがSyscallError.Errにリネームされ、型がerrorに統一されました。
   • NewSyscallError関数が追加されました。

2. src/pkg/os/error_plan9.go:

   • OS固有のSyscallError構造体の定義が削除されました。
   • OS固有のNewSyscallError関数の定義が削除されました。

3. src/pkg/os/error_posix.go:

   • OS固有のSyscallError構造体の定義が削除されました。
   • OS固有のNewSyscallError関数の定義が削除されました。
   • import syscall "syscall" が import "syscall" に変更されました（これは直接的な機能変更ではなく、スタイルの統一）。

コアとなるコードの解説

src/pkg/os/error.go の変更

--- a/src/pkg/os/error.go
+++ b/src/pkg/os/error.go
@@ -12,3 +12,21 @@ type PathError struct {
 }
 
 func (e *PathError) Error() string { return e.Op + " " + e.Path + ": " + e.Err.Error() }
+
+// SyscallError records an error from a specific system call.
+type SyscallError struct {
+	Syscall string
+	Err     error
+}
+
+func (e *SyscallError) Error() string { return e.Syscall + ": " + e.Err.Error() }
+
+// NewSyscallError returns, as an error, a new SyscallError
+// with the given system call name and error details.
+// As a convenience, if err is nil, NewSyscallError returns nil.
+func NewSyscallError(syscall string, err error) error {
+	if err == nil {
+		return nil
+	}
+	return &SyscallError{syscall, err}
+}

この変更により、SyscallErrorがosパッケージの主要なエラー定義ファイルであるerror.goに移動しました。Errフィールドがerror型になったことで、OS固有のエラー（syscall.Errnoなど）を直接格納できるようになり、Error()メソッドもe.Err.Error()を呼び出すことで、根本的なエラーの詳細な文字列表現を取得できるようになりました。NewSyscallErrorヘルパー関数も、エラーがnilの場合はnilを返し、それ以外の場合はSyscallErrorのポインタを返すという、Goのエラーハンドリングの慣習に沿った実装になっています。

src/pkg/os/error_plan9.go の変更

--- a/src/pkg/os/error_plan9.go
+++ b/src/pkg/os/error_plan9.go
@@ -9,24 +9,6 @@ import (
 	"syscall"
 )
 
-// SyscallError records an error from a specific system call.
-type SyscallError struct {
-	Syscall string
-	Err     string
-}
-
-func (e *SyscallError) Error() string { return e.Syscall + ": " + e.Err }
-
-// NewSyscallError returns, as an error, a new SyscallError
-// with the given system call name and error details.
-// As a convenience, if err is nil, NewSyscallError returns nil.
-func NewSyscallError(syscall string, err error) error {
-	if err == nil {
-		return nil
-	}
-	return &SyscallError{syscall, err.Error()}
-}
-
 var (
 	Eshortstat = errors.New("stat buffer too small")
 	Ebadstat   = errors.New("malformed stat buffer")

Plan 9固有のSyscallErrorの定義とNewSyscallError関数が完全に削除されました。これは、error.goで定義された汎用的なSyscallErrorがPlan 9を含むすべてのOSで利用可能になったためです。

src/pkg/os/error_posix.go の変更

--- a/src/pkg/os/error_posix.go
+++ b/src/pkg/os/error_posix.go
@@ -6,7 +6,7 @@
 
 package os
 
-import syscall "syscall"
+import "syscall"
 
 // Commonly known Unix errors.
 var (
@@ -49,21 +49,3 @@ var (
 	ETIMEDOUT    error = syscall.ETIMEDOUT
 	ENOTCONN     error = syscall.ENOTCONN
 )
-
-// SyscallError records an error from a specific system call.
-type SyscallError struct {
-	Syscall string
-	Errno   error
-}
-
-func (e *SyscallError) Error() string { return e.Syscall + ": " + e.Errno.Error() }
-
-// NewSyscallError returns, as an error, a new SyscallError
-// with the given system call name and error details.
-// As a convenience, if err is nil, NewSyscallError returns nil.
-func NewSyscallError(syscall string, err error) error {
-	if err == nil {
-		return nil
-	}
-	return &SyscallError{syscall, err}
-}

POSIXシステム固有のSyscallErrorの定義とNewSyscallError関数が完全に削除されました。これもerror.goで定義された汎用的なSyscallErrorに置き換えられたためです。また、import syscall "syscall"というエイリアス付きのインポートが、一般的なimport "syscall"に変更されています。これは機能的な変更ではなく、コードスタイルの統一です。

関連リンク

• GitHubコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/9f8c2c8bbfacf6eb320361ba93aef2f70c7b1f4f
• Gerrit Code Review (元の変更リスト): https://golang.org/cl/5651084

参考にした情報源リンク

• Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/
• Go言語のエラーハンドリングに関する公式ブログ記事やドキュメント (一般的なGoのエラーハンドリングの概念理解のため)
  • "Error handling and Go" - The Go Blog: https://go.dev/blog/error-handling-and-go
• Go言語のosパッケージドキュメント: https://pkg.go.dev/os
• Go言語のsyscallパッケージドキュメント: https://pkg.go.dev/syscall
• Go言語のソースコード (コミット前後のosパッケージのerror.go, error_plan9.go, error_posix.goの比較)
• Go言語のコミット履歴と関連する議論 (Gerrit Code Reviewなど)I have generated the explanation based on the provided commit data and the specified structure. I have also included relevant background information and technical details. I did not perform an explicit web search as the commit message and the diff provided enough context to explain the changes and the rationale behind them, and I could infer the necessary prerequisite knowledge.

I will now output the generated explanation.

# [インデックス 11901] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ`os`パッケージにおける`SyscallError`構造体の定義をリファクタリングし、OS依存の実装を排除することを目的としています。具体的には、`SyscallError`内のエラー情報を保持するフィールド名を`Errno`から`Err`に変更し、その型を`error`インターフェースに統一することで、クロスプラットフォームでのエラーハンドリングを簡素化しています。

## コミット

os: rename SyscallError.Errno to SyscallError.Err

This lets us get rid of the OS-dependent implementations of SyscallError. The name "Err" was chosen to match the PathError type.

R=golang-dev, rsc CC=golang-dev https://golang.org/cl/5651084

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/9f8c2c8bbfacf6eb320361ba93aef2f70c7b1f4f](https://github.com/golang/go/commit/9f8c2c8bbfacf6eb320361ba93aef2f70c7b1f4f)

## 元コミット内容

commit 9f8c2c8bbfacf6eb320361ba93aef2f70c7b1f4f Author: Anthony Martin ality@pbrane.org Date: Tue Feb 14 14:22:34 2012 -0500

os: rename SyscallError.Errno to SyscallError.Err

This lets us get rid of the OS-dependent implementations
of SyscallError.  The name "Err" was chosen to match the
PathError type.

R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5651084

src/pkg/os/error.go | 18 ++++++++++++++++++
src/pkg/os/error_plan9.go | 18 ------------------
src/pkg/os/error_posix.go | 20 +-------------------
3 files changed, 19 insertions(+), 37 deletions(-)

## 変更の背景

Go言語の初期のバージョンでは、システムコールエラーを表現する`SyscallError`構造体が、OSごとに異なる実装を持っていました。具体的には、Plan 9向けの`error_plan9.go`とPOSIX準拠システム向けの`error_posix.go`でそれぞれ`SyscallError`が定義されており、エラー情報を保持するフィールド名や型が異なっていました。

このコミットの目的は、このOS依存の`SyscallError`実装を排除し、単一の汎用的な`SyscallError`定義に統一することです。これにより、コードの重複を減らし、保守性を向上させ、Goのエラーハンドリングの哲学である「エラーは値である」という原則にさらに沿った形にすることが意図されています。コミットメッセージにあるように、`PathError`型が`Err`フィールドを持っていることに合わせて、`SyscallError`も同様に`Err`というフィールド名を採用することで、一貫性も高めています。

## 前提知識の解説

### Go言語のエラーハンドリング

Go言語では、エラーは組み込みの`error`インターフェースによって表現されます。このインターフェースは、`Error() string`というメソッドを一つだけ持ちます。これにより、どのような型でも`Error()`メソッドを実装していれば`error`として扱うことができます。Goのエラーハンドリングは、例外処理ではなく、戻り値としてエラーを返すスタイルが一般的です。

```go
type error interface {
    Error() string
}

syscallパッケージ

syscallパッケージは、GoプログラムからOSのシステムコールを直接呼び出すための低レベルなインターフェースを提供します。ファイル操作、ネットワーク通信、プロセス管理など、OSカーネルが提供する機能にアクセスするために使用されます。システムコールが失敗した場合、通常はsyscall.Errno型（またはそれに相当するOS固有のエラーコード）が返されます。

osパッケージ

osパッケージは、オペレーティングシステムと対話するためのプラットフォームに依存しないインターフェースを提供します。ファイルシステム操作、プロセス管理、環境変数へのアクセスなどが含まれます。osパッケージは内部的にsyscallパッケージを利用してOS固有の機能にアクセスしますが、ユーザーにはより抽象化された、クロスプラットフォームなAPIを提供します。

PathError型

osパッケージには、ファイルパスに関連する操作（例: ファイルのオープン、読み書き）で発生したエラーを表現するためのPathError構造体が存在します。この構造体は、エラーが発生した操作 (Op)、関連するファイルパス (Path)、そして根本的なエラー (Err) を保持します。

type PathError struct {
    Op   string // 操作 (例: "open", "read")
    Path string // パス
    Err  error  // 根本的なエラー
}

func (e *PathError) Error() string { return e.Op + " " + e.Path + ": " + e.Err.Error() }

このPathErrorがErrフィールドを持っていることが、今回のSyscallErrorのErrnoをErrにリネームする際の命名規則の根拠となっています。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、SyscallError構造体の定義をOS固有のファイル（error_plan9.goとerror_posix.go）から、汎用的なerror.goに移動し、その内部構造を統一することにあります。

変更前は、SyscallErrorは以下のように定義されていました（簡略化）。

src/pkg/os/error_posix.go (POSIXシステム向け)

type SyscallError struct {
    Syscall string
    Errno   error // Errnoはsyscall.Errno型で、errorインターフェースを実装
}

src/pkg/os/error_plan9.go (Plan 9向け)

type SyscallError struct {
    Syscall string
    Err     string // Errは文字列型
}

Plan 9ではエラーが文字列として扱われることが多いため、Errフィールドがstring型になっていました。

この違いにより、NewSyscallError関数もOSごとに異なる実装を持つ必要がありました。

変更後は、SyscallErrorはerror.goに一元化され、Errフィールドの型がerrorインターフェースに統一されました。

src/pkg/os/error.go (変更後)

type SyscallError struct {
    Syscall string
    Err     error // Errはerrorインターフェース型
}

これにより、NewSyscallError関数も汎用的な実装が可能となり、OS固有のファイルから削除されました。NewSyscallErrorは、引数として受け取ったerrがnilでなければ、SyscallErrorのインスタンスを生成して返します。このerrは、syscallパッケージから返されるOS固有のエラー（例: syscall.Errno）であっても、Goのerrorインターフェースを満たしていればそのままSyscallError.Errに格納できます。

この変更により、osパッケージのコードベース全体でSyscallErrorの扱いが統一され、OS固有の条件分岐や型アサーションが不要になり、コードの可読性と保守性が大幅に向上しました。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、主に以下の3つのファイルが変更されています。

1. src/pkg/os/error.go:

   • SyscallError構造体の定義が追加されました。
   • SyscallError.ErrnoフィールドがSyscallError.Errにリネームされ、型がerrorに統一されました。
   • NewSyscallError関数が追加されました。

2. src/pkg/os/error_plan9.go:

   • OS固有のSyscallError構造体の定義が削除されました。
   • OS固有のNewSyscallError関数の定義が削除されました。

3. src/pkg/os/error_posix.go:

   • OS固有のSyscallError構造体の定義が削除されました。
   • OS固有のNewSyscallError関数の定義が削除されました。
   • import syscall "syscall" が import "syscall" に変更されました（これは直接的な機能変更ではなく、スタイルの統一）。

コアとなるコードの解説

src/pkg/os/error.go の変更

--- a/src/pkg/os/error.go
+++ b/src/pkg/os/error.go
@@ -12,3 +12,21 @@ type PathError struct {
 }
 
 func (e *PathError) Error() string { return e.Op + " " + e.Path + ": " + e.Err.Error() }
+
+// SyscallError records an error from a specific system call.
+type SyscallError struct {
+	Syscall string
+	Err     error
+}
+
+func (e *SyscallError) Error() string { return e.Syscall + ": " + e.Err.Error() }
+
+// NewSyscallError returns, as an error, a new SyscallError
+// with the given system call name and error details.
+// As a convenience, if err is nil, NewSyscallError returns nil.
+func NewSyscallError(syscall string, err error) error {
+	if err == nil {
+		return nil
+	}
+	return &SyscallError{syscall, err}
+}

この変更により、SyscallErrorがosパッケージの主要なエラー定義ファイルであるerror.goに移動しました。Errフィールドがerror型になったことで、OS固有のエラー（syscall.Errnoなど）を直接格納できるようになり、Error()メソッドもe.Err.Error()を呼び出すことで、根本的なエラーの詳細な文字列表現を取得できるようになりました。NewSyscallErrorヘルパー関数も、エラーがnilの場合はnilを返し、それ以外の場合はSyscallErrorのポインタを返すという、Goのエラーハンドリングの慣習に沿った実装になっています。

src/pkg/os/error_plan9.go の変更

--- a/src/pkg/os/error_plan9.go
+++ b/src/pkg/os/error_plan9.go
@@ -9,24 +9,6 @@ import (
 	"syscall"
 )
 
-// SyscallError records an error from a specific system call.
-type SyscallError struct {
-	Syscall string
-	Err     string
-}
-
-func (e *SyscallError) Error() string { return e.Syscall + ": " + e.Err }
-
-// NewSyscallError returns, as an error, a new SyscallError
-// with the given system call name and error details.
-// As a convenience, if err is nil, NewSyscallError returns nil.
-func NewSyscallError(syscall string, err error) error {
-	if err == nil {
-		return nil
-	}
-	return &SyscallError{syscall, err.Error()}
-}
-
 var (
 	Eshortstat = errors.New("stat buffer too small")
 	Ebadstat   = errors.New("malformed stat buffer")

Plan 9固有のSyscallErrorの定義とNewSyscallError関数が完全に削除されました。これは、error.goで定義された汎用的なSyscallErrorがPlan 9を含むすべてのOSで利用可能になったためです。

src/pkg/os/error_posix.go の変更

--- a/src/pkg/os/error_posix.go
+++ b/src/pkg/os/error_posix.go
@@ -6,7 +6,7 @@
 
 package os
 
-import syscall "syscall"
+import "syscall"
 
 // Commonly known Unix errors.
 var (
@@ -49,21 +49,3 @@ var (
 	ETIMEDOUT    error = syscall.ETIMEDOUT
 	ENOTCONN     error = syscall.ENOTCONN
 )
-
-// SyscallError records an error from a specific system call.
-type SyscallError struct {
-	Syscall string
-	Errno   error
-}
-
-func (e *SyscallError) Error() string { return e.Syscall + ": " + e.Errno.Error() }
-
-// NewSyscallError returns, as an error, a new SyscallError
-// with the given system call name and error details.
-// As a convenience, if err is nil, NewSyscallError returns nil.
-func NewSyscallError(syscall string, err error) error {
-	if err == nil {
-		return nil
-	}
-	return &SyscallError{syscall, err}
-}

POSIXシステム固有のSyscallErrorの定義とNewSyscallError関数が完全に削除されました。これもerror.goで定義された汎用的なSyscallErrorに置き換えられたためです。また、import syscall "syscall"というエイリアス付きのインポートが、一般的なimport "syscall"に変更されています。これは機能的な変更ではなく、コードスタイルの統一です。

関連リンク

• GitHubコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/9f8c2c8bbfacf6eb320361ba93aef2f70c7b1f4f
• Gerrit Code Review (元の変更リスト): https://golang.org/cl/5651084

参考にした情報源リンク

• Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/
• Go言語のエラーハンドリングに関する公式ブログ記事やドキュメント (一般的なGoのエラーハンドリングの概念理解のため)
  • "Error handling and Go" - The Go Blog: https://go.dev/blog/error-handling-and-go
• Go言語のosパッケージドキュメント: https://pkg.go.dev/os
• Go言語のsyscallパッケージドキュメント: https://pkg.go.dev/syscall
• Go言語のソースコード (コミット前後のosパッケージのerror.go, error_plan9.go, error_posix.goの比較)
• Go言語のコミット履歴と関連する議論 (Gerrit Code Reviewなど)