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[インデックス 11904] ファイルの概要

コミット

このコミットは、Goコンパイラのビルドプロセスで使用されるmkbuiltinスクリプト内のコメントの修正です。具体的には、生成されるファイルに関する記述と、変更チェックの対象ファイルに関する記述が更新されています。これは機能的な変更ではなく、ドキュメンテーションの正確性を向上させるための修正です。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/87a04c0bcf52c02598a4f20f1190fd89d591c824

元コミット内容

gc: fix comment in mkbuiltin

R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5669046

変更の背景

このコミットは、Goコンパイラのビルドシステムの一部であるmkbuiltinスクリプト内のコメントの誤りを修正することを目的としています。以前のコメントでは、mkbuiltinbuiltin.cbuiltin.c.bootの両方を生成すると記述されていましたが、実際にはbuiltin.cのみを生成していました。また、変更チェックの対象ファイル名もbuiltin.c.bootからbuiltin.cに修正する必要がありました。これは、コードの動作には影響を与えないものの、将来の開発者がスクリプトの目的や動作を誤解するのを防ぐための、ドキュメンテーションの正確性を保つための修正です。

前提知識の解説

Goコンパイラ (gc)

gcはGo言語の公式コンパイラです。Goのソースコードを機械語に変換する役割を担っています。Goのツールチェインの一部として提供され、Goプログラムのビルドにおいて中心的な役割を果たします。

mkbuiltinスクリプト

mkbuiltinは、Goコンパイラのビルドプロセスで使用されるシェルスクリプトです。このスクリプトの主な目的は、Goのランタイム(runtime.go)とunsafeパッケージ(unsafe.go)の情報をC言語のソースファイル(builtin.c)として生成することです。このbuiltin.cファイルは、コンパイラがGoの組み込み関数や型に関する情報をC言語のコードとして利用できるようにするために必要です。

runtime.go

runtime.goは、Go言語のランタイムシステムの実装を含むファイルです。ガベージコレクション、スケジューラ、ゴルーチン管理、メモリ割り当てなど、Goプログラムの実行を支える低レベルな機能がここに定義されています。

unsafe.go

unsafe.goは、Go言語のunsafeパッケージの定義を含むファイルです。unsafeパッケージは、Goの型安全性をバイパスして、ポインタ演算や任意の型への変換など、低レベルな操作を可能にする機能を提供します。通常は推奨されませんが、特定のパフォーマンス要件やシステムプログラミングのシナリオで必要となることがあります。

builtin.c

builtin.cは、mkbuiltinスクリプトによって生成されるC言語のソースファイルです。このファイルには、Goの組み込み関数(例: len, cap, new, makeなど)や、runtimeおよびunsafeパッケージからコンパイラが必要とする情報がC言語の構造体や関数として記述されます。これにより、コンパイラはGoの組み込み機能に関する情報を効率的に参照し、コード生成を行うことができます。

技術的詳細

mkbuiltinスクリプトは、runtime.gounsafe.goを解析し、Goの組み込み関数や型に関するメタデータを抽出します。このメタデータは、コンパイラがGoの言語仕様に準拠したコードを生成するために不可欠です。例えば、len関数がどのような引数を受け取り、どのような型を返すかといった情報がbuiltin.cにC言語の形式で埋め込まれます。

このコミット以前のmkbuiltinスクリプトのコメントには、「builtin.cbuiltin.c.bootを生成する」という記述がありました。しかし、実際のスクリプトの動作はbuiltin.cのみを生成していました。builtin.c.bootは、Goコンパイラのブートストラッププロセス(自己コンパイル)において、初期のコンパイラが使用するbuiltin.cのバージョンを指すことがありますが、このスクリプト自体は直接builtin.c.bootを生成するわけではありませんでした。

また、スクリプトの最終部分では、新しく生成された_builtin.cと既存のbuiltin.cを比較し、変更があればbuiltin.cを更新するというロジックがあります。以前のコメントでは、この比較対象がbuiltin.c.bootと誤って記述されていましたが、実際にはbuiltin.cと比較していました。

この修正は、これらのコメントの不正確さを解消し、mkbuiltinスクリプトの実際の動作とドキュメンテーションを一致させるものです。これにより、スクリプトの保守性や理解度が向上します。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/cmd/gc/mkbuiltin
+++ b/src/cmd/gc/mkbuiltin
@@ -3,7 +3,7 @@
 # Use of this source code is governed by a BSD-style
 # license that can be found in the LICENSE file.

-# Generate builtin.c and builtin.c.boot from $* (runtime.go and unsafe.go).\n+# Generate builtin.c from $* (runtime.go and unsafe.go).
 # Run this after changing runtime.go and unsafe.go
 # or after changing the export metadata format in the compiler.
 # Either way, you need to have a working compiler binary first.
@@ -25,7 +25,7 @@ do
 	O=$GOCHAR ./mkbuiltin1 $i >>_builtin.c
 done

-# If _builtin.c has changed vs builtin.c.boot,\n+# If _builtin.c has changed vs builtin.c,
 # check in the new change.
 cmp -s _builtin.c builtin.c || cp _builtin.c builtin.c
 rm _builtin.c mkbuiltin1 unsafe.$GOCHAR runtime.$GOCHAR

コアとなるコードの解説

このコミットでは、src/cmd/gc/mkbuiltinファイル内の2つのコメント行が変更されています。

  1. 行3の変更:

    • - # Generate builtin.c and builtin.c.boot from $* (runtime.go and unsafe.go).
    • + # Generate builtin.c from $* (runtime.go and unsafe.go). この変更は、mkbuiltinスクリプトがbuiltin.cbuiltin.c.bootの両方を生成するという誤った記述を修正し、実際にはbuiltin.cのみを生成するという正確な記述に更新しています。これにより、スクリプトの目的がより明確になります。
  2. 行26の変更:

    • - # If _builtin.c has changed vs builtin.c.boot,
    • + # If _builtin.c has changed vs builtin.c, この変更は、生成された一時ファイル_builtin.cと既存のbuiltin.cを比較する際のコメントを修正しています。以前は比較対象がbuiltin.c.bootと誤って記述されていましたが、実際にはbuiltin.cと比較していました。この修正により、コメントが実際のコードの動作と一致するようになります。

これらの変更は、スクリプトの機能には一切影響を与えず、純粋にドキュメンテーションの正確性を向上させるためのものです。

関連リンク

参考にした情報源リンク