[インデックス 11913] ファイルの概要
このコミットは、godoc ツールが生成するHTMLドキュメント内のサブディレクトリへのリンクが正しく機能しない問題を修正するものです。具体的には、HTMLアンカーの参照における大文字・小文字の不一致を解消しています。
コミット
commit b4d32d832f046fea973f508d5a6bbeb4bba4723f
Author: Gustavo Niemeyer <gustavo@niemeyer.net>
Date: Tue Feb 14 22:18:29 2012 -0200
lib/godoc: fix subdirectories html reference
R=golang-dev, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5677043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/b4d32d832f046fea973f508d5a6bbeb4bba4723f
元コミット内容
lib/godoc: fix subdirectories html reference
このコミットは、godocライブラリ内のpackage.htmlテンプレートにおいて、サブディレクトリへのHTML参照が誤っていた点を修正します。
変更の背景
godocはGo言語のドキュメンテーションツールであり、Goのソースコードからドキュメントを生成し、Webブラウザで閲覧可能な形式で提供します。このツールは、パッケージの概要、関数、型、変数、そしてサブディレクトリの一覧などを表示します。
このコミットが行われた当時、godocが生成するHTMLページにおいて、サブディレクトリへの内部リンク（アンカーリンク）が正しく機能しないという問題がありました。具体的には、HTMLテンプレート内でサブディレクトリセクションへのリンクを生成する際に、参照先となるid属性の値と、リンク元となるhref属性の値の間で、大文字・小文字の区別が原因で不一致が生じていました。
HTMLのid属性は、ドキュメント内で一意である必要があり、その値は大文字・小文字を区別します。したがって、もしターゲットとなる要素のidがsubdirectories（全て小文字）であるにもかかわらず、リンクが#Subdirectories（Sが大文字）を参照していた場合、ブラウザはそのアンカーを見つけることができず、ページ内の該当セクションへスクロールすることができませんでした。
このコミットは、この大文字・小文字の不一致を修正し、ユーザーがgodocで生成されたドキュメントを閲覧する際に、サブディレクトリへのリンクが期待通りに機能するようにすることを目的としています。
前提知識の解説
HTMLアンカー（Anchor）
HTMLアンカーは、ウェブページ内の特定の場所へ直接リンクするための仕組みです。主に以下の2つの要素で構成されます。
- ターゲット（Target）: リンクの目的地となる要素です。通常、
id属性を使用して一意の識別子を割り当てます。 例:<h2 id="section-name">セクション名</h2> - リンク（Link）: ターゲットへの参照を作成する要素です。
<a>タグのhref属性に#に続けてターゲットのidを指定します。 例:<a href="#section-name">セクションへジャンプ</a>
ユーザーがこのリンクをクリックすると、ブラウザはページをスクロールして、指定されたidを持つ要素が表示される位置まで移動します。
HTMLのid属性と大文字・小文字の区別
HTMLのid属性の値は、大文字・小文字を区別します。これは、id="MySection"とid="mysection"が異なる識別子として扱われることを意味します。したがって、アンカーリンクを作成する際には、href属性で指定するidの値が、ターゲット要素のid属性の値と完全に一致している必要があります（大文字・小文字も含めて）。
Go言語のgodocツール
godocは、Go言語の標準ツールチェーンに含まれるドキュメンテーションツールです。Goのソースコードに記述されたコメント（特にエクスポートされた識別子に付随するコメント）を解析し、自動的にAPIドキュメントを生成します。このドキュメントは、コマンドラインで表示することも、HTTPサーバーとして提供し、Webブラウザで閲覧することも可能です。godocは、Goプロジェクトの自己文書化を促進し、開発者がライブラリやパッケージの利用方法を素早く理解するのに役立ちます。
技術的詳細
この問題は、godocがHTMLドキュメントを生成する際に使用するテンプレートファイルlib/godoc/package.html内に存在していました。このテンプレートは、Goのtext/templateパッケージによって処理され、動的にHTMLコンテンツを生成します。
問題の箇所は、パッケージの概要ページに表示される目次のようなナビゲーション部分でした。サブディレクトリが存在する場合、そのセクションへのリンクが生成されます。
元のコードでは、サブディレクトリセクションへのリンクのhref属性が#Subdirectoriesとなっていました。しかし、実際にサブディレクトリのセクションを識別するid属性は、おそらくsubdirectories（全て小文字）として定義されていたと考えられます。
<!-- 修正前 -->
<dd><a href="#Subdirectories">Subdirectories</a></dd>
<!-- 修正後 -->
<dd><a href="#subdirectories">Subdirectories</a></dd>
この変更により、href属性の値がターゲットのid属性の値と完全に一致するようになり、ブラウザが正しくアンカーリンクを解決できるようになりました。これは、HTMLの仕様におけるid属性の大文字・小文字の区別という基本的なルールに則った修正です。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/lib/godoc/package.html
+++ b/lib/godoc/package.html
@@ -13,7 +13,7 @@
<dd><a href=\"#overview\">Overview</a></dd>\n \t\t\t<dd><a href=\"#index\">Index</a></dd>\n \t\t\t{{if $.Dirs}}\n-\t\t\t\t<dd><a href=\"#Subdirectories\">Subdirectories</a></dd>\n+\t\t\t\t<dd><a href=\"#subdirectories\">Subdirectories</a></dd>\n \t\t\t{{end}}\n \t\t\t</dl>\n \t\t</div>\n```
## コアとなるコードの解説
変更は`lib/godoc/package.html`ファイルの1行のみです。
* **`- <dd><a href="#Subdirectories">Subdirectories</a></dd>`**: 変更前の行です。ここで、サブディレクトリへのリンクの`href`属性が`#Subdirectories`（Sが大文字）と指定されていました。
* **`+ <dd><a href="#subdirectories">Subdirectories</a></dd>`**: 変更後の行です。`href`属性の値が`#subdirectories`（全て小文字）に修正されています。
この修正は、HTMLアンカーの参照先（`id`属性）が`subdirectories`という全て小文字の形式で定義されていることを前提としています。これにより、リンクが正しく機能し、ユーザーが`godoc`で生成されたドキュメント内のサブディレクトリセクションへスムーズに移動できるようになります。
この変更は、Goのドキュメンテーションシステムのユーザビリティを向上させるための、小さくも重要なバグ修正と言えます。
## 関連リンク
* Go Change-ID: [https://golang.org/cl/5677043](https://golang.org/cl/5677043)
## 参考にした情報源リンク
* HTML `id` attribute: [https://developer.mozilla.org/en-US/docs/Web/HTML/Global_attributes/id](https://developer.mozilla.org/en-US/docs/Web/HTML/Global_attributes/id)
* HTML `<a>` tag: [https://developer.mozilla.org/en-US/docs/Web/HTML/Element/a](https://developer.mozilla.org/en-US/docs/Web/HTML/Element/a)
* Go `godoc` command: [https://pkg.go.dev/cmd/godoc](https://pkg.go.dev/cmd/godoc)
* Go `text/template` package: [https://pkg.go.dev/text/template](https://pkg.go.dev/text/template)