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[インデックス 11922] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式ドキュメントの一部である doc/devel/weekly.html ファイルに対する修正です。具体的には、os パッケージのAPI変更に関する記述を更新し、古い情報が残っていたスナップショットノートを修正しています。これにより、Go言語の進化に伴うAPIの変更が正確に反映され、開発者が最新の推奨される方法でコードを記述できるようになります。

コミット

  • コミットハッシュ: eccc22e542bf5161a789b9956caa4d500208ea1e
  • 作者: Andrew Gerrand adg@golang.org
  • コミット日時: 2012年2月15日(水) 14:20:21 +1100
  • コミットメッセージ:
    doc: fix snapshot notes
    
    R=bradfitz, dsymonds
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5675056
    

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/eccc22e542bf5161a789b9956caa4d500208ea1e

元コミット内容

このコミットの目的は、Go言語の週次開発ノート(doc/devel/weekly.html)におけるスナップショットに関する記述を修正することです。特に、os パッケージの Exec および Time 関数が削除されたこと、そしてそれらの代替として os/exec パッケージと time.Now を使用すべきであるという記述、さらに ShellExpandExpandEnv にリネームされたこと、NewFile 関数が uintptr を引数にとるようになったことに関する記述を修正しています。

変更の背景

Go言語は活発に開発が進められており、その過程でAPIの変更や改善が頻繁に行われます。特に初期のバージョンでは、より良い設計やパフォーマンスのために、既存の関数が削除されたり、名前が変更されたり、シグネチャが変更されたりすることがありました。

このコミットが行われた2012年頃は、Go言語がまだ比較的新しく、APIが安定化する途上にありました。os パッケージはオペレーティングシステムとのインタラクションを担当する重要なパッケージであり、そのAPIの変更は多くの既存コードに影響を与える可能性があります。

このコミットの背景にあるのは、以下のAPI変更が既にGo言語のコアライブラリで行われていたにもかかわらず、公式の週次開発ノート(doc/devel/weekly.html)にその情報が正確に反映されていなかった、あるいは一部誤った情報が記載されていたためです。

  1. os.Exec の削除と syscall.Exec への移行: 以前は os パッケージに直接 Exec 関数が存在しましたが、より低レベルなシステムコールへのアクセスを提供する syscall パッケージにその機能が移管されました。これにより、os パッケージはより高レベルな抽象化を提供し、プロセス実行のより詳細な制御は os/exec パッケージが担当するようになりました。
  2. os.Time の削除と time.Now への移行: os パッケージにあった Time 関数は、時刻に関するより汎用的な機能を提供する time パッケージの time.Now 関数に統合されました。これにより、時刻関連の操作が一元化され、APIの一貫性が向上しました。
  3. os.ShellExpandos.ExpandEnv へのリネーム: 環境変数を展開する機能を持つ ShellExpand 関数が、その機能により即した ExpandEnv という名前に変更されました。これはAPIの命名規則の改善の一環です。
  4. os.NewFile および *os.File.Fduintptr 使用: ファイルディスクリプタ(ファイル記述子)を扱う際に、より汎用的なポインタ型である uintptr を使用するように変更されました。これは、異なるオペレーティングシステム間での互換性を高め、低レベルなファイル操作の柔軟性を向上させるための変更です。

これらの変更は、Go言語の設計思想である「シンプルさ」「安全性」「効率性」を追求する過程で必然的に行われたものであり、このコミットはそれらの変更を開発者に正しく伝えるためのドキュメント修正です。

前提知識の解説

このコミットの変更内容を理解するためには、以下のGo言語の基本的な概念とパッケージに関する知識が必要です。

  1. os パッケージ: Go言語の標準ライブラリの一つで、オペレーティングシステム(OS)とのインタラクションを提供します。ファイルシステム操作、プロセス管理、環境変数へのアクセスなど、OSレベルの機能にアクセスするための関数や型が含まれています。

    • ファイルディスクリプタ (File Descriptor, FD): OSがファイルやソケットなどのI/Oリソースを識別するために使用する整数値です。Go言語では、*os.File 型がファイルディスクリプタを抽象化して扱います。
    • os.Exec (旧): 外部プログラムを実行するための関数でした。
    • os.Time (旧): 現在時刻を取得するための関数でした。
    • os.ShellExpand (旧): シェルの環境変数を展開する機能を持つ関数でした。
    • os.NewFile: ファイルディスクリプタから *os.File オブジェクトを作成するための関数です。
    • *os.File.Fd: *os.File オブジェクトから基となるファイルディスクリプタ(整数値)を取得するためのメソッドです。
  2. syscall パッケージ: 低レベルなシステムコールへのアクセスを提供します。OS固有の機能や、より詳細な制御が必要な場合に利用されます。os パッケージが提供する高レベルな抽象化の下で、実際にOSとやり取りする部分を担うことがあります。

    • syscall.Exec: プロセスを置き換える(現在のプロセスを新しいプログラムで上書きする)ためのシステムコールです。
  3. time パッケージ: 時刻に関する機能を提供します。現在時刻の取得、時刻のフォーマット、時間間隔の計算など、時間に関連するあらゆる操作を扱います。

    • time.Now: 現在のローカル時刻を time.Time 型で返します。
  4. os/exec パッケージ: 外部コマンドの実行をより高レベルで抽象化して扱います。コマンドの実行、標準入出力のリダイレクト、プロセスの終了ステータスの取得など、外部プロセスとの連携に必要な機能を提供します。os.Exec の後継として推奨されるパッケージです。

  5. reflect パッケージ: Go言語の「リフレクション」機能を提供します。実行時に型情報や値の情報を検査・操作することができます。これにより、汎用的なコードや、型が事前にわからないデータを扱うライブラリを記述することが可能になります。

    • runtime パッケージの Type 型 (旧): 以前は runtime パッケージに型情報を扱う Type 型が存在しましたが、より強力で安全なリフレクション機能を提供する reflect パッケージにその役割が移管されました。
  6. uintptr: Go言語の組み込み型の一つで、ポインタ値を整数として表現するための型です。ポインタが指すアドレスを保持できますが、ガベージコレクションの対象外であるため、Goのポインタ型 (*T) とは異なり、参照しているオブジェクトが移動したり解放されたりしても追跡されません。主に低レベルなシステムプログラミングや、C言語との相互運用などで、メモリアドレスやファイルディスクリプタのようなOSリソースのハンドルを整数として扱う際に使用されます。

これらの知識があることで、コミットがなぜ行われたのか、そしてその変更がGo言語のAPI設計においてどのような意味を持つのかを深く理解することができます。

技術的詳細

このコミットは、Go言語の os パッケージにおける重要なAPI変更をドキュメントに正確に反映させるためのものです。変更された具体的な内容は以下の通りです。

  1. os.Exec から syscall.Exec および os/exec への移行:

    • 変更前: os パッケージに直接 Exec 関数が存在し、外部プログラムを実行する機能を提供していました。
    • 変更後: os.Exec は削除されました。
      • 低レベルなシステムコールとしてプロセスを置き換える機能は syscall.Exec が担当するようになりました。これは、現在のプロセスイメージを新しいプログラムで上書きする、よりプリミティブな操作です。
      • より高レベルで柔軟な外部コマンド実行(例:コマンドの標準入出力の制御、環境変数の設定、プロセスの待機など)は、新たに導入された os/exec パッケージが担当するようになりました。これにより、Goプログラムから外部コマンドを安全かつ効率的に実行するための標準的な方法が提供されました。
    • 背景: この変更は、os パッケージの役割をより明確にし、高レベルなOSインタラクションと低レベルなシステムコールを分離することで、APIの設計を改善し、開発者が適切なツールを選択できるようにすることを目的としています。
  2. os.Time から time.Now への移行:

    • 変更前: os パッケージに Time 関数が存在し、現在時刻を取得する機能を提供していました。
    • 変更後: os.Time は削除され、代わりに time パッケージの time.Now 関数を使用することが推奨されるようになりました。
    • 背景: 時刻に関する機能は time パッケージに一元化されるべきであるという設計思想に基づいています。これにより、APIの一貫性が保たれ、開発者は時刻関連の操作を行う際に time パッケージを参照すればよいという明確な指針が得られます。
  3. os.ShellExpand から os.ExpandEnv へのリネーム:

    • 変更前: 環境変数を展開する関数は os.ShellExpand という名前でした。
    • 変更後: os.ShellExpandos.ExpandEnv にリネームされました。
    • 背景: 関数の名前がその機能(環境変数の展開)をより正確に反映するように変更されました。ShellExpand という名前は、シェル固有の展開規則(例:チルダ展開、ワイルドカード展開など)を連想させる可能性がありましたが、実際には環境変数の展開のみを行うため、ExpandEnv の方が適切であると判断されました。
  4. os.NewFile および *os.File.Fd における uintptr の使用:

    • 変更前: os.NewFile 関数はファイルディスクリプタを int 型で受け取り、*os.File.Fd メソッドはファイルディスクリプタを int 型で返していました。
    • 変更後: os.NewFile 関数はファイルディスクリプタを uintptr 型で受け取るようになり、*os.File.Fd メソッドはファイルディスクリプタを uintptr 型で返すようになりました。
    • 背景: ファイルディスクリプタはOSによってそのサイズや表現が異なる場合があります(例:32ビットシステムでは int で十分でも、64ビットシステムではより大きな値が必要になる場合がある)。uintptr はポインタ値を保持できる符号なし整数型であり、OSが提供するファイルディスクリプタのハンドルを、プラットフォームに依存しない形で表現するのに適しています。これにより、Go言語のファイルI/Oがよりポータブルで堅牢になります。uintptr はガベージコレクションの対象外であるため、低レベルなOSリソースのハンドルを扱う際に安全に使用できます。

これらの変更は、Go言語のAPIが成熟し、より堅牢で一貫性のあるものになる過程を示しています。このコミットは、これらの重要な変更を開発者コミュニティに正確に伝えるためのドキュメントの同期作業です。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットは、doc/devel/weekly.html ファイルの以下の部分を変更しています。

--- a/doc/devel/weekly.html
+++ b/doc/devel/weekly.html
@@ -22,9 +22,10 @@ This release includes some package changes that require changes to client code.\n The flate, gzip and zlib's NewWriterXxx functions no longer return an error.\n The compiler will flag all affected code which must then be updated by hand.\n \n-The os package's Exec and Time functions were removed. Callers should use the\n-os/exec package and time.Now instead. The ShellExpand function was renamed to\n-ExpandEnv. The NewFile function now takes a uintptr.\n+The os package's Exec and Time functions were removed.  Callers should use\n+syscall.Exec and time.Now instead. The ShellExpand function was renamed to\n+ExpandEnv. The NewFile function now takes a uintptr and the *File.Fd method\n+returns a uintptr.\n \n The runtime package's Type type and its methods have been removed.\n Use the reflect package instead.\n```

## コアとなるコードの解説

このdiffは、`doc/devel/weekly.html` 内のGo言語のAPI変更に関する記述を修正しています。

-   **`-The os package's Exec and Time functions were removed. Callers should use the`**:
    これは削除された行です。以前の記述では、`os.Exec` と `os.Time` が削除されたこと、そして `os/exec` パッケージと `time.Now` を使用すべきであると記載されていました。

-   **`-os/exec package and time.Now instead. The ShellExpand function was renamed to`**:
    これも削除された行です。`os/exec` パッケージと `time.Now` が代替であること、そして `ShellExpand` がリネームされたことが記載されていました。

-   **`-ExpandEnv. The NewFile function now takes a uintptr.`**:
    これも削除された行です。`ExpandEnv` へのリネームと、`NewFile` が `uintptr` を引数にとるようになったことが記載されていました。

-   **`+The os package's Exec and Time functions were removed. Callers should use`**:
    これは追加された行です。`os.Exec` と `os.Time` が削除されたことを再度記述していますが、次の行で代替がより正確に記述されます。

-   **`+syscall.Exec and time.Now instead. The ShellExpand function was renamed to`**:
    これは追加された行です。ここが重要な修正点です。
    -   `os.Exec` の代替として、以前の記述の `os/exec` だけでなく、より低レベルな `syscall.Exec` も明示的に追加されました。これは、プロセスを置き換えるという特定のユースケースにおいては `syscall.Exec` が直接的な代替となることを明確にしています。一般的な外部コマンド実行には引き続き `os/exec` が推奨されますが、ドキュメントとしてはより正確な情報を提供しています。
    -   `time.Now` は引き続き `os.Time` の代替として正しいです。
    -   `ShellExpand` がリネームされたことに関する記述は変更ありません。

-   **`+ExpandEnv. The NewFile function now takes a uintptr and the *File.Fd method`**:
    これは追加された行です。
    -   `ExpandEnv` へのリネームに関する記述は変更ありません。
    -   `NewFile` 関数が `uintptr` を引数にとるようになったことに加えて、`*os.File.Fd` メソッドも `uintptr` を返すようになったことが追記されました。これは、ファイルディスクリプタを扱う両方の主要なAPIが `uintptr` を使用するように変更されたことを正確に反映しています。

この修正により、Go言語の `os` パッケージに関するドキュメントが、実際のAPIの変更とより密接に同期され、開発者が混乱することなく最新の推奨されるAPIを使用できるようになりました。特に `os.Exec` の代替として `syscall.Exec` が追加された点と、`*os.File.Fd` メソッドの戻り値が `uintptr` に変更された点が、このコミットの主要なドキュメント修正内容です。

## 関連リンク

-   Go Code Review 5675056: [https://golang.org/cl/5675056](https://golang.org/cl/5675056)

## 参考にした情報源リンク

-   Go言語の公式ドキュメント (当時のバージョン): Go言語のAPI変更履歴やリリースノートは、通常、公式ウェブサイトやリポジトリのドキュメントセクションで確認できます。
-   Go言語のソースコード: 実際のAPI変更の詳細は、Go言語のソースコード(特に `os` パッケージ、`syscall` パッケージ、`time` パッケージの変更履歴)から確認できます。
-   Go言語のメーリングリストやフォーラム: 過去の議論や設計決定に関する情報は、`golang-dev` や `golang-nuts` といったメーリングリストのアーカイブから見つけることができます。
-   `uintptr` のGo言語における役割: Go言語の仕様書や関連するブログ記事、チュートリアルなどで `uintptr` の使用例や注意点について解説されています。
# [インデックス 11922] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式ドキュメントの一部である `doc/devel/weekly.html` ファイルに対する修正です。具体的には、`os` パッケージのAPI変更に関する記述を更新し、古い情報が残っていたスナップショットノートを修正しています。これにより、Go言語の進化に伴うAPIの変更が正確に反映され、開発者が最新の推奨される方法でコードを記述できるようになります。

## コミット

- **コミットハッシュ**: `eccc22e542bf5161a789b9956caa4d500208ea1e`
- **作者**: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
- **コミット日時**: 2012年2月15日(水) 14:20:21 +1100
- **コミットメッセージ**:
    ```
    doc: fix snapshot notes

    R=bradfitz, dsymonds
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5675056
    ```

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/eccc22e542bf5161a789b9956caa4d500208ea1e](https://github.com/golang/go/commit/eccc22e542bf5161a789b9956caa4d500208ea1e)

## 元コミット内容

このコミットの目的は、Go言語の週次開発ノート(`doc/devel/weekly.html`)におけるスナップショットに関する記述を修正することです。特に、`os` パッケージの `Exec` および `Time` 関数が削除されたこと、そしてそれらの代替として `os/exec` パッケージと `time.Now` を使用すべきであるという記述、さらに `ShellExpand` が `ExpandEnv` にリネームされたこと、`NewFile` 関数が `uintptr` を引数にとるようになったことに関する記述を修正しています。

## 変更の背景

Go言語は活発に開発が進められており、その過程でAPIの変更や改善が頻繁に行われます。特に初期のバージョンでは、より良い設計やパフォーマンスのために、既存の関数が削除されたり、名前が変更されたり、シグネチャが変更されたりすることがありました。

このコミットが行われた2012年頃は、Go言語がまだ比較的新しく、APIが安定化する途上にありました。`os` パッケージはオペレーティングシステムとのインタラクションを担当する重要なパッケージであり、そのAPIの変更は多くの既存コードに影響を与える可能性があります。

このコミットの背景にあるのは、以下のAPI変更が既にGo言語のコアライブラリで行われていたにもかかわらず、公式の週次開発ノート(`doc/devel/weekly.html`)にその情報が正確に反映されていなかった、あるいは一部誤った情報が記載されていたためです。

1.  **`os.Exec` の削除と `syscall.Exec` への移行**: 以前は `os` パッケージに直接 `Exec` 関数が存在しましたが、より低レベルなシステムコールへのアクセスを提供する `syscall` パッケージにその機能が移管されました。これにより、`os` パッケージはより高レベルな抽象化を提供し、プロセス実行のより詳細な制御は `os/exec` パッケージが担当するようになりました。
2.  **`os.Time` の削除と `time.Now` への移行**: `os` パッケージにあった `Time` 関数は、時刻に関するより汎用的な機能を提供する `time` パッケージの `time.Now` 関数に統合されました。これにより、時刻関連の操作が一元化され、APIの一貫性が向上しました。
3.  **`os.ShellExpand` の `os.ExpandEnv` へのリネーム**: 環境変数を展開する機能を持つ `ShellExpand` 関数が、その機能により即した `ExpandEnv` という名前に変更されました。これはAPIの命名規則の改善の一環です。
4.  **`os.NewFile` および `*os.File.Fd` の `uintptr` 使用**: ファイルディスクリプタ(ファイル記述子)を扱う際に、より汎用的なポインタ型である `uintptr` を使用するように変更されました。これは、異なるオペレーティングシステム間での互換性を高め、低レベルなファイル操作の柔軟性を向上させるための変更です。

これらの変更は、Go言語の設計思想である「シンプルさ」「安全性」「効率性」を追求する過程で必然的に行われたものであり、このコミットはそれらの変更を開発者に正しく伝えるためのドキュメント修正です。

## 前提知識の解説

このコミットの変更内容を理解するためには、以下のGo言語の基本的な概念とパッケージに関する知識が必要です。

1.  **`os` パッケージ**:
    Go言語の標準ライブラリの一つで、オペレーティングシステム(OS)とのインタラクションを提供します。ファイルシステム操作、プロセス管理、環境変数へのアクセスなど、OSレベルの機能にアクセスするための関数や型が含まれています。
    -   **ファイルディスクリプタ (File Descriptor, FD)**: OSがファイルやソケットなどのI/Oリソースを識別するために使用する整数値です。Go言語では、`*os.File` 型がファイルディスクリプタを抽象化して扱います。
    -   **`os.Exec` (旧)**: 外部プログラムを実行するための関数でした。
    -   **`os.Time` (旧)**: 現在時刻を取得するための関数でした。
    -   **`os.ShellExpand` (旧)**: シェルの環境変数を展開する機能を持つ関数でした。
    -   **`os.NewFile`**: ファイルディスクリプタから `*os.File` オブジェクトを作成するための関数です。
    -   **`*os.File.Fd`**: `*os.File` オブジェクトから基となるファイルディスクリプタ(整数値)を取得するためのメソッドです。

2.  **`syscall` パッケージ**:
    低レベルなシステムコールへのアクセスを提供します。OS固有の機能や、より詳細な制御が必要な場合に利用されます。`os` パッケージが提供する高レベルな抽象化の下で、実際にOSとやり取りする部分を担うことがあります。
    -   **`syscall.Exec`**: プロセスを置き換える(現在のプロセスを新しいプログラムで上書きする)ためのシステムコールです。

3.  **`time` パッケージ**:
    時刻に関する機能を提供します。現在時刻の取得、時刻のフォーマット、時間間隔の計算など、時間に関連するあらゆる操作を扱います。
    -   **`time.Now`**: 現在のローカル時刻を `time.Time` 型で返します。

4.  **`os/exec` パッケージ**:
    外部コマンドの実行をより高レベルで抽象化して扱います。コマンドの実行、標準入出力のリダイレクト、プロセスの終了ステータスの取得など、外部プロセスとの連携に必要な機能を提供します。`os.Exec` の後継として推奨されるパッケージです。

5.  **`reflect` パッケージ**:
    Go言語の「リフレクション」機能を提供します。実行時に型情報や値の情報を検査・操作することができます。これにより、汎用的なコードや、型が事前にわからないデータを扱うライブラリを記述することが可能になります。
    -   **`runtime` パッケージの `Type` 型 (旧)**: 以前は `runtime` パッケージに型情報を扱う `Type` 型が存在しましたが、より強力で安全なリフレクション機能を提供する `reflect` パッケージにその役割が移管されました。

6.  **`uintptr` 型**:
    Go言語の組み込み型の一つで、ポインタ値を整数として表現するための型です。ポインタが指すアドレスを保持できますが、ガベージコレクションの対象外であるため、Goのポインタ型 (`*T`) とは異なり、参照しているオブジェクトが移動したり解放されたりしても追跡されません。主に低レベルなシステムプログラミングや、C言語との相互運用などで、メモリアドレスやファイルディスクリプタのようなOSリソースのハンドルを整数として扱う際に使用されます。

これらの知識があることで、コミットがなぜ行われたのか、そしてその変更がGo言語のAPI設計においてどのような意味を持つのかを深く理解することができます。

## 技術的詳細

このコミットは、Go言語の `os` パッケージにおける重要なAPI変更をドキュメントに正確に反映させるためのものです。変更された具体的な内容は以下の通りです。

1.  **`os.Exec` から `syscall.Exec` および `os/exec` への移行**:
    -   **変更前**: `os` パッケージに直接 `Exec` 関数が存在し、外部プログラムを実行する機能を提供していました。
    -   **変更後**: `os.Exec` は削除されました。
        -   低レベルなシステムコールとしてプロセスを置き換える機能は `syscall.Exec` が担当するようになりました。これは、現在のプロセスイメージを新しいプログラムで上書きする、よりプリミティブな操作です。
        -   より高レベルで柔軟な外部コマンド実行(例:コマンドの標準入出力の制御、環境変数の設定、プロセスの待機など)は、新たに導入された `os/exec` パッケージが担当するようになりました。これにより、Goプログラムから外部コマンドを安全かつ効率的に実行するための標準的な方法が提供されました。
    -   **背景**: この変更は、`os` パッケージの役割をより明確にし、高レベルなOSインタラクションと低レベルなシステムコールを分離することで、APIの設計を改善し、開発者が適切なツールを選択できるようにすることを目的としています。

2.  **`os.Time` から `time.Now` への移行**:
    -   **変更前**: `os` パッケージに `Time` 関数が存在し、現在時刻を取得する機能を提供していました。
    -   **変更後**: `os.Time` は削除され、代わりに `time` パッケージの `time.Now` 関数を使用することが推奨されるようになりました。
    -   **背景**: 時刻に関する機能は `time` パッケージに一元化されるべきであるという設計思想に基づいています。これにより、APIの一貫性が保たれ、開発者は時刻関連の操作を行う際に `time` パッケージを参照すればよいという明確な指針が得られます。

3.  **`os.ShellExpand` から `os.ExpandEnv` へのリネーム**:
    -   **変更前**: 環境変数を展開する関数は `os.ShellExpand` という名前でした。
    -   **変更後**: `os.ShellExpand` は `os.ExpandEnv` にリネームされました。
    -   **背景**: 関数の名前がその機能(環境変数の展開)をより正確に反映するように変更されました。`ShellExpand` という名前は、シェル固有の展開規則(例:チルダ展開、ワイルドカード展開など)を連想させる可能性がありましたが、実際には環境変数の展開のみを行うため、`ExpandEnv` の方が適切であると判断されました。

4.  **`os.NewFile` および `*os.File.Fd` における `uintptr` の使用**:
    -   **変更前**: `os.NewFile` 関数はファイルディスクリプタを `int` 型で受け取り、`*os.File.Fd` メソッドはファイルディスクリプタを `int` 型で返していました。
    -   **変更後**: `os.NewFile` 関数はファイルディスクリプタを `uintptr` 型で受け取るようになり、`*os.File.Fd` メソッドはファイルディスクリプタを `uintptr` 型で返すようになりました。
    -   **背景**: ファイルディスクリプタはOSによってそのサイズや表現が異なる場合があります(例:32ビットシステムでは `int` で十分でも、64ビットシステムではより大きな値が必要になる場合がある)。`uintptr` はポインタ値を保持できる符号なし整数型であり、OSが提供するファイルディスクリプタのハンドルを、プラットフォームに依存しない形で表現するのに適しています。これにより、Go言語のファイルI/Oがよりポータブルで堅牢になります。`uintptr` はガベージコレクションの対象外であるため、低レベルなOSリソースのハンドルを扱う際に安全に使用できます。

これらの変更は、Go言語のAPIが成熟し、より堅牢で一貫性のあるものになる過程を示しています。このコミットは、これらの重要な変更を開発者コミュニティに正確に伝えるためのドキュメントの同期作業です。

## コアとなるコードの変更箇所

このコミットは、`doc/devel/weekly.html` ファイルの以下の部分を変更しています。

```diff
--- a/doc/devel/weekly.html
+++ b/doc/devel/weekly.html
@@ -22,9 +22,10 @@ This release includes some package changes that require changes to client code.\n The flate, gzip and zlib's NewWriterXxx functions no longer return an error.\n The compiler will flag all affected code which must then be updated by hand.\n \n-The os package's Exec and Time functions were removed. Callers should use the\n-os/exec package and time.Now instead. The ShellExpand function was renamed to\n-ExpandEnv. The NewFile function now takes a uintptr.\n+The os package's Exec and Time functions were removed.  Callers should use\n+syscall.Exec and time.Now instead. The ShellExpand function was renamed to\n+ExpandEnv. The NewFile function now takes a uintptr and the *File.Fd method\n+returns a uintptr.\n \n The runtime package's Type type and its methods have been removed.\n Use the reflect package instead.\n```

## コアとなるコードの解説

このdiffは、`doc/devel/weekly.html` 内のGo言語のAPI変更に関する記述を修正しています。

-   **`-The os package's Exec and Time functions were removed. Callers should use the`**:
    これは削除された行です。以前の記述では、`os.Exec` と `os.Time` が削除されたこと、そして `os/exec` パッケージと `time.Now` を使用すべきであると記載されていました。

-   **`-os/exec package and time.Now instead. The ShellExpand function was renamed to`**:
    これも削除された行です。`os/exec` パッケージと `time.Now` が代替であること、そして `ShellExpand` がリネームされたことが記載されていました。

-   **`-ExpandEnv. The NewFile function now takes a uintptr.`**:
    これも削除された行です。`ExpandEnv` へのリネームと、`NewFile` が `uintptr` を引数にとるようになったことが記載されていました。

-   **`+The os package's Exec and Time functions were removed. Callers should use`**:
    これは追加された行です。`os.Exec` と `os.Time` が削除されたことを再度記述していますが、次の行で代替がより正確に記述されます。

-   **`+syscall.Exec and time.Now instead. The ShellExpand function was renamed to`**:
    これは追加された行です。ここが重要な修正点です。
    -   `os.Exec` の代替として、以前の記述の `os/exec` だけでなく、より低レベルな `syscall.Exec` も明示的に追加されました。これは、プロセスを置き換えるという特定のユースケースにおいては `syscall.Exec` が直接的な代替となることを明確にしています。一般的な外部コマンド実行には引き続き `os/exec` が推奨されますが、ドキュメントとしてはより正確な情報を提供しています。
    -   `time.Now` は引き続き `os.Time` の代替として正しいです。
    -   `ShellExpand` がリネームされたことに関する記述は変更ありません。

-   **`+ExpandEnv. The NewFile function now takes a uintptr and the *File.Fd method`**:
    これは追加された行です。
    -   `ExpandEnv` へのリネームに関する記述は変更ありません。
    -   `NewFile` 関数が `uintptr` を引数にとるようになったことに加えて、`*os.File.Fd` メソッドも `uintptr` を返すようになったことが追記されました。これは、ファイルディスクリプタを扱う両方の主要なAPIが `uintptr` を使用するように変更されたことを正確に反映しています。

この修正により、Go言語の `os` パッケージに関するドキュメントが、実際のAPIの変更とより密接に同期され、開発者が混乱することなく最新の推奨されるAPIを使用できるようになりました。特に `os.Exec` の代替として `syscall.Exec` が追加された点と、`*os.File.Fd` メソッドの戻り値が `uintptr` に変更された点が、このコミットの主要なドキュメント修正内容です。

## 関連リンク

-   Go Code Review 5675056: [https://golang.org/cl/5675056](https://golang.org/cl/5675056)

## 参考にした情報源リンク

-   Go言語の公式ドキュメント (当時のバージョン): Go言語のAPI変更履歴やリリースノートは、通常、公式ウェブサイトやリポジトリのドキュメントセクションで確認できます。
-   Go言語のソースコード: 実際のAPI変更の詳細は、Go言語のソースコード(特に `os` パッケージ、`syscall` パッケージ、`time` パッケージの変更履歴)から確認できます。
-   Go言語のメーリングリストやフォーラム: 過去の議論や設計決定に関する情報は、`golang-dev` や `golang-nuts` といったメーリングリストのアーカイブから見つけることができます。
-   `uintptr` のGo言語における役割: Go言語の仕様書や関連するブログ記事、チュートリアルなどで `uintptr` の使用例や注意点について解説されています。
-   Go 1.0 Release Notes (March 2012): [https://go.dev/doc/go1](https://go.dev/doc/go1)
-   Go `os` package documentation (Go 1.0): [https://go.dev/pkg/os/](https://go.dev/pkg/os/) (Note: This link points to the current documentation, but you can often find links to older versions or use version control to view historical documentation.)
-   Go `syscall` package documentation (Go 1.0): [https://go.dev/pkg/syscall/](https://go.dev/pkg/syscall/)
-   Go `time` package documentation (Go 1.0): [https://go.dev/pkg/time/](https://go.dev/pkg/time/)
-   Go `os/exec` package documentation (Go 1.0): [https://go.dev/pkg/os/exec/](https://go.dev/pkg/os/exec/)
-   Go `reflect` package documentation (Go 1.0): [https://go.dev/pkg/reflect/](https://go.dev/pkg/reflect/)