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[インデックス 12101] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のテストスイート内の既存のバグ修正テスト (test/fixedbugs/bug423.go) における誤ったアサーション条件を修正するものです。具体的には、テスト関数 F 内で引数 arg の値が期待される 1 ではなく 0 と比較されていた箇所を修正し、テストが正しく機能するようにします。

コミット

commit b888671f4c6614d40bcd6864a375939ce173947e
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Tue Feb 21 16:47:42 2012 +1100

    test: fix broken test
    TBR=bradfitz
    
    R=golang-dev
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5684050

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b888671f4c6614d40bcd6864a375939ce173947e

元コミット内容

このコミットは、test/fixedbugs/bug423.go ファイル内のテストコードを修正するものです。元のコードでは、F 関数内で引数 arg0 と等しくない場合にパニックを発生させる条件が記述されていましたが、これはテストの意図と異なっていました。

変更の背景

Go言語のテストスイートには、過去に発見されたバグが将来的に再発しないことを確認するための「fixedbugs」テストが存在します。bug423.go もその一つであり、特定のバグが修正されたことを検証するためのテストが含まれています。

このコミットが行われた背景には、bug423.go 内のテストが意図した通りに機能していなかったという問題があります。具体的には、テストケースが F 関数に特定の引数(おそらく 1)を渡してその動作を検証しようとしていたにもかかわらず、関数内の条件分岐が arg != 0 となっており、期待される値 1 とは異なる 0 との比較が行われていました。この不一致により、テストが誤った結果を返したり、本来検出されるべきバグが検出されなかったりする可能性がありました。

Rob Pike氏によるこの修正は、テストの正確性を確保し、Go言語の安定性と信頼性を維持するために不可欠でした。テストが壊れていると、将来のコード変更が意図せず過去のバグを再導入してしまうリスクが高まります。

前提知識の解説

  • Go言語のテスト: Go言語には標準でテストフレームワークが組み込まれており、go test コマンドでテストを実行できます。テストファイルは通常、テスト対象のファイルと同じディレクトリに _test.go というサフィックスを付けて配置されます。
  • panic 関数: Go言語の組み込み関数で、現在のゴルーチンを停止させ、遅延関数を実行し、プログラムをクラッシュさせるために使用されます。通常、回復不可能なエラーやプログラマの論理エラーを示すために使われます。テストにおいては、期待しない状態になった場合に panic を発生させることで、テストの失敗を明示的に示すことがあります。
  • 条件分岐 (if ステートメント): プログラミングにおける基本的な制御構造の一つで、特定の条件が真である場合にのみコードブロックを実行します。
  • fixedbugs ディレクトリ: Go言語のソースコードリポジトリ内の test/fixedbugs ディレクトリは、過去に報告され修正されたバグに対する回帰テストを格納するために使用されます。これにより、将来の変更がこれらのバグを再導入しないことが保証されます。
  • Go Code Review (Gerrit): https://golang.org/cl/5684050 のようなリンクは、Goプロジェクトがコードレビューに利用しているGerritシステムへのリンクです。Gerritは、変更がメインのコードベースにマージされる前に、コードの品質と正確性を確保するためのレビュープロセスを容易にします。TBR (To Be Reviewed by) はレビュー担当者を示し、R (Reviewers) と CC (Carbon Copy) はレビュープロセスに関与する他の関係者を示します。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、非常にシンプルながらもテストの正確性において重要な修正です。

test/fixedbugs/bug423.go ファイル内の F 関数には、以下のようなコードスニペットがありました。

func F(arg int) {
	// ... (他のコード)
	X = 0
	X = 0
	X = 0 // used 256 times
	if arg != 0 { // 問題の箇所
		panic("argument was changed")
	}
}

この if arg != 0 という条件は、arg0 ではない場合に panic を発生させることを意味します。しかし、このテストの意図は、おそらく F 関数が特定の引数(例えば 1)を受け取ったときに、その引数が関数内で変更されていないことを確認することでした。もしテストが F(1) のように呼び出されていた場合、arg の値は 1 であるため、1 != 0 は真となり、意図せず panic が発生してテストが失敗していました。これは、テストが検証しようとしている本来のバグとは無関係な、テストコード自体の論理エラーです。

このコミットでは、この条件を if arg != 1 に変更しました。

func F(arg int) {
	// ... (他のコード)
	X = 0
	X = 0
	X = 0 // used 256 times
	if arg != 1 { // 修正後の箇所
		panic("argument was changed")
	}
}

この変更により、F 関数が arg として 1 を受け取った場合、1 != 1 は偽となるため panic は発生しません。これにより、テストは arg1 であることを期待し、もし F 関数内で arg の値が 1 以外に変わってしまった場合にのみ panic を発生させるという、本来の意図通りの動作をするようになります。

この修正は、テストが正しく機能し、Go言語のコードベースの品質保証プロセスが健全であることを保証するために不可欠です。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/test/fixedbugs/bug423.go b/test/fixedbugs/bug423.go
index 4a04c77f62..882108df8b 100644
--- a/test/fixedbugs/bug423.go
+++ b/test/fixedbugs/bug423.go
@@ -271,7 +271,7 @@ func F(arg int) {
 	X = 0
 	X = 0
 	X = 0 // used 256 times
-	if arg != 0 {
+	if arg != 1 {
 		panic("argument was changed")
 	}
 }

変更されたファイル: test/fixedbugs/bug423.go 変更行数: 2行 (1行追加, 1行削除)

具体的には、F 関数内の274行目付近で、if arg != 0 { という行が if arg != 1 { に変更されました。

コアとなるコードの解説

変更されたコードは、test/fixedbugs/bug423.go 内の F 関数の一部です。この関数は、Go言語のコンパイラやランタイムにおける特定のバグ(この場合は bug423 に関連するバグ)の回帰テストのために存在します。

  • func F(arg int): F という名前の関数で、整数型の引数 arg を受け取ります。
  • X = 0 (複数回): これらの行は、おそらくテスト対象のバグが特定の変数 X の操作に関連していることを示唆しています。コメント // used 256 times は、この変数がコードの他の場所で頻繁に使用されていることを示しており、コンパイラの最適化やメモリ管理に関連するバグのテストである可能性を示唆しています。
  • if arg != 0 { panic("argument was changed") } (変更前): この条件は、F 関数に渡された arg の値が 0 ではない場合に、"argument was changed" というメッセージと共にプログラムをパニックさせるものでした。しかし、テストのシナリオによっては arg0 以外の値(例えば 1)で呼び出されることが想定されており、その場合、arg が変更されていなくてもこの条件が真となり、テストが誤って失敗していました。
  • if arg != 1 { panic("argument was changed") } (変更後): この修正により、条件が arg != 1 に変更されました。これは、テストが F 関数に arg として 1 を渡すことを期待しており、もし関数内で arg の値が 1 以外に意図せず変更されてしまった場合にのみ panic を発生させるという、テストの本来の意図に合致するようになりました。これにより、テストは正しく機能し、bug423 に関連するバグが再発していないことを正確に検証できるようになります。

この修正は、テストコードの論理的な整合性を保ち、テストが信頼できる結果を報告するために不可欠でした。

関連リンク

参考にした情報源リンク