[インデックス 12227] ファイルの概要
このコミットは、misc/dashboard/app/build/ui.html ファイルに対する変更です。このファイルは、Go言語のプロジェクトにおけるダッシュボードアプリケーションのユーザーインターフェース(UI)テンプレートの一部であると推測されます。具体的には、ビルドプロセスによって生成されるHTMLファイルであり、ダッシュボードに表示されるコミット情報やパッケージ情報の時刻表示に関するUIロジックを含んでいます。
コミット
- コミットハッシュ:
2d6a6ed9fc45853d8764a57658a768096e20de4d - Author: Andrew Gerrand adg@golang.org
- Date: Mon Feb 27 16:18:58 2012 +1100
- コミットメッセージ:
misc/dashboard: fix bug in UI template
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/2d6a6ed9fc45853d8764a57658a768096e20de4d
元コミット内容
commit 2d6a6ed9fc45853d8764a57658a768096e20de4d
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Mon Feb 27 16:18:58 2012 +1100
misc/dashboard: fix bug in UI template
R=golang-dev, dsymonds
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5700078
変更の背景
このコミットは、Go言語のダッシュボードアプリケーションのUIテンプレートにおけるバグ修正を目的としています。具体的には、テンプレート内で時刻情報を表示する際に、{{.Time.Time.Format ...}} という形式で時刻オブジェクトにアクセスしようとしていた箇所が誤りであり、正しくは {{.Time.Format ...}} であるという問題が発見されました。
この種のバグは、テンプレートに渡されるデータ構造の変更、またはテンプレートの記述ミスによって発生します。おそらく、当初は Time フィールドがさらに Time という名前のフィールドを持つ構造体であったか、あるいは開発者が誤って二重にアクセスしようとしたかのいずれかでしょう。この修正により、ダッシュボード上の時刻表示が正しく行われるようになります。
前提知識の解説
1. Go言語のテンプレートエンジン (text/template および html/template)
Go言語には、テキストやHTMLを生成するための強力なテンプレートエンジンが標準ライブラリとして提供されています。主に text/template と html/template の2つのパッケージがあります。
text/template: 任意のテキスト形式の出力を生成するために使用されます。html/template: HTMLの生成に特化しており、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃を防ぐための自動エスケープ機能を提供します。
これらのテンプレートエンジンは、Goのデータ構造(構造体、マップ、スライスなど)をテンプレートに渡し、そのデータに基づいて動的にコンテンツを生成します。テンプレート内では、{{.FieldName}} のようにドット記法 (.) を使用して、渡されたデータ構造のフィールドにアクセスします。また、関数を呼び出すことも可能です。
2. Go言語における time.Time 型と Format メソッド
Go言語では、日付と時刻を扱うために time パッケージが提供されており、その中心となるのが time.Time 型です。
time.Time型: 特定の時点を表す構造体です。Formatメソッド:time.Time型の重要なメソッドの一つで、時刻を指定されたレイアウト文字列に従ってフォーマットされた文字列として返します。レイアウト文字列は、Go言語の特定の参照時刻(Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006)を基準にして定義されます。例えば、"Mon 02 Jan 15:04"は「曜日 日 月 時:分」の形式で時刻をフォーマットします。
3. ダッシュボードアプリケーションのUIテンプレート
一般的なWebアプリケーションにおけるダッシュボードは、システムの状態、統計、イベントなどを一目で確認できるように設計されたユーザーインターフェースです。UIテンプレートは、これらの情報を動的に表示するための骨格を提供します。サーバーサイド(この場合はGo言語)でデータが準備され、そのデータがテンプレートに渡されてHTMLが生成され、クライアントのブラウザに表示されます。
このコミットで修正された ui.html は、おそらくダッシュボードのメインビューの一部であり、コミットやビルドのタイムスタンプを表示する役割を担っていたと考えられます。
技術的詳細
このバグは、Goテンプレートにおけるデータアクセスパスの誤りに起因しています。
元のコードは以下のようになっています。
<td class="time">{{.Time.Time.Format "Mon 02 Jan 15:04"}}</td>
これは、テンプレートに渡されたコンテキストオブジェクト(.)が Time というフィールドを持ち、さらにその Time フィールドが Time という名前のフィールドを持つ構造体であると仮定しています。つまり、Context.Time.Time のようなネストされた構造を期待していました。
しかし、実際には、テンプレートに渡されるデータ構造の Time フィールドは、すでに直接 time.Time 型のオブジェクトであったと考えられます。そのため、Time オブジェクトに対して再度 .Time でアクセスしようとすると、そのようなフィールドは存在しないため、テンプレートエンジンが正しく値を解決できず、おそらく空文字列が出力されるか、エラーが発生していた可能性があります。
修正後のコードは以下の通りです。
<td class="time">{{.Time.Format "Mon 02 Jan 15:04"}}</td>
これにより、コンテキストオブジェクトの Time フィールドが直接 time.Time 型のオブジェクトとして扱われ、その Format メソッドが正しく呼び出されるようになります。これは、Goテンプレートがデータ構造のフィールドにアクセスする際の基本的なルールに従った修正です。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/misc/dashboard/app/build/ui.html
+++ b/misc/dashboard/app/build/ui.html
@@ -118,7 +118,7 @@
</td>
{{end}}
<td class="user" title="{{.User}}">{{shortUser .User}}</td>
- <td class="time">{{.Time.Time.Format "Mon 02 Jan 15:04"}}</td>
+ <td class="time">{{.Time.Format "Mon 02 Jan 15:04"}}</td>
<td class="desc" title="{{.Desc}}">{{shortDesc .Desc}}</td>
</tr>
{{end}}
@@ -197,7 +197,7 @@
{{end}}
{{with $pkg.Commit}}\n <td class=\"user\" title=\"{{.User}}\">{{shortUser .User}}</td>\n- <td class=\"time\">{{.Time.Time.Format \"Mon 02 Jan 15:04\"}}</td>\n+ <td class=\"time\">{{.Time.Format \"Mon 02 Jan 15:04\"}}</td>\n <td class=\"desc\" title=\"{{.Desc}}\">{{shortDesc .Desc}}</td>\n {{end}}\n </tr>
コアとなるコードの解説
変更は misc/dashboard/app/build/ui.html ファイルの2箇所で行われています。
-
118行目付近:
- <td class="time">{{.Time.Time.Format "Mon 02 Jan 15:04"}}</td> + <td class="time">{{.Time.Format "Mon 02 Jan 15:04"}}</td>この行は、おそらく個々のコミットやイベントの時刻を表示する部分です。テンプレートに渡されるデータ構造において、
Timeフィールドが直接time.Time型のインスタンスであるにもかかわらず、誤ってTime.Timeと二重にアクセスしようとしていました。この修正により、TimeオブジェクトのFormatメソッドが直接呼び出され、正しい時刻表示が行われるようになります。 -
197行目付近:
- <td class="time">{{.Time.Time.Format "Mon 02 Jan 15:04"}}</td> + <td class="time">{{.Time.Format "Mon 02 Jan 15:04"}}</td>この行は、おそらくパッケージに関連するコミットの時刻を表示する部分です。ここでも同様に、
{{with $pkg.Commit}}ブロック内で利用可能なCommitオブジェクトのTimeフィールドが、既にtime.Time型であるにもかかわらず、誤ってTime.Timeとアクセスされていました。上記の修正と同じ原理で、正しい時刻フォーマットが適用されるようになります。
この変更は、Goテンプレートの基本的なデータアクセス規則に則ったものであり、テンプレートに渡されるデータ構造とテンプレート内のアクセスパスが一致するように修正されたことを示しています。
関連リンク
- Gerrit Change-ID:
https://golang.org/cl/5700078- このリンクは、Goプロジェクトが使用しているコードレビューシステムであるGerritの変更セット(Change-ID)を指しています。通常、コミットメッセージに含まれるCL(Change List)リンクは、そのコミットがGerrit上でどのようにレビューされ、承認されたかを示すものです。
参考にした情報源リンク
- Go言語公式ドキュメント:
text/templateパッケージ - Go言語公式ドキュメント:
html/templateパッケージ - Go言語公式ドキュメント:
timeパッケージ - Go言語における日付と時刻のフォーマットに関する解説(一般的な情報源)
- https://gobyexample.com/time-formatting-parsing (Go by Example - Time Formatting / Parsing)
- https://yourbasic.org/golang/format-parse-string-time-date-example/ (yourbasic.org - Go: Format and parse string to time.Time)
- これらのリンクは、Go言語の
time.Time型のFormatメソッドの一般的な使用法とレイアウト文字列の概念を理解するのに役立ちます。