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[インデックス 12291] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式ドキュメントに含まれる複数のHTMLファイル(doc/code.html, doc/effective_go.html, doc/effective_go.tmpl, doc/go_faq.html, doc/go_spec.html)に対して、不足していた<p>(パラグラフ)タグを追加するものです。これにより、ドキュメントのHTML構造が改善され、ブラウザでの表示や、ドキュメント生成ツールによる処理がより適切に行われるようになります。

コミット

commit c50074e5104563d23455a27ece2430bef2d4c844
Author: Stefan Nilsson <snilsson@nada.kth.se>
Date:   Wed Feb 29 15:07:52 2012 -0800

    doc: add a bunch of missing <p> tags
    
    R=golang-dev, gri
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5707065

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/c50074e5104563d23455a27ece2430bef2d4c844

元コミット内容

doc: add a bunch of missing <p> tags

R=golang-dev, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5707065

変更の背景

HTMLドキュメントにおいて、テキストの段落は<p>タグで明示的に囲むことが推奨されています。これは、ブラウザがコンテンツを正しくレンダリングし、スクリーンリーダーなどのアクセシビリティツールがドキュメント構造を正確に解釈するために重要です。また、CSSによるスタイリングを適用する際にも、適切なHTML構造は不可欠です。

このコミットが行われた2012年当時、Go言語のドキュメントは進化の途上にあり、HTMLのマークアップに一部不整合や不足があったと考えられます。特に、コードブロックを示す<pre>タグの前後や、リスト、見出しなどのブロック要素の後に続くテキストが、明示的な<p>タグなしで記述されている箇所がありました。このような場合、ブラウザはテキストを「匿名ブロック」として扱うことがありますが、これは予期せぬレイアウトの崩れや、セマンティックな意味の欠如につながります。

このコミットは、ドキュメントのHTML構造をより堅牢にし、将来的なメンテナンス性、表示の一貫性、およびアクセシビリティを向上させることを目的としています。

前提知識の解説

HTMLにおける<p>タグの役割

HTML(HyperText Markup Language)は、ウェブページの構造を定義するためのマークアップ言語です。その中で、<p>タグは「パラグラフ(段落)」を表すブロックレベル要素です。

  • ブロックレベル要素: <p>タグは、その内容が独立したブロックとして表示されることを意味します。通常、前後に改行が入り、親要素の利用可能な幅いっぱいに広がります。
  • セマンティックな意味: <p>タグは、単にテキストを改行するだけでなく、その内容が論理的な段落であることを示します。これにより、検索エンジンやアクセシビリティツールがコンテンツの構造を理解しやすくなります。
  • ブラウザの挙動: ブラウザは、<p>タグで囲まれたテキストをデフォルトで上下にマージン(余白)を付けて表示します。もし<p>タグがない場合、ブラウザは隣接するテキストをインライン要素として扱ったり、あるいは独自のヒューリスティックに基づいてブロックとして解釈しようとしますが、これは予測不能な結果を招くことがあります。

Go言語のドキュメント生成

Go言語の公式ドキュメントは、主にGoのソースコード内のコメントや、専用のMarkdown/HTMLファイルから生成されます。godocツールは、Goのコードからドキュメントを抽出し、HTML形式で表示するための標準的なツールです。また、effective_go.tmplのようなファイルは、Goのドキュメントサイトを構築するためのテンプレートファイルであり、最終的なHTML出力に貢献します。

これらのツールやテンプレートがHTMLコンテンツを処理する際、適切なHTML構造(特に<p>タグのような基本的な要素)が整っていることは、正確なレンダリングと一貫したスタイリングのために非常に重要です。

技術的詳細

このコミットの技術的なポイントは、HTMLのセマンティクスとレンダリングの挙動にあります。

  1. セマンティクスの強化:

    • HTMLは、コンテンツの意味を伝えるための構造を提供します。<p>タグは、テキストが独立した段落であることを明確に示します。これが欠けていると、テキストは単なるフローコンテンツとして扱われ、その論理的な区切りが曖昧になります。
    • 特に、<pre>(整形済みテキスト)ブロックの直後に続くテキストは、明示的な<p>タグがないと、前のブロックと視覚的に連続しているように見えたり、ブラウザが意図しない方法でレイアウトを決定したりする可能性があります。<p>タグを追加することで、コードブロックと説明文が明確に分離され、可読性が向上します。
  2. レンダリングの一貫性:

    • ブラウザは、HTMLの仕様に基づいてコンテンツをレンダリングしますが、タグの欠落や不適切な使用がある場合、エラー回復メカニズムが働き、ブラウザごとに異なる表示になる可能性があります。<p>タグを適切に追加することで、すべての主要なブラウザで一貫した表示が保証されます。
    • CSSによるスタイリングも、適切なHTML構造に依存します。例えば、p { margin-bottom: 1em; }のようなスタイルは、<p>タグが存在して初めて効果を発揮します。タグがないテキストには、これらのスタイルが適用されず、ドキュメント全体のデザインの一貫性が損なわれる可能性があります。
  3. テンプレートと最終出力:

    • effective_go.tmplのようなテンプレートファイルは、最終的なHTMLドキュメントを生成するためのひな形です。テンプレート内でHTML構造が正しく定義されていれば、生成されるすべてのドキュメントがその恩恵を受けます。このコミットでは、テンプレートファイルにも<p>タグが追加されており、これは将来的に生成されるドキュメントの品質向上にも寄与します。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、主に以下のパターンで<p>タグが追加されています。

  1. <pre>タグの前後:

    • 例: doc/effective_go.html および doc/effective_go.tmpl
      - Schematically, it's like this:
      + Schematically, it's like this:
      +</p>
       <pre>
       func append(slice []<i>T</i>, elements...T) []<i>T</i>
       </pre>
      +<p>
       where <i>T</i> is a placeholder for any given type.  You can't
       actually write a function in Go where the type <code>T</code>
       is determined by the caller.
      
      ここでは、<pre>タグの直前と直後に<p>タグが追加されています。これにより、<pre>ブロックの前後にあるテキストがそれぞれ独立した段落として扱われるようになります。特に、<pre>の直前のテキストが前の段落の続きとして扱われるように、そして<pre>の直後のテキストが新しい段落として始まるように調整されています。
  2. 既存のテキストのラッピング:

    • 例: doc/code.html

      -describes a package that builds on
      +<p>describes a package that builds on
       different architectures by parameterizing the file name with
       <code>$GOARCH</code>.</p>
      

      ここでは、既存のテキストが<p>タグで囲まれています。これは、そのテキストが元々段落として意図されていたにもかかわらず、明示的な<p>タグが欠けていたケースです。

    • 例: doc/go_faq.html

      - has the same effect as
      +<p>
      + has the same effect as
      +</p>
      

      この例では、テキストの前後を<p>タグで囲むことで、そのテキストが独立した段落であることを明確にしています。

    • 例: doc/go_spec.html

      -
      +<p>
       A <i>boolean type</i> represents the set of Boolean truth values
       denoted by the predeclared constants <code>true</code>
       and <code>false</code>. The predeclared boolean type is <code>bool</code>.
      -
      +</p>
      

      ここでは、ブール型に関する説明文全体が<p>タグで囲まれています。これにより、この説明が独立した段落として適切にレンダリングされるようになります。

コアとなるコードの解説

このコミットの変更は、Go言語のドキュメントのHTMLマークアップにおけるベストプラクティスへの準拠を強化するものです。

  • doc/code.html: このファイルは、Goのコードの慣習や構造に関するドキュメントの一部です。変更は、特定のコード例の説明文が適切に段落として認識されるようにするためのものです。
  • doc/effective_go.html および doc/effective_go.tmpl: Effective Goは、Go言語を効果的に書くためのガイドラインを提供する重要なドキュメントです。このドキュメントには多くのコード例と説明が含まれており、<pre>タグと通常のテキストの間のセマンティックな区切りを明確にすることは、読者がコンテンツを理解する上で非常に重要です。テンプレートファイルへの変更は、このドキュメントの将来のバージョンにも同様の改善が適用されることを保証します。
  • doc/go_faq.html: Goに関するよくある質問とその回答をまとめたドキュメントです。質問と回答の間のテキストが適切に段落としてフォーマットされることで、可読性が向上します。
  • doc/go_spec.html: Go言語の仕様書です。仕様書は非常に厳密で正確な記述が求められるため、各セクションのテキストが論理的な段落として明確に区切られていることは、その正確な解釈を助けます。

これらの変更は、見た目の改善だけでなく、ドキュメントのセマンティックな正確性を高め、将来的な自動処理(例えば、ドキュメントの解析や変換)を容易にするという点で重要です。また、アクセシビリティの観点からも、スクリーンリーダーがコンテンツの構造をより正確に解釈できるようになるため、ユーザーエクスペリエンスが向上します。

関連リンク

  • Go Code Review CL: https://golang.org/cl/5707065
    • このリンクは、Goプロジェクトのコードレビューシステム(Gerrit)におけるこの変更のレビューページを示しています。通常、ここには変更に関する議論や承認の履歴が含まれます。

参考にした情報源リンク