[インデックス 12367] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリである strings パッケージのテストファイル src/pkg/strings/example_test.go に関連する変更です。具体的には、Example 関数の命名規則を修正し、対応する関数名と一致させるように変更しています。
コミット
- コミットハッシュ:
06e18ca5a3ecca411e4b31d3bdc9f36356ed99c2 - Author: Volker Dobler dr.volker.dobler@gmail.com
- Date: Mon Mar 5 22:19:51 2012 +1100
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/06e18ca5a3ecca411e4b31d3bdc9f36356ed99c2
元コミット内容
strings: Rename example to match function name.
R=golang-dev, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5729065
変更の背景
Go言語では、_test.go ファイル内に Example というプレフィックスを持つ関数を定義することで、その関数の使用例をドキュメントとして自動生成し、テストとして実行することができます。これらの Example 関数は、対応するパッケージの関数や型の使用方法を示すために書かれます。
このコミットの背景にあるのは、Example 関数の命名規則の厳密な適用です。Goのドキュメンテーションツール(go doc)やテストツール(go test)は、Example 関数が特定の命名規則に従っていることを期待します。具体的には、Example の後に続く名前は、その例が示す対象の関数、型、またはメソッドの名前と一致する必要があります。
元のコードでは func ExampleRune() となっていましたが、この例が示すのは strings.IndexRune 関数です。したがって、ExampleRune という名前では、どの関数に対する例なのかが不明確であり、Goのツールが期待する命名規則に合致していませんでした。この不一致は、ドキュメントの自動生成やテストの実行において問題を引き起こす可能性があります。
このコミットは、この命名規則の不一致を修正し、ExampleIndexRune にリネームすることで、strings.IndexRune 関数に対する適切な例であることを明確にし、Goのツールが正しく認識できるようにすることを目的としています。
前提知識の解説
Go言語の Example 関数
Go言語には、コードのドキュメントとテストを統合するユニークな機能として「Example関数」があります。
- 命名規則:
Example関数は、func Example<FunctionName>()、func Example<TypeName>()、func Example<TypeName_MethodName>()の形式で命名されます。 - 目的: これらの関数は、特定の関数、型、またはメソッドの典型的な使用例を示します。
- 自動テスト:
go testコマンドを実行すると、Example関数内のコメント// Output:の内容と、その関数が標準出力に出力する内容が一致するかどうかが自動的に検証されます。これにより、ドキュメントが常に最新かつ正確であることが保証されます。 - ドキュメント生成:
go docコマンドやgodocツール(Goの公式ドキュメントサイトpkg.go.devなど)は、これらのExample関数を自動的に抽出し、対応する関数や型のドキュメントに含めます。これにより、ユーザーはコードの動作例を簡単に確認できます。
strings.IndexRune 関数
strings パッケージは、Go言語で文字列操作を行うための基本的な機能を提供します。
func IndexRune(s string, r rune) int は、文字列 s 内で指定された rune (Unicodeコードポイント) r が最初に出現するインデックスを返します。見つからない場合は -1 を返します。
runeとは: Go言語におけるruneは、Unicodeコードポイントを表す組み込み型です。これはint32のエイリアスであり、文字列がバイトのシーケンスではなく、Unicode文字のシーケンスとして扱われることを可能にします。
技術的詳細
この変更は、Goのツールチェーンが Example 関数を正しく識別し、ドキュメントとテストに利用するための重要な修正です。
Goの go test コマンドは、_test.go ファイルをスキャンし、Example プレフィックスを持つ関数を探します。これらの関数は、その名前が示す関数や型に関連付けられます。例えば、ExampleIndexRune という名前の関数は、IndexRune 関数(またはメソッド)の例として認識されます。
もし Example 関数の名前が対応する関数名と一致しない場合(このケースでは ExampleRune が IndexRune の例であるにもかかわらず)、以下の問題が発生する可能性があります。
- ドキュメントの不正確さ:
go docがIndexRune関数のドキュメントを生成する際に、関連するExampleRuneを見つけられないか、誤った関連付けを行う可能性があります。これにより、ユーザーがIndexRuneの使用例を探しても見つからない、または別の関数の例が表示されるといった混乱が生じます。 - テストの失敗または無視:
go testがExampleRuneをどの関数に関連付けるべきか判断できない場合、その例をテスト対象から外してしまうか、意図しないテスト結果を招く可能性があります。 - 一貫性の欠如: プロジェクト全体で
Example関数の命名規則が守られていないと、コードベースの可読性や保守性が低下します。
したがって、ExampleRune を ExampleIndexRune に変更することは、単なるリネーム以上の意味を持ちます。これは、Goのツールチェーンが提供する自動ドキュメント生成とテスト機能の恩恵を最大限に受けるために、Goの慣習と規則に厳密に従うことを保証するものです。これにより、strings.IndexRune 関数のドキュメントが正確に生成され、その使用例が自動的にテストされるようになります。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/pkg/strings/example_test.go
+++ b/src/pkg/strings/example_test.go
@@ -60,7 +60,7 @@ func ExampleIndex() {
// -1
}
-func ExampleRune() {
+func ExampleIndexRune() {
fmt.Println(strings.IndexRune("chicken", 'k'))
fmt.Println(strings.IndexRune("chicken", 'd'))
// Output:
コアとなるコードの解説
変更は src/pkg/strings/example_test.go ファイルの1箇所のみです。
- 変更前:
func ExampleRune() {- この関数名は、
stringsパッケージ内のどの関数に対する例であるかを明確に示していませんでした。特に、strings.IndexRune関数に対する例であるにもかかわらず、Runeという名前だけでは曖昧でした。
- この関数名は、
- 変更後:
func ExampleIndexRune() {- 関数名が
ExampleIndexRuneに変更されました。これにより、この例がstrings.IndexRune関数に対するものであることが明確になります。Goのgo docツールは、この命名規則に基づいてIndexRune関数のドキュメントにこの例を自動的に関連付け、表示します。また、go testコマンドもこの例をIndexRuneのテストとして正しく実行します。
- 関数名が
この修正により、Goの標準ライブラリのドキュメントとテストの一貫性と正確性が向上しました。
関連リンク
- Go CL 5729065: https://golang.org/cl/5729065
参考にした情報源リンク
- Go Example Functions: https://go.dev/blog/examples
- Go strings package documentation: https://pkg.go.dev/strings
- strings.IndexRune documentation: https://pkg.go.dev/strings#IndexRune
- A Tour of Go - More about slices: https://go.dev/tour/moretypes/13 (runeに関する一般的な情報)
- Effective Go - Example functions: https://go.dev/doc/effective_go#example_functions
[インデックス 12367] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリである strings パッケージのテストファイル src/pkg/strings/example_test.go に関連する変更です。具体的には、Example 関数の命名規則を修正し、対応する関数名と一致させるように変更しています。
コミット
- コミットハッシュ:
06e18ca5a3ecca411e4b31d3bdc9f36356ed99c2 - Author: Volker Dobler dr.volker.dobler@gmail.com
- Date: Mon Mar 5 22:19:51 2012 +1100
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/06e18ca5a3ecca411e4b31d3bdc9f36356ed99c2
元コミット内容
strings: Rename example to match function name.
R=golang-dev, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5729065
変更の背景
Go言語では、_test.go ファイル内に Example というプレフィックスを持つ関数を定義することで、その関数の使用例をドキュメントとして自動生成し、テストとして実行することができます。これらの Example 関数は、対応するパッケージの関数や型の使用方法を示すために書かれます。
このコミットの背景にあるのは、Example 関数の命名規則の厳密な適用です。Goのドキュメンテーションツール(go doc)やテストツール(go test)は、Example 関数が特定の命名規則に従っていることを期待します。具体的には、Example の後に続く名前は、その例が示す対象の関数、型、またはメソッドの名前と一致する必要があります。
元のコードでは func ExampleRune() となっていましたが、この例が示すのは strings.IndexRune 関数です。したがって、ExampleRune という名前では、どの関数に対する例なのかが不明確であり、Goのツールが期待する命名規則に合致していませんでした。この不一致は、ドキュメントの自動生成やテストの実行において問題を引き起こす可能性があります。
このコミットは、この命名規則の不一致を修正し、ExampleIndexRune にリネームすることで、strings.IndexRune 関数に対する適切な例であることを明確にし、Goのツールが正しく認識できるようにすることを目的としています。
前提知識の解説
Go言語の Example 関数
Go言語には、コードのドキュメントとテストを統合するユニークな機能として「Example関数」があります。
- 命名規則:
Example関数は、func Example<FunctionName>()、func Example<TypeName>()、func Example<TypeName_MethodName>()の形式で命名されます。 - 目的: これらの関数は、特定の関数、型、またはメソッドの典型的な使用例を示します。
- 自動テスト:
go testコマンドを実行すると、Example関数内のコメント// Output:の内容と、その関数が標準出力に出力する内容が一致するかどうかが自動的に検証されます。これにより、ドキュメントが常に最新かつ正確であることが保証されます。 - ドキュメント生成:
go docコマンドやgodocツール(Goの公式ドキュメントサイトpkg.go.devなど)は、これらのExample関数を自動的に抽出し、対応する関数や型のドキュメントに含めます。これにより、ユーザーはコードの動作例を簡単に確認できます。
strings.IndexRune 関数
strings パッケージは、Go言語で文字列操作を行うための基本的な機能を提供します。
func IndexRune(s string, r rune) int は、文字列 s 内で指定された rune (Unicodeコードポイント) r が最初に出現するインデックスを返します。見つからない場合は -1 を返します。
runeとは: Go言語におけるruneは、Unicodeコードポイントを表す組み込み型です。これはint32のエイリアスであり、文字列がバイトのシーケンスではなく、Unicode文字のシーケンスとして扱われることを可能にします。
技術的詳細
この変更は、Goのツールチェーンが Example 関数を正しく識別し、ドキュメントとテストに利用するための重要な修正です。
Goの go test コマンドは、_test.go ファイルをスキャンし、Example プレフィックスを持つ関数を探します。これらの関数は、その名前が示す関数や型に関連付けられます。例えば、ExampleIndexRune という名前の関数は、IndexRune 関数(またはメソッド)の例として認識されます。
もし Example 関数の名前が対応する関数名と一致しない場合(このケースでは ExampleRune が IndexRune の例であるにもかかわらず)、以下の問題が発生する可能性があります。
- ドキュメントの不正確さ:
go docがIndexRune関数のドキュメントを生成する際に、関連するExampleRuneを見つけられないか、誤った関連付けを行う可能性があります。これにより、ユーザーがIndexRuneの使用例を探しても見つからない、または別の関数の例が表示されるといった混乱が生じます。 - テストの失敗または無視:
go testがExampleRuneをどの関数に関連付けるべきか判断できない場合、その例をテスト対象から外してしまうか、意図しないテスト結果を招く可能性があります。 - 一貫性の欠如: プロジェクト全体で
Example関数の命名規則が守られていないと、コードベースの可読性や保守性が低下します。
したがって、ExampleRune を ExampleIndexRune に変更することは、単なるリネーム以上の意味を持ちます。これは、Goのツールチェーンが提供する自動ドキュメント生成とテスト機能の恩恵を最大限に受けるために、Goの慣習と規則に厳密に従うことを保証するものです。これにより、strings.IndexRune 関数のドキュメントが正確に生成され、その使用例が自動的にテストされるようになります。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/pkg/strings/example_test.go
+++ b/src/pkg/strings/example_test.go
@@ -60,7 +60,7 @@ func ExampleIndex() {
// -1
}
-func ExampleRune() {
+func ExampleIndexRune() {
fmt.Println(strings.IndexRune("chicken", 'k'))
fmt.Println(strings.IndexRune("chicken", 'd'))
// Output:
コアとなるコードの解説
変更は src/pkg/strings/example_test.go ファイルの1箇所のみです。
- 変更前:
func ExampleRune() {- この関数名は、
stringsパッケージ内のどの関数に対する例であるかを明確に示していませんでした。特に、strings.IndexRune関数に対する例であるにもかかわらず、Runeという名前だけでは曖昧でした。
- この関数名は、
- 変更後:
func ExampleIndexRune() {- 関数名が
ExampleIndexRuneに変更されました。これにより、この例がstrings.IndexRune関数に対するものであることが明確になります。Goのgo docツールは、この命名規則に基づいてIndexRune関数のドキュメントにこの例を自動的に関連付け、表示します。また、go testコマンドもこの例をIndexRuneのテストとして正しく実行します。
- 関数名が
この修正により、Goの標準ライブラリのドキュメントとテストの一貫性と正確性が向上しました。
関連リンク
- Go CL 5729065: https://golang.org/cl/5729065
参考にした情報源リンク
- Go Example Functions: https://go.dev/blog/examples
- Go strings package documentation: https://pkg.go.dev/strings
- strings.IndexRune documentation: https://pkg.go.dev/strings#IndexRune
- A Tour of Go - More about slices: https://go.dev/tour/moretypes/13 (runeに関する一般的な情報)
- Effective Go - Example functions: https://go.dev/doc/effective_go#example_functions