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コミット
コミットハッシュ: 2632d758515e76acca1e49a5b1c9d082bb398497
Author: Rob Pike r@golang.org
Date: Wed Mar 7 14:07:22 2012 +1100
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/2632d758515e76acca1e49a5b1c9d082bb398497
元コミット内容
.hgignore: delete references to Make.inc and syslist.go
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5752066
変更の背景
このコミットは、Goプロジェクトのバージョン管理システムであるMercurial (Hg) の無視リストファイル .hgignore
から、src/Make.inc
と src/pkg/go/build/syslist.go
の参照を削除するものです。
変更の背景には、Goプロジェクトのビルドシステムや開発ワークフローの進化が考えられます。これらのファイルがもはや無視する必要がない、あるいは存在しない、あるいはその生成方法や管理方法が変更されたため、.hgignore
から削除されたと推測されます。これにより、リポジトリのクリーンアップと、現在のビルドプロセスに合わせた適切な無視ルールの維持が図られています。
特に、Make.inc
はMakeファイルの一部としてインクルードされるファイルであり、syslist.go
はシステムコールリストに関連するGoソースファイルであることから、これらがビルドプロセスにおいてどのように扱われるかが変更された可能性が高いです。例えば、これらのファイルがもはや自動生成されなくなった、あるいは別の方法で管理されるようになった、あるいは完全に廃止された、といったシナリオが考えられます。
前提知識の解説
Mercurial (.hgignore)
Mercurial (Hg) は、Gitと同様の分散型バージョン管理システムです。.hgignore
ファイルは、Mercurialが追跡すべきではないファイルやディレクトリを指定するために使用されます。これはGitにおける.gitignore
と同じ役割を果たします。ビルド生成物、一時ファイル、IDEの設定ファイルなど、リポジトリに含めるべきではないファイルを指定することで、リポジトリの肥大化を防ぎ、開発者の作業環境に依存しないクリーンなバージョン管理を維持します。
.hgignore
ファイルは、パターンマッチングを使用して無視するファイルを指定します。例えば、*.o
はすべての.o
拡張子を持つファイルを無視し、build/
はbuild
ディレクトリとその内容を無視します。
Make.inc
Make.inc
は、一般的にUnix系のビルドシステムで使われるMakefile
において、他のMakefile
からインクルードされる(取り込まれる)ファイルに付けられる慣習的な名前です。共通の変数定義、コンパイルフラグ、ルールなどを複数のMakefile
で共有するために利用されます。Goプロジェクトの初期のビルドシステムでは、C言語で書かれた部分やアセンブリ言語の部分をビルドするためにmake
が使われており、Make.inc
はそのビルド設定の一部を担っていた可能性があります。src/Make.inc
が .hgignore
に含まれていたということは、このファイルがビルドプロセス中に生成されるか、あるいは一時的なファイルとして扱われていたことを示唆しています。
syslist.go
syslist.go
は、Go言語のソースファイルであり、その名前から「システムリスト」に関連するコードであることが推測されます。Go言語は、オペレーティングシステムとのインタラクションのためにシステムコールを直接利用することがあります。syslist.go
は、Goランタイムが利用するシステムコールのリストや、それらのシステムコールをGoの関数としてラップするための定義を含んでいた可能性があります。
src/pkg/go/build/syslist.go
というパスから、Goのビルドシステム (go/build
パッケージ) の一部として、システム固有の情報を扱うために生成または利用されていたファイルであると推測できます。例えば、異なるOSやアーキテクチャ向けにGoプログラムをビルドする際に、適切なシステムコール定義を動的に生成するために使われていた可能性も考えられます。このファイルが .hgignore
に含まれていたということは、これもまたビルドプロセス中に生成されるファイルであったか、あるいは特定の環境でのみ必要とされる一時的なファイルであったことを示唆しています。
技術的詳細
このコミットは、Goプロジェクトのビルドプロセスとリポジトリ管理における重要な変更を示唆しています。
-
ビルドシステムの変更:
Make.inc
とsyslist.go
が.hgignore
から削除されたということは、これらのファイルがもはやビルドプロセスによって生成される一時ファイルではなくなったことを意味します。これは、Goのビルドシステムが進化し、make
に依存する部分が減ったか、あるいはこれらのファイルがGoのツールチェーンによって直接管理されるようになったことを示唆しています。例えば、GoモジュールシステムやGo自身のビルドツール (go build
など) が成熟し、従来のmake
ベースのビルドプロセスが簡素化された可能性があります。 -
リポジトリのクリーンアップ: 不要になったファイルを無視リストから削除することで、
.hgignore
ファイル自体のメンテナンスが容易になり、リポジトリの定義がより正確になります。これにより、開発者が誤ってこれらのファイルをバージョン管理下に置いてしまうリスクがなくなります。 -
開発ワークフローの合理化: これらのファイルが自動生成物であった場合、それらを無視リストから削除するということは、生成プロセスが変更されたか、あるいはこれらのファイルがもはや必要とされなくなったことを意味します。これにより、開発者はこれらのファイルについて意識する必要がなくなり、よりスムーズな開発ワークフローが実現されます。
この変更は、Goプロジェクトが初期のビルドシステムから、よりGoネイティブなツールチェーンへと移行する過程の一部であったと考えられます。特に、Goのクロスコンパイル能力や、異なるプラットフォームへの対応が進む中で、システムコールリストのようなプラットフォーム固有の情報を扱う方法が改善された可能性があります。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/.hgignore
+++ b/.hgignore
@@ -30,7 +30,6 @@ misc/dashboard/builder/gobuilder
misc/goplay/goplay
misc/osx/*.pkg
misc/osx/*.dmg
-src/Make.inc
src/cmd/6a/6a
src/cmd/?l/enam.c
src/cmd/cc/y.output
@@ -42,7 +41,6 @@ src/pkg/exp/norm/maketables
src/pkg/exp/norm/maketesttables
src/pkg/exp/norm/normregtest
src/pkg/exp/ebnflint/ebnflint
-src/pkg/go/build/syslist.go
src/pkg/go/doc/headscan
src/pkg/runtime/goc2c
src/pkg/runtime/mkversion
コアとなるコードの解説
上記のdiffは、.hgignore
ファイルから2つの行が削除されたことを示しています。
-
-src/Make.inc
: この行の削除は、src/Make.inc
ファイルがMercurialによって無視されなくなったことを意味します。これは、このファイルがもはやビルドプロセスによって生成される一時ファイルではないか、あるいは完全に廃止されたことを示唆しています。もしこのファイルがまだ存在し、かつバージョン管理下に置かれるべきではないのであれば、この変更は問題を引き起こす可能性がありますが、通常は不要になったファイルを無視リストから削除するクリーンアップの一環です。 -
-src/pkg/go/build/syslist.go
: 同様に、この行の削除は、src/pkg/go/build/syslist.go
ファイルがMercurialによって無視されなくなったことを意味します。これは、このファイルがGoのビルドシステム (go/build
パッケージ) において、もはや自動生成されるファイルではないか、あるいはその役割が変更されたことを示唆しています。例えば、システムコールリストの管理方法が変更され、このファイルが不要になったか、あるいは別の方法で生成・管理されるようになった可能性があります。
これらの変更は、Goプロジェクトのビルドシステムがより洗練され、特定の生成物や一時ファイルが不要になった、あるいはその管理方法が変更された結果として行われた、リポジトリのクリーンアップと合理化のコミットであると理解できます。
関連リンク
- Go Code Review: https://golang.org/cl/5752066
参考にした情報源リンク
- Mercurial Documentation (hgignore): https://www.mercurial-scm.org/wiki/.hgignore
- Go Project Structure (general understanding of
src/pkg
): https://go.dev/doc/code (Note: This link provides general Go project structure, not specific to the oldsrc/pkg
layout, but helps understand the context of Go source files.) - Understanding Makefiles and
include
: https://www.gnu.org/software/make/manual/html_node/Include.html (General Makefile concept) - Go System Calls (general concept): https://pkg.go.dev/syscall (General Go syscall package, not specific to
syslist.go
but provides context) - Web searches for "Make.inc golang" and "syslist.go golang" to understand their historical context within the Go project. (No direct authoritative links found for these specific historical files, but general understanding was derived from various discussions and older Go source code references.)