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[インデックス 12464] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のテスト実行環境におけるビルダの修正を目的としています。具体的には、テストコマンドが実行される際に、外部環境からGOOSおよびGOARCHといった重要な環境変数が正しく引き継がれるように変更が加えられました。これにより、特定の環境変数を必要とするテストが正しく動作するようになります。

コミット

  • コミットハッシュ: 712473612f211dba692064b4c6d7801698118930
  • Author: Russ Cox rsc@golang.org
  • Date: Wed Mar 7 02:22:08 2012 -0500

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/712473612f211dba692064b4c6d7801698118930

元コミット内容

    test/run: fix builders
    
    Let the outer environment filter down to the commands being run.
    
    TBR=r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5758066

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のテストインフラストラクチャにおける環境変数の扱いの問題がありました。以前のtest/run.goの実装では、テストコマンドを実行する際に、GOOS(オペレーティングシステム)とGOARCH(アーキテクチャ)の環境変数が、exec.CommandEnvフィールドに明示的に追加されていました。しかし、この方法では、テスト実行環境の「外側」で設定された他の重要な環境変数が、実行されるテストコマンドに適切に伝播しない可能性がありました。

特に、一部のテスト(例えば、環境変数自体をテストするもの)は、これらの変数が外部から正しく設定されていることを前提としていました。しかし、既存の実装では、cmd.Envに直接追加することで、親プロセスの環境変数が上書きされたり、完全に無視されたりするケースが発生し、ビルダ(CI/CDシステムなど)上でのテストの失敗につながっていました。

このコミットは、この問題を解決し、「外部環境が実行されるコマンドに伝播するようにする」ことを目的としています。これにより、テストの実行がより堅牢になり、ビルダ上での予期せぬ失敗が減少することが期待されます。

前提知識の解説

Go言語の環境変数 (GOOS, GOARCH)

Go言語はクロスプラットフォーム開発を強力にサポートしており、そのためにGOOSGOARCHという2つの重要な環境変数を使用します。

  • GOOS: Goプログラムをビルドまたは実行するターゲットのオペレーティングシステムを指定します。例えば、linuxwindowsdarwin(macOS)などがあります。
  • GOARCH: Goプログラムをビルドまたは実行するターゲットのプロセッサアーキテクチャを指定します。例えば、amd64armarm64などがあります。

これらの変数は、Goコンパイラが特定のOSとアーキテクチャ向けにバイナリを生成する際に利用されます。また、Goの標準ライブラリやテストフレームワークも、これらの値に基づいて動作を調整することがあります。

os.Setenv

Goのosパッケージは、オペレーティングシステムとのインタラクションを提供します。os.Setenv(key, value)関数は、指定されたキーと値のペアを現在のプロセスの環境変数として設定します。この関数で設定された環境変数は、そのプロセスから起動される子プロセスにも引き継がれます。

exec.Commandと環境変数

Goのos/execパッケージは、外部コマンドを実行するための機能を提供します。exec.Command関数は、実行するコマンドと引数を指定してCmd構造体を返します。

Cmd構造体には、実行環境を制御するためのいくつかのフィールドがあります。

  • Path: 実行するコマンドのパス。
  • Args: コマンドの引数。
  • Dir: コマンドを実行する作業ディレクトリ。
  • Env: コマンドの環境変数を指定する文字列のスライス(例: []string{"KEY=VALUE", "ANOTHER_KEY=ANOTHER_VALUE"})。このフィールドがnilの場合、子プロセスは親プロセスの環境変数を継承します。Envnilでない場合、指定された環境変数のみが子プロセスに渡され、親プロセスの環境変数は継承されません。

このEnvフィールドの挙動が、今回のコミットで修正された問題の核心でした。以前の実装では、cmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)のように、Envフィールドを明示的に設定していました。これにより、親プロセスの環境変数が継承されず、GOOSGOARCH以外の環境変数が子プロセスに伝播しないという問題が発生していました。

runtime.GOOSruntime.GOARCH

Goのruntimeパッケージは、Goプログラムが実行されているシステムに関する情報を提供します。

  • runtime.GOOS: 現在のGoプログラムが実行されているオペレーティングシステムの名前(例: "linux""windows")。
  • runtime.GOARCH: 現在のGoプログラムが実行されているプロセッサアーキテクチャの名前(例: "amd64""arm64")。

これらはコンパイル時に決定される定数ではなく、実行時の環境を反映する変数です。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、Goのテスト実行環境における環境変数の伝播メカニズムの変更にあります。

変更前: test/run.go内のruncmd関数では、exec.Commandで生成されたcmdオブジェクトに対して、以下のようにcmd.Envフィールドを明示的に設定していました。

		cmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)

このコードは、cmd.EnvGOOSGOARCHの値を設定していますが、cmd.Envnilでない場合、exec.Commandは親プロセスの環境変数を継承せず、cmd.Envに指定された変数のみを子プロセスに渡します。これは、GOOSGOARCH以外の、親プロセスで設定された他の重要な環境変数が、テストコマンドに伝播しないという副作用を引き起こしていました。特定のテスト(特に環境変数に依存するテスト)が、このために失敗する可能性がありました。

変更後: このコミットでは、以下の2つの変更が行われました。

  1. os.SetenvによるGOOSGOARCHの設定: t.run()メソッドの冒頭で、os.Setenvを使用してGOOSGOARCHを現在のプロセスの環境変数として設定するように変更されました。

    	// A few tests (of things like the environment) require these to be set.
    	os.Setenv("GOOS", runtime.GOOS)
    	os.Setenv("GOARCH", runtime.GOARCH)
    

    os.Setenvで設定された環境変数は、そのプロセスから起動されるすべての子プロセスに自動的に継承されます。これにより、GOOSGOARCHがテストコマンドに確実に伝播されるようになります。

  2. cmd.EnvからのGOOSGOARCHの削除: runcmd関数内のcmd.Envへの明示的なGOOSGOARCHの追加が削除されました。

    -		cmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)
    

    この行を削除することで、cmd.Envnilのままになるか、または他の方法で設定された場合に、exec.Commandが親プロセスの環境変数をデフォルトで継承するようになります。これにより、GOOSGOARCHだけでなく、親プロセスで設定された他のすべての環境変数もテストコマンドに適切に伝播されるようになります。

この変更により、テスト実行環境の柔軟性が向上し、ビルダ上でのテストの信頼性が高まりました。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/test/run.go b/test/run.go
index 34ff57b74d..c9c78b5686 100644
--- a/test/run.go
+++ b/test/run.go
@@ -265,6 +265,10 @@ func (t *test) run() {\n \terr = ioutil.WriteFile(filepath.Join(t.tempDir, t.gofile), srcBytes, 0644)\n \tcheck(err)\n \t\n+\t// A few tests (of things like the environment) require these to be set.\n+\tos.Setenv("GOOS", runtime.GOOS)\n+\tos.Setenv("GOARCH", runtime.GOARCH)\n+\n \tuseTmp := true\n \truncmd := func(args ...string) ([]byte, error) {\n \t\tcmd := exec.Command(args[0], args[1:]...)\n@@ -274,7 +278,6 @@ func (t *test) run() {\n \t\tif useTmp {\n \t\t\tcmd.Dir = t.tempDir\n \t\t}\n-\t\tcmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)\n \t\terr := cmd.Run()\n \t\treturn buf.Bytes(), err\n \t}\n```

## コアとなるコードの解説

上記のdiffは、`test/run.go`ファイル内の`test`構造体の`run`メソッドに対する変更を示しています。

1.  **追加された行 (`+`)**:
    ```go
    	// A few tests (of things like the environment) require these to be set.
    	os.Setenv("GOOS", runtime.GOOS)
    	os.Setenv("GOARCH", runtime.GOARCH)
    ```
    このコードは、`t.run()`メソッドの実行開始時に、現在のGoプログラムが動作しているOS (`runtime.GOOS`) とアーキテクチャ (`runtime.GOARCH`) の値を、現在のプロセスの環境変数として設定しています。コメントにあるように、これは「環境のようなものをテストするいくつかのテスト」がこれらの変数が設定されていることを要求するためです。`os.Setenv`を使用することで、このプロセスから起動されるすべての子プロセス(つまり、テストコマンド)にこれらの環境変数が自動的に継承されるようになります。

2.  **削除された行 (`-`)**:
    ```go
    -		cmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)
    ```
    この行は、`runcmd`という内部関数(テストコマンドを実行するラッパー関数)内で、`exec.Command`によって作成された`cmd`オブジェクトの`Env`フィールドに、明示的に`GOOS`と`GOARCH`を追加していた部分です。この行が削除されたことで、`cmd.Env`が明示的に設定されなくなり、`exec.Command`はデフォルトの動作として親プロセスの環境変数を継承するようになります。これにより、`os.Setenv`で設定された`GOOS`と`GOARCH`だけでなく、親プロセスで設定された他のすべての環境変数もテストコマンドに伝播されるようになります。

この変更の組み合わせにより、`GOOS`と`GOARCH`が確実に設定されると同時に、他の環境変数もテストコマンドに正しく伝播されるようになり、テストの実行環境がより堅牢になりました。

## 関連リンク

*   Go Code Review: [https://golang.org/cl/5758066](https://golang.org/cl/5758066)

## 参考にした情報源リンク

*   Go Code Review: [https://golang.org/cl/5758066](https://golang.org/cl/5758066)
*   Go言語の`os`パッケージドキュメント: [https://pkg.go.dev/os](https://pkg.go.dev/os)
*   Go言語の`os/exec`パッケージドキュメント: [https://pkg.go.dev/os/exec](https://pkg.go.dev/os/exec)
*   Go言語の`runtime`パッケージドキュメント: [https://pkg.go.dev/runtime](https://pkg.go.dev/runtime)
*   Go言語の環境変数に関する一般的な情報 (例: `GOOS`, `GOARCH`): Go公式ドキュメントや関連するブログ記事など。# [インデックス 12464] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のテスト実行環境におけるビルダの修正を目的としています。具体的には、テストコマンドが実行される際に、外部環境から`GOOS`および`GOARCH`といった重要な環境変数が正しく引き継がれるように変更が加えられました。これにより、特定の環境変数を必要とするテストが正しく動作するようになります。

## コミット

- **コミットハッシュ**: `712473612f211dba692064b4c6d7801698118930`
- **Author**: Russ Cox <rsc@golang.org>
- **Date**: Wed Mar 7 02:22:08 2012 -0500

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/712473612f211dba692064b4c6d7801698118930](https://github.com/golang/go/commit/712473612f211dba692064b4c6d7801698118930)

## 元コミット内容

test/run: fix builders

Let the outer environment filter down to the commands being run.

TBR=r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5758066

## 変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のテストインフラストラクチャにおける環境変数の扱いの問題がありました。以前の`test/run.go`の実装では、テストコマンドを実行する際に、`GOOS`(オペレーティングシステム)と`GOARCH`(アーキテクチャ)の環境変数が、`exec.Command`の`Env`フィールドに明示的に追加されていました。しかし、この方法では、テスト実行環境の「外側」で設定された他の重要な環境変数が、実行されるテストコマンドに適切に伝播しない可能性がありました。

特に、一部のテスト(例えば、環境変数自体をテストするもの)は、これらの変数が外部から正しく設定されていることを前提としていました。しかし、既存の実装では、`cmd.Env`に直接追加することで、親プロセスの環境変数が上書きされたり、完全に無視されたりするケースが発生し、ビルダ(CI/CDシステムなど)上でのテストの失敗につながっていました。

このコミットは、この問題を解決し、「外部環境が実行されるコマンドに伝播するようにする」ことを目的としています。これにより、テストの実行がより堅牢になり、ビルダ上での予期せぬ失敗が減少することが期待されます。

## 前提知識の解説

### Go言語の環境変数 (`GOOS`, `GOARCH`)

Go言語はクロスプラットフォーム開発を強力にサポートしており、そのために`GOOS`と`GOARCH`という2つの重要な環境変数を使用します。

*   **`GOOS`**: Goプログラムをビルドまたは実行するターゲットのオペレーティングシステムを指定します。例えば、`linux`、`windows`、`darwin`(macOS)などがあります。
*   **`GOARCH`**: Goプログラムをビルドまたは実行するターゲットのプロセッサアーキテクチャを指定します。例えば、`amd64`、`arm`、`arm64`などがあります。

これらの変数は、Goコンパイラが特定のOSとアーキテクチャ向けにバイナリを生成する際に利用されます。また、Goの標準ライブラリやテストフレームワークも、これらの値に基づいて動作を調整することがあります。

### `os.Setenv`

Goの`os`パッケージは、オペレーティングシステムとのインタラクションを提供します。`os.Setenv(key, value)`関数は、指定されたキーと値のペアを現在のプロセスの環境変数として設定します。この関数で設定された環境変数は、そのプロセスから起動される子プロセスにも引き継がれます。

### `exec.Command`と環境変数

Goの`os/exec`パッケージは、外部コマンドを実行するための機能を提供します。`exec.Command`関数は、実行するコマンドと引数を指定して`Cmd`構造体を返します。

`Cmd`構造体には、実行環境を制御するためのいくつかのフィールドがあります。

*   **`Path`**: 実行するコマンドのパス。
*   **`Args`**: コマンドの引数。
*   **`Dir`**: コマンドを実行する作業ディレクトリ。
*   **`Env`**: コマンドの環境変数を指定する文字列のスライス(例: `[]string{"KEY=VALUE", "ANOTHER_KEY=ANOTHER_VALUE"}`)。このフィールドが`nil`の場合、子プロセスは親プロセスの環境変数を継承します。`Env`が`nil`でない場合、指定された環境変数のみが子プロセスに渡され、親プロセスの環境変数は継承されません。

この`Env`フィールドの挙動が、今回のコミットで修正された問題の核心でした。以前の実装では、`cmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)`のように、`Env`フィールドを明示的に設定していました。これにより、親プロセスの環境変数が継承されず、`GOOS`と`GOARCH`以外の環境変数が子プロセスに伝播しないという問題が発生していました。

### `runtime.GOOS`と`runtime.GOARCH`

Goの`runtime`パッケージは、Goプログラムが実行されているシステムに関する情報を提供します。

*   **`runtime.GOOS`**: 現在のGoプログラムが実行されているオペレーティングシステムの名前(例: `"linux"`、`"windows"`)。
*   **`runtime.GOARCH`**: 現在のGoプログラムが実行されているプロセッサアーキテクチャの名前(例: `"amd64"`、`"arm64"`)。

これらはコンパイル時に決定される定数ではなく、実行時の環境を反映する変数です。

## 技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、Goのテスト実行環境における環境変数の伝播メカニズムの変更にあります。

**変更前**:
`test/run.go`内の`runcmd`関数では、`exec.Command`で生成された`cmd`オブジェクトに対して、以下のように`cmd.Env`フィールドを明示的に設定していました。

```go
		cmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)

このコードは、cmd.EnvGOOSGOARCHの値を設定していますが、cmd.Envnilでない場合、exec.Commandは親プロセスの環境変数を継承せず、cmd.Envに指定された変数のみを子プロセスに渡します。これは、GOOSGOARCH以外の、親プロセスで設定された他の重要な環境変数が、テストコマンドに伝播しないという副作用を引き起こしていました。特定のテスト(特に環境変数に依存するテスト)が、このために失敗する可能性がありました。

変更後: このコミットでは、以下の2つの変更が行われました。

  1. os.SetenvによるGOOSGOARCHの設定: t.run()メソッドの冒頭で、os.Setenvを使用してGOOSGOARCHを現在のプロセスの環境変数として設定するように変更されました。

    	// A few tests (of things like the environment) require these to be set.
    	os.Setenv("GOOS", runtime.GOOS)
    	os.Setenv("GOARCH", runtime.GOARCH)
    

    os.Setenvで設定された環境変数は、そのプロセスから起動されるすべての子プロセスに自動的に継承されます。これにより、GOOSGOARCHがテストコマンドに確実に伝播されるようになります。

  2. cmd.EnvからのGOOSGOARCHの削除: runcmd関数内のcmd.Envへの明示的なGOOSGOARCHの追加が削除されました。

    -		cmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)
    

    この行を削除することで、cmd.Envnilのままになるか、または他の方法で設定された場合に、exec.Commandが親プロセスの環境変数をデフォルトで継承するようになります。これにより、GOOSGOARCHだけでなく、親プロセスで設定された他のすべての環境変数もテストコマンドに適切に伝播されるようになります。

この変更により、テスト実行環境の柔軟性が向上し、ビルダ上でのテストの信頼性が高まりました。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/test/run.go b/test/run.go
index 34ff57b74d..c9c78b5686 100644
--- a/test/run.go
+++ b/test/run.go
@@ -265,6 +265,10 @@ func (t *test) run() {\n \terr = ioutil.WriteFile(filepath.Join(t.tempDir, t.gofile), srcBytes, 0644)\n \tcheck(err)\n \t\n+\t// A few tests (of things like the environment) require these to be set.\n+\tos.Setenv("GOOS", runtime.GOOS)\n+\tos.Setenv("GOARCH", runtime.GOARCH)\n+\n \tuseTmp := true\n \truncmd := func(args ...string) ([]byte, error) {\n \t\tcmd := exec.Command(args[0], args[1:]...)\n@@ -274,7 +278,6 @@ func (t *test) run() {\n \t\tif useTmp {\n \t\t\tcmd.Dir = t.tempDir\n \t\t}\n-\t\tcmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)\n \t\terr := cmd.Run()\n \t\treturn buf.Bytes(), err\n \t}\n```

## コアとなるコードの解説

上記のdiffは、`test/run.go`ファイル内の`test`構造体の`run`メソッドに対する変更を示しています。

1.  **追加された行 (`+`)**:
    ```go
    	// A few tests (of things like the environment) require these to be set.
    	os.Setenv("GOOS", runtime.GOOS)
    	os.Setenv("GOARCH", runtime.GOARCH)
    ```
    このコードは、`t.run()`メソッドの実行開始時に、現在のGoプログラムが動作しているOS (`runtime.GOOS`) とアーキテクチャ (`runtime.GOARCH`) の値を、現在のプロセスの環境変数として設定しています。コメントにあるように、これは「環境のようなものをテストするいくつかのテスト」がこれらの変数が設定されていることを要求するためです。`os.Setenv`を使用することで、このプロセスから起動されるすべての子プロセス(つまり、テストコマンド)にこれらの環境変数が自動的に継承されるようになります。

2.  **削除された行 (`-`)**:
    ```go
    -		cmd.Env = append(cmd.Env, "GOOS="+runtime.GOOS, "GOARCH="+runtime.GOARCH)
    ```
    この行は、`runcmd`という内部関数(テストコマンドを実行するラッパー関数)内で、`exec.Command`によって作成された`cmd`オブジェクトの`Env`フィールドに、明示的に`GOOS`と`GOARCH`を追加していた部分です。この行が削除されたことで、`cmd.Env`が明示的に設定されなくなり、`exec.Command`はデフォルトの動作として親プロセスの環境変数を継承するようになります。これにより、`os.Setenv`で設定された`GOOS`と`GOARCH`だけでなく、親プロセスで設定された他のすべての環境変数もテストコマンドに伝播されるようになります。

この変更の組み合わせにより、`GOOS`と`GOARCH`が確実に設定されると同時に、他の環境変数もテストコマンドに正しく伝播されるようになり、テストの実行環境がより堅牢になりました。

## 関連リンク

*   Go Code Review: [https://golang.org/cl/5758066](https://golang.org/cl/5758066)

## 参考にした情報源リンク

*   Go Code Review: [https://golang.org/cl/5758066](https://golang.org/cl/5758066)
*   Go言語の`os`パッケージドキュメント: [https://pkg.go.dev/os](https://pkg.go.dev/os)
*   Go言語の`os/exec`パッケージドキュメント: [https://pkg.go.dev/os/exec](https://pkg.go.dev/os/exec)
*   Go言語の`runtime`パッケージドキュメント: [https://pkg.go.dev/runtime](https://pkg.go.dev/runtime)
*   Go言語の環境変数に関する一般的な情報 (例: `GOOS`, `GOARCH`): Go公式ドキュメントや関連するブログ記事など。