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[インデックス 12475] ファイルの概要

このコミットは、doc/effective_go.tmpl ファイルに対する変更です。このファイルは、Go言語の公式ドキュメントの一部である「Effective Go」のテンプレートファイルであり、Go言語の効率的な書き方や慣習について解説しています。

コミット

commit 562bccf89e0cc7ca7e62cb1cde50aea6a231ad19
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Wed Mar 7 11:57:54 2012 -0500

    doc: update effective_go.tmpl
    
    Forgot this half in https://golang.org/cl/5764044
    
    R=gri
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5770044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/562bccf89e0cc7ca7e62cb1cde50aea6a231ad19

元コミット内容

このコミットの元々の意図は、effective_go.tmpl ドキュメントを更新することでした。コミットメッセージによると、以前の変更(https://golang.org/cl/5764044)で「この半分を忘れていた」とされており、その修正が目的です。

変更の背景

Go言語の開発では、コードの変更だけでなく、それに関連するドキュメントの更新も重要視されています。このコミットは、以前に行われたGo言語のランタイムや初期化に関する変更に伴い、effective_go ドキュメント内の init 関数に関する記述が現状と合致しなくなったため、その記述を修正するために行われました。具体的には、init 関数実行中のゴルーチンに関する制約が緩和されたか、あるいはその記述が誤解を招くものであったため、ドキュメントを最新の動作に合わせる必要がありました。

前提知識の解説

Go言語の init 関数

Go言語では、各パッケージに init 関数を定義することができます。init 関数は、パッケージがインポートされた際に、そのパッケージ内の変数の初期化が完了した後、かつ main 関数が実行される前に自動的に呼び出されます。主な特徴は以下の通りです。

  • 自動実行: プログラムの起動時に自動的に実行されます。
  • 引数なし、戻り値なし: func init() というシグネチャを持ち、引数も戻り値もありません。
  • 複数定義可能: 1つのパッケージ内に複数の init 関数を定義できます。また、1つのファイル内に複数の init 関数を定義することも可能です。これらは定義された順序で実行されます。
  • 初期化順序:
    1. インポートされたパッケージの init 関数が再帰的に実行されます。
    2. 現在のパッケージの変数の初期化が行われます。
    3. 現在のパッケージの init 関数が実行されます。
  • 目的: 主に、プログラムの起動時に必要なセットアップ(データベース接続、設定ファイルの読み込み、レジストリへの登録など)を行うために使用されます。

Go言語のゴルーチン (Goroutines)

ゴルーチンは、Go言語における軽量な並行処理の単位です。OSのスレッドよりもはるかに軽量で、数千、数万のゴルーチンを同時に実行することが可能です。go キーワードを使って関数呼び出しの前に置くことで、その関数を新しいゴルーチンとして実行できます。

effective_go.tmpl

effective_go.tmpl は、Go言語の公式ドキュメント「Effective Go」のソーステンプレートファイルです。「Effective Go」は、Go言語を効果的に書くためのヒントや慣習、設計原則などをまとめたもので、Goプログラマーにとって非常に重要なリソースです。このドキュメントは、Go言語の設計思想を理解し、より良いコードを書く上で役立ちます。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、effective_go.tmpl 内の init 関数に関する記述の修正にあります。具体的には、init 関数が実行されている間のゴルーチンの挙動に関する記述が削除されています。

削除された記述は以下の通りです。

The only restriction is that, although
goroutines can be launched during initialization, they will not begin
execution until it completes; initialization always runs as a single thread
of execution.

これは、「初期化中にゴルーチンを起動することはできるが、それらは初期化が完了するまで実行を開始しない。初期化は常に単一のスレッドで実行される」という内容でした。

この記述が削除されたということは、Go言語のランタイムにおいて、init 関数の実行中に起動されたゴルーチンが、init 関数の完了を待たずに実行を開始するようになったか、あるいはこの記述が元々誤解を招くものであったことを示唆しています。Goの初期化プロセスは、パッケージの依存関係を解決し、変数を初期化し、init 関数を実行するという厳密な順序で行われますが、この変更は、その初期化フェーズにおける並行処理の挙動に関するドキュメント上の誤りを修正するものです。

初期化プロセスが「常に単一のスレッドで実行される」という記述が削除されたことは、init 関数内での並行処理の可能性、またはその挙動に関するより正確な理解を反映していると考えられます。これは、Go言語の進化に伴い、ランタイムの挙動が変更されたか、あるいはドキュメントが初期の設計思想を反映しすぎていたために、実際の挙動と乖離が生じた結果である可能性があります。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/effective_go.tmpl
+++ b/doc/effective_go.tmpl
@@ -1723,10 +1723,7 @@ var (
 <p>
 Finally, each source file can define its own niladic <code>init</code> function to
 set up whatever state is required.  (Actually each file can have multiple
-<code>init</code> functions.) The only restriction is that, although
-goroutines can be launched during initialization, they will not begin
-execution until it completes; initialization always runs as a single thread
-of execution.\n+<code>init</code> functions.)
 And finally means finally: <code>init</code> is called after all the
 variable declarations in the package have evaluated their initializers,
 and those are evaluated only after all the imported packages have been

コアとなるコードの解説

変更は doc/effective_go.tmpl ファイルの1723行目付近にあります。 具体的には、init 関数に関する段落から以下の3行が削除されました。

The only restriction is that, although
goroutines can be launched during initialization, they will not begin
execution until it completes; initialization always runs as a single thread
of execution.

この削除により、init 関数内でゴルーチンを起動した場合の実行タイミングに関する制約の記述がなくなりました。これは、Go言語のランタイムが進化し、init 関数内で起動されたゴルーチンが、init 関数の完了を待たずに実行を開始するようになったことを示唆しています。あるいは、この記述が元々誤解を招くものであり、実際のGoの初期化プロセスにおけるゴルーチンの挙動を正確に反映していなかったため、ドキュメントから削除された可能性もあります。

この変更は、Go言語の初期化プロセスにおける並行処理の挙動に関するドキュメントの正確性を向上させるためのものです。

関連リンク

参考にした情報源リンク