[インデックス 12479] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のドキュメンテーションツールであるgodocのドキュメンテーションを更新するものです。具体的には、src/cmd/godoc/doc.goファイル内のコメントが修正され、godocコマンドの-qフラグの例が簡略化され、-filterおよび-filter_minutesフラグに関する記述が削除されています。

コミット

commit 3a065c5a739dad41113a6e02838133f48f2b7baf
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Wed Mar 7 10:19:16 2012 -0800

    godoc: update documentation
    
    R=rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5758057

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/3a065c5a739dad41113a6e02838133f48f2b7baf

元コミット内容

godoc: update documentation

R=rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5758057

変更の背景

このコミットの背景には、godocツールのドキュメンテーションの正確性と簡潔性を向上させる目的があります。特に、-filterおよび-filter_minutesフラグに関する記述が削除されていることから、これらの機能が廃止されたか、あるいはそのドキュメンテーションが不要になった可能性が考えられます。また、-qフラグの例が簡略化されたのは、より分かりやすく、一般的な使用例を示すためでしょう。

Go言語の進化に伴い、ツールの機能や推奨される使用方法が変更されることはよくあります。それに合わせてドキュメンテーションを最新の状態に保つことは、ユーザーがツールを正しく理解し、効果的に利用するために不可欠です。このコミットは、そのようなドキュメンテーションのメンテナンスの一環として行われたと考えられます。

前提知識の解説

Go言語

Go（Golang）は、Googleによって開発されたオープンソースのプログラミング言語です。静的型付け、コンパイル型、並行処理に優れた特徴を持ち、シンプルで効率的なコード記述を可能にします。システムプログラミング、Webサービス、ネットワークプログラミングなど、幅広い分野で利用されています。

godoc

godocは、Go言語のソースコードからドキュメンテーションを生成し、表示するためのツールです。Goのコードは、特定のコメント形式（GoDocコメント）に従って記述することで、自動的にドキュメンテーションとして抽出されます。godocは、これらのコメントとコードの構造を解析し、HTML形式で表示したり、コマンドラインから検索したりする機能を提供します。

godocの主な機能は以下の通りです。

• コードからのドキュメンテーション生成: Goのソースコード内のコメントから、APIドキュメンテーションを自動的に生成します。
• Webサーバー機能: 生成されたドキュメンテーションをWebブラウザで閲覧できるWebサーバーとして動作します。通常、localhost:6060でアクセスできます。
• コマンドライン検索: -qフラグを使用することで、コマンドラインからパッケージ、関数、型などを検索できます。
• パッケージの参照: $GOROOTや$GOPATHに設定されたパスにあるGoパッケージのドキュメンテーションを参照できます。

コマンドライン引数とフラグ

コマンドライン引数とは、プログラムを実行する際に、そのプログラムに渡す追加情報のことです。フラグ（またはオプション）は、特定の動作を制御するための引数で、通常はハイフン（-）やダブルハイフン（--）で始まります。

• -qフラグ: godocにおいて、検索クエリを指定するために使用されます。例えば、godoc -q Readerは"Reader"というキーワードを含むドキュメンテーションを検索します。
• -serverフラグ: godocをWebサーバーとして起動する際に、サーバーのアドレスを指定するために使用されます。
• -pathフラグ: godocがドキュメンテーションを検索する追加のディレクトリパスを指定するために使用されます。コロン（:）で区切られた複数のパスを指定できます。

技術的詳細

このコミットは、godocツールのドキュメンテーションファイルであるsrc/cmd/godoc/doc.goに対する変更です。このファイルは、godocコマンドのヘルプメッセージや、godocが提供する機能の説明を記述しています。

変更の具体的な内容は以下の通りです。

1. -qフラグの例の簡略化:

   • 変更前: godoc -q Reader Writer
   • 変更後: godoc -q Reader この変更は、-qフラグの基本的な使用方法をより明確にするためと考えられます。複数のキーワードを一度に検索する例よりも、単一のキーワードで検索する例の方が、初見のユーザーにとって理解しやすいでしょう。

2. -filterおよび-filter_minutesフラグに関する記述の削除:

   • 変更前には、filterとfilter_minutesというフラグに関する説明がありました。これらは、許可されたパッケージディレクトリパスを含むフィルターファイルを指定したり、そのフィルターファイルの更新間隔を設定したりするためのものでした。
   • 変更後、これらのフラグに関する記述が完全に削除されています。これは、これらの機能がgodocから削除されたか、あるいはその重要性が低下し、ドキュメンテーションから除外されたことを示唆しています。

3. -pathフラグの説明の修正:

   • 変更前は、-pathフラグの説明が、その前にあった-filterフラグの説明と連続していました。
   • 変更後、-filterフラグの説明が削除されたため、-pathフラグの説明が独立し、より明確になっています。また、「By default, godoc looks at the packages it finds via $GOROOT and $GOPATH (if set). Additional directories may be specified via the -path flag...」という文が追加され、godocがデフォルトで$GOROOTと$GOPATHを参照すること、そして-pathフラグが追加のディレクトリを指定するために使用されることが明示されています。

これらの変更は、godocの機能セットの変更（特に-filter関連機能の削除）を反映し、ユーザーが最新のgodocの動作を正確に理解できるようにするためのものです。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/cmd/godoc/doc.goファイルに集中しています。

--- a/src/cmd/godoc/doc.go
+++ b/src/cmd/godoc/doc.go
@@ -25,7 +25,7 @@ In command-line mode, the -q flag enables search queries against a godoc running
 as a webserver. If no explicit server address is specified with the -server flag,
 godoc first tries localhost:6060 and then http://golang.org.
 
-\tgodoc -q Reader Writer
+\tgodoc -q Reader
 \tgodoc -q math.Sin
 \tgodoc -server=:6060 -q sin
 
@@ -87,17 +87,15 @@ The flags are:\n \t\tdirectory containing alternate template files; if set,\n \t\tthe directory may provide alternative template files\n \t\tfor the files in $GOROOT/lib/godoc\n-\t-filter=\"\"\n-\t\tfilter file containing permitted package directory paths\n-\t-filter_minutes=0\n-\t\tfilter file update interval in minutes; update is disabled if <= 0\n \t-zip=\"\"\n \t\tzip file providing the file system to serve; disabled if empty\n \n-The -path flag accepts a list of colon-separated paths; unrooted paths are relative\n-to the current working directory. Each path is considered as an additional root for\n-packages in order of appearance. The last (absolute) path element is the prefix for\n-the package path. For instance, given the flag value:\n+By default, godoc looks at the packages it finds via $GOROOT and $GOPATH (if set).\n+Additional directories may be specified via the -path flag which accepts a list\n+of colon-separated paths; unrooted paths are relative to the current working\n+directory. Each path is considered as an additional root for packages in order\n+of appearance. The last (absolute) path element is the prefix for the package\n+path. For instance, given the flag value:\n \n \tpath=\".:/home/bar:/public\"\n \n@@ -108,13 +106,6 @@ as follows:\n \t/home/bar/x        -> bar/x\n \t/public/x          -> public/x\n \n-Paths provided via -path may point to very large file systems that contain\n-non-Go files. Creating the subtree of directories with Go packages may take\n-a long amount of time. A file containing newline-separated directory paths\n-may be provided with the -filter flag; if it exists, only directories\n-on those paths are considered. If -filter_minutes is set, the filter_file is\n-updated regularly by walking the entire directory tree.\n-\n When godoc runs as a web server and -index is set, a search index is maintained.\n The index is created at startup and is automatically updated every time the\n -sync command terminates with exit status 0, indicating that files have changed.\n@@ -159,5 +150,6 @@ one may run godoc as follows:\n \n See \"Godoc: documenting Go code\" for how to write good comments for godoc:\n http://blog.golang.org/2011/03/godoc-documenting-go-code.html\n+\n */\n package documentation

コアとなるコードの解説

上記のdiffを見ると、以下の変更が行われていることが分かります。

1. 行28:

   • -godoc -q Reader Writer が削除され、
   • +godoc -q Reader が追加されています。 これは、-qフラグの検索例を簡潔にし、単一のキーワード検索の例に絞ったものです。

2. 行90-93:

   • -filter="" とその説明行、および -filter_minutes=0 とその説明行が削除されています。 これは、godocからこれらのフィルタリング機能が削除されたか、あるいはドキュメンテーション上不要になったことを示しています。

3. 行95-99:

   • -The -path flag accepts a list of colon-separated paths; unrooted paths are relative から始まる-pathフラグの説明が削除され、
   • +By default, godoc looks at the packages it finds via $GOROOT and $GOPATH (if set). から始まる新しい説明が追加されています。 新しい説明では、godocがデフォルトで$GOROOTと$GOPATHを参照することが明記され、その上で-pathフラグが追加のディレクトリを指定するために使用されることが説明されています。これにより、-pathフラグの役割がより明確になっています。

4. 行109-115:

   • Paths provided via -path may point to very large file systems that contain から始まる、-pathフラグと-filterフラグの連携に関する詳細な説明が削除されています。 これは、-filterフラグが削除されたことに伴い、その関連説明も不要になったためです。

これらの変更は、godocのドキュメンテーションを最新の機能セットと推奨される使用方法に合わせて更新するものであり、ユーザーエクスペリエンスの向上に寄与します。

関連リンク

• Go言語公式サイト: https://go.dev/
• GoDoc: https://pkg.go.dev/
• Godoc: documenting Go code (公式ブログ): http://blog.golang.org/2011/03/godoc-documenting-go-code.html

参考にした情報源リンク

• コミット情報: commit_data/12479.txt
• GitHub上のコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/3a065c5a739dad41113a6e02838133f48f2b7baf
• Go言語に関する一般的な知識
• godocツールに関する一般的な知識