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[インデックス 12599] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の宣言構文に関する新しい記事を公式ドキュメントに追加するものです。具体的には、C言語の宣言構文と比較しながら、Go言語の宣言構文がなぜ現在の形になっているのかを解説した記事が追加されました。

コミット

commit 6033a48b775365714be86462f7e2480e881e978b
Author: Francisco Souza <franciscossouza@gmail.com>
Date:   Tue Mar 13 14:46:08 2012 +1100

    doc: add Go's declaration syntax article
    
    Originally published on The Go Programming Language Blog, July 7, 2010.
    
    I did not put any go file in doc/progs. Shoul I include Go files
    with those declarations?
    
    http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html
    
    Update #2547.
    
    R=golang-dev, adg
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5795068

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/6033a48b775365714be86462f7e2480e881e978b

元コミット内容

このコミットは、Go言語の宣言構文に関する記事をドキュメントに追加するものです。この記事は元々2010年7月7日にThe Go Programming Language Blogで公開されたものです。コミットメッセージには、doc/progsにGoのサンプルファイルを含めるべきかという著者の疑問が記されています。また、関連するブログ記事のURLと、GoのコードレビューシステムであるGerritの変更リスト(CL)へのリンクも含まれています。

変更の背景

Go言語の宣言構文は、C言語ファミリーのプログラミング言語に慣れている開発者にとって、しばしば疑問の対象となります。C言語では「宣言は使用に似ている」という原則に基づいており、変数の型を宣言する際に、その変数が式の中でどのように使われるかを模倣する形で記述します。しかし、この方法は複雑な型(特に多重ポインタや関数ポインタ)になると非常に読みにくくなるという問題がありました。

Go言語の設計者は、このC言語の宣言構文の複雑さを認識しており、より読みやすく、理解しやすい宣言構文を目指しました。このコミットは、Go言語の公式ドキュメントに、その設計思想とC言語との比較を解説する記事を追加することで、新規ユーザーがGoの宣言構文を理解しやすくすることを目的としています。ブログ記事として公開されていた内容を公式ドキュメントに取り込むことで、よりアクセスしやすく、永続的な情報源とすることが意図されています。

前提知識の解説

  • C言語の宣言構文: C言語では、変数の宣言がその変数の「使用方法」に似た形で行われます。例えば、int *p;*pint 型であることを示し、int a[3];a[3]int 型であることを示します。この原則は単純な型では直感的ですが、関数ポインタや複雑なデータ構造の宣言では非常に難解になります。有名な例として「螺旋ルール(Clockwise/Spiral Rule)」と呼ばれる、C言語の複雑な宣言を解読するための規則が存在するほどです。
  • Go言語の宣言構文: Go言語では、型が名前の後に来る「名前 型」の形式を採用しています(例: var x int)。これはC言語とは異なり、多くの現代的な言語(Pascal, Rust, Swiftなど)で採用されている形式です。この構文は、宣言を左から右に読むことができ、より直感的で理解しやすいとされています。
  • ポインタ: メモリ上のアドレスを指し示す変数です。C言語では * を用いてポインタを宣言し、Go言語でも同様に * を用いますが、その配置には違いがあります。
  • スライス: Go言語に特有のデータ構造で、可変長配列のようなものです。配列とは異なり、サイズが動的に変化します。
  • 関数ポインタ/関数型: 関数を指し示すポインタ、または関数そのものを型として扱う概念です。C言語では関数ポインタの宣言が非常に複雑になる傾向があります。Go言語では関数も第一級オブジェクトであり、関数を変数に代入したり、関数の引数や戻り値として扱うことができます。

技術的詳細

このコミットによって追加された doc/articles/gos_declaration_syntax.html は、Go言語の宣言構文の設計哲学を詳細に説明しています。

記事の主なポイントは以下の通りです。

  1. C言語の宣言構文の解説と問題点:

    • C言語の「宣言は使用に似ている」という原則を説明します。
    • int *p;int a[3]; のような単純な例から始め、int (*fp)(int a, int b); のような関数ポインタの宣言がどのように複雑になるかを示します。
    • 特に、引数に関数ポインタを取る関数ポインタや、戻り値が関数ポインタである場合の宣言が極めて読みにくくなることを強調します。
    • 型と式の構文が同じであるため、キャストの際に型を括弧で囲む必要があるなど、構文解析上の困難さも指摘します。
  2. Go言語の宣言構文の解説と利点:

    • C言語ファミリー以外の言語が採用する「名前 型」の構文(例: x: int)を紹介し、Goがこれを簡潔にした x int の形式を採用していることを説明します。
    • Goの宣言が「左から右に読む」ことができるため、より明確で理解しやすいことを示します。
    • 例として、func main(argc int, argv *[]byte) int のような関数宣言が、引数名を除いても func main(int, *[]byte) int のように明確であることを示します。
    • 複雑な関数型(関数を引数に取ったり、関数を返す関数)の宣言においても、Goの構文がC言語よりもはるかに読みやすいことを強調します。
    • 型と式の構文が明確に区別されているため、Goではクロージャの記述と呼び出しが容易であることも示します。
  3. ポインタ構文の例外:

    • Goのポインタ構文 (*int) はC言語の慣習に従っているが、これが唯一の例外であることを説明します。
    • 配列やスライスでは []int のように型にブラケットが左に付くのに対し、式では a[1] のように右に付くという一貫性があるが、ポインタでは *int*p のように両方で * がプレフィックスとして使われることを指摘します。
    • もし p* のようなポストフィックスの * を採用していれば、乗算と衝突するため採用できなかったと説明します。
    • このC言語由来のポインタ構文のために、型変換の際に (*int)(nil) のように括弧が必要になる場合があるという制約も述べています。

このコミットは、Go言語の設計思想、特に宣言構文に関する深い洞察を提供し、なぜGoがC言語とは異なるアプローチを取ったのかを明確にしています。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットによる主要な変更は以下の3つのファイルです。

  1. doc/articles/gos_declaration_syntax.html (新規追加):

    • このファイルが、Go言語の宣言構文に関する新しい記事の本体です。
    • HTML形式で記述されており、C言語とGo言語の宣言構文の比較、それぞれの利点と欠点、Goの設計思想が詳細に説明されています。
    • 記事のタイトルは Go's Declaration Syntax です。
  2. doc/docs.html (変更):

    • Go言語の公式ドキュメントのインデックスページまたは主要なドキュメントリストを生成するファイルです。
    • このファイルに、新しく追加された gos_declaration_syntax.html へのリンクが追加されました。
    • 変更前: <a href="http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html">Go's Declaration Syntax</a>
    • 変更後: <a href="/doc/articles/gos_declaration_syntax.html">Go's Declaration Syntax</a>
    • これにより、ブログ記事への外部リンクから、Goの公式ドキュメント内の記事への内部リンクに更新されました。
  3. doc/go_faq.html (変更):

    • Go言語のFAQ(よくある質問)ページです。
    • このファイル内の宣言構文に関する既存の言及箇所が、新しく追加された記事へのリンクを指すように更新されました。
    • 変更前: <a href="http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html">Go's Declaration Syntax</a>
    • 変更後: <a href="/doc/articles/gos_declaration_syntax.html">Go's Declaration Syntax</a>
    • doc/docs.html と同様に、ブログ記事への外部リンクから、公式ドキュメント内の記事への内部リンクに更新されました。

これらの変更により、Go言語の宣言構文に関する重要な解説が公式ドキュメントに統合され、ユーザーがより簡単にアクセスできるようになりました。

コアとなるコードの解説

このコミットの「コアとなるコード」は、追加されたHTMLファイル doc/articles/gos_declaration_syntax.html の内容そのものです。これはGo言語の宣言構文に関する詳細な技術解説であり、コードというよりはドキュメントコンテンツです。

このHTMLファイルは、以下の構造でGoの宣言構文を解説しています。

  • タイトル: <!--{"Title": "Go's Declaration Syntax"}--> で記事のタイトルが定義されています。
  • 導入: Goの宣言構文がC言語ファミリーと異なる理由について疑問を持つ新規ユーザー向けに、その背景を説明します。
  • C syntax (C構文):
    • C言語の「宣言は使用に似ている」という原則を説明します。
    • int x;int *p;int a[3]; といった基本的な宣言から始めます。
    • 関数宣言の歴史的な形式と現代的な形式を示します。
    • int (*fp)(int a, int b); のような関数ポインタの宣言がどのように複雑になるか、さらに引数や戻り値が関数ポインタである場合にどれほど読みにくくなるかを具体的な例で示します。
    • 型と式の構文が同じであることによる、キャスト時の括弧の必要性などの問題点を指摘します。
  • Go syntax (Go構文):
    • C言語ファミリー以外の言語が採用する「名前 型」の構文を紹介し、Goがこれを簡潔にした x intp *inta [3]int の形式を採用していることを説明します。
    • Goの宣言が「左から右に読む」ことができるため、より明確で理解しやすいことを強調します。
    • func main(argc int, argv *[]byte) int のような関数宣言が、引数名を除いても明確であることを示します。
    • 複雑な関数型(例: f func(func(int,int) int, int) int)の宣言においても、Goの構文がC言語よりもはるかに読みやすいことを具体的な例で示します。
    • 型と式の構文が明確に区別されているため、Goではクロージャの記述と呼び出しが容易であることも示します。
  • Pointers (ポインタ):
    • Goのポインタ構文 (*int) がC言語の慣習に従っている唯一の例外であることを説明します。
    • 配列やスライスでは型と式の構文でブラケットの位置が異なるのに対し、ポインタでは両方で * がプレフィックスとして使われることを指摘します。
    • もし p* のようなポストフィックスの * を採用していれば、乗算と衝突するため採用できなかったと説明します。
    • このC言語由来のポインタ構文のために、型変換の際に (*int)(nil) のように括弧が必要になる場合があるという制約も述べています。
  • Notes (注記):
    • Goの宣言が左から右に読めるのに対し、Cの宣言は「螺旋状に読む」と表現されることがあることに触れ、David Andersonによる「The "Clockwise/Spiral Rule"」へのリンクを提供しています。

このHTMLファイルは、Go言語の宣言構文の設計意図と、それがC言語の構文と比較してどのように優れているかを、詳細な例と論理的な説明で読者に伝えることを目的としています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • コミットメッセージに含まれる情報
  • doc/articles/gos_declaration_syntax.html の内容
  • doc/docs.html および doc/go_faq.html の変更点
  • The Go Programming Language Blog の該当記事 (Web検索により内容を確認)
  • C言語の宣言構文に関する一般的な知識 (Web検索により補足)
  • Go言語の公式ドキュメントの構造 (Web検索により補足)
  • Gerrit (Goのコードレビューシステム) の概念 (Web検索により補足) [WebFetchTool] Full response for prompt "Summarize http://blog.golang.org/2010/07/gos-decla...": { "candidates": [ { "content": { "role": "model", "parts": [ { "text": "Go's declaration syntax differs from C's by prioritizing clarity and left-to-right readability. Unlike C, which uses expression-based declarations that can become complex, Go separates type syntax from expression syntax. This design choice, while making pointers an exception due to familiarity with C's * notation, generally simplifies understanding, especially for complex types like function variables." } ] }, "finishReason": "STOP", "groundingMetadata": { "groundingChunks": [ { "web": { "uri": "http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html", "title": "Go's Declaration Syntax - The Go Programming Language" } } ], "groundingSupports": [ { "segment": { "startIndex": 221, "endIndex": 407, "text": "This design choice, while making pointers an exception due to familiarity with C's * notation, generally simplifies understanding, especially for complex types like function variables." }, "groundingChunkIndices": [ 0 ] } ] }, "urlContextMetadata": { "urlMetadata": [ { "retrievedUrl": "http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html", "urlRetrievalStatus": "URL_RETRIEVAL_STATUS_SUCCESS" } ] } } ], "usageMetadata": { "promptTokenCount": 4221, "candidatesTokenCount": 76, "totalTokenCount": 4346, "trafficType": "PROVISIONED_THROUGHPUT", "promptTokensDetails": [ { "modality": "TEXT", "tokenCount": 4221 } ], "candidatesTokensDetails": [ { "modality": "TEXT", "tokenCount": 76 } ], "toolUsePromptTokenCount": 47, "thoughtsTokenCount": 49 } } [WebFetchTool] Formatted tool response for prompt "Summarize http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html:

": Go's declaration syntax differs from C's by prioritizing clarity and left-to-right readability. Unlike C, which uses expression-based declarations that can become complex, Go separates type syntax from expression syntax. This design choice, while making pointers an exception due to familiarity with C's * notation, generally simplifies understanding, especially for complex types like function variables.[1]

Sources: [1] Go's Declaration Syntax - The Go Programming Language (http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html)

[インデックス 12599] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の宣言構文に関する新しい記事を公式ドキュメントに追加するものです。具体的には、C言語の宣言構文と比較しながら、Go言語の宣言構文がなぜ現在の形になっているのかを解説した記事が追加されました。

コミット

commit 6033a48b775365714be86462f7e2480e881e978b
Author: Francisco Souza <franciscossouza@gmail.com>
Date:   Tue Mar 13 14:46:08 2012 +1100

    doc: add Go's declaration syntax article
    
    Originally published on The Go Programming Language Blog, July 7, 2010.
    
    I did not put any go file in doc/progs. Shoul I include Go files
    with those declarations?
    
    http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html
    
    Update #2547.
    
    R=golang-dev, adg
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5795068

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/6033a48b775365714be86462f7e2480e881e978b

元コミット内容

このコミットは、Go言語の宣言構文に関する記事をドキュメントに追加するものです。この記事は元々2010年7月7日にThe Go Programming Language Blogで公開されたものです。コミットメッセージには、doc/progsにGoのサンプルファイルを含めるべきかという著者の疑問が記されています。また、関連するブログ記事のURLと、GoのコードレビューシステムであるGerritの変更リスト(CL)へのリンクも含まれています。

変更の背景

Go言語の宣言構文は、C言語ファミリーのプログラミング言語に慣れている開発者にとって、しばしば疑問の対象となります。C言語では「宣言は使用に似ている」という原則に基づいており、変数の型を宣言する際に、その変数が式の中でどのように使われるかを模倣する形で記述します。しかし、この方法は複雑な型(特に多重ポインタや関数ポインタ)になると非常に読みにくくなるという問題がありました。

Go言語の設計者は、このC言語の宣言構文の複雑さを認識しており、より読みやすく、理解しやすい宣言構文を目指しました。このコミットは、Go言語の公式ドキュメントに、その設計思想とC言語との比較を解説する記事を追加することで、新規ユーザーがGoの宣言構文を理解しやすくすることを目的としています。ブログ記事として公開されていた内容を公式ドキュメントに取り込むことで、よりアクセスしやすく、永続的な情報源とすることが意図されています。

前提知識の解説

  • C言語の宣言構文: C言語では、変数の宣言がその変数の「使用方法」に似た形で行われます。例えば、int *p;*pint 型であることを示し、int a[3];a[3]int 型であることを示します。この原則は単純な型では直感的ですが、関数ポインタや複雑なデータ構造の宣言では非常に難解になります。有名な例として「螺旋ルール(Clockwise/Spiral Rule)」と呼ばれる、C言語の複雑な宣言を解読するための規則が存在するほどです。
  • Go言語の宣言構文: Go言語では、型が名前の後に来る「名前 型」の形式を採用しています(例: var x int)。これはC言語とは異なり、多くの現代的な言語(Pascal, Rust, Swiftなど)で採用されている形式です。この構文は、宣言を左から右に読むことができ、より直感的で理解しやすいとされています。
  • ポインタ: メモリ上のアドレスを指し示す変数です。C言語では * を用いてポインタを宣言し、Go言語でも同様に * を用いますが、その配置には違いがあります。
  • スライス: Go言語に特有のデータ構造で、可変長配列のようなものです。配列とは異なり、サイズが動的に変化します。
  • 関数ポインタ/関数型: 関数を指し示すポインタ、または関数そのものを型として扱う概念です。C言語では関数ポインタの宣言が非常に複雑になる傾向があります。Go言語では関数も第一級オブジェクトであり、関数を変数に代入したり、関数の引数や戻り値として扱うことができます。

技術的詳細

このコミットによって追加された doc/articles/gos_declaration_syntax.html は、Go言語の宣言構文の設計哲学を詳細に説明しています。

記事の主なポイントは以下の通りです。

  1. C言語の宣言構文の解説と問題点:

    • C言語の「宣言は使用に似ている」という原則を説明します。
    • int *p;int a[3]; のような単純な例から始め、int (*fp)(int a, int b); のような関数ポインタの宣言がどのように複雑になるかを示します。
    • 特に、引数に関数ポインタを取る関数ポインタや、戻り値が関数ポインタである場合の宣言が極めて読みにくくなることを強調します。
    • 型と式の構文が同じであるため、キャストの際に型を括弧で囲む必要があるなど、構文解析上の困難さも指摘します。
  2. Go言語の宣言構文の解説と利点:

    • C言語ファミリー以外の言語が採用する「名前 型」の構文(例: x: int)を紹介し、Goがこれを簡潔にした x int の形式を採用していることを説明します。
    • Goの宣言が「左から右に読む」ことができるため、より明確で理解しやすいことを示します。
    • 例として、func main(argc int, argv *[]byte) int のような関数宣言が、引数名を除いても func main(int, *[]byte) int のように明確であることを示します。
    • 複雑な関数型(関数を引数に取ったり、関数を返す関数)の宣言においても、Goの構文がC言語よりもはるかに読みやすいことを強調します。
    • 型と式の構文が明確に区別されているため、Goではクロージャの記述と呼び出しが容易であることも示します。
  3. ポインタ構文の例外:

    • Goのポインタ構文 (*int) はC言語の慣習に従っているが、これが唯一の例外であることを説明します。
    • 配列やスライスでは []int のように型にブラケットが左に付くのに対し、式では a[1] のように右に付くという一貫性があるが、ポインタでは *int*p のように両方で * がプレフィックスとして使われることを指摘します。
    • もし p* のようなポストフィックスの * を採用していれば、乗算と衝突するため採用できなかったと説明します。
    • このC言語由来のポインタ構文のために、型変換の際に (*int)(nil) のように括弧が必要になる場合があるという制約も述べています。

このコミットは、Go言語の設計思想、特に宣言構文に関する深い洞察を提供し、なぜGoがC言語とは異なるアプローチを取ったのかを明確にしています。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットによる主要な変更は以下の3つのファイルです。

  1. doc/articles/gos_declaration_syntax.html (新規追加):

    • このファイルが、Go言語の宣言構文に関する新しい記事の本体です。
    • HTML形式で記述されており、C言語とGo言語の宣言構文の比較、それぞれの利点と欠点、Goの設計思想が詳細に説明されています。
    • 記事のタイトルは Go's Declaration Syntax です。
  2. doc/docs.html (変更):

    • Go言語の公式ドキュメントのインデックスページまたは主要なドキュメントリストを生成するファイルです。
    • このファイルに、新しく追加された gos_declaration_syntax.html へのリンクが追加されました。
    • 変更前: <a href="http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html">Go's Declaration Syntax</a>
    • 変更後: <a href="/doc/articles/gos_declaration_syntax.html">Go's Declaration Syntax</a>
    • これにより、ブログ記事への外部リンクから、Goの公式ドキュメント内の記事への内部リンクに更新されました。
  3. doc/go_faq.html (変更):

    • Go言語のFAQ(よくある質問)ページです。
    • このファイル内の宣言構文に関する既存の言及箇所が、新しく追加された記事へのリンクを指すように更新されました。
    • 変更前: <a href="http://blog.golang.org/2010/07/gos-declaration-syntax.html">Go's Declaration Syntax</a>
    • 変更後: <a href="/doc/articles/gos_declaration_syntax.html">Go's Declaration Syntax</a>
    • doc/docs.html と同様に、ブログ記事への外部リンクから、公式ドキュメント内の記事への内部リンクに更新されました。

これらの変更により、Go言語の宣言構文に関する重要な解説が公式ドキュメントに統合され、ユーザーがより簡単にアクセスできるようになりました。

コアとなるコードの解説

このコミットの「コアとなるコード」は、追加されたHTMLファイル doc/articles/gos_declaration_syntax.html の内容そのものです。これはGo言語の宣言構文に関する詳細な技術解説であり、コードというよりはドキュメントコンテンツです。

このHTMLファイルは、以下の構造でGoの宣言構文を解説しています。

  • タイトル: <!--{"Title": "Go's Declaration Syntax"}--> で記事のタイトルが定義されています。
  • 導入: Goの宣言構文がC言語ファミリーと異なる理由について疑問を持つ新規ユーザー向けに、その背景を説明します。
  • C syntax (C構文):
    • C言語の「宣言は使用に似ている」という原則を説明します。
    • int x;int *p;int a[3]; といった基本的な宣言から始めます。
    • 関数宣言の歴史的な形式と現代的な形式を示します。
    • int (*fp)(int a, int b); のような関数ポインタの宣言がどのように複雑になるか、さらに引数や戻り値が関数ポインタである場合にどれほど読みにくくなるかを具体的な例で示します。
    • 型と式の構文が同じであることによる、キャスト時の括弧の必要性などの問題点を指摘します。
  • Go syntax (Go構文):
    • C言語ファミリー以外の言語が採用する「名前 型」の構文を紹介し、Goがこれを簡潔にした x intp *inta [3]int の形式を採用していることを説明します。
    • Goの宣言が「左から右に読む」ことができるため、より明確で理解しやすいことを強調します。
    • func main(argc int, argv *[]byte) int のような関数宣言が、引数名を除いても明確であることを示します。
    • 複雑な関数型(例: f func(func(int,int) int, int) int)の宣言においても、Goの構文がC言語よりもはるかに読みやすいことを具体的な例で示します。
    • 型と式の構文が明確に区別されているため、Goではクロージャの記述と呼び出しが容易であることも示します。
  • Pointers (ポインタ):
    • Goのポインタ構文 (*int) がC言語の慣習に従っている唯一の例外であることを説明します。
    • 配列やスライスでは型と式の構文でブラケットの位置が異なるのに対し、ポインタでは両方で * がプレフィックスとして使われることを指摘します。
    • もし p* のようなポストフィックスの * を採用していれば、乗算と衝突するため採用できなかったと説明します。
    • このC言語由来のポインタ構文のために、型変換の際に (*int)(nil) のように括弧が必要になる場合があるという制約も述べています。
  • Notes (注記):
    • Goの宣言が左から右に読めるのに対し、Cの宣言は「螺旋状に読む」と表現されることがあることに触れ、David Andersonによる「The "Clockwise/Spiral Rule"」へのリンクを提供しています。

このHTMLファイルは、Go言語の宣言構文の設計意図と、それがC言語の構文と比較してどのように優れているかを、詳細な例と論理的な説明で読者に伝えることを目的としています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • コミットメッセージに含まれる情報
  • doc/articles/gos_declaration_syntax.html の内容
  • doc/docs.html および doc/go_faq.html の変更点
  • The Go Programming Language Blog の該当記事 (Web検索により内容を確認)
  • C言語の宣言構文に関する一般的な知識 (Web検索により補足)
  • Go言語の公式ドキュメントの構造 (Web検索により補足)
  • Gerrit (Goのコードレビューシステム) の概念 (Web検索により補足)