[インデックス 12616] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるfmt
パッケージ内のテストファイルsrc/pkg/fmt/scan_test.go
に対する変更です。主な目的は、不要な(デッド)コードの削除と、コメント内のタイプミス修正です。
コミット
- コミットハッシュ:
62bb39e2baad708c3910abc6b5b51c49f91418d4
- 作者: Shenghou Ma minux.ma@gmail.com
- コミット日時: 2012年3月14日 水曜日 04:59:17 +0800
- コミットメッセージ:
fmt: remove dead code Also fix a typo in comment. R=golang-dev, r, r CC=golang-dev https://golang.org/cl/5808043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/62bb39e2baad708c3910abc6b5b51c49f91418d4
元コミット内容
fmt: remove dead code
Also fix a typo in comment.
R=golang-dev, r, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5808043
変更の背景
このコミットは、Go言語のfmt
パッケージのテストコードの品質向上を目的としています。具体的には、以下の2点です。
- デッドコードの削除: コードベースに存在する、実行されることのない、あるいはもはや必要とされないコードを特定し、削除することで、コードの可読性を高め、保守を容易にします。デッドコードは、将来的なバグの原因となったり、コードの理解を妨げたりする可能性があります。
- コメントのタイプミス修正: コードのコメントは、そのコードの意図や動作を説明するために非常に重要です。タイプミスは、誤解を招いたり、プロフェッショナルな印象を損なったりするため、修正されました。
この変更は、Go言語の標準ライブラリが常にクリーンで効率的であることを保証するための、継続的なメンテナンス活動の一環です。
前提知識の解説
このコミットを理解するためには、以下のGo言語の概念とfmt
パッケージに関する知識が必要です。
- Go言語の
fmt
パッケージ: Go言語の標準ライブラリの一部で、フォーマットされたI/O(入力/出力)機能を提供します。これには、文字列のフォーマット(Sprintf
など)、標準出力への出力(Printf
など)、そして入力のパース(Scanf
、Fscanf
など)が含まれます。 fmt.ScanState
インターフェース:fmt
パッケージのScan
メソッド(fmt.Scanner
インターフェースの一部)が入力ストリームの状態を管理するために使用するインターフェースです。カスタム型がfmt.Scan
やfmt.Fscanf
でパースされるようにするには、Scan
メソッドを実装し、このScanState
を利用します。fmt.Fscanf
関数: 指定されたio.Reader
からフォーマットされた入力を読み取る関数です。C言語のfscanf
に似ており、フォーマット文字列に基づいて入力をパースし、引数に格納します。io.ErrUnexpectedEOF
:io
パッケージで定義されているエラーで、予期せぬファイルの終端(End Of File)に達したことを示します。入力ストリームが途中で終了した場合に返される一般的なエラーです。errors.New
: Go言語で新しいエラー値を生成するための関数です。文字列を受け取り、その文字列をエラーメッセージとするerror
インターフェースの値を返します。- デッドコード (Dead Code): プログラムの実行中に決して到達しない、または実行結果に影響を与えないコードのことです。デッドコードは、通常、古い機能、誤ったロジック、またはリファクタリングの残骸として存在します。
- Go言語のテストファイル (
_test.go
): Go言語では、テストコードは通常、テスト対象のソースファイルと同じディレクトリに_test.go
というサフィックスを持つファイルとして配置されます。go test
コマンドによって自動的に発見され、実行されます。
技術的詳細
このコミットの技術的な変更は、src/pkg/fmt/scan_test.go
ファイル内のRecursiveInt
型のScan
メソッドに集中しています。
RecursiveInt
型は、%d.%d.%d...
のような再帰的な数値文字列をパースし、リンクリストに変換することを目的としたテスト用の構造体です。そのScan
メソッドは、fmt.Fscanf
を使用して入力をパースします。
変更前は、Fscanf
がエラーを返した場合、そのエラーがio.ErrUnexpectedEOF
であるか、またはerrors.New("input does not match format")
という特定のエラー文字列であるかをチェックしていました。もしこれらのいずれかであれば、エラーをnil
に設定して処理を続行していました。
// 変更前
if err == errors.New("input does not match format") || err == io.ErrUnexpectedEOF {
err = nil
}
この変更では、errors.New("input does not match format")
という条件が削除されました。
// 変更後
if err == io.ErrUnexpectedEOF {
err = nil
}
これは、fmt.Fscanf
がこの特定の文字列のエラーを返すことがない、またはこのエラーを特別に処理する必要がないため、この条件が「デッドコード」と見なされたことを意味します。つまり、この条件は決して真にならず、コードの実行パスに影響を与えなかったか、あるいはそのチェックが冗長であったということです。io.ErrUnexpectedEOF
のチェックは残されており、これは入力の終端に達した場合の正常な終了条件として引き続き扱われます。
また、コメントのタイプミス修正は、// RecursiveInt accepts an string matching %d.%d.%d....
から// RecursiveInt accepts a string matching %d.%d.%d....
への変更です。これは英語の冠詞の正しい使用法に合わせたもので、コードの動作には影響しませんが、ドキュメントの正確性を向上させます。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/src/pkg/fmt/scan_test.go b/src/pkg/fmt/scan_test.go
index 61b48f9cc6..320857b73e 100644
--- a/src/pkg/fmt/scan_test.go
+++ b/src/pkg/fmt/scan_test.go
@@ -810,7 +810,7 @@ func TestMultiLine(t *testing.T) {
}\n }\n \n-// RecursiveInt accepts an string matching %d.%d.%d....\n+// RecursiveInt accepts a string matching %d.%d.%d....\n // and parses it into a linked list.\n // It allows us to benchmark recursive descent style scanners.\n type RecursiveInt struct {\n@@ -826,7 +826,7 @@ func (r *RecursiveInt) Scan(state ScanState, verb rune) (err error) {\n \tnext := new(RecursiveInt)\n \t_, err = Fscanf(state, \".%v\", next)\n \tif err != nil {\n-\t\tif err == errors.New(\"input does not match format\") || err == io.ErrUnexpectedEOF {\n+\t\tif err == io.ErrUnexpectedEOF {\n \t\t\terr = nil\n \t\t}\n \t\treturn\n```
## コアとなるコードの解説
このコミットには2つの主要な変更点があります。
1. **コメントの修正**:
```diff
-// RecursiveInt accepts an string matching %d.%d.%d....
+// RecursiveInt accepts a string matching %d.%d.%d....
```
これは、`RecursiveInt`型の説明コメントにおける英語の文法的な修正です。「an string」は誤りで、「a string」が正しい表現です。この変更はコードの機能には影響しませんが、ドキュメントの品質と正確性を向上させます。
2. **デッドコードの削除**:
```diff
-\t\tif err == errors.New("input does not match format") || err == io.ErrUnexpectedEOF {
+\t\tif err == io.ErrUnexpectedEOF {
```
`RecursiveInt`型の`Scan`メソッド内で、`fmt.Fscanf`からのエラーを処理する部分が変更されました。
変更前は、エラーが`io.ErrUnexpectedEOF`であるか、または`errors.New("input does not match format")`という特定のエラーメッセージを持つ場合に、エラーを無視(`err = nil`)していました。
変更後は、`errors.New("input does not match format")`という条件が削除されました。これは、`fmt.Fscanf`がこの正確なエラー文字列を返すことがない、またはこのエラーがこのコンテキストでは意味を持たないため、この条件が「デッドコード」と判断されたことを示唆しています。つまり、この条件は決して満たされることがなく、コードの実行に影響を与えないため、削除されました。これにより、コードがより簡潔になり、不要なチェックがなくなりました。`io.ErrUnexpectedEOF`のチェックは引き続き行われ、これは入力の正常な終端を示すために重要です。
## 関連リンク
- GitHubコミットページ: [https://github.com/golang/go/commit/62bb39e2baad708c3910abc6b5b51c49f91418d4](https://github.com/golang/go/commit/62bb39e2baad708c3910abc6b5b51c49f91418d4)
- Go CL (Change List) ページ: [https://golang.org/cl/5808043](https://golang.org/cl/5808043)
## 参考にした情報源リンク
- Go言語 `fmt` パッケージ公式ドキュメント: [https://pkg.go.dev/fmt](https://pkg.go.dev/fmt)
- Go言語 `io` パッケージ公式ドキュメント: [https://pkg.go.dev/io](https://pkg.go.dev/io)
- Go言語 `errors` パッケージ公式ドキュメント: [https://pkg.go.dev/errors](https://pkg.go.dev/errors)
- Go言語におけるエラーハンドリングの基本: [https://go.dev/blog/error-handling-and-go](https://go.dev/blog/error-handling-and-go)
- Go言語のテストの書き方: [https://go.dev/doc/tutorial/add-a-test](https://go.dev/doc/tutorial/add-a-test)