[インデックス 12621] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ内の複数のファイルにわたる様々なタイプミス（typos）を修正するものです。具体的には、コメントや文字列リテラル内のスペルミスが訂正されています。コードの機能的な変更は一切含まれておらず、可読性と正確性の向上を目的としています。

コミット

commit d724631a532017535133546776d444e698c67336
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Tue Mar 13 17:29:07 2012 -0700

    all: various typos
    
    R=golang-dev, dsymonds
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5820045

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/d724631a532017535133546776d444e698c67336

元コミット内容

all: various typos

R=golang-dev, dsymonds
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5820045

変更の背景

このコミットの背景は、Go言語の標準ライブラリの品質と保守性を向上させることにあります。コード内のコメントやドキュメントにおけるタイプミスは、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

1. 誤解の招き: 不正確なスペルや文法は、コメントの意図を誤解させたり、開発者がコードの動作を誤って解釈する原因となることがあります。
2. プロフェッショナリズムの欠如: 公式のライブラリやフレームワークにおいてタイプミスが散見されると、そのプロジェクトの品質管理に対する信頼性が損なわれる可能性があります。
3. 検索性の低下: 特定のキーワードでドキュメントやコードを検索する際に、タイプミスがあると正確な情報にたどり着けないことがあります。
4. 新規開発者の混乱: プロジェクトに新しく参加する開発者がコードベースを理解しようとする際に、タイプミスは学習の妨げとなることがあります。

このコミットは、これらの問題を解消し、Go標準ライブラリのドキュメンテーションとコードコメントの正確性を高めるための、定期的な品質改善活動の一環として行われました。

前提知識の解説

このコミットを理解するために、以下のGo言語のパッケージと一般的なプログラミングの概念について簡単に説明します。

• Go言語 (Golang): Googleによって開発されたオープンソースのプログラミング言語です。シンプルさ、効率性、並行処理のサポートを重視しており、システムプログラミング、Webサービス、ネットワークプログラミングなどで広く利用されています。
• 標準ライブラリ: Go言語には、様々な機能を提供する豊富な標準ライブラリが付属しています。これにより、ファイルI/O、ネットワーク通信、暗号化、データ構造など、多くの一般的なタスクを容易に実行できます。
• index/suffixarray パッケージ: サフィックス配列（Suffix Array）を実装するためのパッケージです。サフィックス配列は、文字列検索やパターンマッチングなどのアルゴリズムで効率的なデータ構造として使用されます。
• math/big パッケージ: 任意精度の算術演算（大きな整数や有理数）を提供するパッケージです。通常のGoの組み込み型では扱えない非常に大きな数値を扱う際に使用されます。
• math/erf パッケージ: 誤差関数（Error Function）とその関連関数（相補誤差関数など）を提供するパッケージです。これらは統計学、確率論、物理学などで使用される特殊関数です。
• net パッケージ: ネットワークI/Oを実装するためのパッケージです。TCP/IP、UDP、DNSルックアップなど、様々なネットワークプロトコルとインターフェースを扱います。
• syscall パッケージ: オペレーティングシステム（OS）のシステムコールにアクセスするための低レベルなインターフェースを提供するパッケージです。これにより、OS固有の機能（プロセス管理、ファイルシステム操作、ネットワーク設定など）を直接操作できます。
• コメント: プログラミング言語において、コードの意図や動作を説明するために記述されるテキストです。コンパイラやインタプリタによって無視され、プログラムの実行には影響しませんが、コードの可読性と保守性を高める上で非常に重要です。

技術的詳細

このコミットは、Go標準ライブラリ内の7つの異なるファイルで発生していたスペルミスを修正しています。それぞれの修正は、コメント内の単語のスペルを正しいものに訂正するものであり、コードのロジックや動作には一切影響を与えません。

具体的な修正内容は以下の通りです。

1. src/pkg/index/suffixarray/qsufsort.go:
   • unambiguouly (誤) → unambiguously (正): 「曖昧でなく」という意味の副詞のスペルミス。
   • occurence (誤) → occurrence (正): 「発生」や「出現」という意味の名詞のスペルミス。
2. src/pkg/math/big/nat.go:
   • specfic (誤) → specific (正): 「特定の」という意味の形容詞のスペルミス。
3. src/pkg/math/erf.go:
   • precison (誤) → precision (正): 「精度」という意味の名詞のスペルミス。このファイルでは2箇所で修正されています。
4. src/pkg/net/interface_linux.go:
   • Otheriwse (誤) → Otherwise (正): 「さもなければ」という意味の副詞のスペルミス。
5. src/pkg/net/interface_stub.go:
   • Otheriwse (誤) → Otherwise (正): 上記と同様のスペルミス。
6. src/pkg/net/interface_windows.go:
   • Otheriwse (誤) → Otherwise (正): 上記と同様のスペルミス。
7. src/pkg/syscall/syscall_linux.go:
   • gaurantee (誤) → guarantee (正): 「保証する」という意味の動詞のスペルミス。

これらの修正は、コードのコメントやドキュメンテーションの品質を向上させ、将来の読者（開発者）がより正確な情報を得られるようにするためのものです。

コアとなるコードの変更箇所

以下に、各ファイルにおける具体的な変更箇所を示します。

src/pkg/index/suffixarray/qsufsort.go

--- a/src/pkg/index/suffixarray/qsufsort.go
+++ b/src/pkg/index/suffixarray/qsufsort.go
@@ -11,7 +11,7 @@
 // Consecutive groups of suffixes in sa are labeled as sorted groups or
 // unsorted groups. For a given pass of the sorter, all suffixes are ordered
 // up to their first h characters, and sa is h-ordered. Suffixes in their
-// final positions and unambiguouly sorted in h-order are in a sorted group.\n
+// final positions and unambiguously sorted in h-order are in a sorted group.
 // Consecutive groups of suffixes with identical first h characters are an
 // unsorted group. In each pass of the algorithm, unsorted groups are sorted
 // according to the group number of their following suffix.
@@ -78,7 +78,7 @@ func sortedByFirstByte(data []byte) []int {
 	for _, b := range data {
 		count[b]++
 	}
-	// make count[b] equal index of first occurence of b in sorted array
+	// make count[b] equal index of first occurrence of b in sorted array
 	sum := 0
 	for b := range count {
 		count[b], sum = sum, count[b]+sum

src/pkg/math/big/nat.go

--- a/src/pkg/math/big/nat.go
+++ b/src/pkg/math/big/nat.go
@@ -826,7 +826,7 @@ func (x nat) string(charset string) string {
 // iterative approach. This threshold is represented by leafSize. Benchmarking of leafSize in the 
 // range 2..64 shows that values of 8 and 16 work well, with a 4x speedup at medium lengths and 
 // ~30x for 20000 digits. Use nat_test.go's BenchmarkLeafSize tests to optimize leafSize for 
-// specfic hardware.
+// specific hardware.
 //
 func (q nat) convertWords(s []byte, charset string, b Word, ndigits int, bb Word, table []divisor) {
 	// split larger blocks recursively

src/pkg/math/erf.go

--- a/src/pkg/math/erf.go
+++ b/src/pkg/math/erf.go
@@ -248,7 +248,7 @@ func Erf(x float64) float64 {
 		R = rb0 + s*(rb1+s*(rb2+s*(rb3+s*(rb4+s*(rb5+s*rb6)))))
 		S = 1 + s*(sb1+s*(sb2+s*(sb3+s*(sb4+s*(sb5+s*(sb6+s*sb7))))))
 	}
-	z := Float64frombits(Float64bits(x) & 0xffffffff00000000) // pseudo-single (20-bit) precison x
+	z := Float64frombits(Float64bits(x) & 0xffffffff00000000) // pseudo-single (20-bit) precision x
 	r := Exp(-z*z-0.5625) * Exp((z-x)*(z+x)+R/S)
 	if sign {
 		return r/x - 1
@@ -321,7 +321,7 @@ func Erfc(x float64) float64 {
 		R = rb0 + s*(rb1+s*(rb2+s*(rb3+s*(rb4+s*(rb5+s*rb6)))))
 		S = 1 + s*(sb1+s*(sb2+s*(sb3+s*(sb4+s*(sb5+s*(sb6+s*sb7))))))
 	}
-	z := Float64frombits(Float64bits(x) & 0xffffffff00000000) // pseudo-single (20-bit) precison x
+	z := Float64frombits(Float64bits(x) & 0xffffffff00000000) // pseudo-single (20-bit) precision x
 	r := Exp(-z*z-0.5625) * Exp((z-x)*(z+x)+R/S)
 	if sign {
 		return 2 - r/x

src/pkg/net/interface_linux.go

--- a/src/pkg/net/interface_linux.go
+++ b/src/pkg/net/interface_linux.go
@@ -13,7 +13,7 @@ import (
 )
 
 // If the ifindex is zero, interfaceTable returns mappings of all
-// network interfaces.  Otheriwse it returns a mapping of a specific
+// network interfaces.  Otherwise it returns a mapping of a specific
 // interface.
 func interfaceTable(ifindex int) ([]Interface, error) {
 	tab, err := syscall.NetlinkRIB(syscall.RTM_GETLINK, syscall.AF_UNSPEC)

src/pkg/net/interface_stub.go

--- a/src/pkg/net/interface_stub.go
+++ b/src/pkg/net/interface_stub.go
@@ -9,7 +9,7 @@
 package net
 
 // If the ifindex is zero, interfaceTable returns mappings of all
-// network interfaces.  Otheriwse it returns a mapping of a specific
+// network interfaces.  Otherwise it returns a mapping of a specific
 // interface.
 func interfaceTable(ifindex int) ([]Interface, error) {
 	return nil, nil

src/pkg/net/interface_windows.go

--- a/src/pkg/net/interface_windows.go
+++ b/src/pkg/net/interface_windows.go
@@ -56,7 +56,7 @@ func getInterfaceList() ([]syscall.InterfaceInfo, error) {
 }
 
 // If the ifindex is zero, interfaceTable returns mappings of all
-// network interfaces.  Otheriwse it returns a mapping of a specific
+// network interfaces.  Otherwise it returns a mapping of a specific
 // interface.
 func interfaceTable(ifindex int) ([]Interface, error) {
 	ai, err := getAdapterList()

src/pkg/syscall/syscall_linux.go

--- a/src/pkg/syscall/syscall_linux.go
+++ b/src/pkg/syscall/syscall_linux.go
@@ -627,7 +627,7 @@ func ptracePeek(req int, pid int, addr uintptr, out []byte) (count int, err erro
 
 	// Remainder.
 	for len(out) > 0 {
-		// We use an internal buffer to gaurantee alignment.
+		// We use an internal buffer to guarantee alignment.
 		// It's not documented if this is necessary, but we're paranoid.
 		err = ptrace(req, pid, addr+uintptr(n), uintptr(unsafe.Pointer(&buf[0])))
 		if err != nil {

コアとなるコードの解説

このコミットにおける「コアとなるコードの変更箇所」は、厳密にはコードのロジックではなく、コードに付随するコメントや文字列リテラル内のテキストです。それぞれの変更は、単語のスペルミスを修正するものであり、Goコンパイラによる解釈やプログラムの実行結果には何ら影響を与えません。

• qsufsort.go: サフィックス配列のソートアルゴリズムに関するコメント内のスペルミスを修正しています。これにより、アルゴリズムの動作説明がより正確になります。
• nat.go: 任意精度演算におけるパフォーマンス最適化に関するコメント内のスペルミスを修正しています。ベンチマークに関する説明の正確性が向上します。
• erf.go: 誤差関数の計算に関するコメント内のスペルミスを修正しています。浮動小数点演算の精度に関する説明が明確になります。
• interface_linux.go, interface_stub.go, interface_windows.go: ネットワークインターフェースのテーブル取得に関するコメント内のスペルミスを修正しています。これは、異なるOS（Linux, Windows, およびスタブ実装）向けのネットワークパッケージで共通して見られたスペルミスです。
• syscall_linux.go: Linuxシステムコールにおけるptrace関数の内部バッファに関するコメント内のスペルミスを修正しています。低レベルなシステム操作に関する説明の正確性が向上します。

これらの修正は、Go言語の標準ライブラリが提供するドキュメンテーションとコードコメントの品質を維持し、開発者がコードベースをより容易に理解できるようにするための、継続的な努力の一環です。

関連リンク

• Go言語公式ウェブサイト: https://golang.org/
• Gerrit Change-ID (Goのコードレビューシステム): https://golang.org/cl/5820045

参考にした情報源リンク

• Go言語のドキュメンテーション（各パッケージの概要）
• 一般的なプログラミングにおけるコメントの重要性に関する情報
• スペルチェックツール（例: Grammarly, 各種辞書）