Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

[インデックス 12696] ファイルの概要

このコミットは、src/run.bat ファイルに対する変更を含んでいます。具体的には、test\bench\go1 ディレクトリ内のテストの実行を一時的に無効化しています。

コミット

  • コミットハッシュ: 8521811cdeeba5ed2c992e0eb1aae0f71da2b037
  • 作者: Alex Brainman alex.brainman@gmail.com
  • コミット日時: 2012年3月20日 火曜日 14:59:51 +1100

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/8521811cdeeba5ed2c992e0eb1aae0f71da2b037

元コミット内容

run.bat: disable test in test\bench\go1 to fix build

R=golang-dev, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5848066

変更の背景

このコミットの主な目的は、Windows環境でのGoのビルドプロセスを修正することです。コミットメッセージとコード内のコメントによると、test\bench\go1 ディレクトリ内のベンチマークテストを実行しようとすると、Windowsの一時ディレクトリのパスが長すぎるためにエラーが発生していました。具体的には、「mkdir C:\Users\ADMINI~1\AppData\Local\Temp\2.....\test\bench\: The filename or extension is too long.」というエラーメッセージが示されています。

Windowsのファイルシステムには、MAX_PATH と呼ばれるパスの最大長(通常は260文字)の制限があります。Goのビルドプロセスやテスト実行時には、一時ファイルやディレクトリが深くネストされたパスに作成されることがあり、これが MAX_PATH 制限に抵触すると、上記のような「ファイル名または拡張子が長すぎます」というエラーが発生します。

この問題は、特にWindows環境でGoプロジェクトをビルドする際に頻繁に遭遇する既知の課題であり、深い依存関係を持つプロジェクトや、長いディレクトリ名を使用している場合に顕著になります。このコミットでは、ビルドが失敗するのを防ぐため、一時的な措置として問題のテストを無効化しています。

前提知識の解説

  • run.bat: これはWindowsのバッチファイルであり、Goプロジェクトのビルド、テスト、その他の開発関連タスクを自動化するために使用されます。Unix/Linux環境におけるシェルスクリプト(例: run.bash)に相当します。
  • go test: Go言語の標準テストツールを実行するためのコマンドです。指定されたパッケージ内のテスト関数(Testで始まる関数)やベンチマーク関数(Benchmarkで始まる関数)を実行します。
  • errorlevel: Windowsのバッチファイルで使用される環境変数で、直前に実行されたコマンドの終了コードを保持します。errorlevel 1 は、コマンドがエラーで終了したことを示します。if errorlevel 1 goto fail は、「もし直前のコマンドがエラーで終了したら、fail というラベルにジャンプせよ」という意味になります。
  • :: (コメント): Windowsのバッチファイルにおけるコメントアウトの記法です。行の先頭に :: を記述することで、その行がコマンドとして実行されず、コメントとして扱われます。
  • 一時ディレクトリ (C:\Users\ADMINI~1\AppData\Local\Temp): Windowsオペレーティングシステムが一時ファイルやディレクトリを保存するために使用する場所です。アプリケーションが実行時に必要な一時データをここに作成します。このパスはユーザープロファイル内にあり、環境変数 TEMPTMP で参照されます。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は、src/run.bat ファイル内の特定の行をコメントアウトすることによって行われています。

元の run.bat では、以下の行で test\bench\go1 のベンチマークテストを実行していました。

echo # ..\test\bench\go1
go test ..\test\bench\go1
if errorlevel 1 goto fail
echo.

このコミットでは、これらの行の先頭に :: を追加してコメントアウトし、テストの実行を無効化しています。

:: TODO(brainman): disabled, because it fails with: mkdir C:\Users\ADMINI~1\AppData\Local\Temp\2.....\test\bench\: The filename or extension is too long.
::echo # ..\test\bench\go1
::go test ..\test\bench\go1
::if errorlevel 1 goto fail
::echo.

さらに、コメントアウトされた行の直前に TODO(brainman): というコメントが追加されています。これは、この変更が一時的なものであり、将来的に根本的な解決策が見つかった際にこのテストを再度有効化する必要があることを示しています。コメントには、テストが無効化された具体的な理由(「The filename or extension is too long.」エラー)も明記されています。

この修正は、ビルドの安定性を確保するための実用的なアプローチです。問題の根本原因(Windowsのパス長制限)を解決するのではなく、ビルドプロセスが中断されないように、一時的に問題のある部分をスキップしています。これは、開発の継続性を維持し、他の開発者がビルドエラーに遭遇するのを防ぐための一般的な手法です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/run.bat
+++ b/src/run.bat
@@ -41,10 +41,11 @@ go build ..\misc\dashboard\builder ..\misc\goplay
 if errorlevel 1 goto fail
 echo.
 
-echo # ..\test\bench\go1
-go test ..\test\bench\go1
-if errorlevel 1 goto fail
-echo.
+:: TODO(brainman): disabled, because it fails with: mkdir C:\Users\ADMINI~1\AppData\Local\Temp\2.....\test\bench\: The filename or extension is too long.
+::echo # ..\test\bench\go1
+::go test ..\test\bench\go1
+::if errorlevel 1 goto fail
+::::echo.

コアとなるコードの解説

変更された src/run.bat の部分を詳しく見ていきます。

  • -echo # ..\test\bench\go1
    • この行は、テストの実行前にコンソールに「# ..\test\bench\go1」というメッセージを出力していました。- は削除された行を示します。
  • -go test ..\test\bench\go1
    • この行が、実際に test\bench\go1 ディレクトリ内のGoテストを実行するコマンドでした。- は削除された行を示します。
  • -if errorlevel 1 goto fail
    • この行は、直前の go test コマンドがエラー(終了コードが1以上)で終了した場合に、バッチスクリプト内の fail ラベルにジャンプして処理を中断する役割を担っていました。- は削除された行を示します。
  • -echo.
    • この行は、テスト実行後に空行を出力していました。- は削除された行を示します。

そして、これらの削除された行に対応する形で、新しい行が追加されています(+ で示される行)。

  • +:: TODO(brainman): disabled, because it fails with: mkdir C:\Users\ADMINI~1\AppData\Local\Temp\2.....\test\bench\: The filename or extension is too long.
    • この行は、変更の理由を説明するコメントです。:: はバッチファイルでのコメントアウトを示します。TODO(brainman) は、この修正が一時的なものであり、将来的に対応が必要であることを示唆しています。具体的なエラーメッセージ「mkdir C:\Users\ADMINI~1\AppData\Local\Temp\2.....\test\bench\: The filename or extension is too long.」が記載されており、Windowsのパス長制限が原因であることが明確に示されています。
  • +::echo # ..\test\bench\go1
    • 元の echo コマンドがコメントアウトされています。
  • +::go test ..\test\bench\go1
    • 元の go test コマンドがコメントアウトされています。これにより、問題の原因となっていたテストの実行がスキップされます。
  • +::if errorlevel 1 goto fail
    • 元の if errorlevel によるエラーチェックもコメントアウトされています。テストが実行されないため、このチェックも不要になります。
  • +::echo.
    • 元の空行出力もコメントアウトされています。

この変更により、test\bench\go1 のテストは run.bat の実行時に完全にスキップされるようになり、Windows環境でのビルド失敗が回避されます。これは、根本的な解決策ではなく、ビルドを一時的に安定させるための回避策です。

関連リンク

参考にした情報源リンク